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16話 初期武器ビームシールド

 街から出てイフェルの実家へ向かう旅に出たオレたち。

 イフェルの実家は最初の街から東に進んだ3つめの街らしい。


 旅の最中は、昼間は進んで夜は休む。ダッカーもといフォーゼが動く。

 フォーゼは【存在創造】によって作られた存在。

 睡眠や食事は必要ない体となっているのだ。


 行動サイクルを決めたオレたち。

 道中の魔物を倒しながらイフェルを先頭に進んでいく。


 そこでオレは、気になっていたアウスのビームシールドについて聞いたのだった。


 「アウス。お前のビームシールドはどんな機能があるんだ?」

 「この盾のことだよね。

 偶然手に入れたからまだ把握してないんだ」

 「じゃあ丁度いい。今どんな機能があるのか試そうぜ!」


 そうだったのか。

 てっきりアウスも俺と同じように最初から持っていたのかと思ったが………。


 たしか、アウスを見つけたときに近くに死体があった。

 俺はてっきりアウスだと思ったが、横で動いているヤツがアウスかもしれないと思い質問したのだが、それがアウスだったことで安心したのを覚えている。


 その死体のヤツが、初期武器ビームシールドだったのだろう。


 まあその話は置いておいて。


 とりあえずいろいろ試してみることに。

 どうやらオレのリティと同じように、アウスの持つビームシールドにも疑似人格による補助機能があるらしいかった。

 

 オレは自分と同じようにすればアウスも機能を開放していけると思った。

 魔物を倒し、経験値を得る。そうすれば機能を開放できる。

 

 そのことを伝えようと思ったが、別の考えが浮かぶ。

 アウスの武器は盾。魔物を倒すことはできないのではないか。


 そう考えたのだが、その思考は間違っていた。


 その理由は、アウスが補助人格から教わった武器の機能にあった。


 機能は3つ。

 ・『魔力変換炉』

 ・『強化力場』

 三つの内二つ目は、俺と同じ機能だった。

 もっとも『強化力場』運動能力上昇量は俺の方が高いみたいだが、防御力はアウスの方が高いようだ。

 『魔力変換炉』に関しては同程度の性能らしい。


 特筆すべきは、ビームシールドのメイン機能。

 それが『防御力場形成』だった。


 ・『防御力場形成』

  ┗超高密度の防御障壁を形成する。

  【効果】

  ・臨界状態の魔力障壁を展開する。

  ・形状と密度によって強度、防御力、耐久力が変化する。

 

 それが効果だった。

 効果欄にある一番最後の文章。


 ・"形状と密度によって強度、防御力、耐久力が変化する"。


 これはつまり、形状を自由に変えられるということなのでは!?

 しようと思えば、先端の尖った形状にして、魔物を貫くこともできる……かもしれない。


 密度に関してはよくわからないが、それは後回しだ。

 いろんな形状を試すことになった。

 

 まずは普通に盾の形。

 形成されたシールドは半透明だが、石やイフェルの魔術による攻撃を容易く防ぎ切った。


 今度は全身を覆うくらいの大盾(キャッスルシールド)に。

 防御力は変わらなかった。

 この程度の変化では差がないのかもしれない。


 そこで俺は密度の話を思い出す。

 アウスに頼んで普通の盾の形で、しかし密度を最低まで少なくする。

 アウスが言うには盾が軽くなったという。

 

 盾に石を投げると。簡単に割れた。


 なるほど。理解した。

 この盾は、密度と形状を自由に変えることで最適な防御を行うもののようだ。


 そして使い方を工夫すれば、面白いこともできる。


 俺はアウスに形状と密度を指示する。

 

 形成された盾は、普通の盾の下部分の尖がった部分が伸び、剣のようになっている。

 

 「なるほど……盾と剣を一体化するってことだね」

 「そうそう。もっと工夫すればいろんなことができるだろうな」


 防御力場はかなりの硬度を誇り、そして金属の盾よりも遥かに軽い。

 剣にとって重さとは重要だが、実践で使えるのか試してみるほかない。


 「幸い、練習相手には事欠かないからな。ほら、現れたぞ」

 「キシャァァァァァ!!!」


 大きいカマキリのような魔物が現れる。

 図体は、これまで戦ってきたジャイアント鎧と同じサイズだ。


 「こ、こいつは!」

 「知ってるのか?」

 「リーパー・マンティス!!

 ギルドが大量発生の知らせを各町村に知らせていた……凶悪な魔物よ!」


 手の鎌がギラリと光る。

 オレたちを狙っているのは明らかだ。


 「丁度いい。アウス。さっきのが通じるか試してみようぜ!」

 「に、逃げるべきだよ!! こいつは一匹で村を滅ぼせる魔物なんだよ!?」

 「あの鎌は、生えている木でも容易く両断する…………!」


 ほう。鎌の切れ味が抜群なのか。

 たしかにかなりの魔力が纏われているみたいだ。


 でも、ジャイアント鎧が全身に纏っていた魔力の量に比べれば、圧倒的に少ない。


 「オレが保証する。オレと同じ系統の武器を持っているアウスなら、ヤツの鎌は防げるはずだ」

 「で、でも!」

 「無理そうならイフェルに注意が向かないように守ってくれ、オレが倒す」

 「わかった………気をつけてね、レイジくん」

 「ああ。任せろ!」


 流石にいきなり実戦は厳しいか。

 模擬戦でもしてから、実戦で試すとするか。


 「よし、行くぞ!」

 「あ、ああ!」


 4本の脚で跳躍し、こちらに攻撃を仕掛けるカマキリ。


 「キッシャア!」


 俺はライトセイバーを起動し構えた。


 振りかぶった鎌が振り下ろされる初動を見切る。

 鎌にライトセイバーのブレードをぶち当て弾き飛ばす。


 「おらっ!!」

 

 攻撃に移れない体勢になったところに、動きを繋げて軽く一撃を叩き込む。

 しかし全身に纏われた魔力に防がれる。


 「割と固いなおい!」


 鎌と羽で吹き飛ばされた勢いを殺したカマキリ。

 

 地面に鎌を突き刺したカマキリは隙だらけだ。

 追撃でトドメを刺すべく攻撃重視型(バスター・スタイル)を起動。


 《攻撃動作を検出。

 攻撃重視型(バスター・スタイル)の強化アシストを開始します》


 追撃すべく一歩を踏み出し、アシストによる加速で間合いを詰める。


 《攻撃対象を検出。ブレードの出力が向上。》


 腕を動かし始めると同時に、手に来る反動が高まる。

 ブレードの出力の高まりを体の芯にまで伝わる振動で理解する。


 「喰らいな!!」

 

 しかし。


 ブレードはカマキリを確かに捉えた。

 だが、左手の鎌を犠牲にオレのブレードによる致命傷から逃れたのだ。


 「なにっ!?」

 「キッシャア!!!!」


 カマキリは鎌を振りかぶり、狙いを定める。

 高速で入れ違ったオレにではなく、背後で防御を固める二人へ。


 カマキリは羽ばたき加速する。

 

 しかしオレは、大振りの攻撃を外した直後ですぐには向かえない。


 ここで動けるのは、アイツしかいない。


 「アウスーーーッ!!!」


 オレは叫ぶ。アウスは歯を食いしばって、盾を構えた。


 「僕が…………守るんだ!!」


 鎌を速度のままに振るうカマキリ。

 その鎌を、アウスは盾の力場を展開して受け止めたのだった!


 超高速の鎌を冷静に受け止めるアウスの反応速度は、凄まじく速かった。


 「う、おおおお!!!!」


 そのままアウスは盾の形状を変化。

 半透明の盾から剣が伸び、カマキリの鎌を払いのける。


 「ナイス過ぎるぜアウス!」


 ようやく間に合ったオレはそう声をかけた。

 己の技の未熟に恥じる。俺が仕留めておけば二人を危険に晒すことなかった。


 「レイジくん! 僕も戦うよッ!!」

 「いいねえ! その姿勢は大好きだぜ!!」


 カマキリは痛みで大声をまき散らす。


 アウスは防御力場を中型のサイズにまで形状を変える。

 俺はアウスの防御力を信じ、盾に身を隠す。


 「レイジくん、僕が攻撃を弾くから、君は攻撃を!」

 「ああ!」


 俺はアウスの言葉を信じ、攻撃重視型(バスター・スタイル)の攻撃動作判定ギリギリで構える。

 攻撃動作判定がされれば強化アシストは動き出してしまうからだ。


 アウスはカマキリの前に立つ。

 死に掛けのカマキリは怒り狂い、激情のままに鎌を振り回している。


 その乱雑な剣筋を見極め、アウスは盾を大剣状に変化させ。


 鎌を大きく弾いたのだった!!


 「今だ!」

 「任された!」


 俺は数ミリブレードの位置を変え、攻撃動作として認識させた。


 《攻撃動作を検出。

 攻撃重視型(バスター・スタイル)の強化アシストを開始します》


 体からあふれ出す力のまま、オレはブレードを振るう。


 《攻撃対象を検出。ブレードの出力が向上。》


 踏み込み、上段から高出力の一撃を叩き込む。


 《防御作用の構造を解析完了。ブレードの構造を変化させています》


 ライトセイバーの刀身は、カマキリの体に纏われた魔力の膜諸共、両断されたのだった。


 「キッシャアアアアアア!!!!」


 絶叫の断末魔を上げて消えたカマキリ。

 アウスはその場にへたり込み、息を切らしていた。


 「はぁっ…………はぁっ………」

 「ナイスファイト!アウス!」

 「レイジくんもね…………!」


 オレはアウスに手を差し伸べて、アウスはオレの手をつかんで立ちあがった。


 「にしても、鎌を防御するときのスピード、凄かったぜ!」


 鎌は形状的に、防ぐのが難しい。盾を回り込む刃の形状だからだ。

 しかも、独特な形状の鎌は攻撃を読むのが難しい。

 それを防いだアウスは、本当に防御の才能があるのだと思う。


 《お知らせします。

 経験値が規定量を超え、新たな(スタイル)を獲得可能となりました》

 

 お、次のスタイルを選べるのか。

 これはまた、ワクワクタイムがはじまっちまうなぁ!

 

 「レイジくん! 経験値が貯まって、新しい機能が追加されたってさ!」

 「お、お前もか!」

 「な、何の話をしているの?」


 オレとアウスのが喜んでいる中、イフェルは一人取り残されていたのだった。





 俺は新しいスタイル解放の前に、今の機能を確認しようと思った。

 そうすると何故か、アウスのビームシールドの機能まで書いてあった。



  所有者(マスター):カモト・レイジ。


 ・当武装における現在解放済みの機能一覧・


 ・『魔力変換炉』

  ┗所有者の魔力を動力源として変換する

  【効果】

  ・魔力をエネルギーへ変換する。


 ・『刀身形成』

  ┗超高出力の光の刃を形成する。

  【効果】

  ・臨界状態の魔力の刃を発振する。


 ・『強化力場』

  ┗肉体を覆う見えない力。

   身体能力を高め、衝撃を緩和する。

   破壊されれば防御能力と補助能力を失う。

  【効果】

   ・ダメージ軽減。

   ・身体能力向上。


 ・補助擬似人格リティ

  ┗ライトセイバーの機能を十全に用いる為のサポートシステム。

  【効果】

  ・対象の情報を解析、鑑定、記憶。

  ・高速演算。

  ・記憶情報の自由閲覧。

  ・擬似人格による機能使用の補助。


 ・解放済みの(スタイル)一覧。


 『《《攻撃重視型(バスタースタイル)【特性】》


 【特徴】

 ・一撃の威力に重きを置く(スタイル)

  体重を乗せた全力の攻撃や、防御ごと貫くための動きを強く補助します。


 ・『ブレード出力向上』

  【効果】

  ┣攻撃時の射程拡張。

  ┗攻撃時の威力向上。


 ・『攻勢時身体能力向上』

  【効果】

  ┗攻撃時の身体能力アシスト出力が上昇。


 ・『防御貫通効果付与』

  【効果】

  ┗構造を解析して効果的にダメージを与える。』


 《乱撃重視型(ラッシュ・スタイル)【特性】》


 【特徴】

 ・攻撃の回数に重きを置く(スタイル)

 連続攻撃や、手数重視の動きを強くアシストします。


 【特殊効果】

 ・『ブレードの取り回し向上』

  ┗追加効果:ブレードの推進力発生。

   ・攻撃時、ブレードの反動を推進力へ変換し、攻撃速度を高める。


 ・『乱撃時身体能力向上』

  ┗手数重視攻撃時の身体能力アシスト出力が上昇。

 

 ・『連続攻撃時加速』

  ┗攻撃が連続するほど強化アシスト出力による攻撃速度上昇』』



 所有者(マスター):アウス・ノーザクス


 ・当武装における現在解放済みの機能一覧・


 ・『魔力変換炉』

  ┗所有者の魔力を動力源として変換する

  【効果】

  ・魔力をエネルギーへ変換する。


 ・『防御力場形成』

  ┗超高密度の防御障壁を形成する。

  【効果】

  ・臨界状態の魔力障壁を展開する。

  ・形状と密度によって強度、防御力、耐久力が変化する。


 ・『強化力場』

  ┗肉体を覆う見えない力。

   身体能力を高め、衝撃を緩和する。

   破壊されれば防御能力と補助能力を失う。

  【効果】

   ・ダメージ軽減。

    ┗【特殊効果】

     ・『防御力場形成』による防御の向上。

   ・身体能力向上。


 ・補助擬似人格

  ┗ビームシールドの機能を十全に用いる為のサポートシステム。

  【効果】

  ・対象の情報を解析、鑑定、記憶。

  ・高速演算。

  ・記憶情報の自由閲覧。

  ・擬似人格による機能使用の補助。


 ・現在開放済みの拡張機能。

 

 《盾加速攻撃(シールド・バッシュ)

  【効果】

  ・盾に推力を発生させ、急加速することで攻撃を可能にする。

  ・推力発生中はいかなる攻撃でも耐える。


 なぜアウスのビームシールドの機能まで記されてあったのかというと、アウスの補助人格とリティとの間で連携、紐づけが行われたから、らしい。

 これでオレはアウスの武器の状態を確認出来るようになるとのことだった。


 さて。オレはどんなスタイルを開放しようか。


 嬉しい悩みどころだ。

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