第三十五話:辺境伯の調査と新たな協力者
暗殺者たちを戦闘不能にした後、辺境伯領の森は静寂を取り戻した。
俺は、獣人の姿から仔狼の姿に切り替わり、周囲を警戒しながら、スノウの指示を待った。
スノウは、倒れた暗殺者たちの装備を冷静に調べた。
「この装備は、王都の『闇のギルド』が特注で用意したものだ。レオン兄上が、騎士団ではなく裏の組織を使ったことが証明できる」
スノウは、暗殺者たちが持っていた毒が塗られた弓矢を、慎重に回収した。
「ティオ、君の『遠隔解析』のおかげで、私たちは一歩先を行けた。だが、この辺境伯領へ来た真の目的は、魔獣討伐ではない。辺境伯の不正の証拠を押さえることだ」
『——わかった、スノウ。俺が仔狼の姿で潜入して、解析鑑定で証拠を探すよ!』
俺は、仔狼の姿のまま、馬車を隠した森を出て、辺境伯の城へと向かった。
辺境伯領の村々は、想像以上に荒廃していた。痩せ細った領民たちは、重い税と強制労働に苦しめられている。俺は、その惨状を憤りとともに解析鑑定に記録した。
辺境伯の城は、村の荒廃とは裏腹に豪華絢爛だった。
俺は、仔狼の小さな体を活かし、警備の隙間をすり抜けて城内へ潜入。遠隔解析で城全体の魔力配置を探り、辺境伯の執務室の金庫に狙いを定めた。
=======
鑑定対象:辺境伯の執務室金庫
内容:国王への税の着服を示す帳簿、および第二王子レオンとの秘密の取引書。
=======
『——スノウ!あったよ!金庫の中に、レオンとの不正取引の証拠が入ってる!』
俺は、錠前を【魔力硬化】させた爪で慎重に破壊し、帳簿と書類を仔狼の口にくわえて、一目散に森へ戻った。
スノウは、俺が持ち帰った決定的な証拠を見て、冷たい笑みを浮かべた。
「完璧だ、ティオ。これでレオン兄上は、暗殺未遂だけでなく、国家反逆罪に等しい罪で追及できる」
しかし、スノウはすぐに真剣な顔に戻った。
「だが、王都に戻るにはまだ早い。この辺境伯領の貧しい領民に、信頼できる協力者を見つけなければならない。私たちが去った後、辺境伯の残党に彼らが報復されるのを防ぐためだ」
俺たちは、荒廃した村の一つへ向かった。そこで出会ったのは、村の若きリーダーである女性だった。彼女は、虐げられた領民をまとめ、密かに抵抗組織を組織していた。
=======
鑑定対象:村の若きリーダー(女性)
保有スキル:統率力(Lv.6)、隠密行動(Lv.4)
思考:第三王子は信用できないが、この獣人の少年の目は、真実を語っているように見える。
=======
スノウは、辺境伯の不正の証拠と、第二王子レオンの関与を彼女に示し、王都での国王への陳情を約束した。そして、獣人の姿に戻った俺を見て、彼女は目を見開いた。
俺は、人間の言葉で、彼女に語りかけた。
「俺たちは、あんたたちを必ず助ける。だから、この書類を国王陛下へ届けるまで、村人たちを守ってくれ」
俺の獣人としての姿と、言葉、そしてスノウの真摯な態度に、彼女は深く頭を下げた。
「分かりました。殿下、そして獣人の護衛官様。私たちは、命を懸けて、この領民たちを守り抜きます」
辺境伯領の不正の証拠、そしてレオン王子の陰謀の決定打を手にし、俺とスノウは王都への帰路についた。
馬車の中で、俺は仔狼の姿になり、スノウの膝で眠る。
「君は、本当に最高の護衛官だよ、ティオ。君のおかげで、王家の闇を暴くことができる」
スノウの優しい声が、俺の仔狼の耳に響いた。俺たちの戦いは、王宮の政治と武力、両面で勝利を掴みつつあった。
お読み頂きありがとうございます!
この作品を「おもしろかった!」と思ってくださった方は、
ブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さるとうれしいです◎




