表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

88/95

88 アヤメ

アヤメ


正直に言うと魔族の肺を刺して、ゆっくりお話したい所ですね~。

小雨様に非礼がすぎます。仕事抜きにして、めちゃ好きな神様です。尊いです。

能力主義で正当評価、あと優しいです。

まだ、小雨様の巫女は居ないですよね。小雨様いいですよね~。

巫女とかどうやればなれるのでしょうか。


魔族二人とダンジョン内に入り、私達は着いて行く。

かつての仇敵も今の私達の敵では無い。気配が弱すぎる。


このまま話し合いになって交渉決裂したら、全員を刺し転がしますか。

加速剛力の魔導書使えば、1000体ぐらい瞬きする間も無く終わるでしょう。


私は、小雨様の近くにススッと近づき耳元で囁く。

小雨様の金髪のウエーブが少しだけ私の顔に擦れた。


「小雨様、どうして我慢強いんですか? 凄い胆力ですよね~。もう話し合いやめて分からせませんか~」


「うおぅ。びっくりしたぞ。アヤメ、誰もがいずれこうなる。我慢強くなる。前マユミ統括は、抜き身の刃の様でもっと酷かったぞ? でもアヤメも後10年もすれば、こうなるぞ。そうそう、生涯一級冒険者なんて無理な話だろう。 誰もが剣を置き、履歴書を書いて就職する時が来るのだ。仕事なんて我慢の連続だぞ? そうだ履歴書の書き方分るか?」


ああいいいい! 履歴書なんて書いたことありませんよ!!

めちゃめちゃ怖い現実的な事をおっしゃってきました。

誰もが全てを犠牲にして、霊薬を求める理由が分かりました!

もう二度と、手放せません。 私が、就職ですか?! この冒険の延長ではなくて??

私が育成とか管理ですか? 自身がありません。リュウナちゃんですら育てれないんですよ?


ショウタさん! 時が来たら、若さと引き換えに私の魂と交換もやむを得ません!


――


アリエノールさんが、顎を掴み考え込んでます。

そうですよね。これでは、ショウタさんかリザさんにゲートを開かれて、引っこ抜く系のピゴモンゲームみたいに同族が使役されてしまうのが目に見えてます。

戦う前に話し合いの和平なら、いくらでも道が開かれると素人でも分かります。


仮に伊織に捕まえられてしまい、獣魔契をされてしまうと大変な事になると思います。

これを機に、伊織に魔王の風格が備わると思います。

全力で捕まえに行くと思いますよ。異世界だから人権は適用外だと思います。


不穏な空気の中、ダンジョンを進み、開けた大広間に出た。

60人もの魔族が居るだろうか。私にとってものの数では無い。

魔族は数が少ないと言う見解は、本当だったのだろう。

確かに、単体が人より強かったが。

不自然に明るいダンジョンを歩きながら、小雨様がため息を一つつき、アリエノールさんに話しかける。


「アリエノール。もしも、お主が迷い、向こうに着くと言うなら止めぬぞ。 今後お主の人生で、この選択が幾千の夜に目覚め、記憶に苦しむと言うのが分るなら、敵対し華々しく散る事を選んでもそれも人生だと思う。だが、こっちにくるならお主だけは守れる。 今後お主が会社で、世界で影響力を持つなら、魔族の待遇も変るだろう。魔族の差別もあり、長い道のりかもしれない。どうする?」


うわ~、優しすぎます。

正直、惚れました。 これトキメキですか?

それとも戦闘前のドキドキ高揚で、つり橋効果ですかね?


あ~、小雨様って触感やわらかいんですかね? 伊織の様に鍛えられた肉体の様に抱擁は固い? それとも舞ちゃんの様に緊張でぎこちない?

神様ですもんね。どうなんでしょう。 あ~~! 温泉の時、もっと知っていれば良かったです!

なんとなく伊織の気持ちが分かりますよ。知りたいんですよね。


アリエノールさんの気配が変る。

苦笑が漏れたか、少し明るくなっている。


へぇ~。ここで、明るくなれるんですね。

あれ? 展開が見えます。 命運掴みましたか?


「フフッ、小雨様。身内に優しすぎます。世界の支配者に取って良くない事ですよ。そういう方だから、あの邪悪な66Fの住人達や異世界の者に付け入られるのです。そうですね、今、なにより確かな事が分かりました。これが、命運。 小雨様、アヤメさん、伊織さんを貸して頂けませんか? 終わらせてきます。舞主任、小雨様とリュウナさんを頼みました」


「いや、アリエノール。説得はどうなった? 我の近衛は蛮族思考しかおらんのか・・・」


うん? リュウナちゃん頼みました?

一番槍でいきますよ。 一番乗りは、戦場の誉だそうです。

リュウナちゃんは、敵中央に放り込みますからね~。


広間に着くと、何か魔王っぽい衣装の角でツノの見たいな、おへそを出した肩ツノパットみたいな方がいらっしゃいました。 多分、偉い人です。 質感が上品で余裕があります。

後、60人ほどに囲まれています。


「アヤメ、この党首。私の戦利品だからな。取らないで欲しい。私の物だ」


ヤる気です。

私も戦場への一番乗りのうま味を頂くとしましょうか。


さて、ここで和平成功させないと、もうダメな所まで来ています~!


アリエノールさんが前に出てます。最後の説得でしょうか。

非礼を働き人を見下す種族です。

「ヤレ」と言われれば、ここの全員の肺を刺してブチ転がしますよ。

この気配なら、超加速の魔導書は必要ありません。


アリエノールさんが、礼をする。

そして、話始めた。


「閣下、お久しぶりです。 降伏してください」


あれ~、説得を諦めてますか? これで、「はい、降伏します」 とかならないですよね?

あぁ~、私達との力の差が分からない存在ですもんね。 やり合った方が早いですよね。


辺りから笑い声が聞こえる。


「人間の犬が!」 「もともと文官だ。カスだな」  「いや? アリエノールが腕を上げてるぞ? 翼の色がおかしいぞ」


「「「ワハハハハ」」」


伝わらないのですね。

誰もが、理解し合える世界になればいいのでしょうが。無理そうですね。

これ、お父さんが見ていた、ガンドムの新タイプのストーリーみたいな感じですか。

人の遺伝子ごと取り換え変えないと、人はアニマルのままって事ですよね。


ここまでですかね?

今笑った方は、小間切れにします。


閣下と呼ばれた仰々しいツノ魔族は、ゆっくりと話し出す。


「卿ら分からぬか。この二人の力が感じられぬか。しかし、アリエノール、凄い刺客を放ってきたな? だが! アリエノール。しかし我らも99Fの門を越え、ここに来た英雄達だ。 この者達に劣っているとは思えないぞ」


ギリギリに閣下様は、話が通じそうですね~。


「閣下、この者達の気配をお判りになりましたか。 こちらに、この世界の人の神。小雨の命神においで頂きました。何とか和平の道を探れないでしょうか。和平が破綻すると私達は、隷属する事となります」


「「なんだと! 不敬だぞ! 貴様!」」


これが最後の我慢です。

次は閣下様を残して、超加速でブチ転がします。


さぁ! 小雨様の口上が始まります!

でも、ここの会話の流れから和平ってあります?


「さて、我がアリエノールに紹介してもらった、小雨の命である。 座るか? お茶もあるぞ。ああ、そうだ。この星の名産を出してみようか。かりそめの自由と平等の中で、それ気づかずに社会の歯車にされる圧倒的な社会の支配だ。お前たちも気に入ると思うぞ。我が支配を」


あれ、小雨様がめちゃ怒っています。私よりキレやすいんですね~?


でもアリエノールさんの扱いに怒ったんですよね。

うわ~。キュンとしました。 アリエノールさんずるいです。

小雨様、私もか弱い乙女ですよ~。 私のために怒ってください~。


「皆! 解放し、全力を見せよ! 力の差を見せるのだ!」


「「集団剛力、集団超加速、集団鉄壁」」


強化が通りました、魔族のお喋りでク〇みたいなセリフも聞けなくなりますね。


構えても遅いですよ。

時が止まっているかのように遅すぎます。


でも全員の首をはねる事は、小雨様は望んでないと思うんですね~。


時が味方し、青く澄んだ私の世界の中で地面を蹴る。

空気の壁が私を理の中に留めようとするが、私の移動は大音響と衝撃に変換された。


ドン! と衝撃と音を後ろに置き去りし、魔族の近衛の2人の肺を丁寧に4回刺す。


折角ですので、2個ある肺の両方頂きましょうか。

苦痛も2倍ですが、それは、人体の構造に文句を言ってください。2個あるのがわるいのです。


周辺の魔族も行きますよ。サクサクサクと。小雨様を笑った方は、肝臓と太ももと膝と丁寧に刺します。

一通り、肺を刺し終わりましたが、瞬きもまだ終わってないですね。

次に瞬きから目を開けた時には、魔族達も肺が刺されているのに気づくんじゃないですかね~。


そして伊織の気配が動く。

取りこぼしや未知のアイテム使用に備え、盾を出して構え流星の様に飛び出る。

閣下様へ一直線だ。

党首を押さえれば、確かに動きは止まるかもしれませんが。

それとも、この段階で捕まえに行ってますか?


どちらにせよ制圧完了です、抵抗したら首をはねればいいでしょう。


超スローな動きをしている小雨様の隣へスタッと戻る。

私の世界が閉じ、時は再び刻み出す。


「「「「「グハッ!! ゴフッ!」」」」」


大軍の魔族が糸が切れた人形の様に、地面に崩れ落ちた。


隣の小雨様が驚きの表情だ。


「うおぅ・・・、空圧を感じたら全員倒れているんだが」


伊織の方は、閣下様を引きずり倒し、槍を丸出しのおへそ部分に当てている。

おへそ出してますからね、もちろん狙いますか。

戦場に薄着で来る、自信過剰が悪いと思います。


「あっ、これぐらいの傷だったらわらわでも治せるぞ。 あ、今ごろ、この地獄絵図に対する恐怖が来たのじゃが。 何じゃこの地獄絵図は? 驚きより呆れるのじゃ。 これアヤメの本気かの? わらわ、怖くて逃げれんのじゃ。甘く見ていた所があったのじゃ」


リュウナちゃんが安全を感知したのか、前にトテトテと出て来た。


「小雨様、終わりですねー。敗戦処理ですかー。 一度戻って、ショウタさんと国への対応と必要な協力会社にこれからの概算の想定をしましょうかー。弊社だけでは、ちょっと対応を負いかねますねー」


そして、あたりは魔族のうめき声のオーケストラ。

たしかに、リュウナちゃん。これが地獄絵図ですか。


「あ、回復の光を感知したらまた、肺を刺します~! まだ生きてられますよね? 小雨様の話を聞いて頂けますか~」


さて、閣下様。お話ですよ。

この後、そちらの次元にお邪魔する、ショウタさんはもっと残酷ですし強いです。

賢明なお話を期待致しますよ。


その閣下様の服が剝かれ始めている。


「こんな姿で、戦場に来るとはな。当然、何か装備の隠し効果を持っているのだろう? 当然だな。 さて、脱がす。 そのプライドどこまで持つか・・・、さてどこに隠してるのか、正直に答えてもらおうか。 皆の反応で分るな。さて、諦めろ。私の物だぞ」


「伊織さん! 伊織! おい! 人間! やめるんだ! 閣下に乱暴をやめてくれ! おい! 部下の前で公開凌辱、闘志を折る一手かもしれないが! 頼む! 私には閣下と秤にかけれる物が無いかもしれないが! 後で何でもする! 何でもするから! お願いだ! やめてくれ!」


何でもするって言葉に伊織が反応し、おへそ辺りに槍を置くに留まった。

アリエノールさん、今の言葉高くつきましたよ。


「伊織め。あっ伊織さん。アヤメさん、なぜ私は、あのク〇野郎に私は惹かれるのか・・・」


舞ちゃん、わかります。

私の相棒、性的モラルなんて物が欠落してますが、魅力的ですよねぇ。

どうしてでしょう? 人とは、違う物差しのやさしさがあるからじゃなでいすかね?


小雨様が押さえつけられている閣下様の前に立ち、締めの言葉を話す。


「侵攻前で良かったな。命は助けよう。お主らの人権は守られると思う。 これからが我々が支配層だ。宜しく頼む。ああ、異世界の門にはもう逃げても追えるからな。無駄な抵抗は不利になるだけだ。分かっただろう。 さて、この契約に答えてくれれば、お主も部下の命も星も人権も助かる。 『この星の支配を受け入れるか?』 」


イエス以外の答えが無いのですが、聞かなければいけませんか。


アリエノールさんが、胸に手を当て跪き殉教の意を小雨様に示しています。

形式な殉教の礼じゃないのが分かります。魂と共に仕えると言う事でしょう。


小雨様となら悪くないかもしれません。

あれ? アリエノールさん、私の恋愛のライバルですか?


「馬鹿な。ここまで差があるとは・・・、ここで我々がやられても、まだ本体が残ってい・・ 『 る、かもしれないが、次は和平は無い。 今すぐ星へ戻り、普通の契約や国交の準備をするんだ。お主らには価値がある。獣魔契約で縛られると、どうにもならないぞ。 それこそ、その重装騎士の伊織に飼われるぞ』」


「私は、自由と権利と平等な立場、やりがい。信義、忠誠心。揺ぎ無き信仰。能力主義で成果主義。それに伴う見合った報酬。はありますが。 飼われる方次第ですよ。閣下、私はそこの伊織さんに飼われるのは、絶対いやですけど」


アリエノールさん。

何でもするって言ったの覚えてますか? 契約は命より重いですよ。


「・・・わかった」


と、言ったでしょうか。


ドコーォオオンと爆風が私達の髪を払う。

爆風と同時にショウタさんが息を切らして入ってきた。


「ああああああああ! ツえぇええんだよ! すみません!小雨様! リザが暴れ出してしまって、交渉中にすみません。 アヤメさん貸して頂けませんか? 戦力が足りない」


辺りに転がる魔族の群れをチラッと見た後、驚いたように話を続ける。


「あれ?? 魔族全員ボコボコにしてから交渉ですか? 動けなければ良いと思うので、治して全員を束縛すれば、いいですよね? すみません、急いでます。 危害を加えられないように全員縛るので護衛を伊織さんとその他でお願いしていいですか。 全てを封じでおきます! すみません! 世界と自分の危機です! アヤメさんお願いします! いきましょう!」


ショウタさんが瞬時にポーションを握りつぶし、光の輪が魔族全員に巻かれる。

昔、アリエノールさんを縛った簀巻きにする光の輪だ。


瞬時に全員が治り、光の輪に束縛される。


「これでいいですか! アヤメさん、いきましょう! 世界の危機です! ネコさんも出て来てます、アタッカーが足りない、お願いします」


「あ、これ動けんな。何もできないな。何だ? あの存在は。バグか? ファムるーこんぷたーで言う、バグったというやつだな。すまぬ、降伏する。我が魔族は、和平を希望する。 この度の侵攻してないな。侵攻してない。様子見だけだ。そうだ。 もちろん人の神に譲歩するがな? 友好的にいこうじゃないか」


今までの事を差し置いて和平と言ってきました。

偉い人はずるいですね。


こっちより、多分外の方がヤバイのでしょう。

さてショウタさんの方へ行きますか。

リザさん。剣を極めているのがわかっています。

全力で戦える機会があるとは、世の中何があるかわかりませんね~!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ