第六話:狩りへの決意
翌朝、少しだけ目を腫らしながらも、狩りへの準備を始めた。本格的な狩りをする前に、まずは数日間生き延びるための食料を確保しなければならない。
彼は、獲物を追うための体力温存のため、植物性の食料に頼ることにした。幸い、森には清流があり、水には困らない。
(この世界の植物は毒があるかもしれない。まずは食べても大丈夫そうなものからだ)
前世のサバイバル番組の知識を総動員した。森の木の幹に生えている、鮮やか過ぎない茶色や白のキノコを慎重に吟味した。また、特定の葉の形を持つ山菜や、動物が食べているのを確認した木の実だけを少量ずつ集めた。
「グルゥ……(この苦い木の皮も、少しは栄養になるはず)」
彼の食生活は、極めて質素で単調だった。木の実をかじり、山菜を泥で洗って噛む。その味は、もちろん「コンビニのサンドイッチ」とは比べるべくもないが、飢えを満たすには十分だった。彼の鋭敏な嗅覚は、食べ物と毒物の僅かな匂いの違いを判別するのに役立っていた。
こうして、三日間、体力を温存しながら、安全な場所から周囲の魔物の動きを冷静に観察し続けた。彼の銀色の毛皮と小さな体は、茂みに隠れるのに最適だった。
数日後、森の中で自分と同じくらいの体格を持つ狼型の魔獣と遭遇した。その全身は鈍い灰色の毛皮に覆われ、獲物を狙うその瞳には、知性こそないものの、純粋な捕食者の凶暴性が宿っていた。この魔獣が俊敏だが、知性が低く、攻撃パターンが単調だということを、静かに観察して把握した。
(灰色の狼…グレイウルフと呼ぼう…。…よし、真正面から戦ったら絶対に負ける。あいつを倒すには、罠しかない!)
前回の鹿狩りで成功した「地の利」を使った罠を、より高度なものにした。彼は清流に近い岩場を選び、グレイウルフが獲物を追い詰めてくる進路を予測。そして、獲物の注意を逸らす囮として、森で見つけた熟れた果物を木に括り付けた。
「ウオォオオオオン!(こっちだぞー!)」
雄叫びでわざとグレイウルフを挑発し、岩場へと誘い込んだ。魔獣は囮の匂いと太一の挑発に気を取られ、猛然と追ってきた。
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