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聖戦のディアボロス  作者: モフ
7/9

アロンダイト、初日

何年にもわたる、天界と魔界の戦争は、その間に有る人界にて、オズマが魔王を倒したことで、決着がついた。


(コレがその英雄だっていうんだから笑っちまうよな、、、)

セッターが横目で居眠りをしているオズマをチラッと見て思った。


「おい、セッター! ちゃんと聞いているのかね?」

ヨシムラが眉間にシワを寄せて言ってきた。

そう、今は歴史の授業中だ。


「はい、ちゃんと聞いてますよ」

「なら、オズマについて知っている事を述べてみなさい」

これには自信が有った。

幼少の頃から共に暮らしていたんだ。

誰よりもオズマについて詳しい。

それなのに、選び抜かれた回答はこれだった。


「四角い頭の黄色い鳥です」


セッターのその答えを聞いて、ヨシムラは怒って言った。

「お前の使い魔の話などしていないぞ! 今、授業でやっているのは英雄オズマについてだ!」


(この鳥がその英雄なのに、、、)

セッターは、不服だったがその場は謝った。

「あ、すみません間違えました」


「まったく、授業を真面目に受けなかった罰として、放課後中庭の掃除をするように!」



「、、、はい」


ーーー


授業が終わり、休み時間


ーーー


席でセッターが深いため息を吐いていると、フィリップが話しかけてきた。


「いやぁ、さっきのは実に面白かったよ。君、なかなかユーモア有るね。良かったら僕の家来にならないかい?」

「いや、断る」

即答。

「それは残念だ。ま、気が向いたらいつでも言ってくれたまえ」

そう言ってフィリップは去っていった。

そこにポールがやって来てこう言った。

「本人には悪気はないので、許してやってください」

お辞儀をすると、フィリップを追いかけていった。


「ねぇ、食堂行かない?」

ルシアが食事に誘ってきた。

「いや、俺は、、、」

セッターが断ろうとしていると、

「お、飯か? 行く行く」

寝ていたはずのオズマだったが、食べ物の話を聞いて起きたようだ。

「じゃ、早く行こ」

二人に急かされ、渋々食堂へと向かった。


ーーー


食堂


ーーー


「おい、あれ見ろよ」

「あれが、噂のP (クラス)の」

「え? P (クラス)なんてマジで有ったんだ」

「なんでも、PってパシリのPらしいよ」

「今度パシッちゃおうかなー?」

「あはは、じゃあ私もー」


食堂に入ると共に冷ややかな注目を集めた。


「とりあえず、何か頼も」

周りの声を気にしてないかの素振りを見せながら、ルシアは笑顔で言った。

でも、無理して作り笑いをしているのは痛いほど感じ取れた。


「アンタ達が噂のP (クラス)かい?」

食堂のオバちゃんが尋ねてきた。

「はい、、、そうですけど」

ルシアはおそるおそる答えた。

すると、オバちゃんは笑顔でこう言った。

「そうかい。周りなんて気にしちゃいけないよ。オバちゃんはアンタ達の味方だからね」

そう言って、おかずをサービスしてくれた。

「オバちゃん、ありがとう」

ルシアの作り笑いは本当の笑顔へと変わっていった。


食事を持って席につき、食べようとした時の事だった。


「おい、どけ! 俺の特等席なんだけど!」

目付きの悪い男がやってきた。


「おい、A (クラス)の『カトラス』だ」

「あーらら、こりゃ終わったな。カワイソー」


この学校で彼は有名らしい。


「すまないな、知らなかったんだ」

そう言って、その場を立ち去ろうとした。


「すまないで済まされるとでも思ってるのか?」

完全にケンカを売ってきているのが手に取るように分かる。

ならば、やることは一つだ。

セッターが食事の乗ったお盆を置いた。


そのとき、、、


「そこ! 何を揉めているっ!」


長い黒髪のスラッとした女子生徒が近付いてきた。


「あ、いや、その、、、」

黒髪の女子生徒が来るなり、カトラスと言う男は急におとなしくなった。


「済まないが、この二人は私がここに呼び出した。他へ行ってもらおうか?」

「は、はい! どうぞ、御ゆっくり」

カトラスは、そそくさと逃げ出すように去っていった。


「あ、ありがとうございました」

そう言って、セッター達が立ち去ろうとした時。


「誰が立ち去って言いと言った?」

黒髪の女子生徒は呼び止める。

「私も食事にまぜてくれ」

そう言って、黒髪の女子生徒のけわしい表情が笑顔へと変わった。


「君がセッターだろ? 彼から話は聞いているよ。とても、楽しみな生徒が入ってきたと喜んでいたよ」

「はあ」

(この女性は何者なんだ?)

そう思っている事を見透かされたのか、黒髪の女子生徒は自己紹介を始めた。


「自己紹介がまだだったな。私は生徒会副会長『ワカバ=シラユリ』S (クラス)だ」

それで、さっきの男は逃げ出したのかと、納得した。

そして、ワカバの言っていた彼とは、おそらくレオンの事だろう。

ワカバは見た目のわりに、気さくな性格でとても話しやすかった。


「それじゃ、私はこれで失礼するよ。いつか手合わせ願おう」

そう言って彼女はその場を去っていった。


「ワカバ様と食事してたぞ?」

「羨ましい、俺なんて挨拶すらしたことねーよ」


その日、色んな意味で注目を集め、落ち着いて食事も出来なかった。


ーーー



そして、その日の授業を終え、ヨシムラに言われたとおり、中庭の掃除をした。


この学校は全寮制。

一般の生徒には、一人一つの部屋が与えられる。

そう、一般の生徒なら、、、。


掃除を終え、寮へと帰りドアを開けた。

すると、中には風呂から出てきたばかりで、タオル一枚のルシアの姿が有った。

そう、Pクラスの生徒は相部屋なのだ。

そして、セッターの相手はルシアだった。


「キャーーーーーーッッ!!」

ルシアは顔を赤くして悲鳴をあげ、脱衣所へ去っていった。

「あ、すまん」

そう言って、セッターはドアを閉めて普通に部屋に入った。

セッターは特に女性に興味もないらしく、平然としていたが、ルシアは普通の女性らしくきまずかった。


(私としたことが、誰も居ないからって油断したー)


ルシアは慌てて着替えたが、その夜はなかなか寝付く事が出来なかったらしい。

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