表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

エンディング:沈黙と余韻の先に

(照明が徐々に明るくなり、背景のスクリーンには、カスパー・ハウザーの名前が淡く浮かび上がっている。テーブルにはまだ静かな余熱が残っており、探偵たちは深い思索に沈んでいる)



---


あすか(ゆっくりと語り出す)

「名探偵たちの皆さん――本当にありがとうございました。

カスパー・ハウザーという一人の人物に、ここまで真剣に向き合ってくださって、

そして、“事実”と“心”の両方を語ってくれたことに、心から感謝します。」



---


ナンシー(小さな声で)

「……ありがとうって、言いたいのは私の方です。

こんなにいろんな見方があるんだって、気づけたのは、皆さんのおかげで……

なんだか、彼のことを初めて“ちゃんと”考えられた気がします。」



---


ホームズ(静かに、しかし真っ直ぐに)

「推理とは、感情に流されず、冷静に物事を捉える力だ。

だが、今回の対談では、それだけでは足りなかったと、私も認めざるを得ない。」


ポアロ(少し微笑んで)

「ムッシュー・ホームズ、あなたのその一言、まさに今回の“真実”ですね。

わたくしも、多くを学びました。

探偵とは、ただ“謎を解く者”ではなく、“人を理解しようとする者”でもあるのだと。」



---


明智(ゆったりと頷いて)

「私たちは、歴史の隙間に残された“人の声”を拾い集めてきたのだと思います。

たとえそれが途切れた言葉であっても、意味が完全にはわからなくても、

そこに“誰かが生きていた”という事実だけは、否定できない。

そして、それを忘れないこと――それこそが、最も重要な“解決”ではないでしょうか。」



---


あすか(しみじみと)

「……“忘れないこと”。

それは、歴史に生きたすべての人への、私たちの敬意の形なのかもしれませんね。」



---


(背景のスクリーンが切り替わり、カスパー・ハウザーの生没年が浮かぶ)


> Kaspar Hauser (1812?–1833)

The Enigma Child who wanted to be loved.





---


あすか

「ここで、最後に皆さんに“個人的な視点”から、

今回の対談で感じたこと、学んだことをひと言ずつお願いしたいと思います。」



---


ホームズ

「真実とは、時に無慈悲なものだ。

だが、我々の仕事は、その無慈悲さを認めた上で、誰かの嘘を暴き、誰かの誤解を解くこと。

今回の件では、わずかにだが――“誤解された人間の尊厳”を守るという意味を学んだ。」



---


明智

「私たちが“物語”と呼ぶものは、事実とは異なるかもしれません。

でも、物語には、人の心を動かす力がある。

カスパー・ハウザーの人生は、その象徴のようなものだったのかもしれませんね。」



---


ポアロ

「探偵の使命とは、事件を解決することではなく、

その“余韻”に意味を与えること。

わたくしはそう信じています。

そして本日、その余韻を、ここで共有できたことを誇りに思います。」



---


ナンシー(やや涙ぐみながら)

「私はまだ、半人前の探偵かもしれない。

でも、今回みたいに、“誰かのことを信じる気持ち”が、

推理や証拠と同じくらい大事なんだって、初めて知った気がします。

カスパーのこと、ずっと忘れません。」



---


(テーブルの上に、そっと一輪の白い花が置かれる。あすかがそっと手に取り、テーブル中央に飾る)



---


あすか

「カスパー・ハウザーという名の“謎”は、今日、ここでいったん幕を閉じます。

でも、“彼を想う気持ち”は、きっと皆さんの中に残るでしょう。

それこそが、彼がこの世界に生きた証なのです。」



---


(音楽が静かに流れ始める。探偵たちは席を立ち、テーブルの前に並ぶ。観客からは静かな拍手)



---


あすか(会場を見渡しながら)

「それでは――これにて、歴史バトルロワイヤル

“カスパー・ハウザーの謎”、閉幕です。

また次のミステリーの夜に、お会いしましょう。」



---


(照明が落ち、スクリーンに文字が浮かぶ)


> “彼は誰だったのか――

その問いは、私たちが“人を知ろうとする”限り、終わらない。”





---


(静かにフェードアウト)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 ミステリーは謎である故にミステリー。  なんか今回はそんな感じの内容でした。  世の中には暴かない方が良い謎というものもあるということで。  カスパー・ハウザーの正体が何者であったとしても、世の中か…
いわゆるミステリーって、理学に通じる ところがあるといえそうなので、関心は あるんですが明るくないので助かります。 このジャンルもぜひまたお願いしますね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ