表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/38

第二十話:人の貪欲さ

やっぱり我慢できずに風邪でも1日二話投稿頑張る!

 

 俺は内心ため息をつきながら、この後の対処法に意識を集中した。Lv. 8の狩人は、獲物を見定めた獣そのものだ。単純な力比べは避けるべき。


『——ミィナ、落ち着いて。彼らは君の持つ「魔石」を狙っている。絶対に、怯えていることを悟られないようにしてくれ』


 ミィナの体は微かに震えていたが、彼女はすぐに息を整えた。その目には、リゼを救うときに見せた強い意志が戻っている。


 狩人は、焚き火の肉から視線を上げ、ミィナを見据えた。


「小娘。どこから手に入れたかわからんが魔石をもってんな?正直に話せば、危害は加えねぇ。その石を置いて、さっさとおうちに帰るんだな」


 狩人は鈍く光る長柄の斧を地面に立てた。完全に包囲された形だ。


 この間合いでは逃げるのは無理だ。俺は、仔狼の小さな体のまま、ミィナの足元から一歩前に出た。


『——ミィナ。これから俺は体を大きくしてあいつに威嚇する。怖がるかもしれないけど、全部俺の指示通りに動いてほしい』


 ミィナは、声を出さずに小さく頷いた。


 俺は、身体サイズ自由変形を発動。全身の魔力を解放し、一瞬で若狼サイズへと体を膨張させる。毛皮がぶわりと逆立ち、体格が一回り大きくなった俺は、低く唸り声を上げた。


「グルルルル……!」


 琥珀色の瞳を彼らに向けると、狩人たちは驚愕し即座に弓を引き絞る。


「なんだと!?ただの仔犬じゃねぇ!魔獣か!」


『——(念話)ミィナ!』


 ミィナは俺の指示を待っていた。震える声に、勇気を絞り出す。


「この子は、里の守り神よ!これ以上、近づいたらただじゃおかない!」


 その瞬間、俺は魔力制御【体表強化】を発動。全身の毛皮の銀色の魔力膜を、限界まで輝かせた。魔力の光は、周囲の闇をわずかに照らし、相手に対する「威圧」となる。


 俺の体から放たれた濃密な魔力に、狩人の目が怯んだ。


「待て!こいつ、ただの魔獣じゃねぇ。Lv. 7……いや、それ以上の魔力を感じる!」


(よし。成功だ。 Lv. 8の相手に、Lv. 6の俺が「格上」だと錯覚させる。これが、今の俺の最善の戦術だ)


 俺は、一歩も引かず、さらに魔力を全身に集中させた。若狼の体全体が、銀色の靄をまとう。


『——ミィナ。俺がやつらを追い払う。君は魔石をしっかり握って後ろに下がっててくれ』


 狩人は弓を引いたまま動けない。彼は「見知らぬ高レベルの魔獣」と「不確実な金儲け」を天秤にかけている。


 俺の解析鑑定が狩人の思考を読み取る。


 =======

 思考:勝てない可能性、街での面倒、利益の不確実性。撤退が最善。

 =======


 …なんとか引いてくれそうだ……。


 狩人はゆっくりと弓を下ろした。


「チッ……。今日は運がなかったようだ。」


 不満そうに彼らは、一度火を囲んでいた場所から離れ、来た道を戻っていく。


 俺は彼らの姿が森に消えるまで、魔力膜を解除しなかった。


 狩人たちの気配が完全に消えた後、俺は疲労で体が重くなったのを感じた。魔力制御と身体変形の同時使用は、想像以上に魔力を消費する。


 俺はゆっくりと仔狼サイズに戻り、地面に座り込んだ。


 ミィナが、すぐに駆け寄ってきた。その顔は涙で濡れていた。


「太一……!すごかったわ。あの人たちを……!」


『——大丈夫か?怖かったね。でも、これで理解しただろう?人間の中にも、魔獣と同じくらい危険な奴らがいることを』


 ミィナは、強く頷いた。


「ええ……。お金のためなら人を襲うなんて」


 俺は、魔石という存在が、いかにこの世界で「金」と「欲望」の象徴であるかを理解した。交易街へ行けば、この種のトラブルはさらに増えるだろう。


『——急ごう。この野営地はもう安全ではない。夜明け前までに、できるだけ街に近づきたい。魔石を売るまでは、誰にも心を許さないようにしよう』


 ミィナは、濡れた目を拭き、竹籠を背負い直した。


『——大丈夫。必ず君を守るよ。よし、出発だ』


 俺は再び、ミィナの足元を歩き始めた。夜の帳はまだ深い。交易街への道のりは、まだ遠い。

お読み頂きありがとうございます!


この作品を「おもしろかった!」と思ってくださった方は、

ブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さるとうれしいです◎

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ