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90 終ショウタ

ショウタ


リザ、何てことをしてくれたんだ。

お帰りと同時にアヤメさんを異空間に放流するとは。

お前はすぐに来れるかもしれないが、アヤメさんはそうもいかないんだぞ。


あ、リュウナさんも巻き込まれましたか。

まさか龍種族の扱いが上手いとは思いもしませんでした。

見事なチームワークによるリザの強制退去たったと思います。


もう間もなく、小雨様が外に出て来る事でしょう。

一先ずは、取り繕います。

後、数分以内に地球を修復して、神様に謝礼をお渡しして、ネコさんと一緒に小雨様ご一行のお出迎えです。


どんな地獄の様な工程だろうと、納期に間に合えば問題ありません。

例え、工場停止トラブル、広がるパンデミック。そして、度重なる問い合わせ。

「納期マジに大丈夫ですよね?」 「もちろんです~。この納品しましたら、次空きますので打ち合わせお願い致します」  と、工程の復旧の目途が見えずとも地獄のサイクルを繰り返そうとしても!

間に合えば、全て良しなのです!


企業戦士を甘く見てもらったら困ります。

まずは霊薬を二本取り出し握りつぶし、星々と世界を修復します。

そして、制裁神様と破壊神様に多めに現金の包みを渡します。

旅館ご招待券も何枚か包みます。

装備も新調致しましたし、十分な対価でしょう。


「制裁神様、破壊神様、ありがとうございました。お気持ちですがこちらを受け取ってください」


「「あぁ、またお願するわけ。でも飛ばされたアヤメさんどうするわけ?」」


ですよね、保留です。


「その辺はこちらで、対応いたします。 ささ、小雨様が来る前にお戻りください。地球での権能の使用はうるさいみたいじゃないですか。 何かご相談事があったら旅館まで・・・。 本日はありがとうございました!」


やれやれと首を振りながらシュインとお二方が消えて行った。


隣でカタカタと震えている猫さんが話しかけてきた。


「ご、ご主人、どうする気にゃ・・・? アヤメ殿とリュウナ殿が飛ばされてしまったにゃ。 吾輩もどこに飛んだか見当がつかないにゃ。そもそも、この星の有頂天アイドルにゃ。頂点なのにゃ。損失補填で会社吹き飛ばないかにゃ? 二人がいつもどれるかも見当もつかないにゃ」


ああああああああああああああ! 現実が襲ってくる!


マジにどうしよう。 異世界転移技術が得意じゃないんだよな。

異世界転移技術が超得意な神と言えば・・・、ダリアあああああああああああ!


保留だ。


「アヤメさん救出チームを組まないとですかね。 その対価でうちの旅館暫く借金状態になりそうですが。借金はしたくなかったのですが、仕方なさそうですね。 異世界転移技術持ちのネコさん、救出メンバーのリーダーお願いできそうですか?」


「・・・そうなるにゃね~。 ご主人、ボーナス頂くにゃ。 装備を強化して欲しいにゃ」


仕方ないでしょう。


「わかりました、異世界転移技術は得意じゃないのでお願いします。はぁ~、異世界転生が得意なダリアと話し合いか。頭が痛い。どのくらいの対価とられるのでしょうか、考えただけで身震いしますね」


おっ、痛みを感じている。 自分の心が痛みを感じている。

これは、ストレスだ。決定的な決別をした客先に行く 『どの面を下げて来たんだ?』 と、罵声の連携コンボで繋がる8割コンボですね。 ク〇がよ。


「人の命運がかかっているにゃ。仕方ないにゃ」


ですね。


――


それから、少し経つと

小雨様達が完全に修復され綺麗になったダンジョンから出て来た。


元通りになったダンジョンの街道、そして周辺。

天は高く、空が青い。大地と自然を賛美する鳥と木々のざわめき。

小雨様もご満足いくと思います。


小雨様の怒声と罵声から入られる事は、避けなければ。

一番目の印象がこれからの流れを決定づけます。

覚えておくと良い、商売事は印象が一番大事だ。 うまい! 安い! 可愛いかっこいいだ。

ク〇の様な真実だが、世の中そんなものだ。


まずは、金髪のウェーブの我らがご神体の小雨様。

何事も無く、無事にお戻りになられた様子。


隣には拘束された偉そうなツノ魔族を意気揚々と戦利品にして担いでいる伊織さん。

まるで古代の蛮族のご様子。この現代で中々見れない光景です。


そして、伊織さんにしがみつくアリエノールさん。 「乱暴乱交はよせぇえええ!」 と、おっしゃっていますが。伊織さんが担いでいる戦利品なら大丈夫ですよ、向こうの権力者に乱暴はしないと思います。 価値がある限りはですが。


最後に舞さんが魔銃を構えて、伊織さんに向けています。

物騒ですね。でも、今撃ったら負けですよ。撃つには、逃げ道を無く証拠を集めるまで我慢です。


さぁ、英雄達を大きな声でお迎えいたしましょう!!


「「おかえりなさいませ!!」」


「おおぅ、あれ? もうリザ殿の件はいいのか? ショウタ殿も魔族侵攻未遂の件、応援ありがとう。早く決着が着いて助かったよ。また頼むかもしれない、宜しく頼む」


ほら、小雨様に好印象です。日頃からの営業活動が実っています。

まずは、ここからです。

社員お二方も、自分にビスネス的な礼をしてきます。


「ショウタ支配人、お世話になっております。 あの、昔に私を束縛した光の輪、閣下の拘束解いてもらえます? この人間から邪気が出ている。 何をしでかすか分からない。怖すぎる。後は私達がやりますので、一度、護衛のアヤメさんと伊織殿を返したいのです。うん、アヤメさんどちらです?」


「ショウタさん、アヤメさんどこですかー? 伊織をこの件から早く外したいのですがー」


感のいいやつらだ。

困ったな。


「なるほど。ショウタさん、この拘束を外してもらっても大丈夫そうです。 アリエノールさん、今夜から一人で、あのホテルラウンジに来るんだ。もちろん部屋はもう取ってある。これから1週間の約束ですよ。いいですね? ゆっくりお話しするだけだ。 『なんでもする』 への二言は信用問題だ。 あれ? アヤメに何かありました? 怪我でもしましたか?」


伊織さんが、動物並みの直感だ。

ここは、正直が一番です。

まずは、深く頭を下げましょう。


「小雨様、皆様、申し訳ございません。 アヤメさん異世界に飛ばされました。助けに行かないと中々に戻れない感じです」


「「「は?」」」


「まて、ショウタ殿が居てそうなったのか? ううん? 全てがおかしいな? なぜ、世界が何事も無かったように周辺が綺麗なんだ? リザ殿との闘いだろ? ショウタ殿とネコ殿、アヤメ。星が耐えれなさそうなら権能持ちが出て来てるはずだ。 おかしいぞ。どうなっている。何を隠している」


小雨様気づいてしまいましたか。


「たった今、リザに破壊された世界の修復が終わった所です。事もあろうにリザの退去時に苦し紛れでアヤメさんを引っ張って行ったのです。お二方はお役目を終えられて帰られました。もちろんそんな蛮行は、許せません。 そして、守れなかった自分の落ち度です。大変申し訳ございません。その点については謝りますが、皆様大変、頑張りました。全体的にリザが悪いですよね」


「物は言い方にゃ~。その通りでなぜ腹が立つにゃ?」


おだまりなさい。

責任は、誰にでもあるのです。だから部分的に謝るのです。

言ってしまえば、軽々しくアヤメさんを貸した小雨様の落ち度でもあるのです。

ネコさんが守れなかったせいでもあるんですよ。アヤメさんも拘束された自身への責任でもあります。

先手を打ちました、責任のありかは詰めれないでしょう。


「そうですか、ショウタ殿。 だがな、小雨様は 『あなたに貸した』 そうだな? では、返してもらおうか」


アリエノールさん、本当に嫌な客先担当者だよな~。 クレーム起こしたら締め上げるタイプ。

責任曖昧にしないか? ここで、争っている場合か? 


「じ、事態は一刻を争うと思います。早く救出にいきませんと。今、責任をですね、追及しても・・・」


「返せないんですかー? アヤメさんとなると補填概算 3000億ぐらいですかねー。 弊社と懇意にしているショウタさんの所ですから、ご相談に十分応じますよー」


舞さん? おやさしいですね?

金額がお優しくないですね? 何その金額。


「事態は急がないと思う。正直、アヤメならどこでも生きていけると思う。 ただ普段の仕事のメディア、活動、魔石、探索攻略。 全部キャンセルだ。 フフッ、金額を考えただけで笑いと絶望が押し寄せ来る。補填は、ショウタさんお願いします」


伊織さん。

その辺は、思っていても言葉に出さない物ですよ。

絶望は、何も生みません。


う~ん、地球での儲けが全て飛ぶな。


「ショウタ殿、大丈夫だ。我との仲じゃないか。無茶は言わない。まずは契約書持っていくから。 後で今後を話し合おうか」


小雨様にあまり怒られなくて済みました。

手心がありましたね。普段、顔を出して懇意にしているからこれで済んだのですよ。

初対面とかでアリエノールさん辺りに対応されると会社が吹き飛んでましたね。

現金で解決できそうですかね。


ですが、お二方の命がかかっていると言うのに現金解決は、ドライだと思いませんか?

お互いに今後がありますし、揉めないのが一番ですか。


ただ暫くは、小雨様に弊社をコントロールされそうです。


さて、アヤメさん救出メンバーを決めて、ダリアに行き先の次元候補を相談しなければいけません。


マジにいくらかかるんだよ。


「伊織さん、アヤメさんの救出メンバーの参加お願いしていいですか。 転移経験が豊富なネコさんに着いて行ってもらおうかと考えてますが、後、どなたが必要でしょうか。 ここまで来たら、準備のお金関係と経費は自分が出しますから」


ポニーテールがフサッとしている伊織さんが、少し考えた。


「舞とアリエノールさんは、少し難しいか。 ショウタさんの前で言い方が悪いかもしれませんが、毎日、暇しているポム連れて行きます。最近、動画しか撮ってませんよね? 後、連絡用に啓示神様もお願いします」


そんな所でしょうか。


「承知しました。啓示神のアンテナさえあれば地球に問題で無いですし、ポムさんも優秀ですし、大丈夫そうですね」


「その旅、我もいけたりしないか」


「「「無理です」」」


無茶を言う神様だ。


「真面目にやっていると、こんな事があるんだな。ついに私が主人公のハーレムライフか・・・! 惹かれているが、自分の心に正直になれないポム。無防備な啓示様。心切ないストーリ。そして、隣に猫か。アニマルだと、ふざけているのか」


いえ、伊織さん。

残念ながら物語はもう終わりますよ。


――


アヤメさん救出のためにダンジョン99Fの門からダリアの次元へ向かう。

これからの展開を考えるとイラっとするので、黄金宮殿のドアをぶち破る。


自分が作った宮殿です。

破壊行動も許される範囲でしょう。


「来たわね、ク〇野郎。 小雨神から聞いてるわよ」


玄関口では、この星の唯一神ダリアが待ちかまえていた。


「なら、話が早いですね。 予測でいい。アヤメさんとリュウナさんは、どこへいった」


「何 「『その態度? それが人に物を頼む態度かしら?』」 「ダリアの語呂力笑える」


見事にハモる。 行動の予測が出来て嬉しくて、指を二本立てる。もちろん両方の手で。


何て言ってくるかすぐわかる。地球に来るまで、ダリアの事を考えない日は無かったぞ。

絶対許さないと言う気持ちが、今の自分を作り上げているのですから。


ダリアが黄金の剣をブゥンと、顕現させる。

そして、黒髪の女勇者クロエが間髪いれずに突撃してきた。


「マジに何しにきたの? 魔王ショウタ。 煽りにきたの? お互い話し合いとか無理だね。 ダリア様、そのアヤメさんが飛ばされた次元の候補上げて帰ってもらいましょう。 苦情をあっちの次元に挙げましょう? その方が得だね!」


む、それは困る。

小雨様にご迷惑をおかけしたくない。


「あぁ? いくら払えばいいんだ?」


「ショウタ、黄金宮殿も飽きました。 純正クリスタルかミスリルで建て直しなさい」


ぼったくりかよ。

まぁ、いいか。ミスリルぐらいなら。ほぼ無限に作れるし。

長居するつもりはない。建ててやるからとっとと教えろや。


「超必要ないよね? 無駄なランドマークだね?? 魔王の願いをこの様なアホな形で消費するの?? 魔王ショウタ、いい加減にしないと嫁と息子を呼ぶよ? いや。待って。これが私の義父になるの? 毒親じゃん? 異世界転生しても、何も変わらないじゃない。 あ、〇にたくなってきた」


急に鬱になる勇者クロエ。


え、これが身内になるのか。不安だな。

クロエさん、前の人生諦めてた感じでしょう?

ちょっと責任と常識が無いですよね。子供ができたら、親にされた事とおなじ事をするみたいじゃないですか。虐待する可能性高いわけですよね。 今、そういう傾向が分るわけですし。


まぁ、自分、親と言う責任を持ちたくないのでよしとしましょうか。

結婚でも何でも好きにしてください。


「わかった。ミスリル宮殿を建てよう。で、アヤメさん達どの辺に飛ばされているんだ?」


「ほ~ん、もう少しゴネても良かったか。 まぁいいわよ、だいたいこの辺ね。あんた、異世界転移不得意なのに分る? まぁ、教えたから。大丈夫よね。 そしたら後宜しく~」


はいはい、ありがとう。

じゃ、ミスリス宮殿にしておくから。

さよなら。


「あれ? 腐れ縁? 距離感近いね? あ、近すぎるから憎いってやつだね」


と、宮殿を去る。


クロエさん正解です。

距離は超近いよ、お互い憎しみいつも思うほどに。


――


さて、次元の目途はついた。

アヤメさんとリュウナさんを助けにいってもらいますか。

啓示神がいるから連絡が出来るので、不具合や無理ゲーがあったらリスクを負っても自分が出ればいいだけですし。


そして万が一、リザとの遭遇にも備えなければ。


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