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日本分裂  作者: 扶桑かつみ
1/16

前置き

 第二次世界大戦の結果、大日本帝国を二つの分断国家にする方法はいくつか存在する。

 その代表が、戦争終盤に日本に対してアメリカ、ソ連が侵攻してドイツ同様の占領統治を行うという経緯になるだろう。

 

 結果、アメリカを後ろ盾とした自由主義陣営国家としての日本と、ソ連を後ろ盾とした共産主義国家の日本が誕生する可能性を持っている。

 

 しかし一方では「ポツダム宣言」が出されてしまうと、日本政府が宣言を受諾してしまえば日本政府は降伏しないので、二つの日本の政治的成立は難しくなってしまう。

 ソ連が余程強引な事をしない限り、共産主義日本の成立が遠のくのだ。

 

 故にポツダム宣言前に日本政府が無条件降伏して、なおかつ米ソが日本本土に溢れているのがモアベターである。

 

 しかしこれはこれで、戦争の経緯を大きく書き換えない限り難しい。

 

 ポツダム宣言が出ていないと言うことは、ナチスドイツが降伏していない、もしくは降伏から二ヶ月程度しか経っていない事を意味している。

 そしてその場合、ソ連軍は極東、北東アジアへの移動が行えず、日本への侵攻や進駐は夢物語となってしまう。

 

 そうした点から考えた場合、米軍の侵攻速度を遅れさせるという戦術的手法は、架空戦記としては大いに「アリ」であろう。

 米軍がもたついている間に、赤軍が日本列島にやってくれば良いのだ。

 

 ただし、ポツダム宣言が出ている場合、やはりソ連にとって残された時間は酷く少ない。

 またアメリカが原爆を開発している場合、さらに時間は限られてしまう。

 

 ポツダム宣言、原爆、ソ連参戦、本土決戦準備こそが、日本に白旗を振らせる大きなターニングポイントとなるからだ。

 


 次に、ソ連の庇護の元建国される「赤い日本」だが、いったいどんな国になるだろうか。

 サイエンスフィクション、ポリティカルフィクション、架空戦記などでいくつもの日本とは違う日本が作られている。

 その多くはソ連の影響を受けており、主に北海道を中心に成立している。

 

 地政学、イデオロギー、国家対立を考えれば、妥当な想定と言うべきだろう。

 

 そして最も可能性のあった想定の一つが、北海道南部から東北地方にかけて成立する「赤い日本」になるだろう。

 日本の占領統治案として、ソ連の占領地域として予定されていたのが同地域になるからだ。

 

 そして同地域に赤い国を作るために利用されるのは、日本の共産党員だけではない。

 むろん共産党員は利用されるが、初期以外では正直ソ連にとっても迷惑な連中だろう。

 

 ソ連が握っているカードの中で最も価値があるのは、満州国の官僚団と関東軍を構成していた将校団だ。

 この二つを傀儡国家の背骨に据えることができれば、国家の中枢のほとんどが労せず揃うことになる。

 

 しかも国家に必要な全ては満州国から移植すればよく、満州国運営の多くを日本人が担っていたことを考えれば、捕虜にした日本人を再教育後に「赤い日本」に住まわせてしまえば良い、と言うことになる。

 

 とどのつまり、日本北部に成立する「赤い日本」とは、夢想家な共産党御輿にするという要素を廃してしまえば、実体は「小さな満州国」となるのだ。

 それ以外だと、頭脳や組織が不足して、まともな国家を短期間に作ることは事実上不可能である。

 ましてや共産党員だけでまともな国家統治できるなど、ほとんど夢物語と言って問題ないだろう。

 国家の教育制度から作り直さなくてはいけないのだから尚更だ。

 


 それでは以上の要素を踏まえて、此度も虚構の世界へと参りましょう。


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