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67 アヤメ飲み会後

無機物でありフィクションです。全く別の星の話であり罪を助長する表現ではありません。


アヤメ



時は、宴会場。


「ぬぉおぉぉお! 1本あけるのじゃあああああ!」


意味不明な言葉を叫び、一升瓶を高く掲げる、巫女服の竜神リュウナちゃん。

あたりに響き渡る、いっき!いっき! のコール。

グビグビと一升瓶を傾けるが、途中で「ガバッ、ゴホッ」 と盛大に噴き出していた。


リュウナちゃん、竜神ですよね?

妖怪分類のマーライオンでも、もっと品がありますよ。

でも、巫女竜神様って可愛いですよね。


「メンテナンス~! じゃなくて、ペナルティですわね! さぁ、もう一本、いきましょう! 私もいきますわよ!」


あたりに響く、ペナルティと粗相のコール。

韋駄天様が大盛り上がりで煽りながら音頭を取っている。


制裁神様が畳を軽く蹴り、一瞬でリュウナちゃんの隣に着く。

リュウナちゃんにもう一本渡して、今度は二人して一升瓶を傾けゴボゴボと飲んでいる。

鳴りやむ事の無い、盛大ないっきのコール。まさに二人はコンダクター(指揮者)

巫女服と着物美人が、一升瓶を傾ける姿。まさに、神のなせる奇跡だ。


横を見ると、エルフのお二人に過度に飲まそうとしている、伊織。

虎視眈々と、酔いつぶれるのを狙っているのが分かります。


『んんっ! お酒も料理もおいしいです! いくらでも飲めそうです。ささ、伊織さんもどうぞ』


『姫様、人前ですのでほどほどに。 しかし、おいしいですね。ほんとにおいしい。 伊織殿、これは、どうも。ささ、伊織殿もどうぞどうぞ』


これは、伊織が先に潰されますね。お疲れ様でした。

エルフは、お酒が強いのでしょうか。


伊織が威勢よく、そのまま注がれたグラスを傾けるが伊織の首が上を向いたまま戻らない。

喉まで迫っているキラキラを必死に押し込めているのでしょう。


「あらあら」 と、なった後にエルフの二人は、私の所にお酒を注ぎにて 「どうぞどうぞ」 と、挨拶に来た後、そのまま小雨様の所にお酒を持って挨拶に行った。


いや、おかしいですって。その挨拶どこで学んだんでしょうか。

これは、グローバル基準です? エルフの星に異世界転生者きすぎでは?


さてと、飲み会が大好き超大盛り上がりのハイテンション韋駄天様に絡まれる前に、大人しく座っている、啓示神様の所に移動しましょうか。


啓示神様の方を見ると、瞬きをせずにじーっと、私を見ている。

そのまま、お酒を持ち隣に座ると頭のアンテナがグワングワンと左右に揺れた。


「啓示神様、お疲れ様です~!」


と、挨拶がてらに、お酒を注ぐ。

お酒に反応無く、じーっと私を見ている。


「あの、啓示神様、あの後、地上に帰ってどうなったんですか~? 無事世界が戻ったと聞きましたけど、変化ありましたでしょうか~」


特に返しの会話も無く、無言でじーっと見て来る。


あれ? 私、会話おかしいですかね? 私、酔ってますかね?


と突然、座っていた後ろの襖がスパン! と開き、ショウタさんが出てきた。


「啓示神。 直接脳に、会話してくるんじゃねぇええ! 何なんだ! 超うるせえぇえええええ!」


と、襖に手をかけているショウタさんが、私を見て会話を続ける。


「アヤメ様、失礼致しました。 あの、アヤメ様、ファンサービスが過ぎると言いますか。あのですね、あの~、本人が言うには、世界一の推しが、隣に座って、お酒を注いで会話をするだけで、脳に直接、自分の脳が凄い事になってます。ちょっと、あのすいません。ちょっと他へ行ってもらえたらあの、本当にすいません」


と、啓示神様がガシッと掴まれ、後ろの襖に吸い込まれていった。


あたりを見回すと、配膳担当のポムちゃんに絡む酔った伊織。

底なしに飲み続けるエルフ達。

そして、お祭り状態の神々が、なぜか畳を床から剥がし積み上げ始めました。

ネコさんは、お酒にふやけた猫となり、部屋の隅で倒れています。


そして、小雨様の姿が見えません。

あれ? こんな事、前にもあったような?


だって、ほら。


見るからに厚みがある強力な青い結界が、宴会場の襖に展開される。


ついにイベントが始まりましたか。ショウタさんの登場です。


宴会場のステージに立つ、スーツ姿の黒髪の男性。

似合いすぎて違和感を全く感じません。


「日頃のぉおお~、皆様のぉおおお、感謝にぃいいい~、お礼致しましてぇえええ~。弊社から、贈り物にございますぅう~!」


ショウタさんも少し酔ってますね。

酔った荒神様ですか。逸話を思い出しても、ろくな記述がありません。


宴会場のステージに酒樽がどんどん詰みあがっていきます。

巨木の様な横回り酒樽。神社の奉納酒の酒樽の様に、見上げてやっと個数が分かります。


「今宵はぁああ~、これらを飲み終えて~お開きと致しましょう~」


始まりました。神々の封印イベントです。

前回、ラーメンによる封印をされていた制裁神様をチラリと見ます。


「私は、8樽いくわよ! 竜神舐めないで欲しいわね!」


大丈夫ですか、ヤマタノオロチの弱体方法ですよね。

なるほど、確かに。古代の勇者がヤマタノオロチ弱体方法としてお酒を使った理由が分かります。

制裁神様は、明日を迎えることができるでしょうか。


盛り上がっている韋駄天様は、開いた酒樽にお酒にふやけたネコさん担ぎ上げ、中に入れようとしています。

復活の儀式ですか? 楽しそうです。


ですが、ここに居る方々は、前向きに試練を超えようとしています。

何とかなりそうですね。


さて、覚悟を決めて私も1樽行きますか。


「「今夜を迎える皆さまに~!」」


「「「乾杯~!!!」」」


私の意識は、そこで途切れた。


――


おはようございます。

宴会は、大盛り上がりでしたね~。


状態回復ポーション、痛めた胃と肝臓へLV3ポーションの使用。

現金で言う、数百万吹き飛びました。


これで体調も万全です~!

ですが、昨日の記憶がありません。

今日何するんでしたっけ? 何するんでしたっけ?


同じ部屋の伊織を見ると、震えた手でポーションを飲んでいます。

考える事は、一緒でしたか。


あ、リュウナちゃんが居ません。

制裁神様の所に引き取られたんでしたっけ?

リュウナちゃんは、生活基盤が安定してからダンジョン攻略に入りましょう。


まずは、朝食ですね。

支度をしてから、ロビーに向かいましょうか。


朝食会場に向かうと、私以外誰も居なかった。

少し遅れて伊織がやってきたぐらいだ。


皆様、昨晩の体調と戦っているのでしょうか。

神様は、二日酔いするのかな? と疑問に思いましたが、昨日の竜神様達を思い出すと、あれは助からないでしょうね。目の前にあるだけのお酒を飲むのが使命なのでしょう。

おかげで助かりました。

竜神様達は、飲みすぎて泥酔。歴史の英雄譚と同じ道をたどっています。


もちろん、朝食はバイキング形式。

今日は、豆腐とか、あっさりしたものが本当にありがたいです。焼き魚もおいしそうです。

ですが、漂うカレーのスパイスの香りに引き寄せられてしまいます。


私は今日もカレーの前で考えています。 そもそも昨日もカレーでしたよ、私。

まず、そばを取ってから考えますか。いや、待ってください。 カレーとそば、最高に合いますよね? ということはですね、カレーに合わない物は無い。つまり、カレーは取った方がいいですね。

カレーがあるのが、悪いんです。そうに決まってます。


――


朝食を終えて、伊織と一緒にラウンジで打ち合わせをしに行く。

今後の方向、異界のエルフの方々と話も含めて小雨様と少し話をしたいです。


ロビーに向かうと、金髪ロングウェーブの小雨様がラウンジでお茶を飲んでいた。

私達に気づき、手を軽く上げた。


「おはよう。一次会で帰るのがコツだと思う小雨神だ。はい、我が社が宴会の大部分の費用を持っています。 はい、礼は不要だ」


自己紹介ありがとうございます~。

小雨様昨日どうしましたか? と、聞く前に、会話の先手を打ってきましたね~。

一次会帰り。そうですよね~。韋駄天様に捕まると、もう朝までですもんね。

でも小雨様、ノリ良く無いですよね~。


その辺は、心に置いておいて 「小雨様、失礼します」 と、席に座った。


そして、小雨様が話始める。


「ショウタ殿から聞いた。アヤメ達、99Fに到達し異界の門の先を見て来たのか? 仔細は、エルフご一行のサイリス殿、カルニェ殿からは聞いた。 ショウタ殿の装備アイテムの効果で、推しのヒューマンドラマをエルフ一族が永遠と見続けているみたいだが・・・。未来を見るってそういう事なのか。長寿による余暇の弊害だな。啓示神の様な暮らしになるぞ」


「はい、ネコさんに案内されて行ってきましたよ~。 なんでしょう。そういう、ヒューマンドラマの次元でした。異界の門の観測について、ネコさんから聞きましたか? 観測者によって変わる様ですが、絶対伊織が観測しました。絶対に伊織が観測しました」


「絶対、アヤメも入っている。だってアヤメもやってたじゃないか」


伊織のニュアンスにイラっとしながら、話を続ける。


「私達は、異世界の動画投稿の賞賛で心を満たしましたら、他のダンジョン攻略を進めていきたいと思ってます」


小雨様は、フフッと笑いながら話を繋ぐ。


「そうか。我も今日、異世界に探検させてくれると言う事でな、二人とも、もし良かったら、今日空いているか? ショウタ殿の護衛が、ちょっと過剰すぎる所があるからな・・・。異世界経験者のアヤメ達なら、大丈夫かなと思ったのだ」


今日は、異世界動画の投稿ぐらいなものですね。

他にする事と言えば今日は、ダンジョン深層で荒稼ぎしましょうかと言う所です。

動画関係は、伊織が終わらせてくれてますし。


そして、伊織が話を切り出す。


「ああ、小雨様。もちろん小雨様を優先致しますが。今日は、エルフの二人が地上へ出たいと言う事なんです。私が一応、同行予定でして、リアルのエルフですから騒ぎになると思うのです。 小雨様の会社の方で、便宜を図って頂けませんか? お二方、メディアの露出は、肯定的に受けてくれるそうです」


「そうかそうか。伊織は、そっちを優先してほしいな。伊織が居れば、警護もいらないだろう。そうだな、人選どうするかな。アリエノールは、地球人じゃないしな。舞になるか。 舞は、二人いるし一人ついてもらうか。分かった、手配しよう。承知した」


満面の笑みで、小さくガッツポーズをする伊織。

楽しいデートの欲張りセットですね~。

そして、舞ちゃん二人ってなにかの比喩でしょうか。


そうなると、私は小雨様の方に付かないとですね~。

小雨様に借りがありすぎます。


「小雨様、不肖ながら、小雨様の異世界同行致します~。異世界動画取りますね~」


「ああ、アヤメの方で動画を出してもらって構わない」


今度の異世界は、干渉せずに小雨様のサポートに徹しましょう。

前回は、帰り道を焼く異世界人に恐怖を覚えました。

まさか、モンスターより人間が怖いとは。


――


打ち合わせが終わり、それとなく準備をしようと思った所。

話を終わるのを見計らったかのように、ショウタさんとポムちゃんが隣に沸いた。


沸くと同時にスーツ姿のショウタさん、蒼のスカーフが印象的なウーマンスーツのポムちゃんが礼をしてきた。


「皆様、おはようございます。まだ他の方全員、部屋から出てない様子でございます」


「おはようございます。ネコ様は、本日有給取得となっております。お言いつけの御用がありましたら、私までお願い致します」


有給、そうなりますよね~。

ネコは液体。そう思います。昨日は、酒樽の中で液体になってましたし。


「おはよう。ショウタ殿。昨日は、世話になったな。酒宴の程、ありがとう。なんだかんだ、最高の交流だったかな」


「「昨日はありがとうございました~」」


「いえいえ、こちらこそ! 人脈を広げる機会を設けて頂いて、ありがとうございます。まぁ、なんでしょう。ひどい・・・。では無くて、凄かったですね。神々の酒宴って所ですか。皆様、飲み慣れてらっしゃいますね。勉強になりました」


優しい苦笑を浮かべるショウタさん。

何か、ショウタさんの距離が近くなりましたね。

酒宴の力って凄いと思います。


「さて、お話は聞きました。小雨様、アヤメ様。いきましょうか。有給と同時に、まだ酒にふやけているネコさんの杖を借りて来ました。意識がまだ朦朧としているようですね。簡単に借りれました。時空の固定が出来ますので、1年ぐらい居てもチェックアウトまで戻ってこれる様に致します。さぁ、小雨様の門。どんな世界に着くでしょうか」


ガバッと小雨様が立ち上がり、小さく飛び上がる。


「お~、異世界ツアー、宜しく頼む! 異世界訪問が夢だったんだ。昔、異世界関係の小説が面白くてな~。少し前だと、近未来化や異世界か混ざる所があってだ、そこから科学と魔法の違いとは? って流れになって、でも大体の大筋は一緒でな・・・。異世界と別宇宙って、同じ概念だろ? あ、すまん。ショウタ殿。地上で困ったことがあったら何でも言ってくれ、便宜を出来る限り計らせてもらうぞ!」


あれですよね。おじいちゃんも好きでしたよ。宇宙ウォーズやスター引き戸門。


さて、いきましょうか。

伊織、後は頼みますよ~


そして今日、異世界エルフと同行予定の伊織の方を見る。


「ポム、さっそく言いつけだ。準備が出来るまで私と一緒に居るんだ」


「あれ? 伊織さん。 エルフのお方達と話してばっかりで私に飽きたと思ってたのですが?」


「おや、焼いてくれてるのか。ああ、少し間を開け冷たくすると逆に気を引くってやつか。なるほどな・・・。 いや、ポム。あれも仕事なんだ。分かるだろ? 異世界からの客人だぞ? だから、こうやって・・・ポムに会いたいがために時間を作ってだな・・・」


異世界行って、口説きのLVが大幅に上がってませんか?

なんて恐ろしいのでしょう。


「ポムさん、少しの間宜しくお願い致します~。必要な物ありましたら、厨房の棚から全部取り出せますから。イメージしてから手を入れてくださいね」


「承知致しました~」


さて、小雨様と異世界同行です。

アイテム補充も小雨様が居るからオッケーですね。


小雨様とショウタさんと手を繋ぎ、転移の光が私達を包む。



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