表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/20

9話 迷宮、挑戦!

 迷宮(ダンジョン)につづく道は、相変わらずゴブリンばかりだった。


 もう見飽きた相手だったので、動きを読んで回避と同時に斬り、最小限の動きで倒す。

 流石にこの程度の相手は、アシスト無しスタイル無しで倒せないとな。


 スタイル有りの時の動きを覚えておいて、イメージトレーニングを繰り返すだけの簡単な行為。


 あとはそのイメージ通りに体を動かすだけだ。


 ちなみに。

 ライトセイバーのアシストは、俺の手に流れる電気信号から行動を先読みして、動きを作って力場にフィードバックするみたいだ。


 道理で体がイメージ通りに動かせるわけだ。


 (スタイル)を使わない方は"通常アシスト"で、

 (スタイル)を使う方は"強化アシスト"というらしい。


 イフェルに獲物を譲り練習しながら、休憩を挟みつつ半日近く歩くと。


 奥の緩やかなカーブを超えた先に、巨大な扉が見えた。

 いかにもな雰囲気にテンションが上がりそうになるが、そこは女性の前。


 必死に耐えて、しかし扉の目の前に辿り着いた瞬間、ワクワクから口角が上がったのをイフェルに見られ「落ちつきなさい」と言われてしまった。


 気を取り直し、二人で扉を押すもビクともしない。


 《お知らせいたします。

 この扉は強固な魔力結界による封印が施されております》


 魔力による結界。それは、魔力付与(エンチャント)による強化と同じ。

 強度や効果の差こそあれ、攻撃重視型(バスター・スタイル)の防御貫通機能で破壊可能だ。


 俺は即座に攻撃重視型(バスター・スタイル)を起動し、出力上昇と防御貫通機能を用いて扉を破壊した。

 

 「嘘……迷宮(ダンジョン)の結界は、魔術師にしか解除できないのに……!?」

 「あー、解除用の魔術とかあるのね。

 まあ、マスターキーみたいなもんだ。

 さ、入っちまおうぜ!」


 俺はイフェルの手を引き迷宮に入った。


 ………



 ……



 …


 中は石のレンガで作られた地下室みたいだったが、下を覗き込んでみると、真っ暗な闇が広がっていた。


 「中は思ったよりきれいだな」


 そう言ってみる。


 気弱な金髪君が「もう帰ろうぜ…」と返してくるかと思ったが、俺が一緒に入ったのは緑髪の美少女。


 それに入ったら出られなくなる洋館じゃないので、安心していい。

 

 まあ化け物は出るだろうけどな!


 「そうね。

 ただ、魔物の反応がそこら中にあって落ち着かないわね」

 「確かにな。青色ならシチュぴったりだが……」


 ガタ、と物音がした方に、二人息ぴったりで振り返るが、そこに居たのは少し苔むしたゴブリンだった。


 「キシャァ!」

 「ま、そりゃそうだよな」

 

 手慣れた動きで体を両断し、続く道へ進む。


 複数に分かれた道があり、両隣の通路の影からゴブリンが飛び出してきたり。

 石のレンガひとつが罠のスイッチになっていたりと、なかなか楽しませてくれた。


 強化力場があったおかげで、不意を突かれて背中に攻撃を受けても大したダメージにはならなかったし、巨大な丸太が降ってきた時は両断して破壊した。


 流石は迷宮(ダンジョン)と言ったところか。


 正面から破壊して進んでいる最中。

 イフェルは口を大きく開いて驚いていた。

 

 確かにあんな危険なトラップは、索敵魔法などを使って事前に調べ、解除するのが普通なのだろう。


 ま。俺とリディにかかれば子どものいたずらに等しいもんだ。

 いや、最近の子どもの悪知恵はなかなかだ。気を付けなければ………。


 とにもかくにも、俺たち三人(うち一人はライトセイバー)は迷宮の奥へと進んでいく。


 時折ジャイアントゴブリンが現れたりしたが、彼らは武器を持っていなかったため、ライトセイバーの餌食になった。

 仕方ないね。魔力による防御ができないなら、防ぎようがないのだ。

 

 いかに肉体を鍛えようとも、魔力操作が出来ないと勝てない。

 それがこの世界のルールみたいだ。

 とはいえ、生半可な魔力防御なら、それこそ攻撃重視型(バスター・スタイル)の『防御貫通効果付与』で一方的に破壊し、そのまま倒してしまえるわけで。

 

 俺は思った。このライトセイバー。

 チートじゃね?


 そんなチート武器を片手に、俺たちは迷宮攻略を進めていく。

 ふつうは緊張とかするだろうけど、残念ながら初期武器が強すぎる俺には恐怖とかはなかった。


 それよりも、戦っていて楽しかった!

 倒したことがあるのはキノコ、ゴブリンくらいだが、それでも自分の力で敵を打ち倒すことができるのは、爽快かつ非常に心が満たされた。

 

 そうだ。ゲームと同じだ。

 強敵と戦い、勝利することに快感を覚える。それを、自分の体で出来る。

 仮想世界に入ってアバターを動かす、とかそういうのじゃない。


 本当に、自分の体を、命をかけて戦う。

 恐怖を乗り越える成長が、楽しくて堪らない!


 俺の動きを助けてくれるリティの存在が頼もしい。

 そんな相棒と共に、まだ見ぬ世界へ、俺よりも強いやつを倒したい!


 幸い運動神経は悪くない方だ。もっともっと学んで鍛えて、強くなってやる!


 オレは、迷宮の中でそう自分に誓った。

 戦いを楽しみ、成長すると。


 「いくぜおらあああああ!!!」


 心躍る心地のまま、オレは魔物の群れに向かって走り出した。

 切り裂き、回避し、隙をついて一撃を叩き込む。

 ブレードを警戒する奴には、フェイントに利用して殴り飛ばし、着地と同時に首を断つ。

 

 延々と魔物の大群を捌き続ける中で、オレの意識は快感、本能のままに戦い続けていた。


 「……ふぅ。」


 気づくといつの間にか、大群は全滅していた。


 《素晴らしい戦いぶりでした!》

 

 お、嬉しいね。

 だがまだまだ無駄が多いな。もっと成長できる証だな!


 《はい。お供いたします!》


 とまあ、そんな調子で戦い続けること数時間後。


 俺たちは大きな扉を発見した。

 そして、その大扉の前にいるのは、巨大な鎧。

 

 地面に巨大な幅の広い剣を突き刺し、こちらを睥睨している。


 「なんだあれ。見ただけ分かるぞ。

 ゴブリンよりも明らかに強いだろ」


 なんなんだこの迷宮(ダンジョン)

 明らかに弱かったゴブリンは大量に配置して、門番は強そうな鎧。

 難易度のアンバランスさがすごいな。

 

 「この迷宮(ダンジョン)を作ったやつは、リソースの無駄遣いだな。

 あんなに大量のゴブリンを配置するくらいなら、あの鎧をもう一体用意すべきだろ」

 「え、あなた今、迷宮(ダンジョン)を作ったって言わなかった?」

 「うん。言ったけど」


 そもそもの話、迷宮(ダンジョン)に天然などないだろ。

 迷宮(ダンジョン)が自然発生するなんて、それはあり得ない。

 砂漠に時計が落ちていても、自然発生したとは考えない。それは同じだ。


 その話をすると、イフェルは驚いていた。


 「確かにそうね………当たり前すぎて気づかなかったわ」

 「だよな。ま、それは置いといて」


 問題は鎧だ。

 背丈は3mくらいありそうだ。

 ゴーレム系か、中にゴブリンが入っているのかわからないが、なかなかに強そうだ。


 ……ふむ。ダメだな。

 強敵を相手にして、オレは心の高ぶりを抑えられなかった。


 ブレードを起動し、身を隠していた物陰から飛び出てしまったのだった。


 だって、楽しみすぎるんだもの。仕方ないだろう、うん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ