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第130話 ラビィが虎を狩った

  *  *  *


 数日後、真っ黒なライダースーツの様な飛行服を身にまとったラビィは、折りたたんだ飛行凧を背負ってギーニアの森を歩いていた。俺はミノを背負ってその周りを飛んでいる。


 フールドからエルヴンディルを採取したから取りに来いと言うメッセージを受けたからだ。


「確か、こっちの方だったと思うけど、どうだい? 親父?」

「正直分からん。フールドは以前居た場所から動いていないんだよな?」

「恐らくね。伝文の魔法羊皮紙には以前会った場所と書いてたからね」

「……と言うか、あいつら、まだシンルー鳥を捕まえられないんだな」

「何日も狙い続けられるってことは、それほど魅力的なのかな?」

「旨いらしいぞ」

「それは是非、ご相伴にあずかりたいね」

「ワシもじゃ」


 背中のミノが、何故かよだれをすする音を立てていた。


「ん? 話し声が聞こえるぞ」


 耳の良いラビィが進行方向からやや右にズレた森を指さしながら言った。


「あいつらか?」

「その様だね」


 そのまま半時間ぐらい森の中を進むと、俺たちはフールドとシンカが食事をしているその場所に着いた。


「お久しぶりです」


 俺たちに気づいたシンカがナプキンで口を拭いながら言った。


「やぁ、久しぶり。シンルー鳥はまだ捕まえられないのかい?」

「残念ながら、まだなんだ」


 ラビィの問いに、皿の上の肉を切り分けながら応えるフールド。


 俺は二人が囲んでいるテーブルの縁に飛び移った。ミノがテーブルの上に降りると、フールドの前の皿に駆け寄った。


「ところで、何を食ってるんだ?」

「煮込んだギーニアフルーツコウモリだよ。食べるかい?」


 そう言ったフールドの前に置かれている皿の中身を、ミノは覗き込んでいる。


「まともな料理を食べずに急いでこっちに飛んできたからね。本格的な料理を食べられるんだったらありがたいよ。良いよな? 親父?」

「ワシもじゃ、ワシもじゃ」

「良いんじゃないか?」

「師匠、食事は中断です」「親父、何か来たぞ」


 突然シンカとラビィが同時に言った。ラビィはマチェットガンを素早く抜き、森の一点に向け構える。シンカは素早く近くに立てかけてあった槍を手に取った。


「師匠、木の上から援護をお願いします。ラビィも木の上に避難して下さい」

「ボクは逃げ足だけは早いからね。ここから援護するよ」


 シンカの指示に否定で答えるラビィ。


「分かりました。無理はしないで下さい。師匠、三番の罠で捕まえましょう」

「三番だね。分かったよ」


 フールドは縄ばしごに登りながら答えた。彼らに初めて会った時と同じ様に、樹上の住処から捕獲罠を発動させる様だ。フールドは太い枝の上に立ち、弓に矢を番える。


 俺はこっそりシンカを鑑定してみた。


 槍を装備したシンカ。とても落ち着いている。

  攻撃 5

  技  6

  速度 4

  防御 3

  回避 6


 危険な森の中でフールドを護衛しているだけあって、なかなかのものだ。シンカが能力持ちかどうかは分からないが、それを上手く使うのならさらに戦闘力は上がるのだろう。俺の剣聖の能力を利用した鑑定では、能力を使った場合の戦闘力を推定できないのだ。


 森の中から茶色い毛皮で覆われたトラに似た大型獣が現れた。以前フールド達を襲ったヤツと同じギーニア虎だ。だが体格が一回り大きい。


 シンカがゆっくりと移動する。三番の罠の場所に誘導しようとしているのだろう。それを追う様にゆっくりと頭をシンカに向ける大型獣。と、その瞬間、炸裂音と共に大型獣の左目が爆ぜた。その後、前に進もうと上げた右前足を地面につける前に、その大きい体は崩れ落ちた。


「え?」「ふぇ?」


 突然のことに驚くシンカとフールド。ミノも驚いている。


 ラビィは次弾を装填するために、左手で腰の細長いケースから、先端に弾丸が付いている棒を抜き出していた。右手のマチェットガンの銃口からは、薄い煙が一筋立っている。


 シンカもフールドも警戒を解かずそのままの姿勢で固まっている。ラビィが次弾を装填し終わっても、倒れたギーニア虎は起き上がらなかった。


「あれ? もう終わったのかい?」

「……」


 暫くの間、そのラビィ問いに応える者は居なかった。


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