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中途半端2  作者: ひひらいかるま
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私を解き放って

「教えてくれ、ひひらいかるま。僕はどうすれば良い?」

銀行強盗から被害を受ける高山春夏(たかやまはるな)を救うためには。剛田武(ごうだたける)を拘束するには僕はどうするべきかを馬乗りしている銀髪童顔少女に聞いた。

「ありがとう。私を信じてくれて。」

とひひらいかるまは少しだけ切なさそうな顔を僕に見せか細い声でそう答えた。そして、僕を立ち上がらせてひひらいかるまは真剣な顔に戻り話をすすめた。

「今から10分後、あそこの仲座銀行(なかざぎんこう)に高山春夏がお金をおろしにくる。剛田武は高山春夏が入店した2分後に仲座銀行につく。剛田武は目の前にいる高山春夏を人質にとり、銀行に向かって金を引き下ろせと脅してくる。銀行の外で強盗を見た通行人が警察を呼ぶ。そして、警察が到着して、それに気付いた剛田武が人質に取っていた高山春夏を銃殺する。その運命を変えるには運命に干渉するしかない。運命の強制力は強くてどうあがいても結果が同じ方向に進んでいく。」

するとひひらいかるまは僕の右手を両手で握り胸に当てた。いや、当たっていない当たるどころか手が胸のなかに入っていく。

「かみなおやくん。私を解き放って。」

手首の辺りまで入っていくとひひらいかるまの体が光の粒子となって弾けとんだ。弾けとんだ光は僕のからだを包み込んだ。

「これで運命に干渉できる。」

体の中でひひらいかるまの声がする。一心同体になったということなのだろうか。すると、僕の頭のなかに、高山春夏と剛田武の顔がインプットされる。どうやら頭の中で情報を共有できるようだ。数分経つと高山春夏が仲座銀行に現れた。とっさに僕は、高山春夏に声をかける。

「すみません!」

「え?誰?」

僕と同じ竜巻学園の制服を着た女子高校生が、見ず知らずの人に声をかけられて動揺した顔を浮かべていた。

「道を尋ねたくてですね。ちょっとお時間いいですか。」

僕はとっさに思い付いた言葉で時間稼ぎを試みた。

「ええ。まあいいですけれど。えと、どちらに行かれたいのですか?」

「実は竜巻高校に今日転校することになって。今日が初日で案内してもらってもよろしいですか?」

「案内ですか、、、。あの、今から銀行に用があって、それが終わってからならいいんですけど。待ってもらえますか?」

高山春夏はそのまま銀行のほうに視線を変え足を動かした。まずい。このままだと剛田武が来てしまい人質にとらわれる。そう思い僕は彼女の腕をつかんだ。

「なんですか。。」

焦った形相をした僕に高山春夏はおびえながら口にした。

「実は、もうじきここに銀行強盗がやってくるんだ。それで、君が強盗犯に人質に取られてしまうんだ。」

頭の中に彼女が銃殺される映像が脳裏を駆け巡る。とにかく、銀行に行くことを止めるのに必死だった。

「なにを言っているんですか。放してください。警察呼びますよ。」

乱暴にしてしまっているのは申し訳ないと思ったが、彼女が救われるならそれでいいと思った。周りがなにごとかとざわつき始めている。そんな時だった。仲座銀行に向かう剛田武の顔が映った。黒色のパーカーにフードをかぶり目にはサングラスをかけ、口には黒マスクをしていた。間違いない。

「いいか!高山春夏!ここから離れるんだ」

そして僕は仲座銀行に向かって走っていった。

「なんなのよ!あなた。それにどうして私の名前を。」

後ろから高山春夏の声が聞こえるが気にせずに僕は仲座銀行へ向かって走った。


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