第4話 たんぽぽと水遊び
「おはようございます」
あたしは思い切りお辞儀をし転がる。でんぐり返し。二度寝をしようと目を閉じるとたんぽぽが頬やおでこを舐めてくる。冒険が待ち遠しいのだ。
「たんぽぽ、おはよう」
「すみちゃんおはよう」
「すみれおはよう」
皆んなにご挨拶をすると朝ごはんだ。
今日は目玉焼き、ハム二枚、納豆にご飯。庶民的なご飯だけれど嫌いではない。
むしろ好き!
たんぽぽには少し高価な草を用意。美味しそうに食べる。
目玉焼きの黄身がお口の周りに着き舌でぺろぺろ。ハムに納豆を巻き、はむっ。もぐもぐ。美味しい。2枚目はマヨネーズをたっぷり乗せ巻いて、はむっ。もぐもぐ。今度はお口の周りが真っ白。ペロリ。あま〜い。
今日の朝は満足。
「すみちゃん、お水汲んできて」
ママから大きいペットボトルを二つ受け取りたんぽぽの背中にサドルを乗せペットボトルをかける。
「たんぽぽお散歩行こっ」
あたしはたんぽぽの手綱を引き玄関を出ると牧場を下る緩やかな道を一緒に歩く。今日はお弁当がある。たんぽぽのお弁当も持った。
トコトコトコ
景色が変わらない道を歩くと瞼が重たくなる。瞼を開こうとするが眉が動くだけ。首を縦に振りながらトコトコ。
パタンっ
あたしの手足は動かなくなった。
たんぽぽはとても器用。あたしのお洋服を咥えくるっと一回転。サドルの上にあたしを乗せた。お腹を中心に左右に倒れている状態 。
トコトコトコ
たんぽぽは小川の麓まで来ると膝を折り、ピューと鳴いてあたしを起こした。
「たんぽぽ。おりこう」
たんぽぽの頭をなでなで。たんぽぽは目を細め気持ち良さそう。ピューとおねだりする。よしよしともっとなでなで。
ママからお使いのお水をペットボトルに汲み、小川の辺りに置く。
あたしはお洋服を脱ぎパンツ一枚でたんぽぽと小川に入った。
バシャバシャと走り回る
楽しい。気持ちいい。お魚さんを追いかけたりザリガニをつがえたり。喉が渇いたら小川のお水を飲んだ。遊び疲れたら小川の辺りで大の字で寝転ぶ。たんぽぽも横になり暫く体を乾かしている。ごろんと今度は背中。たんぽぽも反対に寝転ぶ。
体が乾いてくると気持ち良くうとうと。
日が陰ってきた。たんぽぽは体を起こし膝を折るとピューピューと鳴き、それでもあたしが起きないと背中をぺろぺろ。くすぐったい。
あたしはお洋服を着てペットボトルをサドルに掛けると手綱を引き来た道を帰り始めた。
トコトコトコ
帰り道は上り坂だ。あたしがたんぽぽに乗るとたんぽぽに負担がかかる。重たい瞼を力一杯開けるとお弁当を思い出した。
あたしとたんぽぽは森の木陰で座りお弁当を開く。おにぎりと唐揚げが入っていた。
たんぽぽには草を上げあたしもおにぎりにかぶりついた。
美味しい。
今回はおかかが中に入っていた。あま〜いお醤油をかけているおかかが心を満たしてくれる。お腹を満たした。
たんぽぽに寄り掛かると瞼が閉じそう。
「たんぽぽ行くよっ!」
トコトコトコ
歩いているのか引きずられているのかわからない。倒れた方がたんぽぽも楽だろうに。あたしは片手で片目ずつ瞼を広げる。右左手を離すと瞼は閉じてしまう。あと一息。
パタン
あたしはお家の前で倒れた。
ピュー
たんぽぽの鳴き声で目が覚めるとお布団で横になっていた。
「たんぽぽがあたしを連れてきてくれたの?」
ピュー
「ありがとう。たんぽぽ。おりこう」
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次回は「たんぽぽと森探検」だよぉ。
次回をお楽しみに♪