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第124話 パイラを見つけた

「おいシャーロット、これは一体どういう事だ?!」


 俺はその人形をよく見るために、人形の枕元に飛び移った。


「ふぉぉ。これはまた精巧な作りじゃの」「お姉様ですわ」


 背中のミノの感嘆の声と、シャーロットの応えが被る。


「パイラだと!?」

「ふぉっ!? パイラじゃと? ワシの巫女じゃ!!」


 ミノの声は、シャーロットには聞こえていない。


「ええ。順に話しますわ。

 事の発端は、エミュラッテお祖母様、つまりパイラお姉様の母親が病に伏したことなのです。学園に居た私に連絡が来たので、パイラお姉様と一緒に里帰りすることにしたのです。お姉様が幼少のときに誘拐されてからまだ、家族の再開を果たしていませんでしたから。

 ……エコーが突然居なくなって十数日経った頃のお姉様の意気消沈ぶりは、目も当てられない程でした。私の声かけにも虚ろに応じていただけですから、いっそこの城で、元気を取り戻すまでずっと休学してしまおうと思っていたのもありますわ。

 エミュラッテお祖母様や、私のお父様や伯母様達、つまりパイラお姉様の兄や姉に再開を果たしてもパイラお姉様の反応は薄く、心ここに在らずといった感じでしたの」


 振り返るとシャーロットは俺を睨んでいた。


 俺のせいなのか……?


「そして、エミュラッテお祖母様が病に伏したと聞いて、お見舞いに各所から来る方々でいっぱいになったのです。問題は、その中に刺客が混ざっていた事ですわ」

「刺客だと?」

「ええ、お見舞いに来て頂いた方々には、質素ですけれどディナーパーティにご招待したのです。お父様は多忙でしたからほぼ出席しませんでしたが、お母様や私がホスト役としてご来賓をおもてなししていました。気分転換になればと、お姉様も一緒に私に付いてきてもらってました。普段でしたら嫌がるのかも知れませんが、反対する気力もなく私のお願いを聞いてくれて、パーティに同席してくれていましたわ」


 再び俺を睨むシャーロット。


「……」

「そのパーティの最中、襲いかかってきた凶漢と私の間にお姉様が割って入ってきたのです。凶刃はお姉様の左腕を傷つけ、凶漢はその場で自害しました。問題は、凶漢が隠し持っていたナイフに毒が塗られていたと言う事です」

「その毒でパイラが石になったのか?」

「いいえ違いますわ。お姉様の左腕はみるみるうちに変色していきました。解毒薬もなく、腕の根本をきつく縛って体に毒が回らない様にするのが精一杯でした。お姉様は自分の部屋に戻り、荷物から何かを取り出して飲んだのですわ。私にエコーが帰ってきたら何とかしてくれる筈だと言い残してベッドに寝転ぶと、石化してしまったのです。それからずっとこの状態なのですわ」

「俺が何とかするだと?」

「もちろん私は、戻ってこないあなたなんかに期待をしてませんでしたから、あれからずっとナイフの毒が何であるかを分析したり、石化を戻す方法を探ったりして過ごしていたのです」

「パイラが自ら石化したのは、解毒方法を探すための時間稼ぎという訳か……」

「ええ、恐らく」

「解毒手段と石化解除手段を探さないと、パイラは戻ってこないんだな?」

「ええ。長い時間を要しましたが、毒の種類は分かりました」


 どんな方法で毒の種類を判別したのだろう……。同じ毒で傷つけた人間のその後の症状を観察して、それを毒の専門家に尋ねれば分かるかも知れないが……。


「……」

「お姉様を元に戻すためでしたら、私は手を汚すことをためらわないですわ!」


 俺の思考を読んだかの様に吐露するシャーロット。


「……そうか。よくやったぞシャーロット。その解毒薬は作れるのか?」

「そうじゃそうじゃ。はよぉ作れ! はよぉ石化を解くのじゃ!」

「材料はまだ入手していませんが、何が必要か判明していますわ。ですが、まだ石化解除方法が見つかっていないのです」

「分かった。もちろん俺もお前と一緒に解毒薬の材料集めと石化解除方法を探す」

「ワシも協力するぞ」

「もちろんお願いしますわ」


 目をつぶり石化したパイラの表情はとても穏やかだった。少し微笑んでいる様にも見える。


「しかしパイラのやつ、石化したってのに意外なくらいに穏やかだな」

「お、お姉様は、お姉様は……、私が目覚めるときにはきっと目の前にエコーが居るはずよね、と言って目を閉じましたの……」


 その言葉を聞いて振り返ると、頬に涙を伝わせているシャーロットが見えた。


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