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74 アヤメまた

アヤメ


え~?! 私達が何とかするところですか?

今回は、ショウタさんの出番では??

えぇえええ? この世界の元主人公が何とかする所ではありませんか~?


QTE(殺るか逃げるか) が、始まりました。

あいさつ代わりに目の前の門を粉々にしてきた水色の髪の女神様。

金色のオーラが出ている剣を下段に構え歩いてきてます。


「ぬあっるがああああああ ころすうぅううううう! ショウタの知人も星も破壊してやるぅううう!」


ショウタさん、この星に何をしたらこんな憎しみの合成生物が出来上がるんですか?

生物兵器も真っ青だと思います。

あ、でも、ショウタさんも猫さんの星に対して同じこと言ってましたか。 

『星と知人と逃げた知人の星も破壊する』 と。

どうしたら、その発想に結び付くのでしょうか。脳みそ破壊神です。

地球の破壊神様が、とってもいい人に見えてきます。こんなに精力的に破壊を働かなくて良かったなと思いますねぇ~。


――


さて、判断が遅くなると陣形的に不利になるので、やるかどうか決めましょうか~。


「小雨様~。ほら言った通りじゃないですか~。最初から戦うのが一番ですよ~」


「アヤメ~。争わない方向こそが、一番尊いって聞いたことが無いか。 我は、この考え間違ってると思わんぞ。もちろん侵略者は別だがな?  ・・・さて、逃げるか? 逃げるなら、ダンジョンだな。食料もアイテムも十分だ。 戦うのは、きついだろう。後ろの主幹者達を相手にはできないだろうな」


「承知~、超加速で振り切りますよ~。山脈の方に逃げましょうか。 あ、でも相手は、転移持ちですね。これ、逃げながら戦うやつですか」


小雨様は、ため息をつき周囲に魔道書と魔石を展開する。


私も戦闘準備だ。紫剣を中段に構える。

不可侵の力が目の前の女神から、湧いて出ている。


この星では、勝てそうに無いですね。おそらく傷をつけれません。

どうして、私そんな力を感知できるようになったのでしょうか。

確実に色々なスキルが手に入ってます。


後ろを感知すると、勇者クロエさんが何かを懐から取り出し。

「ポチッと」 と、何かを押したように感じた。


「クロエエエエエエエエエ! ここまでショウタの手がかりを掴んでおいてぇええええええぇ・・・」


と、絶叫と共に、女神が空間に消えて行った。


小雨様から一瞬、ホッと安堵の表情が見えた。

そしてすぐに、表情が引き締まる。


「どういう事だ? これでは、話し合いもあった物ではないな。 二人は、ショウタ殿の愛弟子と言ったな。我は、ショウタ殿の元請けだ。上下の契約の関係にあり、上位に当たるものだ。納得いく説明をもらおうか。 これでは、ショウタ殿の事も伝えられないし居場所を教えられないのも当たり前であろうが!」


主幹者ご一行がビクッとする。


小雨様のマウント取りですね。

頼りになります。分かっていても、私もビクッとしてしまいましたぁ~!


「「ダリ君は、頭を下げてはいけません。 謝罪は、私達が・・・。 そもそもダリアは、クロエの陣営じゃないですか? いえ!!! 何でもありません!! 大変失礼を致しました。 まずは、謝罪も含め、我らの城へお越し願えませんか。最高のお客様として、お迎え致しますから。その怒気を収めて頂ければと・・・。 まさかショウタ様の上位契約にあたる方だとは。ですがその髪留め、確かに。 凄い愛おしく思える意匠ですね・・・。うらやましい。お願いします。何でもします。ぜひ魔族領にご同行を」」


ミリさんサリさんが土下座をしてきた。

ダリ君と呼ばれる魔族王子が二人をキョロキョロと見回し、少し頭を下げた。


「まさか、ダリアがこのような凶行に出るとは、思いませんでした・・・。 頭を下げて謝罪できないことがこうも辛いと思う日が来るとは・・・」


私は、クロエさんの方を見る。


「本当に、こんなんばっかりだね・・・。 今の存在が、この世界の唯一神。ダリア様だね。帰り道を潰してしまった責任なんて、私に取れるわけがないじゃない。ほんと勘弁して欲しいわ」


クロエさんは、お腹の辺りを押さえ続ける。


「胃がまた痛いわ~。 ポーション飲まなきゃ。 この度、主幹者として謝罪します。申し訳ございませんでした。 出来る限りの便宜を図るから、望みを言って欲しい。 女神様の凶行は、どうしょうもない。 もう女神様の封印しかないのかなぁ・・・。 これでも恩があるんだけど」


望みですか。地球に帰る事ですかね? 違いますね。

私の望み。素敵な彼氏ですかね~。お金を持ってて、余計な口出しをせず時間を守り乱暴をしない、休み日にはちゃんと休んで? 触るとほのかに温かい? あれ~? ATMが頭の中に浮かんだんですが?? 無茶言ってもまずいですよね。

そして、異世界で望みを聞かれることが多いですね。

願いを言えと聞かれたら、答えられるようにしないといけませんか~。


そもそも地球に私達が帰らずにいたらですね。『帰ってこないのは、おかしいな?』 と思った。伊織とネコさんが迎えに来てくれるでしょう。


最後にショウタさんに聞きいておきましょうか。


「ショウタさん。何してるんですか~? 怒りますよ? 地球に来てからの動き、全部話しますよ?」


返事が無い。

全部話していいと言う事ですね。


小雨様が私の肩をポンポンと叩いてきた。


「そうか。そうだな。ここまでだな。 アヤメ任せてもらっていいか? 逗留が長くなりそうだ。我らの安全な身分と立場を確保するように動く。いいな?」


はい、小雨様のおっしゃる通りに~。


そして振り向いた小雨様が、ご一行に向かい話し始めた。


「我らはマプラ領に行く。領主とは知人でな。クロエ殿、一緒に来て欲しい。人側の主幹者なのだろう。 そして、女神にまた襲われても困る。襲われた場合、我らは、ダンジョンに逃げるしかない。 それと、マプラ領に最大の便宜を図って欲しい。 この星の主幹者の勇者なのだろう? 魔族の方もそうだな。 王子殿は、まずいか。 ミリ殿かサリ殿、どちらか来てもらえるか」


「出来たら、ミリ、サリでは無く。僕が行きます。 あ、私が行こう」


「勇者クロエ。 承知致しました」


「あい、分かった。 マプラ領で、詳しい話を聞くとしよう。ミリ殿とサリ殿のお二人は、我らの安全性が確保されたと分かったら。 会いに来て欲しい。そのころには、ショウタ殿の事を話せると思うぞ。 どうだ?」


「「承知致しました」」


さすが、地球の企業神様ですね~。まとまりました。

今回、私の出番ありますかね。ここから戦闘するケースありますか?


双子が地面から立ち上がり、礼をする。


「「ショウタ様の上位契約の神と言うのも納得いきますね。 和の力が飛びぬけてます。 クロエ、お前の苦労も分かりますがダリ君に何かあったら、戦争再開しますよ。よろしくお願いしますよ」」


と、話がまとまりかけた瞬間。

金色の扉が目の前に沸いた。

そこから、ゾロゾロとこの場をかき乱す悪霊みたいなのが出てきた。


「うん? まさか目の前に居るとは、びっくりだ。アヤメ。迎えに来たぞ~。また門を破壊されたのか。前の次元の視認の話はコレで決着が着いただろう。さぁ、いこう。異世界探検だ。今回は、酒場で女性の戦士を仲間にしよう」


「伊織さん、ネタですか? いきなり飛んだ先に居る分けが・・・、居らっしゃいました。 アヤメさんお迎えに上がりました」


「ここが異世界ですか! えっ、目の前に居たって事は、もう異世界の冒険はお終いですか? そんな、事ってあります? ぬか喜びですね。 お忍び異世界大冒険は、どこです? 小雨さん、お金返して欲しいですわね」


「アヤメ、また門を破壊されたのかの。女難の相があるのじゃから大人しくしてればいいものを。そもそもじゃ、アヤメ、彼氏とかいないじゃろ? なぜだか分るかの? 教えて欲しいじゃろ? わらわを解放してくれんか? 占い得意じゃぞ?」


『伊織も推せるわね。ギャップ差でフレンドリーな所がいいわよね~。実際会うと違うわね~、動画の寡黙でクール系と違って凄い気づかいでやさしいし~。スキンシップも多めだから何か勘違いしちゃうわね~』


「雰囲気が私達の星と変わりがない世界ですね。やはり、文明を見るにまずは食事ですか。いきましょう」


「姫様、いけません。この雰囲気そんな軽い感じでは無いように見えます。警戒を・・。食事気になりますね。うちの星のマヨネーズが懐かしく思えてきましたが。もう少しほかの星の食事を食べたいですね」


繰り返しになりますが。

新しい金色の異世界の扉から、ゾロゾロと何かシリアスを吹き飛ばすお目出たい存在が出てきました。


えぇええ~!? お迎え早すぎませんか?

全員がめっちゃ観光気分です。めっちゃ観光気分ですよね~。


勇者クロエさんと魔族ご一行が口を開けながら観光客の進軍を見ている。

ですよね、意味わかりませんよね。これこそ能天気って言葉がぴったりだと思います。


でも嬉しい反面、少しイラッとしました。

集団心理で気が大きくなり、好き放題言ってませんかぁ~?


「アヤメ、この展開は読めなかった。それと、制裁神の金銭感覚も読めない。 やっぱりさ、小さいころからの経済教育って必要だよな」


小雨様、問題はそこですかね~?


ホテルスーツのポムちゃんが、私達の前に立ち説明を始めた。


「アヤメさん何か、久しぶりな感じがします。旅館の受付で皆さんの朝食も終わり特に朝の仕事も無いのでラウンジで髪の枝毛を見てたんです。そうしましたらアルコールに溶けてるネコさんから連絡が入りまして、アヤメさんの門が破壊されたから迎えに行って欲しいとなりました。 折角なので皆さまを観光も含め連れて来た次第です」


あ~どうしましょう。

もう、ここで帰ります? ショウタさんさよならですか?


「ポムちゃん、ショウタさんが戻らなかった場合。もしかして、この星に封印出来てしまいますか?」


ポムちゃんは、少し考顎に手を添えて答えてくれた。


「アヤメさん。ご主人様の記憶によりますと、ここの女神様、異世界転生術が得意なようです。 万が一転生された場合。私達の星は、どうなると思いますか?」


「アヤメ、我も少しその考えが頭をよぎったが、ダメだ。 ショウタ殿は、意外と根に持つタイプだ。義を通せば義で返してくれる。ビジネスライクの付き合いが一番だ。大人しくショウタ殿を捕まえて、帰ろうか」


そして、早くも集団から不満が出始めた。


「アヤメ、町は向こうか? 皆が、異世界を体験したいと言う事なんだ。どんな世界だろうか。まずは、造形レベルからだな。そこに居るのは上級魔族で双子か。レベルが高すぎだな。 地球のモデルが可哀そうに見えてくる。あ、アヤメは違うぞ。 もちろん最高だ」


『なんかよくわかんないけど、アヤメちゃんと伊織の方に行くわよ~』


「小雨さん、いきましょうか。 私も異世界食べ歩きしてみたい。 あ、代金お願いしますね。 地球でも位相世界でも気に入らない事があったら遠慮なく言ってくださいね。今なら、すぐにメンテナンスして解決しますわよ」


「目の前の現地人の力見えてるかの? 強いぞ。 伊織より強いぞ。 振る舞いを考えた方がいいと思うんじゃが? え? なんでそんな自由なんじゃ?」


「私達も食べ歩き同行しましょう。話によると旅館の賢者様が発展させた世界みたいじゃないですか」


「姫様、そうですね。そうしましょう。旅館のサービス凄かったですよね。動画文化って凄いと思いませんか? 全員が啓示を使えるわけですよね。 あの啓示の神様うちに来てくれないでしょうか」


あ、無理です。無理です~!

まとめきれません! キャパオーバーです!


小雨様が大声を張り上げる。


「待て! 良いか。動くな。 逗留の地だけ決めろ。 この世界は、人側と魔族側に分かれている。逗留の場所だけきっちりと報告しろ。 って言うか、制裁神と啓示神地上放置して大丈夫か? いくら時間差が無いと言えだな・・・」


う~ん。取りあえず、ショウタさんが捕まるまでこの世界に居るとしましょうか。


この状況を理解できてない主幹者ご一行と話をする。


「魔族側で何人か預かってくれますか~。 どの方もショウタさんの逸話を持ってます。 最近ショウタさん星を滅ぼしかけたんですよ。お三方、武勇伝を聞いてみては?」


「はい、了解。それがよさそう。この陽キャの雰囲気、マジ無理だね。昔の学生時代を思い出して胸が詰まるわ」


「「そうしようか、身柄を客人として大切に預からせてもらう」」


「まずは、話を聞くところからだね~。マプラ領に行こうか」


「では、神々の恩方達は魔族領へいきましょう。僕、何か楽しくなってきました!」


小雨様、これで一度まとめましょうよ。

個人の意見を聞いてたらいつまでたっても決まらないですね。小雨様のおっしゃる通りです。

これで、ショウタさんから連絡くるまで待ちましょうよ~。


そして、話まとめてくださいよ~。

そう思いますよね?


私の前に立つポムちゃんを見る。


「アヤメさん。二人で帰って門を破壊しません? ご主人様が地球に帰還する間。ストレスの無い暮らしが出来ると思うんですよね。どうでしょう?」


そして、シンプルな駆け落ちの誘いが来ました。


スマホの連絡先を消す感覚で、人間関係をリセットできたらいいな~、と思う時もありますが。

縁って、神様でも切るのが難しいみたいです。

関係を嫌がらずに前向きに生きた方が、私は得だと思います。


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