10-end 世界が壊れる音がする
――学園第三校舎の屋上に
ズガァァァァァァァァァン! っと、
「うわっ!?」
「きゃあ!?」
爆音が響き、同時に身を焦がすほどに熱い突風が吹いて、その圧に押され、屋上で引き剥がされる、俺達二人の体、
そのまま俺は、屋上の床に倒れ込む。
……な、なにが、起きた?
凄い、爆発音がして、熱い風に吹き飛ばされて、
「う、ぐっ」
鼓膜が痺れ、頭が軋む、それでもどうにか体を起こして目を開き、よろよろと屋上の鉄柵まで近寄って、花火大会の会場へその目を向ければ、
――空ではなく地上で
何もかもが、爆ぜていた。
――えっ
……え?
えっ?
何が、起きてる?
……屋台は全て吹き飛んで、沢山の人達が倒れてて、
花火玉がうずたかく積まれていた場所から、黒煙があがっていて、
これって……打ち上がったはずの花火が、落ちて、
地上の花火を全て爆ぜさせた?
スキルで展開されてるはずの、バリアまでも壊して?
頭の中が真っ白になってる俺、だったけど、
(――行かなきゃ)
ともかく、あの場所に行かなきゃ、倒れてる皆を助けなきゃとそう思って、動き出そうとした時、
――噴き上げる黒煙の中から
何かが波のように溢れ出して、
その光景が、真っ白になった俺の心を、
絶望に染め上げる。
――モンスターだ
スケルトン、
フロスティ、
ウィスプ、
ゴブリン、
ゴースト、
ゾンビ、
次々と、次々と、溢れ出てくる魔の群れ共。
前世の概念であったらザコ、だけどこの世界において、スライムに次ぐ魔物達が、倒れた人々に襲いかかっていった。悲鳴の中で、生徒達はスキルで応戦しはじめるけど、煙の中心から溢れるモンスター達の、圧倒的な物量に飲み込まれていってる。
その悪夢のような光景を見て俺は、
(行かなきゃ)
また、そう思った。
なんでこうなってるかは解らなくても、何が起きてるか解るなら、
行かなきゃならない、
助けなきゃいけない
そうだ、ここに悩みは、選択は存在しない、
――悩み選ぶことも無く
戦わなきゃいけない。
だから俺は立ち上がりながら、
「メディ!」
そう、彼女の名前を呼びながら、そちらへ向いたけど、
――メディはそこにいなかった
「……メディ?」
いない、
メディがいない、
その事実の方が、俺の背筋を凍らせる、目眩と焦りを同時に生む、だけど、
俺は歯を食いしばって、
「――【浮遊】スキル!」
文字通り、空中を浮くスキルを使って、屋上から飛び出した。ああ、悲鳴が聞こえる、助けてという、呼び声もする。ふわりふわりと落下傘のように、俺は地上へと着地した後、
「【俊足】スキル――」
ただ駆け走るそのスキルで、魔物溢れる爆心地へ向かおうとした、その時、
足が、止まった。
空に、何かが見えたから。
俺はそれが何かに気づいた時、
呆然と、
呟いてしまった。
「――嘘だろ」
落ちてくるのは、降ってくるのは、
――飛行機からの爆弾
爆撃機。
この世界に存在しないはずの空を飛ぶ乗り物が、
数機並んで空を行き、爆弾を投下していって、
学園中を破壊していく。
(なんで)
爆発音、悲鳴、逃げ惑う足音、魔物の吼え声、
――世界が壊れる音がする
ただ、破壊されていく世界、
起きてることに、何も選べないまま、立ち尽くす俺。
……そう、これが、
この時が俺の、
ハッピーエンドの始まりだった。
【俊足】スキル Aランク Lv4
スキル解説[急げ]
アルズハート
[【笑顔】【賞賛】【真実】【未来】【自由】【○○】【○○】]
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