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エピローグ 続アヤメ

アヤメ


「異世界から来ました~」


「アヤメ?? わらわ達、自己紹介もまだじゃよ? 投げやりの対応は、よくないと思うのじゃ」


リュウナちゃんが、私の手を引っ張って少し離れた所で囁く。


「そもそも異世界の概念がこの世界にあるか分からんのじゃよ? その概念がなかったらわらわ、神じゃ。 分類的に神になるのじゃ。ようやくニートが出来るのじゃ。 でもな、こんな寂れた未開の中世か分からん所でニート神をやってもしょうもないと思うじゃろ? 地球の文化が捨てがたいのじゃ。 そもそもじゃ、動画配信が脳汁でまくりじゃろ。 可愛くて少しご利益があるだけで、もう信者が沢山出来て心が埋まるのじゃ。長く生きててこんな幸せな事はなかったんじゃ。あ、でも働きたくは無いのじゃ。 アヤメの訓練とか神様の仕事の24時間ワンオペ河川の監視とかいかれてるじゃろ。深夜の牛丼屋並みの労働環じゃよ。心の洗濯サボりしてたら、即制裁神が 『メンテナンス』 とか言ってボコってくるんじゃぞ? 労働倫理、どうなってるんじゃ?」


早口で長文ですね~。

逆に脳電波で攻撃されました。


「リュウナちゃん、つまり。まずは、コンタクトを取るって事でいいですね。分かりました」


「そうか、分ってくれたのか。わらわ嬉しい」


全く嬉しくなさそうなリュウナちゃん。

仕方が無いので、捕まっていたお二人に自己紹介をする。


一人はゴシック子女風な小公女的な感じのお方と、もう一人はお付きの方でしょうか。


「お二方、大丈夫でしたか~。はるか遠くから旅している、私、アヤメとリュウナちゃんです。道中ですね、人のなりますまし、ドッペルゲンガーって分かります? が、居たので肺を刺して退治しました。 この世界モンスター達にも人権って適応されますか? 大丈夫ですよね。 私達町を探していて、良かったら一緒に行きたいのですが~」


「アヤメ、その通りなんじゃが、なんか怖いのじゃ」


私も、最初は人の姿を借りたなりすましモンスターを倒すのは、怖くてちゅーちょして気が引けました。

でも不思議な事に人は、苦痛に慣れるものです。


礼をすると小公女が礼をしてきた。


「お助け頂きありがとうございます。盗賊たちに道中襲われ、人質になっておりました。 国から助けが来たものとばかり。 街ですか。ぜひ案内させてください」


一緒に街に行くため、扉を開けるとゴロゴロと転がって、うめき声を上げる盗賊さんたちを見て 「ヒッ」 「キャッ」 と、とても小公女らしい反応を頂きました。


後、私が好きなゲームの様に盗賊の家に入って棚とツボと宝箱を漁りました。

勇者とか、黄金三角に導かれし者の世界では当たり前の事で、そもそも漁らないとクリアーできません。

不思議な倫理観ですよね~。


――


外に出ると天気は回復しており、太陽の光が少し眩しい。


「おそらくここは、国境の境目でしょう。 盗賊達はここを根城にしていたのですね こちら側の山岳の方に向かうと、私達の国バイリガ、そして、この獣道を越えて砂山を7回越えた所に最近できたイオーリ新興国があります」


丁度、辺境に飛ばされましたか。

なんか、異世界転移って町のど真ん中に飛ばされないですよね。

このような案内人をしていただけるイベントが毎回あって恐怖を覚えます。

対応して頂いているのにイベント扱いは失礼ですか、考えすぎですかね~?


「アヤメ、折角じゃから公女の国へ、行ってみるかの? そこで生活基盤を整えて、情報を集めればいいのじゃ」


「そうですね~。道中お話しながら、向かいましょうか」


「「承知致しました」」


――


砂地の街道から、景色は変わり草原に出た。


そんなこんなで、少し歩いた所で昼となり食事の準備をする。

キャンプ用品をアイテムボックスから取り出し、魔石コンロと魔石レンジを取り出す。

グツグツと温めてチンして完成です。

つまり、料理はですね。愛情だそうですよ~。


最近の高めのレトルト食品おいしいですよね~。

餃子、シュウマイ、チャーハン、ピラフ、ハンバーグ、パスタソース、お好み焼きと、上げたらきりがありません。


あっ、展開的に素材から調理始めるのを期待しましたか~? 乙女の手料理ですか。

時代は、分業の時代ですよ~。 どちらかと言うと、私のために作ってください~。


配膳の準備は付き人の方が手伝ってくれた。

レトルトは量が少ないの1人で3人前で、お好み焼きと餃子とご飯。コンソメスープと行きますか。

リュウナちゃんは、手伝うことなく、すでに席に座って食事が出て来るのを待っています。


食事は、誰かが作るんですよ。リュウナちゃん分かります?

座ったら出て来るのもではないんですよ? 手伝いませんか?

と、小言を言うのもどうかと思案にふけっていると。


「アヤメ様、アイテムボックスをお持ちなのですね。 イオーリ新興国とご関係がおありですか?」


と、食事をしながら聞いてくる小公女セイラさん。


「いえ~、特に関係ないですね~」


「そうでしたか、コサーメ大神様がイオーリ新王国にご降臨されて以来、アイテムボックスの加護を与えられた者達の行商が盛んで、その関係の方達だと思っておりました。近隣国が、急な発展で大きな変化に悩まされております」


ご説明丁寧にありがとうございます。なんか、話がおかしくなってきました。

この話、どこかで聞いたことありますよね。


「詳しく聞かせてもらっていいでしょうか~」


「はい、近年国を興したイオーリ様が、砂の放浪の民や集落をまとめ上げ国を興した所。コサーメ大神様が降臨されまして、大容量のアイテムボックスの加護を使える人族と魔族の使徒達が国を発展させ、行商を始めました。 コサーメ大神様は、隣国の国の友好の証として、方にアイテムボックスの加護を大なり小なり与えて下さいました。 物の流れは大きく変化しています。もちろん、この変化に良く思わない方もいらっしゃいます。富を得てよりよい暮らしを求め働く。際限ない不幸な事だと私の国の賢者様達は、言っておられます」


あれ? 伊織? 小雨様?


「アヤメ、もしかして、少し時間軸のズレがあったかもしれんのじゃ。あと、お好み焼きと餃子もう1枚づつ欲しいのじゃ」


なるほど、どのぐらい時間がズレたのでしょうか。

前も異世界に渡るとき、時間の流れの違いがありましたよね。

そんな事を考えながら、お好み焼きと餃子をレンジに入れる。


「う~ん、伊織と小雨様、私達を待っていた可能性がありますよね。 セイラさん、伊織王国が出来てどのくらいですか、何年ぐらいたってます?」


「建国宣言を出されたのは半年前です」


そんなに経ってませんね。

行ってみますか、イオーリ王国へ。


「セイラさんありがとうございます。私達ちょっと行く所が出来ました。お二人、ここから無事に帰れそうですか? 攻撃用の属性魔石をお渡ししますので、また襲われた場合、これ使ってください~」


攻撃用の属性魔石を取り出し渡す。


「これ、コサーメ大神様の軍事用アイテムでは・・・!」


「なるほど。私達、関係者みたいですね~。 確認しなければいけない事ができました」


「そうじゃの~、行くとするか。 わらわ達の出現を待ってたとしたら、ありがたいことじゃの~」


――


昼食が終わり、お二人に別れの挨拶を告げる。


「お礼も出来ずに申し訳ございません。 本当に助けて頂き、ありがとうございました。ぜひ、私の国へ訪れる際は、きっと、必ず私の所へ寄ってください。 ご恩を少しでもお返ししたいのです」


と、お邪魔することを約束し、お二人と別れた。


「リュウナちゃん行きますか。抱っこしますね~」


「承知したのじゃ。しかし、異世界からの救助手配が早くて助かるのじゃ」


本当ですよね、まだ伊織や小雨様じゃない可能性もありますが。


リュウナちゃんを抱っこして、景色を置き去りにする。

もしも道に迷ったら、飛行の魔導書を使えばさすがに何かが見つかるだろう。


ボロボロの街道を突き進み、砂山を何度も超える。

7度も超えただろうか。

ちらほらと景色の中に、地球で見たことのある重機がいくつも見えて来た。

インフラの工事でもしているのだろうか。

そのクレーン重機の塗装の所の文字には、『小雨カンパニー』 と書いてある。

もう、決まりだろう。私達を待っててくれたのか。


そして、さらに進むと日本近代ビル見たいな物が見えて来た。

その中に、恐ろしいものがランドマークとして存在していた。


私とリュウナちゃんの巨大な銅像フィギュアだ。


「アヤメ、なんか目がおかしくなったかの。わらわの銅像じゃ」


「奇遇ですね、リュウナちゃん。私の銅像にも見えます」


なんと言う、特急呪物を作り上げたのでしょうか。

世の中有名人の方は、丁重に銅像作成をお断りしていると言うのに。


昔、私の銅像を建てる案件、断わりましたよね。小雨様?

いや、伊織ですか? 許可なく建てたのは許しません。


近代ビルの外周に着くと、空から人の気配がする。


この気配知っている、アリエノールさんだ。

こんなに早迎えに来てもらえるなんて、すごく嬉しい。


空から、フワッと、魔族アリエノールさんが降りて来た。

そして、服装がおかしい。

はっぴを羽織っていてと胸がさらしで巻かれていて、ふんどしに似た袴をはいていた。お祭りで男の人が来ている様な服装になっている。

元の素材がモデル並みなので、とてもエロいと思います。


「覚えがある気配を辿ってみたら、アヤメ殿じゃないか。久しぶりだな。待っていたぞ、人間。 ああ、時間のズレてそっちの感覚だと最近なのか?」


「「アリエノールさん!!」」


思わず抱きつきに行く。

しかし、弾力のある胸に顔がボンと、弾かれた。

そして、リュウナちゃんも胸に弾かれる。

これが種族値ですか? 不公平です。種族値が低い、ポコモ〇も何とかならない物ですかね~。


胸の弾力でたたらを踏んだ所、アリエノールさんが、ギュッと私を抱きしめてくれた。

そして耳元で囁いてくる。

露出の多い魔族さんは、エロチズムの塊ですよね~。ドキッとします。


「本当に、待っていたぞ。人間。 この私を見てくれ。いや、まず。説明しようか。伊織さんチームが救助の先遣隊で、この次元の安全性を確保した。 アヤメ殿が、3か月から半年でこの星に出でてくる可能性が高いとの唯一神様の話だったからだ。 ただ、何もせず待っていても、すれ違いが起る可能性がある。ランドマークの銅像を目印にし、交易と情報収集を兼ねて、拠点を作ることにしたのだ」


「「なるほど~、早い救助、嬉しいです! 本当にありがとうございます!」」


「いや、礼を言うのは、こちらだ。小雨様と近隣諸国に挨拶した後は、地球と同じやり方だな。アイテムボックスの加護を皆欲しがる。私がここの流通経済のトップを任された。襲われても跳ね返せる実力のある魔族と契約し、加護を与え交易をしてもらっている所だ」


なるほど~?

アイテムボックスチート国政系でしたか~。


「で、だ、ここの王は伊織さんなのだ。 この拠点の最高戦力であり、一国の力に匹敵する。はびこるモンスターの一掃や、近隣諸国のモンスターの鎮圧が出来る。王として置くにふさわしい。 だが私達は、伊織さんに借りがある、我々魔族は契約を重視する。 小雨様や舞課長が居ない時、伊織さんに逆らえないのだ。 みてくれ! この頭のおかしい服装を! 国の正装だと強制してくる! この町の皆がこの様なハレンチな格好をし、喜んで着ている。 狂っている。あと、尻胸をスキンシップと言って事ある事に揉まれるんだ! だが! アヤメ殿が帰って来た事により、これで伊織さんの王朝は終了だ! お疲れ様でした!! 早く連れて帰ってくれ!」


何でもしますとか、軽々しく言う事じゃないと言う事ですか。

自分が王になったあかつきには、祭りのエロを再現する。なんと小さな伊織の野望でしょうか。

賢王の素質があります。


「承知しました。 伊織を連れて帰りましょうか。リュウナちゃん」


「当日帰宅できるとは、わらわ達ついておるの」


――


アリエノールさんについていき、和風な建築の平屋に入る。


「アリエノール様の御なりぃ~」


と、ふんどしと羽織だけの姿の褐色美少女が門を開ける。


砂の国でふんどし。 この星の文化の破壊を進めていますね。

これは、マジに伊織を早く引き取った方がよさそうです。


中に入ると、門番さんと同じ姿をした人と魔族さんがアリエノールさんを出迎える。


「お帰りなさいませ」


「ふむ、ご苦労様。 イオーリ王は、今空いているか?」


「えぇ、空いてます。正直いいますと、この周辺にもう、我々では歯が立たない様な危険なモンスターは、滅されて居ません。 イオーリ王は、めちゃくちゃ暇してますのでボッキーゲームとやらで、村娘達と遊んでます。 言い換えると、彼女たちに我々の代わりになってもらってます。 われわれは、十分な社会貢献をしている。全体を生かすために少数の犠牲は、仕方のない事だと思います」


アリエノールさんは、それを聞いて一つ頷き。


「もう、それも終わる。伊織さんのお役目が終わりだ。イオーリ王が異動だよ。皆、喜ぶと良い」


周囲から大歓声が上がる。


「「「超セクハラ上司の転勤を願わなかった時は無い! やったー!! 夢が叶った」」」


「私、胸、揉まれた」 「お尻揉まれた」 「くぅ・・・、飲み会で飲みすぎたばっかりに・・・朝、服を着てなかった」


など、セクハラの報告が次々と上がっていきます。

やつは、狡猾です。

グレーの範囲で攻めてきますよ。


喜びがあふれる中、私達は扉の中でポッキーゲームをしていると言う、伊織の部屋を開ける。


「帰りますよ? 伊織?」


あれ?

異世界に飛んだ私達に 「帰りましょう」 とかけられる言葉では。


『帰りましょう』 って


ですよね?


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