77 小雨様の強さ
時間が無く、分量が多いため推敲が甘いかもしれません。
ご勘弁願います。
小雨
待て待て待て! ここで我の番か?!
『この世界をぶっこわーす!』 と、宣言されて現在進行形で世界を壊しに行っている、とんでもない男の処理を我にしろと?
我がここのマプラ領主と、旅館ご一行のあやつらに説明するのか?
我は仲裁役の便利屋か何か? ふざけているのか?
制裁神の気持ちが分る。
言う事を聞かないやつらばかりでやってられない。
そうであろう? アヤメ? もしもし?
おい、アヤメどこだ。姿が消えた。
あやつ、よもや何も知らないふりして旅館ご一行に紛れ込んだのか?
あああああ、ストレスだ。
現代のイメージに合わせて禁煙をしていたが。
また吸い出すぞ。直接脳に来るうま味の錯覚ドーパミン。
やる気が出て疲れを軽減している気になり、前向きになる危険な煙である。
ま~ぁ、神々の寿命が無いんだから、スパスパと吸うかな。うまいぞ~。
でも、舞やアヤメに嫌われたくない。「タバコ吸う神様は、ちょっと~」 とか言われたら嫌だしな。
やめよう。
――
「お母さまの所に報告をして参ります」
ダリ殿が主幹者の母上の所に転移で戻った後になるか。
我らがショウタの相手をしている時、主幹者がショウタ殿探しにいっていた。
旅館ご一行様は、マプラ領でひとまず逗留と言う段取りとなった。
マプラ城内、メイドに案内され赤いカーペットの上をカツカツと歩き会食場へ向かう。
「小雨様の入室でございます~」 との声と共に我は会場へ入る。
まずは、マプラ殿に挨拶だ。
気づいたマプラ殿は立ち上がり、我に礼をしてくる。
「マプラ殿、すまない。このように急な会食を設けてもらって、助かるよ」
「いえいえ、小雨様。私の方こそあなたを助けられて嬉しいです。そして、貴重な異世界人との繋がりをありがとうございます」
素晴らしい教養だ。血筋の良さが伺える。
そうだ、目の前の気品の欠片も感じない会食場と違ってな。
バロック調の会食場にそぐわぬ、テーブルに見える積みあがる皿の量。
給仕達が大忙しで動いている。出された料理が一瞬で体育会系達の胃に入ってるようだ。
どんだけ食ってんだ。お主ら。
観光気分で遠慮という物をしらんのか。
「「「「んんんん~異世界の食事!! おいしいです」」」」 じゃないが。
タンパク質なら、口に入れたものを何でもおいしいとか言いそうだ。
蛮族の食事風景だな。
瞬間に消えていく、子羊っぽいのロースト、チキンの丸焼きの香草詰め。巨大なローストビーフ。
チームドラゴンタイプの制裁神とリュウナ食いすぎだぞ。人間の姿って事忘れて無いか。
いや、他も負けず劣らずか。
どうなってるんだ?? 自身の体積以上に食うなよ。
胃が異世界のゲートに繋がってるんじゃないか?
ゲートから排出されてびちゃびちゃびちゃと、人様の次元を汚してはいけないと思う。
「ささ、小雨様は上座の私の所へお座りください」
案内されるまま、マプラ殿の隣の席に着く。
マプラ殿の笑顔が眩しい。
友好的な関係を持てて、我も嬉しいぞ。
だが!!!
あ~、我が言うのか。この状況で?
『まもなく世界侵攻が行われます。必死で戦ってください』 ってか?
はぁ~意味わからん。
主幹者達。 あんな男を追ってないで、仕事しないか?
世界に向けてこの状況を告知して欲しいのだが。
まずは、マプラ殿にこっそりと話しかける。
笑顔のまま、こちらを向くマプラ殿。
その領主服の襟の意匠、山ぶどうがとても雅である。
「魔族と人間が憎しみ合うから、この星の唯一神の許可を得た魔王ショウタ殿が、世界にモンスターを呼び寄せるようだぞ。3日後には、世界侵攻らしいが。マプラ殿。どうする? この城の人間ぐらいなら、逃げ延びて地球で暮らしてもらえるのだが」
マプラ殿の時が止まった。
心なしか、意匠の山ぶどうも萎びた様に感じる。
そうだよな。そうなるよな。でも聞かずにはいられんのだ。
「・・・・・」
「返答は後で良いぞ。それと、冗談では無く残念ながら本当だ」
我はまだ食べ続け、皿を積み上げている連中の方を向く。
アヤメもいつの間にか、フードバトルに参戦している。
本当に良い根性しているよな。 一流冒険者だけある。
「あ~! 皆の者食事をやめて聞いてもらいたい」
全員が我の方を見た後、シュパパパと肉類を取り、自分達の皿を大盛にして席に着いた。
そしてアヤメが皿を置き、竜巫女リュウナを膝の上に乗せた。
う~ん。戦いたくない者は、この戦いから逃がしてやったらどうだろうか。
「まずは、よく来た? のか? 何しにきたんだ? いや? 観光か。 我も観光だったよな? なぜこんなことに? 意味が分からん。 また世界を賭けた戦いか? それ、毎週起こっていないか? イベントか? 課金感覚で世界滅亡なのか?」
思わず不満が出てしまった。
この世界に係わった責任と思う事にしようか。
我は立ち入りすぎたのか。
「すまん。 え~、3日以内にこの世界に強大なモンスター達が、跋扈(狂ったように侵攻)します。 それこそ世界の終わりとなります。 できたら戦闘員以外帰ってください。 ポム、旅館の方で非戦闘員の制裁神と啓示神の同行お願いしたいのだが。 エルフのお二人は、管理者なので何かあってはならないと思いますので、帰宅をお願いしたい。 アヤメより強いモンスターが出て来る可能性があります。いや、出てきます。 アヤメと伊織は、我と同行を。リュウナは・・・、逃げれんようだな。可哀そうに。 韋駄天は来なかったんだな。 ああ、普通の神だから信心が無いと消滅するのか。忘れてたな」
それを聞いたリュウナが叫び散らかす。
「アヤメェエエエエ! わらわに愛着を感じて抱っこしたんじゃないのかの!? やっとる事、えぐすぎないかの?! 戦闘なんてやれる事がたかがしれてるんじゃが!? わらわ支援系じゃぞ!? 当然、わらわ逃げるぞぉおお!」
アヤメが膝に乗せたリュウナをギュッと抱きしめる。
「えへへへ、これで逃げれませんね~」
サイコパス入ってるな。
何か可愛い所が狂っとるな。
「小雨様、承知しました。後、リュウナ逃げるなよ。私達は、パーティメンバーなんだ。異界に逃げてても必ず探し出し見つけるからな」
伊織もやばい。
このパーティの束縛感、とんでもないな。
「小雨様、承知致しました。ご主人様関係ですよね。即、逃げます。絶対その方がいいですよね」
『ポムちゃんと帰ります~』
「小雨さん、何とか参戦できませんかね~。制裁神として世界の破壊を見過ごせません~。参戦ダメならお金返して欲しいですわね~」
「承知しました。戦いましょう」
「姫様?! 話聞いてましたか? 脳内で世界の終わりで戦う事になってますよね。 私もです。さっきから世界の終わりのシチュエーションに脳を焼かれています。戦いましょう」
ダメだ。このメンバーは、頼りになりそうにないな。
もう意見がバラバラである。
「マプラ殿、全員戦ってくれるそうだ。一食一晩の恩、死ぬ気で返させるから。良いか」
やっぱりめんどくさいし、全員戦闘要員に突っ込もう。
ポージョンの配布要因ぐらいには、なるだろう。
「・・・。ぜひ今日もお泊りをお願い致します。 盛大に持て成します。最後の晩餐ですね。 小雨様、アヤメ様、今日と言う日が神話の幕開けとなる気がします。 この手に掴んだ平和がいつ終わるかと考え不安な毎日を送るより、戦っている日々の方が生きていると実感する・・・。 目標ができました。 この人の運命を好きにいじる神達を倒せる力を掴むと。アヤメさんと言う、人の可能性を知っています。 私は、運命に抗う力を手に入れる!」
こうやって、ショウタ殿が出来上がったのだろうか。
ショウタ殿とか一人でも手に余すのだが、どうしようか。
やっぱり、仲良くしようとは言わんが。
争わないのが一番な気がするな。とても難しい事だが。
よし、綿密な話し合いで方向が決まったな。
決まったよな。 決まったな?
さて、もう全員呼び寄せよう。
パパッと解決しようよ。
我は、バサッと風呂敷を翻す。
「さて、そうしたら我の言う事を聞いて欲しい。もし嫌だったら、それで良い」
アヤメ、伊織が胸に手を当て礼を取る。他も面々からも意見は出なかった。
「よし、制裁神、啓示神。 ポム、地球に戻るぞ。 そして、啓示の権能を使って、地球に告知して欲しい。主に韋駄天、剣神、マユミ、破壊神と使えそうな神々を連れて来てくれ。韋駄天は、会社ごと連れて来い。これで神の姿形は保てるだろう」
そして、現在の旅館担当者のポムを見て話す。
相変わらず、影があり美人すぎる。このやる気のない感じが独特の雰囲気を出しているのだろう。
「ポム、ネコ殿の協力なくしてここは救えない。我とネコ殿の協力の取り付けだ。 ポムは、後で望みを言え。ネコ殿と協力を取り付けたら、取り計らおう。 そうだ、身受けても良いぞ。うちで働くか? その後、我が社の主力を連れて来る。アリエノールと舞だ。あ、警備主任のタツロウもいけるな。 後は、ここで情報収集をしてくれ。 アヤメできるな?」
「小雨様、承知致しました」
「アヤメ、承知致しました~! お任せ下さい!」
『制裁神、これがカリスマってやつね。付喪神も素敵じゃない~』
「くやしいですが、カッコいいですわね。 やってやりますか」
我は、隣のマプラ殿の方に進み、手を握る。
「この世界の元凶と縁があってな、協力させてもらおう。世界がどうなるか分からないが、ここだけは守らせてもらう」
そして、我は続ける。
「アヤメ、主幹者と連絡を取り、ことの発端の流れを伝えるのだ。我らはもう行くぞ。皆の者よいな!」
「「「「「 承知!!! 」」」」」
って、転移スキル誰も持って無かったな。
それでは、走って門まで行くとするか。
我は人数分の加速の魔導書を取り出し一節唱える。
「集団加速!」
――
我らは、制裁神、啓示神、ポムで異世界を繋ぐ門に入った。
ダンジョン99Fの星海の間へ戻って来たのだ。
「集団超加速」
我の獲物の七節剣が無いのも忘れてたわ。
格好つけて友好の対価で渡してしまったな。
だが、いつか手放さなければならない貰いものの力だった。手放すには丁度いい機会だろう。
仕方が無い、99Fからダッシュで旅館に突撃だ。
「小雨様、この辺のモンスターは私の手にあまります。・・・?! えっ、ダッシュですか。 そうですね。ダッシュを失敗しても後でご主人様に蘇生してもらえると思いますが。でも、ミンチにされる感覚ってたしか残るんですよね」
ポム、後半の余計な情報をありがとう。
さて、旅館まで走るぞ。
『もう後悔してる。やっぱり異世界に帰っていい?』
何言ってるんだ??
こっちが、お主のあるべき居場所だろうが。
「いきますわよ~。 ここ最近で最高の体験と癒しが続きましたから、やる気に満ち溢れてますわね。 休みは必要よ。そうね・・・小さき者どもよ、我が力見せてやろう」
これは、話が早いな。
来るぞ。最強の龍が。
よし、まずはダッシュだ。
筋肉モンスター達のモンスタートレインを引き起こし走り続ける。
モンスター達の地響きが空間を揺るがす。
後ろは見たくない。
「ネコ様起きてくださいぃいいい! 二日酔いで寝てる場合じゃないですよ! ミンチになりそうです!」
旅館ブレスレットに走りながら叫び続けるポム。
ひとまず、70F辺りまで下りれば何とかなるだろう。
そして、ポムの力で何とかなると思う。
マジに危ないので 「鉄壁」 の魔導書も連呼する。
1、2発なら耐えれる力場だ。焼け石に水かもしれんが。
『ああああああ! なんでこんな事をしてるわけ? 異世界に帰に帰りたぃいいい!』
と、走りながら泣き言を言えるうちは、大丈夫だな。
「小雨さん、旅館に入ったら少し休まない? ね? 少しだけ温泉だけ入りましょ?」
贅沢に慣れすぎたドラゴン。
使い物になるだろうか。不安だ。
――
そして我々は、旅館に着いた。
ピロポロピローと謎の音源が出迎えてくれる。
一目散に制裁神と啓示神がレストラン方向に猛ダッシュし、お茶とコーヒーと軽食を取りに向かった。
そんな元気どこにあるのだろうか?
我も旅館のお茶飲みたいのだが?? お主らに思いやりって言葉は、無いのか?
時間も無駄に使えないので、隣で息を切らしているポムに語りかける。
「ポム、ネコ殿の部屋へ行こう。 ポーションLV5をタポタポとかけ続ければ、起きるであろう」
「ハァハァ・・・、承知致しました。そのポーション、私も飲みたいです。この美肌用の世界樹の雫と美肌用真エリクサーと交換しませんか?」
構わんが。それ、この旅館の備品じゃないか?
マジに交換して大丈夫か?
そのままグビグビとポーションを我らは飲みながら、旅館の機能でネコ殿の部屋に転移する。
ネコ殿の部屋にトントンとして返事が無いのでガチャリと入る。
中を見ると溶けている。ネコが溶けているのだ。布団の上でネコが溶けている。
ネコもネコアニマルも液体であると言う事が証明できてしまった。
部屋に入り、ポムと二人でバシャバシャとポーションLv5を振りかける。
ポーションの光が包み込み、ネコ殿の意識が戻った。
「・・・、休みの時ほど有事が起きる物にゃ~。この法則はどこも変わらないのにゃ~。 おはようにゃ、何が起こったにゃ?」
「他の世界がヤバイのだ」
「おやすみにゃ~」
そうだな。その反応を期待してしまって雑な説明をわざとしてしまった。
許して欲しい、何かワクワクしている我を。
「ネコ様、ご主人様が昔、暮らしていた星に大侵攻をかけるそうですよ。防衛失敗すると星が一つ滅ぶそうです。ネコ様の協力がどうしても必要みたいです」
ぬぬ、いつもポムから仕事に対してやる気みたいな物が感じられぬが、スペックが優秀だな。
瞬時に理解と出力ができるとは。
やる気のなさは、優秀なりの憂鬱という事だろうか。
「その発言に目も覚めるにゃ。相変わらず狂ってるにゃ~。で、吾輩は何をすればいいにゃ?」
フワッとネコ殿が浮き始める。
さすが、体質が古い会社のエースだ。話が早い。
ポムもそうだが、察する力が飛びぬけておる。
悪く言うと、ショウタ殿のワンマンでパワハラ体質な会社だよな。
「これから、援軍を地上から呼んでくる。その99Fまで案内と帰り道の確保をしてもらいたい」
「地上の筆頭管理者の小雨殿。その物語の最終回の様な動きに敬意を表するにゃ~。本当にご主人が他の次元で大侵攻するつもりにゃね。 最高にイカれてるにゃ。 ラブアンドピース。平和が一番だと思うにゃ」
理想はそうだよな。だが、平和のバランスが難しいんだよな。
生物は平和過ぎてもダメになるって、どういう事なのか。
生命と文化が争いから成り立ってる構造だからか?
まぁ、そんな事より、目下の大惨事を何とかするとしようか。
「では、頼む。『まだ、小雨神来ないなら温泉はいりましょ』 とか言ってると思う、連中を引き連れ地上で招集をかける。ご一行が着いたら連絡をする。そしてポム、ありがとう。ここでネコ殿とサポートをお願いする。星の命運が一つかかっている。一つ宜しく頼む」
「私、ここでいいんですか? 承知しました~」
欲を言えば地上まで来て欲しいが、ここでの仕事がベストだろう。
「小雨殿のご武運を祈るにゃ~」
我は、旅館転移でロビーへ戻る。
タオルを持って浴場に向かおうとしている、制裁神と啓示神。
さすがに、バツの悪そうな顔をしてタオルを隠す。
ほらな。
お主ら、贅沢を覚えて普通の生活に戻れるのか??
そもそも、金は誰が出してると思ってるんだ? と、その辺のバツの悪そうな遠慮が、なけなしの申し訳なさを演出しているのか。
「いくぞ。 また、季節のイベント事に旅館に誘ってやるから」
「『承知~!!!!! 超カリスマ~!』」
弾けんばかりの笑顔だな。
我らは、地上にダッシュで戻る。
地上の空は青く、光が我らを照らす。
相変わらずゲート前は、喧騒に溢れている。
そして、警備主任のタツロウが重装備で出迎える。
「ぬあっ、小雨様。 お帰りなさいませ。 ・・・なぜ、人は永遠を求め争うのでしょうか」
何か、タツロウが地面からフワフワ浮いて、全身に薄っすらとオーラを纏っている。
人は警備だけで、強くなるものか?
ああ、強くなるな。自宅警備も不安に押しつぶされそうで正気でいられないようなプレッシャーと毎日と戦っていると、不労所得系の位相世界の神々から聞いた事がある。
「最近、その答えを得たのだ。 相応じゃないからだ。タツロウ。永遠の力、人が使いこなせるか?」
「・・・! なるほど。 最近、自分は少し未来が見える様になりまして、・・・なるほど。地上管理筆頭の小雨様。 この力お使いください」
いや、能力付きすぎじゃないか。
お主の履歴書覚えているぞ、そんなスキル持ってなかったよな。
「了解した。後程、全員で異世界へ行く。もちろんお主もだ。 ここで待機しててほしい」
胸に手を当て傅いたタツロウ。
殉教の意だ。
さて、ようやく仕事だぞ。
制裁神。お主に支払ったコストに値するか見せてもらおう。
我は、制裁神と啓示神を見て頷く。
「さて、私も借りを少しでも返すとしますわね。啓示神よいか?」
『啓示の使用、制裁神が良ければいいんじゃない?』
「では~! 顕現しますか。 正直、贅沢しまくりでダレてるわね。神っぽい言葉遣いできるかしら? 引き締めなきゃ」
紫の着物の制裁神が光に包まれる。
この星の絶対的な管理者、青龍の顕現だ。
世界は雷雲に包まれ、空間に青みがかかる。
世界に毅然と走る稲光と同時に、全ての生物に届く声が聞こえる。
『神よ人よ、我が招来に答えるがよい』
天にそびえたつ神龍。
まんまあれだよ。 モチーフはあれだろう。
・・・空を悠々と泳ぐドラゴンだ。
絶対的な存在。純粋な暴力の化身
この星に在りし者は、畏怖を覚えるであろう。
『神と人のステータスカードに要項を記載しましたわ。あっ、記載したぞ、小さき者ども。要項を満たしたものは、埼玉ダンジョンへ来るがよい。 このメンテナンス神が出迎えるとしよう。 集え! 腕に覚えがある者達よ! 示せ、己が存在を! そして、救え。運命をその手に掴め!』
空の雷雲は無くなり、空に晴天が広がる。
指定者と腕に覚えがある連中が集まるまで一日二日と言った所か。
後は、ステータスカードをご覧くださいってやつだ。
「ご苦労だった。我は、会社で戦闘要員と補給要因の段取りをしてくる。ここで資格ある者達の相手を頼む。・・・、かかった飲食代とここの簡易宿代は小雨カンパニーに付けておけ。酒はほどほどに頼む・・・」
制裁神が両手を上げて肯定する。
「まさにカリスマですわね。小雨さんの不利になる様なら、ライバル会社の韋駄天にいつでもカチこみするわよ。いつでも呼んでくださいね」
やめてくれ。
今は、別会社だが。昔はいつも一緒だったんだ。
さて、異世界との交流だ。世界は大きく開けるはずだ。
手筈は整った、異世界に向けて大きく前進するとしようか。




