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2話 飲み物って偉大



暗転した視界と潰された身体

同時に遠のいていく耐え難い激痛


最後に回したデッキは何だったか

最後にプレイしたカードは何だったか

あの後友人はどうなったのか

微かに見えた走馬灯も、闇に呑まれて消えていった


(あぁ、これは死んだ)


それが最期の思考だった


_________



光も通さぬ暗闇の中、魂が漂う

その魂は終わりの見えない漆黒に恐怖心が湧く。

これも時期に無くなってしまうのだろうか

そんな思いばかりが湧き、いずれ消えていく


幾度となく繰り返し、疲れ果てた魂は恐怖も無くなり達観した


(死って、こんな感じだったのか)


意識が薄れ、感覚が消滅し、やがては無になって行く

そのはずだった



沈みゆく意識を咎めるような声が聞こえた

よく知った声と全く知らない無邪気な声



『あれ?何時までそうしているつもりだい?』

「おーい、早く起きろよ」

「……え?」


意識が覚醒し、魂は実態を保つ

呼ばれる声に魂は目を開ける

そこに先程の常闇など無く、一転して真逆の純白が広がっていた


声の方には、衝突の寸前に身を挺して助けたはずの親友の姿と、この純白の世界の中の不純物である、謎の黒い靄が浮かんでいる。


靄は常に揺らめき、大きさも変動している

まるで、黒い炎のように絶え間なく揺らめいては消えていく


ふと自分を見ると、視界には手、胴、足が確かに写り、お気に入りのパーカーも着ている


先程までとはまるで状況が違いすぎる。

てっきり死んで、その後は無になるとばかり思っていたのに、やけに明瞭に写る自分の姿に困惑する。

しかし、そんな彼を現実に引き戻すように靄が言う


『混乱しているところ悪いけど、話してもいいかい?』

「…どうぞ」


夢現で返答し、親友の様子を見る

先に来ていたであろう親友はいつもの愛用しているエナドレを飲んでいた


どうやったのかを聞いてみると、何か飲みたいとイメージしたら出てきたらしい



私も紅茶飲みたい

おぉ、出てきた。

ノリと勢いと願望で何とかなるらしいので、ついでに茶会にあるような白い椅子とテーブルも出して紅茶を楽しむ


椅子に腰かけ、1口

ふぅ……至高

やはり紅茶はいい

どんな混乱も動揺も怒りも鎮めてくれる


視線を感じて靄を見ると、

何か言いたげな雰囲気が伝わってきた


「あ、どうぞお構いなく」

『えぇ……君ここ初めてだよね、困惑してたしそうだよね。何でそんなに余裕があるのさ…』

「所詮、矮小なる人間の身には、あらゆる物事は成るようにしか成らないので。それと、偉大なる紅茶の力です。……どうぞ、話してください」

「いつもの事だから気にしなくていいぞ」

『えぇ……まぁ、いいや。それくらい異常で無いとね』

何故か好き勝手言われているが、それで私がどうこうなる訳でも無い。

なら、別にいいか



『じゃあ、まずは自己紹介から行こうかな。僕はアンラ・マンユ。上位存在【悪意(アンラ・マンユ)】だよ。よろしくね』

「へー」「よろしく」

『あれれ?思っていたのと違うなぁ……薄くない?反応』

【悪意】(アンラ・マンユ)のボヤきを無視してこちらも名乗る


「私は……あれ」「俺は……え?」


私は……誰だ?

自分の名前が分からないのは親友も同じようで、首を傾げている

いや、親友の名前すらも分からない、思い出せない

もっと早く気付くべきだった

……だからどう出来たという訳でも無いのだが


異変を感じとった【悪意】(アンラ・マンユ)は、忘れてたと言わんばかり言う


『ここは生と死の狭間、そこでも特殊な魂の浄化場だからね。滞在すればするほど記憶が浄化……消滅していくから気を付けてね』

「それを早く言えよ!」

全くもってその通り

時間帯がバラバラなのは許して

それと、ブックマークをしてくれるととても嬉しい

ストックが増える?

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