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メリソス・プリンセッサ~双子王女の恋愛譚~  作者: ハルカ カズラ
旅する双子王女
4/29

4.恋の役割分担


 良いところに丁度良く騎士がいたものね。でもこれで、賊が襲って来ても平気ね。見た目は怪しいけれど、話の分かる騎士で助かったわ。


「それであなた、ハヴェルはどれ程の強さなのかしら?」


「俺か。俺は、騎士の中ではたぶん、真ん中じゃねえかな。なんせ、沢山いるからな」


「騎士様は、ご謙遜されているのですね」


「いやっ、事実を……」


「まあいいわ。守って頂けるのなら贅沢なんて不要よ。レナータお姉様を優先的に守りなさい! いいですわね?」


「お、おぅ。あんた、妹の方だよな? あんたはいいのか?」


「わたくしはラルディよ! 覚えなさい。わたくしを守りつつ、お姉様を優先するのです。お分かり頂けたかしら?」


「は、はぁ……分かりましたよ、王女様」


 意外と素直ね。やはり、ヒゲはカモフラージュね。何かの王命を帯びているから素顔を隠しているに違いないわ。


 ジュルツの騎士……今後も利用価値はありそうだわ。お姉様の水属性は港町。そこまで護衛してくれないかしらね。馬車に乗り込んだわたしたちと、従いの騎士ハヴェルとで、騎士の国から出発することができた。氷の都……それは一体、どこにあるのかしらね。


「ラルディ、あの騎士様のことが好き?」


「何を言い出すかと思えば、それは恋愛対象としてかしら? それとも、人としてかしら?」


「もちろん、恋の方よ。だって、ラルディが楽しそうですもの」


 相変わらずの天然ぶりね。レナータお姉様がそうやって聞いてくるってことは、惚れている時なのよね。助けられた訳だし。


「残念ながら違うと言い切れるわ! わたしは、ヒゲは苦手なの。見やすい顔がいいわ。確かにヒゲ騎士は、意外に紳士よ。でも、それと恋は一致しないわ。だからお姉様は安心なさい」


「えへへ。良かった」


 やはりそうなのね。出会ったばかりなのに、それは早すぎだわ。これから沢山の場所に行くというのに、今からそんなことでは先が思いやられてしまうじゃない。


「嬢ちゃんたち、馬を休ませていいかい?」


 あら、そう言えばそうね。馬車の馬もそうさせるべきよね。


「分かったわ。適当な村でも町でも構わないから、氷の都のことも聞き出して下さる?」


「俺がか? 行くのは嬢ちゃんたちだよな」


「見ての通り、わたくしたちは可愛いお嬢様なのよ? 危険にさらすおつもりなのかしら?」


「ラ、ラルディ……それは可哀想よ。雇った訳でもないのよ?」


「それもそうね。では、ハヴェル。あなた、わたくしたちの傍にいなさい! お願いするわ」


「あ、あぁ、それならいいが。俺にも聞き込みの時間を頂けるので?」


「何かの王命なのでしょう? 構わないわ」


「ラルディ、やっぱりイキイキしてる~」


「そうね、わたしは命じるのが好きなのだわ」


  わたしが命じて、お姉様が騎士の傍にいるようにすればいいんだわ! うん、そうしよう。わたしはまだ恋する余裕なんてないもの。

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