1話 転生
とあるカードショップ内にて
2人の男が互いのデッキを切っていた
1人はジーンズに白の上着、その上にパーカーを着て、もう1人は長袖長ズボンに眼鏡と2人して30℃を超える猛暑には相応しくない格好をしていた
「「じゃんけんぽん」」
「私の勝ちですね。先攻貰います」
「はいよ」
先攻のパーカーの男は慣れた手付きでカードをプレイしていき、後攻の眼鏡の男は悩みながらも確実に返してチャンスを伺う。
その応酬を繰り返すこと6ターン目
盤面はすっかり先攻側が優勢になっていた。
先攻の男の準備が整い、ゲームを終わらせるべく、遂に詰めに入る
「では、ダブルクロスの効果によって呪文を封じて、攻撃」
「うーん、無い」
「ダブルクロスの効果で出たターンに攻撃出来るので、続けて攻撃」
「あー呪文か、使えねぇ…」
「じゃあ、このままトドメで」
「負けましたー」
盤面のカードを片付けながら会話する
「やっぱそのカード強いな」
「上手く使えればね。私としてはあのカードと組み合わせればもっといい感じになると思うんだけど」
「高いからなぁ…」
「欲しいカードが色々あって困るねぇ…」
「小遣いはもう無いしな」
「私は邪神様と違って散財しないので、まだ友人と遊ぶだけの金額は残っているよ」
「俺もしてるつもりは無いんだよ。ただあればある分だけ買っちゃうだけで。あと邪神って言い方ヤメロ」
「断ります」
「えぇ……」
「では、もう1戦しますか」
「だな。負け先貰うわ」
「どうぞ」
彼らはその後もカードゲームをしていた
帰り道
すっかり20時を下回った頃
例の2人が対戦を振り返りながら帰宅していた
「ふぁー、結局勝てたの3回かぁ……やっぱりそのデッキ強くない?」
「んー、割と引きのところもあるけど、回れば最強の可能性があるかもね」
「4ターン目に手札が消えんのは辛すぎ」
「あの黄金ムーブはつよつよだねぇ」
「反撃が絶望的なんだよな」
「受けて返すしかないね。ファイト」
「他人事みたいに……!絶対対策してやるからな」
「それより早く動けばいいだけの話」
「あの……死んでしまいますやめてください…」
「ふっふっふ……どうしようかな」
パーカーの男はニヤニヤしながら含みを持たせる
「いや、ほんと勘弁し___危ない!」
「……え?」
駄弁りながら話していてもしっかりと信号は見て渡っていた
そして、青信号であることも確認していた
だが______
暴走するトラックを視認することは出来なかった
眼鏡の男は一瞬で状況を悟ると、隣の男を突き飛ばした
刹那、凄まじい衝撃音と共に血飛沫が舞い散り、男の体は原型を留めずにひしゃげた
目の前で友人のひき肉を見た男は呆然としながら顔に着いた血を拭う
何かが壊れた音と共に現実を理解した男が最期に見たのは、落下するとても大きな看板だった
「…あ」
……カードの話、大丈夫かな?
具体的には出てないから大丈夫か
サ〇ループとかしてないし……
まぁ、今後出てこないので(出るにしても当分先)大丈夫でしょう!