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聖戦のディアボロス  作者: モフ
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入学試験2

ただ困っている人を助けただけだったのだが、いつの間にか第一試験を突破していた。


周りを見渡すと、喜んでいる者も居れば泣き崩れている者も居た。


「やったー! なんか知らないけどラッキー!」

「田舎から、はるばる来たのにもう終わりかよ」


そんな声がちらほらと聞こえてきた。


「私も合格しちゃった」


ルシアが笑いながら話し掛けてきた。

老婆に回復術を使って痛みを消し去った事で、ルシアも第一試験に合格したとの事だ。


「そう、良かったな」

セッターは、また素っ気ない態度で返事をしていた。

しかし、今回は人と接するのが慣れていないからではなく、疑問が頭をよぎっていたからだ。

(何故、俺達の行動がわかるんだ? ここに来るまでの行動は全て監視されていたのか? いや、そんな視線は一切感じなかった)


試験官がやってきて、その言葉からすぐに疑問の答えが出た。


「みなさん、本日はお集まりいただき、ありがとうございます。今回の第一試験ですが、テーマは優しさ、『ここに来る途中で何か人に親切せよ』 と、いうのが課題でした」

それを聞いて周りはざわめいた。


「はい、お静かに。何故行動が全て筒抜けなのか? と、疑問に思っているみたいですね?」

その通り。


「簡単な事です。街の人にはこう言ってあります。『本日、外部から来た者に親切にされたら出来事と、特徴を伝えてください(報酬有り)』と、言ってあります」

物で釣って協力してもらっていたらしい。


「嘘を伝えて報酬を貰おうとする者も出てくるのではないですか?」

一人の受験者が質問した。

すると、試験官は答えた。

「私達の中には、嘘か誠か見極める魔術を使う者も居ますので、その様な心配はいりません」


「もし、報酬が欲しくなくて、伝えてこなければどうするんですか?」

さらに他の受験者が質問をした。

確かにその通りだ。

仮に善意を施したとしても、それが伝わらなければこの試験に合格する事は出来ない。

そして、試験官は答えた。

「それは、、、えーと、、、運が無かったと言うしか有りません!」

試験官は少し考えた末に開き直った。


運も左右すると知り、合格した事にほっとしたセッターとルシアだった。

そして、(あのお婆ちゃん、意外にがめついな) と、二人は思った。


「第一試験を落ちた人も最終試験まで分かりませんので心配しないでください」


試験官のその一言で、先程まで暗い表情をしていた人達にも希望がさした。


「第二試験の会場へと移動しますので、ついてきてください」

受験者は試験官の後をついていった。


中庭を歩いていると、アロンダイトの校舎のあちこちから沢山の鋭い視線を感じとれた。


「まったく、試験だなんて面倒だなぁ。どうせ僕がトップで受かるんだからやる必要なんて無いのに」

受験者の一人の男が大きな声で喋っていた。

それを聞いて、その生意気そうな男に視線が集まった。

セッターは思った。

(コイツたいした力量じゃないな、、、それに比べて、、、)


「フィリップ様、試験中ですので、お口を慎みください」

連れの者だろうか、長身の男が生意気そうな男をなだめていた。

(コッチは相当な実力者だ)

セッターはその連れの男をつわものと見定めた。

「ポール、分かってると思うが、試験中手出しするんじゃないぞ?」

「はっ! 心得ております」



校舎とは別の建物に入り、階段を上ると部屋に直接繋がっていた。

窓は無く、扉が二つ。

一つの扉が開き、図体の大きいふくよかな男がゆっくりと入ってきた。

どうでも良いことだが、右頬にカレーらしき汚れが付いていた。


「それじゃ、第二試験を始めるよ~。第二試験のテーマは素早さだよ~」

のんびりとした口調の男だ。


「この階は一本道となっており、部屋はここしか有りません。先に彼がこの部屋を出て一週するまでの間に彼に触れてください。尚、彼に触れると次の試験会場へと転送されるようになっております」

試験官が説明を終えると周りが騒がしくなった。


「あの体格なら簡単に追い付けそうだな」

「第二試験は楽そうで良かった」

そんな声が聞こえてきた。


「じゃあ、僕がスタートして扉が開いたら開始だよ」

そう言って男は部屋を出た。

すると、扉は閉まった。


「オズマ、これって、、、」

「あぁ、お前も気付いたか」

セッターとオズマはひそひそと話した。



一分程時間が経過した頃、ついに扉は開かれた。

その瞬間、我先にと走り出す受験者達。

その勢いに圧倒されたのか、ルシアは部屋でおどおどしていた。

そして、焦りながらも、なんとかして追いかけようと走り出した。



その瞬間ーーー



ルシアの手は誰かに引っ張られ、部屋を出るのを阻まれるのだった。

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