異世界召喚?されて送還された話
一回くらいは書いてみるかという気持ちで書いてみました。
いつも読ませてもらっている作者さんへ感謝の気持ちがあふれるくらい書くって難しい。
「ん…?」
妙な気配を感じて起きると知らない人達が目の前に。
「うわっっ!!なんだ!?」
パニックになって飛び起きて後ずさるが背後にも人がいた。
「…危害を加える気はないので落ち着いてほしい」
サンタクロースみたいなヒゲの困り顔のじいさんが声をかけてくるが
落ち着けるわけもなく人がいない場所を探すが周りは囲まれている。
良く見ると自宅でいつも通り寝たはずなのに知らない場所だ。
コンクリート?石造りの打ちっぱなしで自分の部屋の倍以上の大きさだ。
周りには10人くらいは人がいる。
寝てる間にさらわれた?
そんな事が今の時代に日本で起こるのか?
しかもあれって剣じゃね?
ほとんどの人がアニメかゲームでしか観ないような剣を腰に下げ、
同じく物語以外では見たことないような盾を構えてこっちを見ている。
「…」
剣と盾?
ありえるのかそんなことが?
いや、夢か?
頭の中をぐるぐると思考はめぐるがわけが分からない。
「…説明するので落ち着いてほしい」
ヒゲじいさんがまた落ち着くように言ってきた。
「だれ…?え?」
なんとか話しかけられたことに反応できたが状況がまったくわからない。
「突然のことで驚くのも無理はないが落ち着いて聞いてほしいのじゃ」
ヒゲじいさんが勝手に説明を始めた。
「そなたは異世界よりこの世界に召喚された」
異世界召喚!?
そんなことがある?
トラックに轢かれてもないし、教室に魔法陣が出てきたわけでも無い
そもそも俺は一般的な社会人で昨日も自宅で寝てたはずだぞ?
「突然の召喚で戸惑うと思うが出来るだけ説明はしたいと思っておる」
じいさんが勝手に話を進めていく。
「言葉は通じているか?
召喚の術式で言語に不自由がないようになっているはずじゃが…」
「いちおうわかるが…」
言語に不自由がないというか日本語にしか聞こえない。
質問に答えたからか少し落ち着いてきた。
「元の世界で読み書きはできたかね?」
「もちろんできるが…」
「ほう?見たところ服も上等なものだし貴族だったか…?
後ほどこの国の文字を読めるかも確認してほしい」
貴族?
この世界は身分制か?
服が上等ってパジャマがわりのTシャツにスウェットなんだが…
いわゆる中世ヨーロッパ風の世界って感じか?
少し落ち着いてくると趣味の一つとして嗜んでいた異世界ものの知識が出てくる。
とりあえず聞いてみるか。
「貴族って言われてもな…
この世界では伯爵とか男爵がいるってことか?
俺の世界には今はいないんだよな」
「ほう?確かにこの国には伯爵も男爵もおる。
かくいう私も子爵の位を賜っておる。
貴族がいない世界でそなたはどんな身分になる?」
おっさんが興味深げに聞いてくる。
このじいさん貴族かよ…。
ここで平民とかいうのは悪手だな。
今後どうなるかわからんが、なるべく良い立ち位置を確保したい…。
「ちょっと先に聞きたいんだが、この国の政治と軍事の頂点は誰になる?」
「そうじゃな、宰相や将軍はおるがトップというなら陛下になる
国王ということじゃな」
「やっぱそうか…
例えばそこに立ってる兵士?が国王や宰相にぶつかって軽い怪我をさせたとする
その兵士を国王や宰相が怒って殺した場合どうなる?」
「ふむ?」
じいさんはちょっといかぶしげになるが答えてくれた。
「陛下はそのようなことで兵士を害すお方ではないが
害したからといって罪に問われることは無いじゃろうの。
宰相は兵士が貴族家出身なら家同市の関係によるかのう」
だいたい想像通りだ。
「それに当てはめて話すとだな…
国のトップがぶつかってちょっと怪我したからって俺を殺したとしたら…
捕えられて牢獄行き、国のトップは確実にすげ変わるな」
「なっ!!?」
じいさんは驚き、見開いた眼で後ろにいた誰かに何かを問いかけ、
後ろにいた男が答えた。
「は、反応はありません…、嘘ではないと思われます…」
嘘発見器でも用意されてたか?
どんな世界か分からないと考えて今のところ嘘はついていない。
こちらに向き直ったじいさんの顔色は悪い。
効きすぎたか?
「そのような高位の方とは存じ上げず失礼いたしましたのじゃ
今ならまだ召喚の道は繋がっておりますので送還させて頂けます。
今すぐ行いますので少々お待ちくだされ」
え?
ちょっと思ってたのとちが…
…
気づいたらいつものベッドに立ってた…
こうして俺の異世界物語だか夢だかわからないものは終わった。