14話 魔狼月下の咆哮
お待たせしました
え?待ってない?
…そっすか
side アズラエル
経験値を稼ぎに行くとヴァンが出ていってから2時間が経過した。
ヴァンが行くなら俺も行こうかと迷ったが、ヴァンとは違って時間制限なくレベル上げができるので、ここはしっかりと寝て体力を回復させることにした。
焚き火は…そのままでいいか
悪魔は呼吸をしなくていいらしいので、窒息の心配も要らない
起きる頃にはヴァンも戻ってきてるだろ
「おやすみ」
どうやら思ったよりも疲れていたらしい
瞼を閉じて、すぐに睡魔が襲ってきた
薄れていく意識の最後、微かに狼の遠吠えが聞こえた気がした……
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夜空に浮かぶ蒼月と対称に、1匹の魔物と吸血鬼が対峙していた
周囲の木々は倒され、障害物はもう無く、残されたのは散っていった魔物の配下の死体
黒い狼の魔物が咆哮し
それに応えるように吸血鬼は拳を作る
そして、どちらともなく標的に駆け出した
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sideヴァンブラッド
戦ってわかったことが、1つある
「グルルル…」
「はぁ、はぁ…」
強すぎ
正直舐めてました…
何が「そんなに圧は無い」だよ
バリバリにフィジカルで負けてるんですが……
そもそも先頭ド素人、大して場数を踏んでいる訳でもないのに圧も何も無いでしょう
心の中で悪態をつきつつも、その表情に余裕は無い
戦況にあまり変化が見られないが、こちらは速度で負け、(治っているとはいえ)何度か攻撃を貰っている。なお、魔物は一切の被弾なし
これは…逃げることも視野に入れなければ…
……逃げきれなさそうだけど、ね
いや、速度負けしているのがただただ辛い
高機動でまわられるだけで対処困難致命傷
吸血鬼の身体と再生能力のおかげでまだ生きられていますが、何とか突破口を探さないと…
こうしている間も必死に牙、爪、尾の三連コンボを回避する
地味にカスっても痛いから死ぬ気で避けています…
いい具合に隙らしきものができ次第殴っているものの…手応えが無い
詰んだか…?