2話 マスター登録!
初期武器がライトセイバーだと判明した。
俺はとりあえず、生命線になる武器のスペックを確認するべく、いろいろ試してみることにした。
まずは斬れ味。
さっきも試したけど本物だ。
出っ張った岩しか切ってないけど、手応えを感じないくらいにスルッと切れる。
切断面は溶けてるみたいだけど、すぐに冷えて固まるから、高熱で溶かしているわけでは無いらしい。
重さはスマホよりちょっと重い程度。軽い。
ブレード部分を発生させてる時はエアガンくらい。
見た目はシンプルかつ握りやすそうな形状。
掴んだ感覚は結構手に馴染む。
驚いたのは、自分の体は切れないという点。
手を滑らせてしまった時に判明した。
自分の体に刃の部分が触れると威力が下がるみたいで、ちょっと熱い程度になるのだ。
振り回してみると案外使いやすく、軽さを活かした動きができそうだった。
試しに動きをイメージで作ってみて、体を動かしてやってみると、ブォン、という低い音が周囲に響いた。
軽いから狙い通りの場所を切れそうだし、というか現代人に鉄のロングソードを渡されても使えるわけはないんだけどね。
戦闘があるかもしれないので、ある程度の動き方はイメージしておくことにした。
スペックは大体把握した。
なので、この洞窟から出るために歩くことにした。
1日分の食料しかないので少し不安だが、人生どうにかなるさ。
変わらない景色が延々と続く洞窟。
俺の足音とライトセイバーのブォンしか聞こえなかったのだが、異音が遠くからなっていることに気づいた。
どちゅ、どちゅ、と水音を含んだそれは、徐々にこちらへ近づいているようだった。
怖くはない。俺の手に握られたこれは、初期装備にしては強すぎるのだ。
構えて待つこと数分。
遠くから聞こえていた足音の主が姿を現した。
そこに居たのはでかいゴブリンだった。
刃こぼれしたマチェーテを肩に担ぎながら、ゆっくりと歩いていた。
オレはその姿を見た瞬間に逃げた。
いやあんなん勝てなくね?
2mはあるよあのゴブリン。
恐怖で逃げ出したわけだが、後ろからどちゅん!どちゅん!と水音を含んだ足音と。
「「ヴォルラアァァァァ!!」」
という雄叫びが響いてきた。
いやこっわ!無理無理!勝てないって!
でもさ、多分このまま逃げてもさ。
追いつかれるよな。普通に。
体力切れて動けないとこを攻撃されるよな。
なら、体力が残ってるうちに一か八か試すべきだ。
怖いけど我慢!
俺は怖いし痛いの嫌いだけど、我慢は得意だ!
予防接種だって我慢してれば終わるしな!
俺は立ち返ってライトセイバーを構える。
敵を倒して生き延びる。
そのために全力を尽くして挑む!
戦うために気力を振り絞る。
ライトセイバーを担ぎ構えた。
するとそこで、俺の頭に声が響いた。
《戦闘システム起動。
戦闘アシストを開始します。》
そう聞こえた。
そして、それと同時に体が誰かに押されたみたいに勢いが着いて。
ブォン!という低い音が鳴り。
ライトセイバーが加速する─────────!
俺の握るライトセイバーが、薙ぎ払われるマチェーテをゴブリンの腕ごと切り落としたのだ!
「「ウグアァァァっ!!」」
痛みに怯むゴブリンを相手に、俺の体を押す何かはまだ動きが止まらない。
そのまま至近距離まで踏み込み、流れるような動きで首を斬り飛ばしたのだった!
もちろん俺が自分で動いたわけじゃ無い。
体を誰かが操ったみたいに、勝手に動いてくれた。
(なんだ今の…!)
まるで自分が剣の達人にでもなったかのような感覚だった。
そしてまたも、頭に言葉が流れる。
《完全起動を確認。
マスター登録を完了してください》
(何それ?)
と思っていると。
《当武装の所有者登録を完了すれば、仮登録状態では封印されている機能を使用できます。
所有者登録が完了すれば、以降貴方がマスターとなり、全機能の使用が可能となります》
そう頭の中に響いた。
なんだかよくわからないが、このライトセイバーは俺のポケットに入っていたし、俺の物だ!
ということでマスター登録することにした。
必要なのは名前。
それと魂の波形だそうだ。
《……確認しました。マスター権限をシステムより譲渡します。"カモト・レイジ"様》
これでようやくこのライトセイバーが俺の物になったのだった。
いいね、さっきより殊更馴染む気がする。
多分気のせいだけど。まあそれはいい。




