受け継がれし魂
この現世とは違う、魔法が存在する世界に一人の男と少女が居た。その男は失われた自分を求め、外道を切り裂き続ける日々を、少女は元々ごくごく普通の家で生まれ育ったけれども、盗賊に家族を殺され、盗賊の仕事の片棒を担がせられる日々を送っていた。
これはその男と少女が出会い、自分自身の答えを得る物語である……
聖アルフ歴 1870年
中央大陸西部の東側に存在する製鉄と錬金術に長けた国、ドベルド国で少女は、ごくごく普通の家で、父と母と弟との四人で本当に幸せに暮らしていた。しかしある夜……少女の平凡な日常は簡単にぶち壊された。
「盗賊だー! 盗賊が来たぞー!!」
眠っていた少女は、突然の大声に飛び起きた。外の様子が気になったけれども、両親は「絶対に外に出てはいけない、隠れていなさい」とだけ言って外に出て行った。
それからすぐに女の人の悲鳴が聞こえた。少女は弟をなだめた後、咄嗟に、近くに会った護身用の短剣を手に持って外に出た。少女が家の裏口から出て、外の様子を伺うと、村の男たちが武装した男たちに取り囲まれていた。母親を始めとした村の女性達は、他の武装した男たちにつかまっている。少女は、周りを見ると、その場に血を流し死んでいる人が何人かいた。少女は、恐怖を覚えながらも様子を見ていると、父が前に出て武装した男たちに怒鳴った。
「お前たちは私たちをどうする気だ!言っておくが私たちの村には金目の物は無いぞ!」
父の言葉を聞いた男たちは、下品な笑い声をあげ始めた。しばらく笑い続けた後に周りよりも若い一人の刀身が曲がった剣を持った男がお父さんの前に出てきて喋り始めた。
「金目の物?あるじゃねえか、ここによぉ!!てめえの目は節穴か? あっ!!」
父の前に出てきた男は怒鳴り散らした後に、母たちの方を曲刀で指差した。少女にはこの男の言いたいことが分からなかったけれども、父たち大人には男の言いたいことが分かったらしく、父はその男に掴みかかる。
「ふざけるな! ふざけるな!! 貴様は人間をなんだと思っているんだ!」
父の叫び声を聞いた男たちは、また笑い始めた。またしばらく笑った後に、さっきの若い男が父の前に曲刀を肩に担いだまま話し始める。
「そんなのただの金のための商品に決まってるだろう! てめぇこそ頭悪いんじゃねえのか!? つうかてめえの顔見ているとマジでイラつくわ……死んどけよ」
次の瞬間、男は肩に担いでいた曲刀で父を斬った。斬られた父はそのまま倒れ、周りには血が広がった。その光景を隠れて見ていていた少女の感情を支配していた恐怖は、消えていた。少女の感情を代わりに占めているものは怒りであった。
次の瞬間、10歳前後の少女とは思えない速さで駆け出した少女は、手に持った短剣を振りかざし、父を切り殺した男の首筋に短剣を突き刺した。意表を突かれた男は躱すことも防ぐこともできなかった。
「が……」
男は、ただそれだけ言ってその場に崩れ落ちた。少女は周りにいた他の男も刺そうとしたけれども、力でかなうはずもなく少女は取り押さえられた。
「クソガキ!! てめえよくも俺の倅を!!」
この男たちの中で一番年上に見える大男が、巨大な剣を取り押さえられた少女に振り下ろそうとする。しかし、さっきの男と同じぐらいの年齢の男が大男を制止した。
「待ってくださいよ、首領。このガキは気配や殺気を完全に消した状態でジャクラを殺したんですよ。これから俺たちに協力させた方が何倍も有意義ですよ」
男の発言を聞いた首領らしき男は、その言葉を聞いてしばらく顔をしかめた後、その男の提案に乗った。それから少女は母たちと一緒に盗賊のアジトらしき場所に連れて行かれた。
「ごめんなさいお母さん。私お父さんとお母さんのことが心配で……」
連れて行かれる途中、少女が結局見つかった弟を抱っこしている母に謝罪すると、母は、目元に涙を浮かべてこそいたけれども、少女に心配を掛けまいと微笑みながら話しかけた。
「あなたは悪くないわ……あなたとこの子は私が守るから……何も心配しなくていいのよ」
母は弟のことをおんぶし直して少女のことを抱きしめ続けた。しかしこの時を最後に少女が家族に再開するとこは二度となかった。
それから少女を初めとした子供の半数が、盗賊の仕事の手伝いをさせられた。特に少女は、首領の息子を殺したときの行動が原因か、護衛などの暗殺をさせられることが、かなり多かった。母たち人身売買の商品としての価値がある者は、皆売られた。
少女は、仕事に成功した時でも簡素な食事しか与えられず、失敗すれば他の盗賊団員からリンチされたうえで、食事を抜きにされという生活を送っていた。少女の弟もリンチをされ続けたせいで死んだ。そんな最低な生活を続けて一年近くが経った。
聖アルフ歴 1871年
ある日、珍しく仕事もなく少女に与えられたボロ部屋で寝ていると突然大きな声がした。
「敵襲だ!!!」
少女は外の様子が気になったが、鍵が掛っていて扉は開かなかった。それからしばらくして扉が突然開いた。
「おいクソガキ。かなり手練れの侵入者が現れた。てめえ暗殺が得意だろ? 何とかしてこい!」
少女の返答を聞くことなくその男は少女を強制的に部屋から出し、侵入者がいる場所に向かわせた。
しばらくすると、侵入者が居るだろう大部屋の上の吹き抜けに到着した。少女がその場着くと「上手くやれよ」とだけ言ってその男は去って行った。少女はまず様子を見ようと下を覗き込んだ。
下には、一人の黒い髪に黒い瞳をした東洋系の顔立ちの黒衣の男が立っている。よく見るとその男の周りにはすでに十人以上の屍が転がっている。その男は、囲まれてこそいるものの、その男が幾多の死線を潜り抜けた凄腕であり、この程度の数は脅威ではないということが読み取れるものであった。
「頭領! こいつ今巷で噂の賞金稼ぎですぜ!」
さっき少女を上まで案内した男が奥から現れて頭領に話しかけた。
「ああ分かってる! てめえらビビるなよ! 数で押しゃあなんとかなる!! 一斉に殺れ!!」
頭領は大剣を構えそう叫んだ。一方で、黒衣の男は平然と立ち尽くしているままであった。それからしばらく膠着状態になっていたと思ったら、盗賊団の下っ端が一斉に黒衣の男に切りかかった。男は複数方向からくる斬撃を回避した次の瞬間には、目にも止まらない速さで取り出した双振りの漆黒の大型ダガーで近くにいた二人の首元を切り裂いた。
「何!?」
他の下っ端は唖然とした様子であった。その間にも男は近くにいた他の唖然としている男を、喉元を切り裂いた。周りには赤い鮮血が飛び散る。
「どうした。これで終わりか?」
ようやく黒衣の男が口に出した言葉は盗賊団たちを挑発するための言葉であった。あまりの余裕からか、その表情には笑みさえも浮かんでいる。
「野郎ぶっ殺してやる!!」
近くにいた大柄な下っ端は、手に持っていた斧を振り下ろした。しかし黒衣の男は難なく躱し、その下っ端の短い首を、今度はダガーの柄で殴った。骨が噴砂するような音とともにその男は倒れ、二度と動かなくなった。その様子を見ていた一人の下っ端は声を張り上げる。
「こいつはやべぇ! 化物だ! 早く逃げろ!!」
黒衣の男に恐れをなした下っ端たちは、こぞって逃げ出していった。しかし黒衣の男は淡々と逃げようとする男たちを殺していく。
「一人逃がしたが後はお前だけだな」
頭領は、大剣を構えているものの、死への恐怖からか、体を震わせている。
「待ってくれ! 金なら出す! 今残っている女子供もお前にやるから!! だから……」
「黙れ」
黒衣の男が今までよりも一層低い声でそれだけ言うと、頭領は命乞いをやめた。
「お前たちは、襲撃した村で村人が同じことを言ったら助けるのか? 商品としてお前たちが扱っている人間が同じようなことを言ったら助けるのか? ふざけるな。次はお前の番だ」
それだけ言うと黒衣の男は手に持っていた大型ダガーをしまった後に投擲用の細長いダガーを取り出した。
頭領は大剣を足元に放り捨てて逃げ出した。しかし、黒衣の男は慌てずに、何かをつぶやいた後に手に持っていたダガーを頭領に投げつけた。頭領の背中にダガーが刺さった次の瞬間、頭領は、まるで電撃を受けているかのように断末魔を上げながら体を痙攣させる。しばらくそのまま悲鳴を上げ続けた後、頭領はその場に倒れこみ、息絶えた。
事の顛末を見ていた少女は、恐怖のあまり震えあがっていた。「見つかったらあの黒衣の男に奇襲を仕掛けるように命じられていた自分自身も殺されるのではないか?」という考えが浮かんできたのだ。少女が震え続けているその時、少女は、誤って短剣を黒衣の男の居る部屋に落としてしまった。黒衣の男は上に誰かいると気付いた様子で
「誰だ?」
黒衣の男は、それだけ言った次の瞬間、軽業のような身のこなしで少女の居る階層まで跳躍した。あまりにも人間離れした曲芸のような技に唖然としている少女を見て黒衣の男は驚愕していた。
「子供……!?」
黒衣の男はそれだけ言った後に、手に持っていた武器を片付け「君はこんな所で何をしているんだい?」と聞いてきた。少女は、此処でされて来たことをそのまま全部話すと、男は、少女の頭をなでながら「大丈夫だ。もう怖いおじさんたちは俺が倒したから……」 とだけいいながらなぜか涙を流していた。
なぜ泣いているのか分からないのか少女は「何で泣いているの」と男に問いかける。それに答えた男の話によると、彼が見た範囲では、この少女以外の残りの子供は証拠隠滅のために殺されていたらしい。
「君だけでも助けられてよかった。ありがとう。ありがとう……」
男は、少女の頭を撫でながらただお礼を言い続けた。
この時、少女は、自分だけが生き残ってしまったという事実を再認識した。
それから、身寄りの無い少女はこの男の人に面倒を見てもらうことになった。男の元に預けられた当初の少女はまるで空虚な人形のようであった。しかし、男や、男が根城にしている中規模の街の人々と触れ合うことで、少女は徐々に感情を取り戻したのである。男の元で生活を始めて一年経ったある日、ある決心をした少女は男にこう言った。
「あの……私を弟子にしてくれませんか?」
男は一瞬驚いた顔をした。まさか少女がそんなことを言うとは思っていなかったのだろう。男は、少女に目線を合わせるためにしゃがみ、語りかけるように話し始める。
「いいか。俺がやっている仕事は遊びじゃないんだ。お前もわかると思うが、人間を殺さないといけない場合もあるんだ。お前だっていくら相手が赤の他人でも人殺しなんて嫌だろう?」
男の言葉を受けた少女は、一瞬たじろいだ。しかし少女は再度凛とした表情で男に答える。
「確かに人殺しは怖いです。でも私はこれ以上自分みたいな目に合う子供を少しでも少なくしたいと思うんです。そのためにはまず強くならないと誰も助けられない。だから……」
男は困った様子で顔を手で隠した後、少女の目を改めて見た。少女の瞳には、明確な決意が宿っていた。
「それで後悔しないんだな……ただし条件がある。」
男の言葉を聞いた少女は、男の方を見つつ頷いた。そんな少女の様子を見た男は、懐から刃が潰されたダガーを取り出した。
「一週間以内に俺の背後を取ってこのダガーを首元に突きつけてみろ。それができたら正式に俺の弟子にする」
少女は、一瞬ダガーを受け取ることを躊躇したが、覚悟を決めた様子でダガーを受け取った。
少女は、男の予想と反してわずか三日でこの試験を合格した。男はこの時、少女には天性の気配を殺す才能を持って生まれているということに気がついた。
それから男は、少女を弟子にして一年は魔物退治の依頼をこなすことによって、少女に武器の使い方と体術中心とした戦い方の基礎や生き残るための技術を教えた。この時、男が少女と出会ってから二年が経過していた。
「師匠は剣術も心得があったのですか?私全然気づきませんでした」
少女は、驚いたように男に声をかけた。男は自虐的な表情のまま答える。
「所詮は我流の付け焼刃さ。それにしてもお前、剣を主装備にするのか? あれほどの短剣の才能を持っているのを生かさないのか?」
男の言葉を受けた少女は、にっこり微笑んだ後にコクリと頷いた。
「はい。剣を持っている時は昔のことを、師匠に助けられる以前のあの生活を忘れられますから。」
今度は少女が自虐的に微笑んだ。そして、剣を鞘にしまい、男が初めて出会った時から持っていた銀の短剣を入念に手入れし始めた。
「師匠。魔物と戦っていて思ったのですけれども、何故魔物は私たち人間を襲ってくるのでしょうか?」
男は少女の純粋な疑問に複雑そうな顔をした後に答える。
「魔物にとって俺たちは、食物同然なんだ。特別な意味なんて無い。俺たちが家畜を食べたりするのと、大して差はないんだ。でも俺たち人間も、ただ食べられるわけにはいけない。だから魔物に対抗するために剣術を始めとした武術や魔術が発展して行ったんだ。俺が使っている体術や魔術も俺の出身地である大和皇国特有のモノなんだ」
男は、何処か遠い何かを思い出すような表情でそう言った。男の言葉を受けた少女は、男の様子は気にはなった。しかし少女は直感的に男の触れてはいけない部分であるとわかった。少女は咄嗟に別のことを質問する。
「やはり東方の国は剣術も魔術も一般的なモノとは違うのですか?」
少女の再度の質問に男は淡々と答える。
「ああ。特に俺の出身国の大和皇国は、島国であることも相まって、あまり他の国からの侵略に晒されることも無く独自の文化や神道に則った独自の魔術体型が生まれて、他国との交流を始めた今でも、西洋の魔術協会や聖堂教会の支部を受け入れつつも元からある文化を失うことなくむしろ発展しているんだ」
「後大半の東方の国の武術は、その他の地域の剣術や武術と違って呼吸法や歩法も重視しているんだ。それゆえに、一般的な剣士や魔術師にはその挙動を読まれづらいんだ」
少女は男の話を聞いて驚いた。話の通りだと師匠の出身の国は外来の魔術や宗教を受けいれても国の体制が一切崩れることが無いという事になる。しかも東方の武術は、一般的なものとはまるで異なる体型を持っていることがわかった。その事実に少女は大変驚き、同時に強い興味が湧いてきた。
「今日の話はここまでだ。短剣を磨いたら明日に備えて早めに寝ておけ。明日は北の森に居る人食い熊を狩る」
男はそれだけ言うと、近くにあったソファーに横たわった。男が寝たことを確認した少女は話の続きを聞けなかった残念さを我慢しつつ、短剣を磨く作業に戻った。
聖アルフ歴 1874年
それから、少女が男に弟子入りしてから二年、助けだれてから三年経った。少女は、この二年の間にどこかあどけなさ残しつつも逞しく成長した。ここ一年では盗賊や賞金稼ぎを捕まえる依頼も受けるようになった。それはつまり少女は人間を手に掛けなければならないかもしれないということである。
「なんだこのガキ。ものすげえ強いぞ」
少女は、討伐依頼の対象である盗賊団の最後の一人を追い詰めているところだった。
「あなたたちを確保させていただきます。私も出来ればあなたたちを殺したくは無いですから、おとなしくしてくれませんか?」
少女の言葉を受けた盗賊は、怒りに支配された。たかが小娘にいいように言われたことが腹立たしい様子である。
「調子に乗ってるんじゃねえぞ、糞餓鬼が!」
怒り狂った盗賊は、手に持っていた曲刀を飛びかかりながら少女に斬りかかる。少女は盗賊の振りかざしてきた曲刀を躱し、すれ違いざまに盗賊の胴を手に持っていた剣で切り裂いた。
「グエッ!」
少女に逆に切られた男は断末魔を上げながらその場に崩れ落ちた。
「倒した……」
少女はそれだけ言うと、剣を振って盗賊の血を払った後に鞘に収めた。剣を覚めた少女の手は震えていた。
(私……人を殺したんだ……これでもう十人以上は斬ったことになるよね……)
少女が震えていると、男が目の前にいつの間にか立っていた。
「どうした?何かあったのか?」
男に声をかけられた少女は、驚いた様子で男の方を見上げた。男は心配そうな様子で少女に話しかけた。
「やはり……お前に人を殺させるなんてことは……」
男の言葉を受けた少女は、慌てた様子で言った。
「いいえ、大丈夫です。私が自分で選んだ道ですから……それを途中で捨てるなんて出来ません」
少女の言葉を受けた男は「そうか」とだけ言ってそのまま盗賊のアジトの出口の方に向かった。少女も男の後から着いて行こうとした時に男は振り返り少女に言った。
「お前がこの道を選んだ事を否定しようとは思わない……だからこそ俺が教えられることは教えてきた。ただ、どんなことがあっても自分が後悔しない道を選択するんだ。俺もそれを怠ったせいで、昔全てを失った。だからお前にはそうなってほしくないんだ。説教臭いかもしれないがわかってくれ……」
男の言葉を受けた少女は「はい」と答え男を追いかけていった。
この日、男は夢を見た。まだ家族と共に、山奥の家で生活を続けていた日々を。そしてそれが魔物の群れに襲われたことでなくなってしまったあの日の事を……
「逃げるんだ、早く!」
男……少年は、父の言葉を受けて家の裏口から逃げた。少年は逃げながらも、父と母は魔物どもをやっつけて自分を迎えに来ると信じていた。
(お父さんとお母さんは大丈夫……だって二人共いつも僕に体術や術法を教えてくれるし……何よりも魔物みたいな獣に負けるわけないよ……)
少年はそう考えながら、何かあれば逃げ込むように言われていた神を祀るための小さな祠に隠れた。
「ここなら大丈夫だよね?」
少年はそれだけ言うと、神様に魔物がここに来ませんようにとお祈りをした後、祠の奥に入ってそのまま眠りについてしまった。
夜が明け、目を覚ました少年は、慌てて祠を飛び出した。
「お父さんとお母さんもう今頃魔物を倒したあとだよね? 早く僕も無事だって言いにいかないと……」
そんなことを考えながら少年は自らの家に向かった。しかし少年が自らの家に到着して見た光景は、複数の魔物の死骸と、その中に倒れている両親の死体だった。
「えっ? お父さん……お母さん……?」
少年は少、し近づいてよく見ると、全身傷だらけの魔物が父と母を喰らっていた。
「嘘だ……」
少年はそれだけ言うと、雷の術式で父と母の骸を貪る魔物を黒焦げにした。
目を覚ました男は複雑そうな顔をしていた……
「まさかあの時の夢を見るとはな……」
男はそれだけつぶやくと男は自虐的に呟いた。
「やはり俺はあの時のことを後悔しているのか……」
両親を殺され、特に身寄りのなかった男はそれから生きるために国を捨て中央大陸に渡った。それからは、地獄のような生活だった。
最初に流れ着いた隣国は、男の母国に対して敵対的で何度も殺されかけるような目に会うことにも時にはなった。そんな乞食同然の生活を起こっていたある日、ドワーフの賞金稼ぎに拾われた男は、中央大陸の西部へと渡り、そこで賞金稼ぎになった。
そして男は、かつての自分に降りかかったことは、どこでも起きうることであり、世界にとっては些細な事であると悟ることになる。しかし、それでも男は内心ではその様な理不尽を許すことも、あの時に自分が留まれば、父と母は死なずに済んだのではないかという後悔が消えることはなく、現在も心の隅に残っている。
「だが起きたことは決して戻すことはできない。だからこそ、これ以上善良な人間が死ぬようなことを、少しでも減らさないといけない。だが、結局俺のやっていることは、今後襲われるかもしれないより多くの人間を救うために、少数の助けられなかった人間や外道を切り捨てているに過ぎない。アイツに後悔するなと言っておきながら俺はこのザマか……」
男は自らが助け出し、後に弟子入りしてきた少女のことを思い浮かべる。男にとって少女は、外道から救い出すことのできた数少ない人間の一人なのである。男が少女に発した言葉と今の自分との矛盾を噛み締めながら眠りについた。
それから数ヶ月経ったある時、男はある賞金首を確保、殺害する依頼を受けた。少女が見た、依頼を受けることで閲覧する事が出来る情報には、賞金首は大陸東部の軍事国家、シン出身の長戟を得物にする元軍人の殺し屋であると書かれている。顔の特徴としては経歴や使う武器とは対照的にどこか細身な印象を受けるものであった。
「師匠……シンってどんな国なのですか?」
少女の問いに男は答えた。
「シンはこの中央大陸の最東端に存在する巨大な軍事国家だ。自分たちに従わない国家は、徹底的に殲滅した上で併合するかなり野蛮な国家だ。野蛮さに限って言えば、あまり知られてはいないがな。具体的に言えば、シンは数千年前から分裂と統合を繰り返し続けていて、現在まで続く正当な王朝がほとんど存在しないんだ。一応は現在のシンは200年続く数少ない長く続いている王朝だ。今回の相手は元シン国の軍人であったことを考えれば、何か卑怯な手も使ってくるかもしれない。今回は俺一人で行くから、お前は留守番していてくれ」
男の言葉を受けた少女は、立ち上がって反論しようとしたけれども、男に静止された。
「駄目だ。お前を守りきれる保証も無いのに連れて行くわけには行かないんだ。わかってくれ」
少女は渋々という様子であるが承諾した。男は、その様子を見てとりあえずは安心した様子で再度依頼書を確認して眠りについた。この時の少女の決意に気がつくことなく……
それから五日後。男は、中央大陸中東部の砂漠地帯に存在する、賞金首が根城にしているらしき廃墟にたどり着いた。男が廃墟に入ろうとすると、凝縮された風の刃が、男の首元目掛けて飛んできた。男は冷静に避けて周りを確認すると、同業者のものと思われる死体が数体転がっている。
「ここでやられたのか……甘いな……」
それから男は罠を掻い潜りつつ廃墟中を探索したけれども、賞金首の姿はなかった。
「どういうことだ……依頼書に書いてあった情報が間違っていたのか?」
男が最深部の部屋の扉を開けると、そこには粗末ながらも最近まで生活していた痕跡が残っている。男が部屋を探索すると一冊の日記帳があった。シンの言葉で書いてあったけれども、幸いにも大和皇国の言葉に似ていたこともあって読むことができた。
男は日記を広げて読み始めた。
「倭国への分断工作のために潜入していた者たちが全員追放されたらしい。あの国はつくづく甘いですね。我々が倭奴の工作員を見つければ即処刑なのに……ああ早くあの猿ども血祭りに上げたい……」
男は明らかに嫌悪を顔に浮かべ一瞬日記を読むのをやめる。しかし何らかの手がかりを得られるかもしれないと再度読み始める。
「最近、軍の上官に無闇に奴隷を殺すなと言われたが意味がわからない。あんなに楽しいことをなんでやめなきゃいけないんだ。頭に来ます」
「上官をぶち殺して食べてやった。国のイメージが悪くなるからとか言って、私の邪魔をするからそういう目に逢うんです。本当に、思い出しただけでも滑稽な死に様でした」
「国にいられなくなってしました。本来兄たる上官を殺したことが流石にシンでの道理に反するらしい。まあこれからは好きに殺せるので別に構わないでしょう」
「人間がここまで美味だとは思いもしなかった。特に倭奴の女子供が特に美味い。これは今後がとても楽しみです」
「倭国の猿どもに見つかって倭国にいられなくなった。まったく腹立たしい」
「西洋人でも案外悪くはないですね……ちょうどよさそうな寝床も見つけたししばらくはこの辺りに住み着こう」
「最近賞金首になったらしい。私の所にたまに賞金稼ぎがやってくるようになった。まあどいつも私を満足させられない雑魚ばかり……味は悪くないのもいましたけれどね」
「そろそろ食料が少なくなってきた。入り口あたりに居るのを部屋に運ぶのは面倒くさい。そういえばこのあたりに盗賊団があったはずです。あいつらを利用して近くの街の人間で済ますのもいいかもしれない……今から考えただけでもとても楽しみです……」
日記を読み終えた男は急いで街に戻るために廃墟を飛び出した。
「街にはアイツもいるんだ。急がないと大変なことになる。間に合ってくれ……!」
少女は、男を密かに追っていた。その途中の大きな川に面した場所で見たものは、街に向かっている盗賊の集団だった。数は20名にも満たない規模ではあるが、現在は休憩をとっているのか川原で座って休んでいる。少女は慌てて様子を見に行くと、何故か手配書に書かれていた賞金首が盗賊団と一緒に居るのを発見した。
(どうしてあの賞金首があんなところに居るの!?)
少女は、目の前にいないはずの人間がいる事への混乱と、未だに、完全には消えない人を斬らなければならないという恐怖からか、物音を立ててしまった。
「誰だ!」
盗賊団の頭領らしき男の声がしたことで、気付かれた事に気付いた少女は、剣を構えた状態で躍り出る。
「なんだ……ただのガキじゃねえかよ。おいおい旦那まさかこいつがアンタを追っている賞金稼ぎですかい?」
頭領の言葉にシン国特有の鎧を着込み、長戟を手に持った男は答えた。鎧や重量級の長物に反して、容姿は、長身痩躯であり整っている。
「どうやらそのようですね……私を追っている賞金稼ぎは多いですしね。まあ彼女を見てくれで判断するのは早計ですがね」
賞金首の言葉を受けた頭領は、何が言いたのか分からないのか呆然としていた。賞金首の口調や物腰には他人を見下す嫌味な雰囲気がにじみ出ている。さらに、それだけではなく賞金首は、少女を蛇のように粘ついた目で見ながら続ける。さながら得物を見つけた捕食者のようでもある。
「まああなた程度じゃわかりませんか。ただ邪魔だけはしないでくださいね……そこのお嬢さん。あなたは腕にそれなりに自信があるようですが、私を満足させることができますか?」
男は、どこか狂気を孕んだ様子で途中から少女に会話相手を変えそう言うと、手に持っていた長戟を掲げて回転させた後に再度構え直す。少女は、剣を再度構え直していつでも戦えるような態勢を取る。周りでは盗賊団が、少女を取り囲み始める。
「まあ私を剣で満足させられないなら、違う方法で満足させてもらいますけれどもね」
そう言った賞金首は次の瞬間、顔を醜く歪ませながら気が狂ったかのような高笑いを上げ始めた。少女は、本能的にこの男は危険だと悟った。恐怖に縛られたままではまず勝てない相手であろうと悟ることができたのである。
しばらく高笑いを続けた賞金首は、突然少女に斬りかかった。少女は男が振り下ろした戟を回避した後に剣で斬りかかる。しかし男は、それを予知していたかのように戟を突然振り上げ、さらに、目で視認しきれない速度で構え直し、なぎ払うように振り回した。少女はかろうじて後ろに下がることで回避した後に体制を整える。賞金首の戟捌きは一撃は重く、その割には長物特有の引き戻しの隙が現れにくい程に素早いものであった。
「どうしました。その程度なんですか?」
そう言うと、少女は一旦距離を取った。
(あの長身痩躯で、あそこまでの力を出せる上に技量と早さも一級品……間違いなく私よりも数段上の使い手だ。だけどこのまま私が負けたら、間違いなくこの先の街が大変なことになる……こうなったらあれを使うしか……)
少女は、決意を新たにするように剣を構え直した。賞金首は一瞬驚いた用な様子を見せたあとに愉悦が混じったような笑みを浮かべる。
「いいですよ。恐怖を帯びた弱い剣を振るいながらもまだ諦めない、その毅然とした態度……潰した時にどんな表情を浮かべてくれるのか想像しただけで価値がありますよ!! それに味の方も……イヒヒヒヒ……」
賞金首は、戟を低めに構えて少女との距離を詰めようとした。少女も剣を構えて距離を詰めるように駆け出した。賞金首は戟を下から上に振り上げる。今度は少女が攻撃を見切っていたのか横に回避して、賞金首に斬りかかり応戦する。賞金首は、戟を使って首元を捉えていた少女の剣を鉄製の柄で受け止めた。力で勝る賞金首は勝利を確信したのか、口元には笑みが浮かんでいた。ところが少女は、そこで剣を手放し、ベルトに指してある銀の短剣を鞘から抜いて、賞金首の左肩の鎧の隙間を深々と刺した。
「何!?」
賞金首は驚愕を顔に浮かべつつ後ろに下がった。少女もさっきまで使っていた剣を拾い、右手に剣、左手に短剣を構えた。
「やってくれますね。まさか、全く殺気を感じさせることなく次の攻撃に転じることができるとは……」
賞金首はニヤニヤしつつも、自分の首から流れる血を舐めながらそう言うと再度戟を振り回し始めた。一方で少女は内心焦っていた。
(急所を外した……今のがもう一度通じるとは思えない……でも今はそんなことを考えている場合じゃない……!)
少女が、不安を振り払い戦いに集中しようとしたその時。三つの刃が少女の後ろから賞金首に向かって飛んでいった。賞金首は苛立たしげに戟を前面に回転させて防ぐ。
「何者ですか!私の楽しみを勝手に邪魔しないでください!!」
賞金首が、怒りに震える声を上げたその時、漆黒の疾風が盗賊団員の壁を飛び超えて現れた。
「師匠……どうしてここに?」
少女は驚いた様子で男に声をかける。
「いや、そこの賞金首が日記なんかを付けていたおかげで、街が危ない事に気づけたんだ。礼を言うならあの男に言うんだな」
男は不器用にそう言うと「盗賊団を始末しておいてくれ」と付け加えた。賞金首は男の様子をしばらく観察すると、さっきまでの苛々した様子とは全く逆の様子で男に話しかけた。どうやら男の気配や身のこなしから少女以上の使い手であると見たようだ。
「おや……どうやらあなたの方が、そこのお嬢さんよりも剣では楽しめそうですね。それにこのダガーに付加されている術式から見ると、どうやらあなたは倭奴のようですね……ではあなたに私の相手をしてもらうことに……」
賞金首が話しているのを遮るように、男は雷が付加された投擲用のダガーを六つ投擲する。賞金首が最初にダガーを防いだ時と同じ方法で防いだ次の瞬間には男は距離を詰めた上で持ち直した大型ダガーで斬りかかった。
「死ね……!」
賞金首は避けようと身をよじったけれども、回避しきれず、左手が切り落とされた。
「グギャアアアアア!! 腕がアアアアアアァァァッ!」
賞金首は苦痛に歪んだ顔を浮かべつつ飛び上がって距離を取る。
「今の状態で下手に動けば出血多量で死ぬぞ。おとなしくしたほうが身のためだクズが」
男の言葉を受けた賞金首は、左手の血止めをしつつ今まで以上に狂った様子で口を開いた。
「だまれ倭奴の分際で!! いいですよ心配しなくても二人共殺したあとに仲良く喰らってあげますからね!! それにここまで私を追い詰めたのも貴様が初めてだ……楽しい……楽しいぞ……」
賞金首は楽しいと呟くと先ほど少女と対峙した時以上の奇声を上げ始めた。男は狂人同然の賞金首を見つつ一言呟いた。
「……キチガイが……」
男はそれだけつぶやくと、賞金首の方へ再度駆け出す。賞金首も明らかに正気を失っている様子である上に、腕を切り落とされたにも関わらず、まるで消耗していないように、むしろ先程まで以上に精密に長戟を振りかざした。スピードでは優っているが、力では劣っているのか男の方がやや押されているようである。
「イーヒャヒャヒャ!! 償え、鬼子!!」
「チッこいつまだ出来るか!」
賞金首はまるで狂気に完全に呑まれたかのように戟の打ち込みの速度を上げていった。速度だけではなく、戟には粘着質な重みを同時に含んでいる。男は賞金首の評価を見誤っていたことを内心自覚した。
(ただのキチガイだと考えていたが思ったよりも出来るな)
幾激も切り結ぶうちに、賞賞金首の振りかざした戟が、遂に男の盾として、長戟を捌き続けていた双振りのダガーを叩き落とす。そのうちの一振りは完全に砕かれていた。
賞金首は、狂気で血走った目をしつつ男を返す刃で斬り付ける。しかし男は、冷静に戟の柄を蹴り払うことで戟を賞金首の手元から離した。ほぼ丸腰同然となった賞金首に男はそのまま拳に雷を付加させた状態で殴りかかった。
肉体そのものを術式で強化することによる驚異的な速度を発揮出来る上に、雷を拳に付加したことによって、相手の内蔵に電撃を直接叩き込む事で堅牢な鎧を無視して相手を絶命させることができる、当たれば必ず死に至る一撃が放たれた。
そもそも、今までのダガーによる攻防も短剣投擲も、この状況を作り上げるための布石に過ぎないのである。
そして男の必殺の一撃は賞金首に入る……
しかし賞金首が隠し持っていた柳葉刀が男の左肩から腹の間を深く切り裂いていた。
以前よりは薄れているが、人間を斬る恐怖に苛まれながらも戦い続けている少女の第六感に近い何かが男の方を向かせ、そして少女はその光景を見てしまった。
「師匠……? 師匠!!」
少女は、目の前の敵を無視して男に駆け寄ろうとした。しかし男は気を振り絞るかのように声を張り上げる。
「俺に構うな!! 絶対に目の前の敵に背を向けるな!!」
少女は男の声に気づき、一度男に向かおうとした体を再度敵の方を向かせ、ただ敵を殲滅することだけに意識を集中させる。
この時、人間を斬る恐怖が消失し、少女の存在全てが、ただ目の前に立つ敵を殲滅するだけの抹殺者【イレイザー】へと切り替わった。
少女は、最後の一体の首筋を貫いていた短剣を抜いた。敵をすべて全滅させ、頭の中を切り替えていた撃鉄が戻った少女は男に駆け寄った。
「師匠!! 怪我の手当をしますから……」
少女が手当をしようとするのを男は制止した。
「いや、いい……この傷ではもう助からない……」
柳葉刀は、男の右脇腹から左胸を切り裂いていた。男の言葉を受けた少女はその場に崩れ落ちてただ泣き崩れる。
「そんな……私がもっと強かったら、恐怖をもっと早く拭うことができたら、師匠がこんなことになんてならなかったのに……」
少女が自分自身に絶望したようにそういったのを聞いた男は、少女に促すように口を開いた。
「いや……お前は十分やったさ……こんなミスをしたのは、俺がアイツをただの狂人だと思って油断したからだ。お前のせいじゃない……」
少女は、泣きながら顔を上げて男の方を見た。
「師匠……私これからどうすればいいのか……わかりません……どうすれば……」
男は静かに少女に応えた。
「それは自分で考えろ……賞金稼ぎとして働いてもいいし、全く別のことをしてもいい。ただ絶対後悔するようなことだけはするな……生きることはやり直しなんて効かない。俺みたいにそれを後悔するようなことをして無駄に費やすことだけはするな……いいな。」
男の言葉を受けた少女は、泣きながら頷いた。それを見た男は満足げにわずかに微笑むとそのまま目を閉じた……
聖アルフ歴 1877年
男が死んでから三年経過した。少女はあれからも賞金稼ぎとして活動を続けている。ただ今着ている防具、マントは師匠と同じ漆黒の物であった。
「師匠……三年ぶりですね。」
少女は、とある田舎の村にある墓地に存在する男の墓に来ている。少女はここ三年でさらに大人びた姿に成長していた。
「私……これから師匠の故郷の大和皇国に行こうと思うんです。私師匠が生まれた国を見てみたいって気持ちがどうしても抑えられないんです。色々なものを学んだ後は行方の分からない母を探そうと思うんです。ここでそんな話をするなんておかしいですよね……それじゃあ私はそろそろ……」
少女が立ち去ろうとした時に、一瞬強い風が少女を通り過ぎた。少女は一瞬驚きながらも、すぐにどこか嬉しそうな表情を浮かべる。
「そうですよね、師匠。【後悔しないように生きろ】っていうのは師匠の教えの中では一番大切なことですものね……」
少女はそれだけ言うと、墓地を去った。
終わり
こんばんわドルジです。
今回は私の所属している大学のサークルの部誌の小説に加筆を加えたものを掲載しました。
12月19日
今回内容面をある程度、加筆修正しました。そこまで大した修正ではありませんけれども、ぜひ読んでみてください。
1月9日
今回、共通の世界観を持つファンタジー作品として短編集にしました。是非読んでみてください。
メインキャラクタープロフィール
名前 男
年齢 不詳(20代前半→20代中頃)
性別 男
身長 182cm
体重 68kg
髪の色 黒
瞳の色 黒
出身 大和皇国
服装 黒いロングコート
武装 双振りの大型の黒いダガー、その他複数の投擲用のダガー
設定
流れ者の漆黒のコートを着た賞金稼ぎの男。
一流の暗殺者にも劣らない投擲、近接でのダガー技術と極東の島国で発展した格闘技を主体とした体術だけではなく、剣術、基礎的な雷の術式、サバイバル技術などにも卓越している。
極東の島国出身で、幼少期に家族を失った後から旅を始めている。少女を助けだした段階で旅を始めて10年近く経過している。
賊を壊滅させる時には、構成員は命乞いの有無を問わず殺すことから、一部の賞金稼ぎからは外道として見られている。実際は自分自身のあり方にも迷いを覚えているらしく、自分自身が思い浮かべる理想とかけ離れている現状に悲観的になっている部分もある。
名前 少女
年齢 11歳→14歳→17歳
性別 女
身長 140cm→158cm→163cm
体重 29kg→43kg→50kg
出身 ドベルド国
髪の色 銀(ショート→ボブーポニーテール)
瞳の色 灰色
服装 みすぼらしいローブ→銀色を基調とした軽鎧→黒のマントと軽鎧
武装 使い古された形見の短剣→男が少女の為に用意した片手剣と形見の短剣→片手剣と短剣と男の形見のダガー
設定
盗賊に囚われ人殺しの片棒を担がされていた少女。
男に助け出されてからは男に弟子入りし、剣術、体術、サバイバル技術などを習いつつ三年共にいたが、
とある事件で男が死んだ後は男の短剣の片割れと黒衣を受け継ぎ、さらに三年後には一流の賞金稼ぎとなり、男の故郷である大和皇国に向かった。
弟子入りしてからは剣をよく使うが、短剣を一番得意とし、その才能はどんなに殺気を込めても短剣を持っている時は殺気が表に出ず、この才能から盗賊に人殺しの手伝いをさせられていた。
過去の経験から短剣類と人間への殺傷が一時期トラウマになっていたけれども、後に男の死を乗り越え克服した。