ExtraSide三人称視点 聖都女王セイントセイカ謁見の間
――四国会談
大陸を巡回するように飛翔する円卓帝国、大陸中央の聖山の頂きに居を構える聖都、大陸北部に広がるエルフの森、大陸東の海を隔てて存在する大和。
その各国を治める長である、皇帝エンペリラ、聖女セイントセイカ、森王エルフリダ、女王サクラセイリュウ、その四人が一堂に会して、アレフロンティア大陸周辺はもちろんの事、世界の行く末について協議する、大事な国際会議である。
ただし、その頻度は高くない。あらゆるスキルに、便利なドラゴンが溢れるこの世界、移動手段そのものは、アルテナッシの前世と同じか、それよりも充実している部分はあるが、あらゆる要因で会談が開かれることは、年に一度あるかどうかである。
しかし、前回の開催からまだ半年足らずというのに、
――大陸中央、聖都にあるセイントセイカの謁見の間にて
「全く、【奇跡】を使っての強制召集とは、無礼なスキルよ」
男の姿をした森王エルフリダが、不機嫌そうな面で、
「そうは思わぬか、皇帝、それに大和の姫よ」
そう――同じくここに呼び出されたであろう、二人に声をかける。だが、
「い、いえ、僕は事前に連絡を受けておりましたので」
「私も同じく――エルフリダ様は、約束を違えるすることがあるので、事前に知らされなかったのでしょう」
そう、エンリとセイリュウはエルフリダに答える。……ただしこの二人は、お互いをけして見ようとせず。
「はんっ」
その二人の様子を見て、エルフリダは鼻で笑った。
「全く、貴様らは元々許嫁であったろう? かつては俺様の前でも仲睦まじい様子を見せつけてくれたではないか?」
そしてそのまま視線を、エンリではなく、セイリュウに向けて、
「何があった? いや」
こう聞いた。
「何を秘めている、貴様」
それはまるで、セイリュウの中身を見透かすように、で。
――沈黙するセイリュウ
エンリも何も答えない。
場に、重苦しい空気が流れる中で、
「そこまでー」
それを打破するような、やわらかく優しい声が響いた。
三人の視線が集中した先には、
「もう、久しぶりに四人が揃ったんよ、仲良くせんと」
300年、この世界に転生し続けているとアルに謳い、今回も自分のスキルで、三人をこの場所にテレポートさせた聖女、
――〔奇跡はここにセイントセイカ〕
その人が、相変わらず右目ばかりを開き、左目を閉じて立っている。
「仲良くだと、よくぞぬかす、そもそも貴様はこの大和の姫と、仲が悪かったではないか?」
「あーそれ言うんやめてよぉ、それについてはちゃんと、仲直りしたもん、せやろ、サクラちゃん」
「セイリュウと呼べと、言ってるではありませんか」
「ええやん」
そこでセイカは、笑みを浮かべて、
「同じ、恋する乙女なんやし」
と、言った。
「――恋」
その言葉に、今までただ黙るばかりだったエンリも反応する。
その様子に、セイカはくすりと笑った後、
「さてと」
――その表情から色を無くし
「ほな、本題に入るよ」
今まで浮かべていた朗らかさをけして、真面目な様子で語り出す。
「前回の議題にあった七大スライムの内、とある男の子の活躍で、その内5体も討伐されとる」
「1体は俺様が処理したようなものだが?」
「はいはい、話のコシ折らんといてね」
聖女は森王を軽くあしらいながら、続けて口を開き、
「残り2体、……その内1体は、どこにおるか知っとるし」
そこでセイカは、チラリとのセイリュウの方を見やった。セイリュウは、それでも動じる様子は無かった。
なので、セイカは再び視線を戻して、
こう言った。
「最後の1体も、この場所におる」
その言葉に、
「ここに!?」
エンリが驚きの声をあげた。
「も、もしかして、聖山がこの場所にあるのは……」
それを封印する為に――と、言葉を続けようとするエンリだったが、
「ともかく、みんなに集まってもらったんは他でもあらへん」
遮るように、
「うちに、協力してほしいんよ」
聖女であるセイントセイカは、
「全ての鍵を握っとるのは、こことは違う世界から来た少年」
あっさりとその事実を――エンリと、セイリュウに開示しながら、
二人が戸惑う暇も与えないように、
「〔何も無しのアルテナッシ〕」
その名を告げて、
こう、言った。
「そんなうちが恋する男の子と、学園祭でひっつけるよう、皆にサポートしてほしいんよ!」
――その斜め上の発言に
「え、え、ええ!?」
「ひっつく……?」
「おい、貴様、本気か?」
三者三様の反応を見せるけれど、聖女の勢いは止まらずに、
「そう、アル君! うちの運命の相手! うちのことを命がけで助けてくれた相手!」
そう、あの日の出会いを思い返して悦に入るけれど、
「はた迷惑な貴様の衝動の、尻拭いをしただけだろうが、戯けめ」
と、エルフリダはきっぱりと断罪した。だが、セイカは聞く耳持たず、自分の世界に入ったかのようにうっとりと、あれやこれやとアルについて語る。
「あ、あの、セイカ様」
その、熱に入った様子に、差し水したのは、エンリ、
「その、アルさんにはもう、相手が――メディさんが」
その事実を告げた。
――エンリからみてアルとメディは比翼の鳥である
特にこの3ヶ月の間、ちょいちょい行動を共にするのだが、その関係は主従を超えた様子を特にみせている。
……セイカも、たまに二人とともに行動していたという話を聞いてたから、それを知らぬはずがないのだが。そう、思っていると、
「メディちゃんは、確かにええ子! アル君にとっての理想のパートナー!」
セイカは、
「ライバルは超強敵、せやけど!」
彼女はメディの顔を思い浮かべながら、
「――恋は戦争、うち、あきらめへん」
そう言った後に、ガッツポーズを取りながら、
「アル君とうちの、学園祭でドキドキラブラブ大作戦! 開始なんよ!」
そうセイカが叫んだ後に、この場所に訪れたのは、
「この痴れ者が」
エルフリダ王のその言葉と、静寂すら消してしまいそうな"からっぽ"だった。
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