13話 深緑の魔狼
________その魔物にとって、『それ』は平穏な森に突如として現れた異物であった
魔物にとって眷属とは家族の一員である
殺されたならば、総勢で殺しいく
今日もまた、眷属の死を察知し、また人間どもかと思い、側近と共に駆け付けた
その魔物は今までに眷属を殺してきた数々の人間を屠ってきた
しかし、今日は様子が違った
目の前に立つ『それ』は人間特有の匂いを発していない
見た目は人間、だが、身に纏う雰囲気がまるで別物であった
そう、自分と同じ魔物のような匂いに近い…
しかし『それ』が自分より強いとは思えなかった
どうせ産まれたばかりの突然変異だろう
殺してきた数は断然上、経験の差が違うと
そんな思考に至った魔物は眷属に命じた
〈殺れ〉
眷属達は命じられるままに、連携をしていく
引き付け、欺き、必殺を食らわせる負け無しの常套手段
しかし、その連携は僅かな隙を突かれ、崩されてしまう
思った以上に思考力があり、動いている
一気に殺しに行くのは無理だと悟った魔物は、咆哮し、再度命ずる
〈確実に攻撃を与えよ〉
攻撃を蓄積させ、最後は自らトドメを指す
そう思っての判断であった
結果、その作戦は成功し、大量に失血させることにも成功した
この時点で勝ちを確信し始めたが、不可解なことが起きた
何故か傷が再生していく
不気味な
魔物は予定を変更することにした
まずは自身の速度に反応できるかを試すため、眷属の連携の合間に自慢の爪をもって切り裂きにいく
回避され、反撃を食らったがあまりダメージは無い
しかし、眷属はとうとう1人になってしまった
だが、『それ』も少し疲労しているようだ
残る眷属と連携して潰しに行くのも良いが、魔物は安定策をとることにした
種族の存続の為に、魔物は最後の命令をする
〈逃げよ〉
追撃してきそうな『それ』を威嚇しながら眷属が逃走するのを助ける
死ぬつもりは毛頭ないが
これで自身が死んだとしても種は絶えない
森の奥へと逃げ、姿も見えなくなったことを確認して『それ』に対峙する
逃げるという選択肢は無い
『それ』は淡々とこちらを見ている
誇り高き魔物は開戦の咆哮する
異物と魔物の死闘が、始まった
1週間間置き…… 他の小説も書く……
まぁ、頑張りますか…