表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/7

第002話〜二度目の人生〜

「ここは⋯⋯?」


 ゴウが目を覚ますと、果てしなく続く青空があわせ鏡のように続く謎の空間にいた。

 ゴウの身体は光る球体になっており、移動も何も出来ないでいる。


(ここがあの世⋯⋯?)


 そう思っていると、突如目の前にこの世の者とは思えぬほどの美女(チャンネー)が、金髪(パツキン)をなびかせ白いローブを巻いて現れた。


(あっ、女神様だコレ)


 ゴウは直感で理解した。


「そう、私は女神。女神キューティアと申します」


 自分の心を読まれたゴウは狼狽え、なにかエッチなことを考えないようにと精神統一をしながら女神に問う。


(お初にお目にかかります、キューティア様。俺は逸池豪(それいけごう)と申します。⋯⋯俺は天国と地獄、どちらに行くのでしょうか。親父とおふくろが先立っておりまして⋯⋯。二人は無事に再会できて居おりますでしょうか)


 すると、女神は美しく微笑み、ゴウに語りかける。


「ご丁寧にどうも。質問の答えなのですが、私は別世界の女神なのでわかりません」


(別世界の女神?)


「そう、私はあなたの魂を冥界へと導くのではなく、私の世界へとスカウトに来たのです」


 要領を得ないゴウは、そのまま黙って女神キューティアの言葉を待つ。


「あなたの魂は素晴らしく美しい。それなのに、あの世界では不当な扱いを受けていましたね。私はそんなあなたに二度目の人生をお渡しする為に来たのです」


(二度目の⋯⋯人生?)


「そう。私が創造したルカイピアという剣と魔法の世界。そこに私が肉体と加護(スキル)を与えて、あなたを転生させてあげましょう」


 ゴウは考えた。世界を創造するほどの女神様からのスカウト。美しい魂と言われたが、前世ではそれで痛い目を見た。もし、生まれ変わるなら自分勝手に生きたい。世のため人のためなど、もうまっぴら御免である。そんな自分が、二度目の人生などというボーナスを頂いて良いのだろうか。もう俺は女神様の求めるような人材では無いのでは⋯⋯。

 そんなゴウの心を見透かすようにキューティアが口を開いた。


「あなたの他者に対する不信感はもっともです。あなたの懸念も⋯⋯。ですが、安心してください。スカウトには来ましたが、私は転生後のあなたの生き方に口を出しません。ただ、あなたという存在が私の世界に来ることだけを望みます」


 心が読まれていると痛いほど理解したゴウは、考えても意味は無いなとキューティアに直接問う。


(よろしいので? もし第二の人生をいただいたとしても、俺は本当に自分のために生きますよ?)


 キューティアは目を細め、慈愛に満ちた顔でゴウの身体――光の球体を抱きしめた。


「良いのです。それで。これはあなたへのプレゼントでもあるのです。報われなかったあなたへの⋯⋯」


 優しく包まれたゴウは「良いのか。じゃあ生まれ変わるのも良いかもな⋯⋯」と、思った。

 その瞬間、光の球体だった身体はヒトの形へと変化した。

 黒髪の短髪、身長百六十五センチ、中肉中背。眉は太くキリッとしており、瞳には炎が宿る。それは、ゴウが十五歳のときの姿であった。


「契約は成立です。あなたの魂をそのまま加護(スキル)として刻みます。さぁ、私にその魂を見せてください」


 心臓が破裂しそうなほどの鼓動を打ち鳴らす。

 熱い、あつい、アツい。

 ゴウが痛みに身体を丸くすると、そのまま落ちていくような浮遊感に襲われた。

 どうやら、ルカイピアという世界に落とされているようである。

 遠く過ぎ去っていく女神キューティアの声が聞こえる。


「なんと美しい⋯⋯。あなたの加護(スキル)は『鋼の魂』。私の目に狂いは無かった。この世界を、どうかよろしくお願いいたします⋯⋯」


 そして、ゴウの視界は暗闇に包まれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ