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【第四部開始】当て馬令嬢リベルタ〜転生喪女はゴーインニマイウェー〜  作者: ジュレヌク
【第二部 リベルタ十六歳 ヒロインざまぁ編】

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第一話 それは、ヤバいプライスレス

 当て馬令嬢リベルタ・ベリッシモとして転生した二十九歳喪女は、日々飽きもせず、持ち前の推し活力を王弟シャイネン・ナーハフォルガーに注ぎ続けている。



「シャイネン先生、コレをどうぞ!」



 どんなに訂正しても『ナーハフォルガー先生』と呼ばないリベルタ。


 そのせいで、トワレ達からも『シャイネン先生』と呼ばれるようになった彼は、完全に諦め顔で微笑む。



「今日は何かな?」



 飽きもせず続けられるプレゼント作戦だが、高価な物はシャイネンが全く受け取らないため、リベルタは、最近では彼を思って書いたポエムを読んだり、伯爵家の庭で育てた花とかを持ってくるようになった。


 シャイネンも、ポエムは聞いてしまった以上返却はできないし、花は教室に飾ることで折り合いをつけている。


 しかし、今日リベルタが持ってきたのは、お手製と言えどもレベルの違う物だった。



「リベルタさんは、君は、コレの価値を分かっているかな?」



 手渡された物は、組紐で十字縛りにされた石。


 結び目は確かに特殊に見えるが、石自体はその辺りに転がっていそうなものだ。


 ゴツゴツとした鼠色の石肌は、別に宝石や鉱物といった類のものにも見えない。


 しかし、シャイネンは、真剣な顔でリベルタに問いただす。



「自作の『関守石(せきもりいし)』です」


「『関守石』?結界石ではなく?」



 呼び名は違えど、その石から発せられる波動は、まさしく結界石と言えた。


 魔石すら使わず、何故この様な性能を持たせられるのかは分からないが、その完成度にシャイネンは舌を巻く。


 驚く彼とは対照的に、



「あー、似たようなものかな?昔、知り合いに教えてもらったんです」



とリベルタは、平然と答えた。


 彼女の前世での同僚に、日本庭園マニアの腐女子がいた。


 黒髪ロングの小股の切れ上がった良い女だった。


 しかし、残念加減は、どっこいどっこい。


 時代劇をこよなく愛し、侍従ものには目が無かった。


 ジャンルは違うが周りからの浮き加減がよく似ていた2人は、昼食時に互いの好きなものを語り合った。


 何故なら、他に聞いてくれる人がいないからだ。


 正に、ギブアンドテイク。


 そんな彼女が教えてくれた『関守石』は、日本庭園や神社仏閣などに置かれる境界線を示す石だった。



『これ以上、入ってはいけませんよ』



 言葉にせず控えめに、相手の配慮を求める、なんとも奥ゆかしい日本の文化を表すような石だが、意味するところは結界と相通ずる。


 それに発想を得たリベルタは、自作の『関守石』をシャイネンに贈ろうと考えた。



『先生に、『悪いもの』が寄ってきませんように』



 要は女避けなのだが、リベルタの感覚的にはお守りのようなものだった。


 庭で手頃な大きさの石ころを選び、自分の魔力を練り込んだ紐で美しい模様を描くように結ぶ。


 現在作られる高価な魔石を素材にした結界石とは全く違うやり方で、それ以上のものを作り出してしまったことに、本人は気づいていない。


 なにせ、掛かった費用は、石0円、紐0円。


 この組紐も、マジックバッグ製作時に残った布を縦に裂き、何種類かを組み合わせて自作したものだ。



『タダなら貰ってくれるかも』



 そんな下心満載で作り上げた一品だったが、まさか、シャイネンが驚くほどの逸品になるとは思っていない。


 正直これは、結界師育成の授業を受けたこともない少女が、独学できる物ではなかった。



「君は、私の授業を一度も聞いたことはなかったよね?」


「はい。残念ながら、1年の最初に適性検査を受けた人しか受講できないので」



 残念そうにタレ目を更に垂れさせるリベルタだが、それ以上にシャイネンは、この逸材の末恐ろしさに戦慄した。


 多分、見る者が見れば、この関守石は一目で『ヤバいブツ』であることが分かる。


 しかもその材料は、何処にでも転がっている石と、リベルタの魔力を練り込んだ紐だけ。


 だからこそ、この事実は隠し通さなければならない。


 でなければ、リベルタを利用しようとする悪意のある者達を、ホイホイと呼び寄せてしまうからだ。



「リベルタさん、気持ちはありがたく受け取りますが、コレは、持って帰りなさい」


「えーーー」


「絶対家から出してはいけませんよ。あと、良い子のことは、こんな贈り物をしなくても、ちゃんと先生は大切に思っていますからね」



 シャイネンが、ニッコリと微笑めば、



「ほわわわわ、先生、今、私のことを大切って言いましたか?」



とリベルタは、舞い上がる。


 全く『良い子のこと(全生徒)』という部分は、耳に入っていない。


 そのことも十分理解しているシャイネンは、リベルタが正常な判断力を取り戻す前に、



「はい。では、持って帰ってください」



と、『関守石』をリベルタの手に握らせた。


 毎日毎日数年間も続いているやりとりだが、こんなにも緊張を強いられたのは、彼女が家宝である宝剣を持ち出してきた時以来だ。


 1年生の合同練習の際預かった剣は、ベリッシモ伯爵にも許可を得た上で、再びリベルタが持ち出せないように学園で大切に保管されている。


 それほど、リベルタの行動は予測ができない。


 シャイネンは、彼女に常識を持って欲しくて日々向き合い、何度も根気良く言い聞かせていた。


 それはまるで、不出来な孫を叱る祖父のように。


 気長すぎて、横で見ているトワレとクルーガーは、



「いい加減、しつこい!」



と怒鳴りそうになる。


 マジックバッグの設計を図面に起こしていたクルーガーは、食傷気味なのか苦虫を噛み潰したような顔をして、



「トワレ、アレ、どうにかできないのか?」



 と隣に座るトワレに声を掛けた。



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― 新着の感想 ―
お話は面白いのですが、一つ気になっちゃって。 第一部だったのに、第二章?部か章かどちらかに統一された方がいいと思います。
>『先生に、『悪いもの』が寄ってきませんように』 本人が近づけなくなりそうな気がしないでもありませんな・・・
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