10話 献血ですっ!(強制)
ちょこっとグロいかも
「うわっ……」
さっさとゴブリンを始末してヴァンの元にやって来た俺は、目の前の惨状を見て唖然とした
「おや?早かったですね」
「お前が遅いだけだろ。……まだ、殺してないのか?」
「えぇ。どうせなら少々献血に協力して貰おうと思いまして」
「正気か?」
ここまでしておいて協力も何もねぇだろ
腕1本、脚1つ動かせない状態で死を待つのみ生命に同情を抱かざるを得ない
その上血も抜かれるというのだから
「言いたいことは分かりますよ」
「そうか?」
「えぇ。アズラエルも飲みたいんでしょう?」
「違ぇよ!それに、こんな緑の生命体から出た血なんて飲めるかぁ!」
「……?」
こいつ、イカれてやがる
あ、元々か
血を飲むことに対する抵抗感とか、道徳心とか……
「アンタ、人の心とか無いんか?」
「これも人の心の1部ですよ?」
「……道徳心とかさ、そういうのって、大切だと思うんだ」
「確かに。でも、道徳は要所要所で捨てなければ生きていけませんから」
「いや、捨てるなよ」
「そう言われましても……飲まなきゃ死ぬんですよ?吸血鬼ですし」
「……確かに」
こいつの道徳心は一旦置いといて、確かに吸血鬼なら血は飲まないといけないよな
色々ありすぎて忘れてた
「容器みたいなの無いでしょうか?長期保存したいのですが……」
「無理だろ。腐って不味くなるぞ」
「……直に飲みますか」
心底嫌そうに顔を歪めているが、そわそわしているぞ
今更何にも言わないが
ヴァンは瀕死のゴブリンの近くで座り、爪を伸ばしていった
「そんなこと出来たのか?」
「やってみたら出来ましたよ」
……吸血鬼はヴァンにとって天職ならぬ、天族だったのかもしれない
ゴブリンの胸を引き裂き、トドメを指すと同時に溢れ出る血を手のひらで掬い、飲んでいく
血の池に佇み、死体の血を飲む男
傍から見れば中々にショッキングな映像だな!
そんな映像は数分続いた
あらかた飲み終えて満足したのか手で口を拭いながら戻ってきた
「ふぅ……ご馳走様でした」
「文字通りお命頂戴だったな。で?どうだった?」
「……最初の方は雑味とともにいい感じの鉄分があってまぁまぁな味だったのですが、段々と腐ってきたのか不味くなりまして……生きている個体から直に飲みたいですねぇ」
そうすればもっと新鮮な状態で味わえる
と微笑むヴァンにドン引きする
「うわ……」
やばいやばいと思っていたけどここまでの奴だったのか……
親友の知られざる一面を見てしまったようだ
当分、俺はこの時のことを忘れられ
あー、ストックがみるみる減ってく
ブックマークの数だけ続きを書きますかー