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【本編完結】公爵令嬢は転生者で薔薇魔女ですが、普通に恋がしたいのです  作者: 卯崎瑛珠
最終章 薔薇魔女のキセキ

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あとがき(ネタばれ)

 

 こちらは、作者の思いを書きなぐった『あとがき』となります。

 完全に蛇足ですので、読み飛ばして頂いて構いませんm(__)m

 今だから明かせる伏線や裏話なども下の方に書いております。



 ※ ※ ※


 

 2022年の5月中旬から始まった、私、瑛珠エイジュにとっての処女作が半年かけて完結いたしました。

 こんなに長くなるとは当初思わず、十万字書ければすごいよなあ、と思っていたのに気づけば百万字。

 倍どころか十倍やんけ……と自分でも恐れおののいております。

 正直ただでさえ厳しい仕事をこなしながら(数字と交渉、契約と監査に追われてます)一話あたり五千字をほぼ毎日更新とか、正気なの?と思います。ええ、クレイジーでした。


 転スラのアニメをちらっと見て、へえ原作があるんだあ、なろうってなに?から始まった『ラノベ』という世界への入り口を見つけたのが、去年の秋ぐらいでした。

 仕事は激務だしコロナ禍だし、ストレス溜まるし、本屋に行く時間もない活字中毒にとっては願ったりかなったりで。

 いくつか読んでみて……おおそうか、みんなプロじゃないもんな。設定なんて適当、自由に書けるし、書いていいんだ。楽しそう~と思って書き始めてみたのが、今年の春ぐらいです。

 異世界転生令嬢もの、というプラットフォームは初心者にとって書きやすく感じたのと、ファッションが好きなのでドレスを書いてみたい、と思って選びました。

 ――が、ふたを開けてみたら、いつの間にやらダークファンタジーに……どうしてこうなった?と思いますよね。私もです。


 世の中には、ざまぁとか追放とかチート、ハーレムがあふれています。

 うまくいかない現実を、娯楽で昇華したいし、実際すごく面白いですよね。

 けど私が書くのはなあ、て思ったんです。

 ちなみにハーレムはね、その昔二股をかけられたトラウマがございましてですね……ごめんほんと無理。途中まですごい面白かったのに、なんで嫁を三人も取り始めるんだい。全く意味がわからん。ブクマ燃やしてやる(私怨です)。

 

 全然、うまくいかないんですよ。人間関係も、仕事も、友達も、恋も。

 私、たくさん劣っている部分、ありますし。

 生きてるだけで苦しいんです。


 じゃあ生きるのやめる?って言われたらそうじゃなくて。(そう思う時もあるけれど)

 息吸って吐いて、理不尽だけど耐えて、時々おいしいもの食べて。ほんの少しだけ良いこともあったりして。

 そうやって人生は続いて、やがて終わるんです。


 そしてそれは「持ってる」人もおんなじだと思ったんです。

 ギフテッドだって、ノンギフテッドだって、おなじ人間。


 自分なりにいろいろな経験をしてきて。

 「大丈夫、あなたが大好きだよ」って言ってくれる人が一人でもいたら、それでよくない?と私は思いました。

 それが、レオナです。

 大好きよ。愛しているよ。一緒にいようね。


 それこそが、この物語を通じて、レオナが言いたかったことです。


 あなたのことが、大好きです。

 

 愛したら、愛されるって、信じたいんです。きっとどこかへ繋がっているって。

 あなたを大事にしてくれる人は、絶対にいるって。

 伝わってくれたら、うれしいです。


 最後に、ラノベって一話あたり二千字ぐらいが普通なのに(後から知ったっていう……)こんな大ボリュームなお話を読んでくださり、本当にありがとうございました。

 あなたの1PVが、書き進める糧になりました。心から感謝いたします。

 そして何よりもブクマ・いいね・評価・感想・レビューをくださった皆様。Twitterで応援してくださった皆様。

 小説の書き方も知らない素人の(つたな)い作品だったと思いますが、最後まで書けたのは皆様の応援のおかげです。

 本当に、本当にありがとうございました。

 

 

 

 ※ ※ ※



 

 ここからは裏話です。

 未読でも、攻略本読みながらRPG進めるのが好きな方、ネタバレですがどうぞ。笑

 お好きなパートだけでも読んでいただければ嬉しいです。


 ■学院入学

 ■復興祭以降

 ■砂漠の王子

 ■帝国留学

 ■闇の里

 ■卒業実習~パーティ

 ■終末の獣

 ■番外編について


 

 ※ ※ ※ ■学院入学 ※ ※ ※


 

 なろうのカテゴリを「異世界恋愛」にしたので、それをものすごく意識していたのは覚えています。

 (アルファポリスとカクヨムはファンタジーカテゴリです。)

 乙女ゲームヒロインのユリエと、残念王子エドガーが主軸でした。

 ラストが決まっていたので、ユリエのバックグラウンドも入れないとな、と思っていました。

 虐待のシーンは心が痛く、読者様の不快感を引き起こすだろうなと思いながら挑戦しました。

 でも世界を恨むほどのことって、やはりそれぐらい残酷なことなんだと思うのです。

 そこは妥協したくないなと思って、押し切りました。いまだにビクビクしています。

 

 レオナをどうして周囲の人が守ろうと思うのか。

 なんで薔薇魔女はこんなに嫌われているのか。

 

 なんとなくこうかな?と予想して頂きたいなと思いながら書いていました。

 あと、大体の異世界転生令嬢って、家族に虐げられるでしょう?シンデレラ的な。

 それも素晴らしいテンプレだと思うんですが(だって古典からあるものですし)、逆ならどうだ!ってなったんです。

 もんのすごく家族に愛されている。でも、もんのすごく過酷なものを背負っている。

 

 さて。

 周りを固めるスパダリ達の、ジョエル、ラザール、カミロ、ジャンルーカは当初それほど出番ないはずでした。

 そんなにキャラ書ききれないよって思ってましたから。

 ところが私の脳みそは「映画を流す」タイプだったようで、ひたすら脳内の映画を文字に書き起こしていたら、こんな感じに……

 

 ジョエルはまあ、いいとして。(ジョエルファンの方がいたらごめんなさい。チャラ男が真面目になった後、がコンセプトです)

 ジャンルーカ。あなた美麗すぎないか。宝●歌劇団の人が本当にメンズなら?をイメージして書いていましたけども。わきまえた女性つまりワンナイトしか相手にしないんですよ。任務優先ですから。経験値だけ上がっていってるけど、恋愛は?なジェントルです。本気の恋を見つけたらっていう短編かけそう。ヤンデレ執着近衛騎士になりそう。それはそれでじゅるり。

 

 ラザールは神経質で、愛すべきキャラになるはずではなかったんですが。途中から可愛くなってしまいました。うっかり料理男子になっちゃった。「みじん」て言わせて萌えてました。かわいいですね。

 

 そしてヒューゴー。

 お前ぇ、かっこよすぎないか?惚れてまうやろ!ヒーロー出てこれないじゃないか!ヤンチャ護衛で終わるはずだったろう!

 既婚にしといて本当に良かったと思いました。


 このパートの後半くらいから、ぼっちだったレオナと周囲との関係が深まってきて、新しい仲間も加わって、物語の地固めをしていったと思います。


 そして物語に欠かせないのが敵キャラですよね。

 ゲルゴリラは、ゲルルフって名前がカッコよくて使いたかったんですが、どの作品も大体騎士団長ってイケメンですよね。悪役騎士団長て面白いなって思ってこうしてみました。道を間違っていく脳みそ筋肉ゴリラ。でも可哀想な人で、武功子爵家だから、誰も貴族的な振る舞いや考え方を教えてくれなかったんですね。

 じゃあ、とそこで謙虚になって、視野を広げて学べば良かったんですが、ジョエルがいてしまった。美男子でドラゴンスレイヤーで伯爵家。そりゃあコンプレックスですよ。

 全部大爆発して、見事なラスボスになってくれました。ウホウホ。


 でもね、ゲルゴリラと対照的なのがラザールで。

 確かに伯爵家ですが、彼の家は代々学者で、領地もない貧乏伯爵なんです。そこの一人っ子で、華やかなこととは無縁。けれどもずっと真摯に魔法だけでなく、マナーや王国の歴史も学んできたんです。理不尽なこともたくさんあったので気難し屋さんですが、みんな信頼しています。彼は決してイケメンなタイプではないけれど、静かに隣にいて欲しい。そんな優しい人です。

 

 ハゲ筋肉ことイーヴォも、パワハラセクハラ野郎って絶対どんな場所にもいるよなあ、と出してみました。下品で野卑な人間の代表格で。騎士団じゃなくて山賊だよね君……て思いながら。

 だから彼の見せ場は、レオナへのセクハラによるざまぁにしました。私なりのざまぁ、楽しんで頂けていたら嬉しいのですが。生まれ変わったら善人になれよ。無理だな。

 

 


 

 ※ ※ ※ ■復興祭以降 ※ ※ ※


 

 

 ようやくポンコツヒーロー・ルスラーンの登場です。

 ほんとこの人ポンコツすぎて。どうにもなりませんでした。書きながら、ぐぬぬぬってなってました。

 母親を早くに亡くし、父親があの英雄ヴァジームですからね。

 女性の扱い方が本当に分からないんです。


 さらに学生の時は、フラれた女子学生たちが腹いせに「顔怖い」「人殺してそう」「強すぎて嫌」「粗暴」って捨て台詞ばんばんと。

 そりゃあ女性に対して臆病にもなるってもんです。

 だから、パーティでレオナが怖がらなかったのに驚いて、うっかり好きになっちゃったんですね。ピュアすぎないか?


 でも、救国の英雄の息子なので、そのプレッシャーたるや半端ないわけです。

 強くて当たり前。過酷な環境にある辺境伯を継がなくてはならない。そのためには勉強もしなくちゃだし、王都の人脈も必要、と、がんばってもがんばっても追いつかない(と思っている)んです。

 そのあたりが原因で自分に自信がなくて、今一歩他人に踏み込めない、じれじれヒーローです。

 ですが、レオナの好みにドはまりしているんですよね、この人。すごい。

 書いてて笑いました。ここに居たじゃん!て。


 なんとかレオナとの距離を縮めて欲しくて、試合の応援に行かせたり、図書室の隠し庭で密会させたりしたのに、全く進展しなくて。なろうの異世界恋愛カテゴリなんだけど?と悶々としていました。

 なんなの、この頑固さ。だめだーテコでも動かねえ!と早々に諦めました。笑

 

 

 

 ※ ※ ※ ■砂漠の王子 ※ ※ ※


 


 ゼル君の章。マーカム以外の国を掘り下げてみたくて、作りました。

 ゼル君が王子なのは、最初から決まっていました。

 当初は砂漠の国の王位継承争い大変だー。

 え?俺、闘神の生まれ変わりって言われてんの?いや目の色だけだし。王子興味ないよーで終わる予定でした。


 ――どうしてこうなった?


 いや私もびっくりだ。

 謀略だの、死蝶だの、よくもまあ思いついたよね?

 アザリーの男子たちの太陽神殿の儀式とか、その場のノリでスラスラと。ハーリドのお兄さんも、本当に悪気はなかった。正しくない正義ほど、厄介なものはないです。

 

 ほんのり「ビー」が「エル」する要素もあって、毛嫌いされるかな?と思いつつも、アドワの悲恋だしな、と思って突き進みました。

 それにしてもサーディスとサービア、暗躍しすぎだろう?

 このころから宿主であるボニーも出てきますね。闇の里も存在感が増していく。

 わかってから読むと、ここから伏線があったのかー!てなると思いますがいかがでしょうか。

 我ながらカミーユうさんくさいなって笑います。

 

 五番ヒルバーア(ジズ)、六番サーディス(ベヒモス)、七番サービア(リヴァイアサン)、八番タウィーザ(守護神)、九番ゼル(闘神)。

 野球の打順みたいですね。みんな神様なのに。

 実は闇の里で、四番なのはリンジーです。お気づきでしたでしょうか。


 宰相大ピンチ、も初めて書きましたね。

 でもベルナルドだよ?絶対殺されても死なないよ、って思ってました。私の中でCVは大塚●夫さんです。

 フィリベルトはさすがに胸が痛かったですが。

 レオナの力の発現のきっかけは、やはりフィリベルトじゃないと。ね。


 王子たちの名前はアラビア語から適当に取った気がします。

 六番と七番以外は、褐色肌のむきむき王子たち。いいですね。囲まれたいですね。逆ハーレムですね。じゅるり。

 特にゼルはダンスが得意なので、なんとかザイルな人たちのどこかに紛れてても、違和感ないイメージです。

 猪突猛進ガキ大将、素直、だけどやはり王子なのでどこかに品がある。

 そんな感じで書けているでしょうか。幸せになって欲しい。きっとザーラがどこまでも追いかけていく気がする。たぶん。

 

 

 

 ※ ※ ※ ■帝国留学 ※ ※ ※



 レオナの価値観や世界を広げたくて、ブルザークにも軽いノリで行かせてみました。

 プロットどころかストックもなし、終着点すら決めていない、白紙状態で乗り切った章です。ほぼ書き下ろしという無謀。

 キャラが勝手に動く、というのを体験できました。

 読み返すの怖い。


 ジンライ、この子も厄介な子で。いつまでたっても自信がないんです。

 もともとは出す予定がないキャラでしたが、薔薇魔女の途中で「短編も書いてみよう」と書いた「グングニルは、果てない夢を見る」という作品の主人公です。レオナと一緒に誰を?と考えた時に、シャルリーヌは魔道具帝国に向いてない。テオはお家問題が忙しい。で、やっぱり鍛治職人だねえ、となりました。

 でもジンライだからこそ、書けたと思います。

 

 ディートヘルムも、ぽっと出の猿山のボス猿でバイバイ予定が、なんでかついてきちゃった。

 この人、夜の経験値がすごすぎてエロマッチョになりかけましたが、結局育ちの良いおぼっちゃんになってくれてホッとしました。R15ですからね。周りにめぐまれなかった典型的な上流家庭のご子息、をイメージしました。今度こそ、どこかのご令嬢と幸せになって欲しい。アレクセイ閣下、たぶん結婚式で大号泣する。

 

 マリーさん有能すぎないか?秘書に欲しい。この人クールなんですけど、母性にあふれているんです。だからヒューゴーは、マリーを選んだんですけどね。言葉が足りないよ。ちゃんと愛を語れよヒューゴー。じゃないと誰かに持ってかれるよ?ヤンとか、母性をくすぐっちゃってるからね。やばいよ。

 

 ペトラ……私の中では「キシャーッ」て怒る黒猫です。それはそれで可愛い、みたいな。現実世界で賢い女の子って、男性に相手にしてもらえない。学生ならなおさら「あいつうるさい」って嫌われちゃう。本当は可愛いんですよ!もしあなたがそんな男に出会ったら「おまえ器ちっさいな。せいぜいアホな女にマウントして悦に入っとけボケカス、クズ野郎」って思っていいです。あ、すいません。私怨です。ごほん。

 とにかくジンライと結ばれてよかった。あいつはいいやつだ。幸せになれ(私情です)。

 

 マクシム。脳筋じゃないマッチョを書きたかった。欲望に負けて追加したキャラです。すみませんでした。

 いつも軍服の二の腕のところがはちきれそうです。怒ると胸のところのボタンがいくつか飛ぶので、裁縫がうまくなりました。部屋の隅っこでちくちくしてるマクシム。かわいいです。余談です。

 オリヴェル。繊細な軍人さん。すごくまじめ。だからまじめな女性にすごく好かれる。帝国学校の先生とイイ感じらしいです。きっと幸せになれる。

 ヤン。小型犬。えーと、頑張れ。(トーマスと並べるとたぶんうるさい。けどすっごく仲良しになる)


 ラドスラフ。

 この人、実は寂しがり屋さんなんです。

 誰も自分を理解してくれない、と思っていました。レオナが心に触れてくれたのが、うれしかったんです。

 レオナのおかげで「この人にも人の心があったんだ」って官吏たちがざわめいています。笑顔とかまじか!状態です。

 アレクセイにだけは、父親代わりな感じなので、心を許していました。ディートヘルムのことも、兄として心配していました。

 この物語の中で、スパダリの頂点にいます。恐れ多くて近寄れません。一人称「余」ですよ。この私が、一切キャラいじりできませんでした。かろうじて、「お前はちょっと扉の前で出番待っとけ」でした。


 サシャ。賢すぎる人。脳内で事実関係、自分の気持ち、伝えるべきこと、機密事項、を高速回転でぐるぐるしてるから、アウトプットがどへたくそ。

 脳内引き出しへのアクセスも、知識量が膨大だから大変。なのでこんなしゃべり方になりました。イライラさせてしまってすみませんm(__)m

 女性から非常に冷たい扱いをされ続けてきたので、女性は断固拒否状態です。ジョエルのガチ勢でしたが、結婚してしまったので次の推しを探し中。お兄さんのホンザ先生がご家庭を持っていらっしゃるので(甥っ子、姪っ子、両方います)、お家では温かく見守られています。


 ミハル。当初は怪しいボンボンで終わる予定でしたが、儚い存在になってしまいました。

 レオナが封じているもの、そして聖教会の暗部に触れるにあたって、彼の存在はきっとこうなることが必須だったんじゃないかな、と切ないですが今でも納得しています。

 

 レオナは、ブルザークにマナー文化を持ち込みました。ブルザークからは、何が持ち込まれるでしょうか。楽しみですね。

 

 

 

 ※ ※ ※ ■闇の里 ※ ※ ※



 

 はい。バレバレだと思いますが、作者はリンジー激推しです。すみません。

 私の性癖の全てをぶっこんだキャラです。溺愛しております。笑

 関西弁の隠密って控えめに言って最高じゃないですか? 関西圏の方、私はネイティブじゃないので、イラっとしていたらすみませんでした。


 レオナの封印は、だいぶ初期に伏線を張っています。

 リンジー登場してすぐの頃、アザリーに不穏な動きがあった時ですね。

 リンジーはレオナに会うことを禁止されていました。(たま)休めの術に影響するかもしれないから、ということで。

 宝物=思い出も、当初から決めていました。

 何も持たない隠密が大切にしまっているものは、物じゃないと思ったんです。

 

 闇の里=関西弁っていうのは、ただでさえシリアスな環境なので、ずぶとく明るく生きている人々のイメージを考えたら、浮かぶのはやっぱり大阪でした(偏見ですみません)。


 人の心を知らなかったけれど、闇の里の親友ナジャが色々教えてくれました。

 リンジーは、ナジャとなら生きていけると思ったのに、止めたのに、結局無理矢理外に出て死んでしまった。

 ナジャはナジャで、闇属性のない彼が使い捨てられてしまう、と心配していました。闇の魂は里に還ると知っていたので(だからこそのナンバリングなんです)、自分がリンジーの中に還ろうと決断しました――切ないです。

 命に関することに「正解」はどこにもない。ということを書きつつ、リンジーの生き様を深く掘り下げたかったパートです。


 お気づきの通り、リンジーはものすごく情が深いのです。そこもまた大阪人ぽい。

 過酷な聖教会での修行の日々も、親友の願いのためっていう思いで乗り越えられちゃう人です。

 それを自覚しているから、あえて他人には踏み込まず・踏み込ませず、どうせ殺す、と思って割り切って生きてきたのに。レオナに出会って、愛しいと思ってしまいました。

 ヒューゴーが、自身の重たい荷物を、無償で一緒に背負ってくれました。それも、命懸けで。

 テオが、技術を受け継ぐと言ってくれました。

 

 たくさん殺してきたから、許されない、とリンジーは思っています。

 どうしたら償えるだろうか、と考えていると思います。

 それに一生付き添おう、とシモンは決めていると思います。シモンも、殺してしまった側の人間なので。


 ここら辺でようやく、薔薇魔女の真実が明らかになりましたね。

 重い。ものすごい重い。神様よりすごいてどないやねん、と思いますよね。

 でも本当は違うんです。()()()()()なんですよ。

 創る。壊す。産む。殺す。呪う。癒す。

 愛して、嫌う。受け入れて、拒絶する。

 特別な存在ではないはずが、特別になってしまったんです。

 人の業によって。

 

 

 

 ※ ※ ※ ■卒業実習~パーティ ※ ※ ※



 

 最終戦の前段階。

 張ってきた伏線を回収しつつ、ベヒモスを書くのは正直しんどかったです。

 なんたって、ゲルゴリラがうざいのなんのって。

 邪魔すんな!て思いませんでした?ウホウホ。ゴリラドラミング、まじうぜえって思いながら書いてました。楽しんで頂けていたら嬉しいのですが。

 

 この時まで、フランソワーズは修道院に行くだろうなって思ってました。

 ゴリラから逃げるには、ほぼそれしかないんですよね。

 でもなあ、この人ほんとかわいそうだよなあって思い直しちゃったんです。人形ですもん。母親がレオナの暗殺指示したことは暗黙の了解としてあって、幽閉することで折り合いがついた。けど娘は政治利用できるから残そう、だったわけなんです。それが、幼いころお茶会でフィリベルトに一目惚れして。親の指示で誰かに嫁がなくちゃって思いつつも、ずっとずっと好きだったんですから。

 

 フィリベルトは当然賢い人なんで、気づいていました。正直最初は関わりたくないって思ってたと思います。だから常に冷たい態度だし、距離も取っていたのに――絆されちゃいましたね。だってフィリベルトに近づく女性は「ローゼン!」「公爵!」「美男子!」なギラギラだらけ。フィリベルト本人のことは全く見てなかったわけです。ですがフランソワーズは(本編では触れる機会がありませんでしたが)、フィリベルトの好きな色や紅茶や本を調べて、意識して振る舞っていた。そりゃ可愛いですよね。

 この二人、表面上は仲悪いの?てぐらいなのに、ベッドルームではいっちゃいちゃしています。ピピピピ!あ、R15でした。これ以上はピー。

 

 で、ベヒモス戦。

 奈落の三神は、ベヒモス・リヴァイアサン・ジズと決めていました。影の薄いジズはヒルバーアで。

 最終戦の前段階なので、各自の役割を決めて、グループごとに戦いの様子を描写してみました。映画の場面切り替えのような感じです。でもきっとごちゃごちゃわかりづらいよなあ、ごめんなさい、と思って反省しています。難しい。

 レオナの古代魔法が解禁になりました。カミロが本を渡したのは、フィリベルトが鷹狩りに行く前でした(覚えていらっしゃったら相当の薔薇魔女フリークです)。まじめだからちゃんと読んでたんですねえ。びっくりです。


 この実習でクローズアップしたかったのは、エドガーでした。

 残念王子って、愛されキャラだったはずなんです。

 ユリエ経由でボニーの暗示を受け続けたのは可哀想です。が、卒業間近になっても、第二王子なのに成績は振るわない。留学もできない。対して薔薇魔女って蔑まれていたレオナは、皇帝や王子から求婚されているし、成績優秀だし、留学するし、かといって偉ぶらず下級生にマナーとか教えちゃって。当然周囲は自然と「第二王子より薔薇魔女じゃね?」になっちゃった。

 

 これらは「公爵令嬢」てそれほど関係ないよね?と言いたかったんです。もちろん貴族女性初留学は相当コネ使いましたけれども。

 努力した人と、地位に胡坐をかいて何もしなかった人の対比。

 そしてユリエも。

 ヒロインだもん!あたしがチヤホヤされないのおかしい!で二年間過ごしちゃった。

 途中で何か変だとか、この世界はゲームと違うんだ、って気づければよかったけれど。前世も中学生ですからね。周りの影響もあって、視野が狭いままこの人生も終わってしまった。素直にやり直そう、勉強しよう、って思えてたら、多少違ったんじゃないかなあと思います。レオナも絶対助けてくれたに違いない。


 このパート最大の山場はやはりゼルの脚ですよね。

 ヒューゴーは、孤児院の親友をスタンピードの時に背中で亡くし、しかもその命で生きながらえた。そして今回は、ゼルの命よりも大切な脚を犠牲にして、彼の命を救う。また背負っちゃったよね……と作者も辛かったです。

 そのゼルの脚をじゃあどうしようか、と思った時に、レオナに治させるのは簡単でした。けれども、さくさく治すのはどうかなあ、と出てきたのがリサです。


 カミーユが転生者っていうのも前から決めていたのと、ドラゴン倒すだけばっかりも、試練としてどうなの?と思いました。

 愛の試練があってもいいですよね。強さを求めすぎて、人の心を失ってもダメだよってことで。

 リサは無邪気なままなので、やっちゃう!っていうノリで元気に治してくれました。これから世界を知っていっても、彼女の性格は変わらないと思います。

 カミーユのおかげで?やっとくっついたジョエルとシャル。ほんとよかった。一生尻に敷かれるチャラ男。がんばれ。

 

 そしてプロムでちゃっかりレオナとルスラーン、ダンスするの巻。

 セカンドダンス(復興祭)との対比で見て頂ければ。

 いや、告れよルス!って何回画面に怒鳴ったことか。

 あの決心なんだったんだよ!幻か!ヘタレ!

 でもね、自分より他人を優先しちゃう人だから仕方ないですね。タキシードルスラーン。見たいです。タキシードて細身よりがっちりした人の方がカッコよくないです?そして乱暴にタイをぐいぐいってして欲しい。ハアハア。


 個人的にはジョエルとシャルをもっと書いてあげたかったんですが、文字数めえ。

 だって仕方ないよね、ようやく断罪イベントだしね。そっちが主役ですよね。

 わたくしにはあれで、限界でしたわ……エドガーを喋らす度に、ぶふ、てリアルで吹いてましたん。ごめんなさい。ふっきれるように精進しなくっちゃ。ぶふ。

 

 

 

 ※ ※ ※ ■終末の獣 ※ ※ ※



 ようやくここまで書けたわけなのですが。

 おいルスラーン、ここで男見せなかったら、お前一生ポンコツだぞ!って思って書きました。

 ようやくヒーローになってくれたでしょうか。

 しかしよりにもよってあそこで告白するかな、こやつめ。追い詰められんとほんと、テコでも動かぬ黒ポンコツ。でもらしいっちゃ、らしい。


 集大成なので、レオナを中心として今まで築き上げたみんなの絆が世界を救う、的にしたかったんですけども。できていましたでしょうか。

 誰が欠けてもだめでした。それぞれが、それぞれの役割を、という裏テーマでした。


 ボニーの過去は辛い。けれどもそれは、あくまで私の価値観です。

 彼女は彼女なりに、図太く生きていたのだと思います。大人を手のひらで転がしている気分で、自分は特別だと思い込んで、ユリエとレオナに強烈な嫉妬をしながら生きてきた。


 この辺りは特に残酷なシーンが続いてしまって、離れてしまう読者様も多々いらっしゃいました。

 もっとふわふわと楽しい物語を書けたらよかったのかもしれないですが(だってラノベですし)、女の子だって毎日必死に戦っているんです。残酷なことが多くて、やりきれなくて、心も体も傷つく。だけど助けたい。そんな気持ちで書きました。

 

 ちなみにヒューゴーはわざと活躍させてません。ここで出てきたら、ヒーローにピント合わなくなるので。実際、戦闘力はルスラーンがブッチギリなんです。彼もそれを分かっていて引きました。護衛としての役割は、実はちゃんと果たしていましたよ。ヒューゴーがいなかったら、まず先にテオとナジャが狙われますから。そして今度は命を投げ出して、ジョエルとラザールを守りました。けれども……と暗に。命を捨てて守った命が、無事であるとは限らない現実。それも残酷です。

 

 さて、終末の獣は、誰だったのでしょうか。


 それもまたそれぞれで違ってくるのではと思います。

 

 人にとってはリヴァイアサン。

 サーディスにとってはサービア。

 ゲルルフにとってはルスラーンですね。


 みんな幸せになれたらいいのに。


 最終章の『薔薇魔女のキセキ』というタイトルは、少しネタバレ的に想像していただきながら、レオナと共に歩んでいただきたくて付けた、章タイトルでした。

 きっと奇跡と軌跡だろう、と予想頂いていたのではと思います。

 どんな奇跡が待っていて、どんな軌跡をたどるのだろう。きっとそれは、生きている限り続いていきます。


 あなたの人生にも、幸あらんことを。

 

 


 ※ ※ ※ ■番外編&次回作について ※ ※ ※


 お察しの通り各キャラの設定きちんと作りこみすぎていましたので、思いつくものはたくさんあります。

 中でも、主要キャラの未来などは、いくつか書きたいなと考えておりますので、またお立ち寄り頂ければ嬉しいです。

(いつアップするかわからないので、ご興味をお持ちの方は、ブクマされたままだと嬉しいです!)


 次回作は、実は色々プロットがあるのですが、まずは息抜きをしようと思っています。

 とはいえ、せっかく身についた執筆習慣をなくしたくはないな、ということもあり。

 アルファポリスで恋愛小説大賞が始まりますので、それに合わせた「軽い恋愛もの」を書きつつ、カクヨムの「もふもふ通訳」も終わらせつつ、書き貯められた頃に、ぎゅぎゅっと詰め込んだ作品をお届けしたいなと思っております。


 ここまでお読みくださり、ありがとうございました!

 ではまたお会いできる日を楽しみに!m(__)m


本当にありがとうございました!


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