0/始まり
小ぶりだった雪は歩を進めるにつれ吹雪に変わろうとしている。
コートの襟を正すと犬威は足元の雪を気にした。
人間ほど寒さは苦ではない。
ただ、この状況でマガツカミに遭遇した場合、耳と鼻が効くかどうかが気になる。
「ともかく急いだほうがいいな」
誰ともなく独りごちた瞬間、吹雪が止んだ。
それも唐突に。
「マガツカミか?」
警戒心を隠さず拳を中心にして闘気をまとう。
全身から放った探知の気配が森の奥を示していた。
「こっちのようだな……」
注意しつつ林を進むと、そこには朽ち果てた古い神社があった。
かつてはご神木であったであろう、しめ縄をまかれた杉の木が神社の本殿を押し潰している。
木製の鳥居は根元が腐って地面に倒れていた。
「ここもか……」
辺りは少し前まで人里だったのだろう。
過疎化が進み、人々が出ていった事で神社も忘れ去られたのだ。
周辺には廃棄された家電が積まれ、違法な回収業者の投棄する場にでもされているらしかった。
こんなのは昨今、珍しい話ではない。
今や人類は発展を遂げ豊かに暮らしている、人間社会に我々が口を挟み出る幕ではないのだ。
数百年前の様に飢饉や疫病に恐れを抱く必要もない、現代の人間は賢く強いのだと。
自身に言い聞かせ複雑な気持ちを切り替えた。
この状況の中で感傷に浸っている場合ではない、気を抜けば己が喰われてしまう。
「やはりマガツカミか、悪意らしい意思はどこからも感じないが。それとも雪がやんだのはただの偶然か?」
更に周囲へ意識を集中する。
「あ……」
犬威の耳がかすかな音を拾う。
声。
子猫のような鳴き声にも聞こえた。
だがそんな筈はない。
今は冬。
1月だ。
山中に猫などいるはずがない、それも子猫など。
「ぎゃあ……」
猫などではない。
子供の声だ、かなり幼い。
まとっていた闘気を解くと慌てて辺りを見回す。
「おぎゃあっ!」
間違いなかった。
赤ん坊の泣き声だ。
広がる雪原の中、声の先を探す。
どこだ。
どこにいる。
赤ん坊など、こんな寒さの中にいたら確実に死んでしまう。
待っていろ。
彼は雪の中を駆け出す。
長よ
仲間たちよ
許してくれ
やはり俺は人間が嫌いにはなれない
命が愛しいのだ
時が経ち
我々が歴史の記憶から忘れ去られ
彼らに時代遅れだと笑われたとしても
未熟ですが考え、考えつつ書かせて頂きました。
素人の為、稚拙な表現や印象の良くないシーンなどでご批判など多々ありましたらお詫びさせて頂きます。
ただ、どうしてもこんな状況のさ中、誰かの目に届いてくれたらいいなぁという思いだけで書きました。
シリアスな面も含めながら下ネタ、おふざけ多めで、書いていきたいと思います。
誤字、脱字含め、皆様からのご意見などお聞かせ頂けましたら幸いです。
どうかよろしくお願い致します。
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※以下改定後↓
小説、やおよろず生活安全所の0話からのリニューアルになっていきます。
拙い話しにも関わらず、気長にお目を通し頂いている皆様には感謝で一杯です。
一話ずつですが、見直しをしながらしばらくは書き直していきたいと思っています。
改めて、お付き合い下さる皆様には心から感謝を。