1.プロローグ
魔法が出てくるお話ですが、恋愛メインです。
この世界といたずら・わがまま王女の世界は同一です。
都とは程遠いとある森の国で、双子の姉妹が誕生された。ふたりの誕生は国の繁栄を意味し、王国の将来は約束されたものとして大事に育てられた。やがて成長したふたりは、王女として国を守り動かしていくことになる。
「それで、ラルディは水と氷のどちらを学ぶの? あなたから先に言ってよ」
「レナータお姉様から決めるのが筋なのではないの?」
「いいえ、妹からが先よ! さぁ、どっち? それによって運命が変わって来るのよ?」
「仕方ないなぁ。レナータはどこにでも流れて行きそうだから水がお似合いね。だからわたしは氷にするわ! 決まりね!」
「何よ、ソレ! 失礼しちゃうわね! で、でもいいわ。水なら生きていけそうですもの」
「氷だって暑い時には便利よ」
わたしたちの国は魔法の国。わたし、ラルディと姉のレナータはどちらかの属性しか使えないし、学べない体で生まれて来た。一人として誕生していたとしても、全ての属性をこなせるわけではないみたいだった。
この国の言い伝えによれば、恋をして相手と結ばれることが出来れば、対の属性も使えるようになるらしい。それはともかく、双子姉妹で王女のわたしたちに恋なんて出来るのだろうか。
わたしは瞬時の判断力と、あらゆる精度に長けていてたぶん、男性の見る目も大丈夫だけれど姉のレナータは、妹の私から見てもホンの少しだけオバカさん。頼りないし、ドジだし、優柔不断。姉のことを好きになってくれる人はいるのだろうか。そんな心配をしてしまうくらいの姉。
そしてもっとも面倒なのは、属性魔法を覚えられるのはそこの都にいる術士から学ばなければならない。だからわざわざ氷の都に行かなくちゃいけない。そこには属性を覚えられない姉とふたりで行くことになる。双子だから、どこに行くにも一緒にしないときっと上手く行かない気がするから。
「さぁて、行くとしましょうか」
「え? どこに行くの?」
「だから~氷の都に行くって決めたばかりじゃない。大丈夫なの、お姉様?」
「あ、そうか。属性を決めたんだよね。あはは……氷の都かぁ。素敵な人がいたら最高ね」
「そうね。期待しましょ」
双子姉妹のわたしたち。王女としての役目は、国を繁栄させること。魔法の習得はもちろんのこと、各属性都での出会いで、恋をして素敵な人に出会えたら、幸せになれる。そんな漠然とした夢を叶えるために、わたしとお姉さまは氷の都へ向けて、歩みを始めた。