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59 続続々アヤメ異世界転移

イィイイイイイ

なんで異世界転移をやってんだ?



乙女雑誌


合コンで元カレが居た時の対処法。


【下あごを前に出して、別人のふりをしましょう】


別人のふりは、無理がありますが。

確かに、下あごを頑張って前に出している女性に話しかけたく無いですよね。


その行動で得る物より、無くす方が大きいと思いますが。

どうなんでしょうか。


新人教育と称した、伊織は凄く紳士的に優しいです。

仕事や冒険の悩みを真摯に聞いて、実践的なアドバイスの実施。

女性の新人冒険者の同行を快く引き受けてくれます。


この世に無償なんて無い。と言う、手痛いメッセージの体現者。


そして、一度見たことがある。

新人さんと三股関係になり女性陣に囲まれた状況の伊織は、下あごを前に出して別人のふりをしてましたが、ダメでした。


――


伊織と打ち合わせ後、一緒に冒険者ギルドに戻る事になりました。


建物内を歩きながら、これからの予定を話し合います。


「伊織、この星のダンジョン行ってきたんですよね。どうでした~?」


「敵が弱いな。 罠もいくつかあったが、凶悪ってわけでもない。昨日50Fまで、換金用の魔石欲しさに潜ってみたが、地球で言う30Fぐらいだったな。 あ、後、向こうのゴリライオンの魔石は出さない方がいいと思うな。騒ぎになるだろう。ダンジョンは、そんな感じだった」


流石伊織。冷静に分析してますね。


そのまま、歩いて先ほどのギルド受付に戻った。

サイドテールの髪型の受付嬢がニッコリと微笑みかけてくる。


周囲からは 「あれが、黒曜か。美しい」 「今までなぜ、こんな冒険者が埋もれていたのか」 など、ザワザワとざわめきが聞こえる。

受付に向かうにつれて、受付前の冒険者達が割れるように一歩引いて道が開いた。


伊織、めちゃくちゃ異世界やってませんか? 主人公か何かですか?

私の異世界。血とストレスまみれなんですが~。


受付の前には、ネコの耳を付けた様な、紫髪の女獣人の方が立っていた。

伊織に気づいたのか、走ってきて、ズサササッと土下座を決めて来た。


「あ、あの! 黒曜様! お願いします! わ、わたしとパーティを組んで頂けませんか! 紫髪のパーティを探していると聞きました! お願いします! 私の村にワイバーンの群れの移動の兆候が見られて、討伐依頼に来たのですが、取り合って頂けませんでした。ですが! ワイバーンは来ます、ゴウゴ山に何か強力な魔物が来ているハズなんです!」


伊織がボソッと、つぶやく。


「ケモいのは好きな方じゃないが、これは中々に来るな。服の中はどうなっているのか・・・」


辺りの冒険者からのヤジが飛んでくる。


「あの凶悪なダンジョンで単独で深層から戻ってくる方が、兆候だけで動く訳ないだろ!! ダンジョンで一日でどれだけ稼ぐと思っているんだ!? E級冒険者め! わきまえろ!」


「黒曜石の様な髪、神域のミスリルの輝き。どう考えても世界樹の神域から来訪者だろうが。ネコが! わきまえろ」


喧騒の中、伊織が床を踏み抜く。


地響きがドガアアアアンとギルドを揺らす。


「「うおぉおおおおっ!?」」


と、驚きの声と共に静かになった。


伊織が片膝を付き、土下座をしている獣人さんの肩に手をかける。


これは~、伊織の紳士モードはいりましたね~。

新人指導は、自由恋愛の範疇です。思うところは、ありますが。見守るしかありません。


「顔を上げてくれ、そう期待されても実際、やれるかも分からない。 その真摯な態度、ウソじゃないのだろう? ワイバーンを討伐すればいいのか? ここに来たばかりで私も分からない事だらけでな、色々と教えてくれたら助かるのだが。 貴方の名前は?」


「・・・!! リームと言います。組んでくださるのですか?!」


伊織は受付嬢の方を向き話す。


「マホ嬢、ワイバーンの素材は、金になるのか? ギルド的どうだ?」


「ワ、ワイバーンの討伐ですか!!?  それは、もう魔石と素材でギルドは、大助かりですが! ワイバーンは、中隊を組んでの討伐編成となりますが。迷宮50F突破の黒曜様でしたら、いけると思います。 ・・・リームさん、良かったですね。 全ての手続きは、こちらで終わらせておきます。お気をつけて下さい」


「黒曜様! ありがとうございます! 私の村をお頼み申し上げます!」


伊織は立ち上がり、私の方を向き、ニィッと笑いながら話しかける。


「と言う事で、人助けをしながら、この辺の様子を見てくるとする。一応五日後ぐらいには、あっちに戻っている。 アヤメもアヤメでの行動を頼む。ここのワイバーンだったら私一人で十分だろう。 滞在中、何かあったらギルドで報告する。では、後でな」


「承知~」


伊織は、そのまま紫髪の獣人の方と、受付嬢との奥の部屋に打ち合わせに入って行った。


そして、普通に異世界を満喫してますね。どうしましょうか。

異世界に馴染みすぎてませんか? もしかして、こっちの暮らしの方が性にあってます?

自由恋愛な異世界ですもんね。

でも、調子に乗ると刺されて追い出されるのがいつものパターンですよね、気を付けてください~


けど、相棒が華やかに上手く行っているのを見ると、なんだか寂しさを覚えますぅ~!


よし! 私もダンジョン行ってみましょうか。

やっぱり、ミスリル装備は目立のですね。

普段は昔のベージュ制服にして、ミスリルにダンジョンの中で着替えましょうか。


――


赤ロング髪の胸が大きい隣の受付嬢に 「アヤメ様ですか~、話は聞いております。後はこちらで処理しておきますのでダンジョンへどうぞ~。 大き目の箱ぐらい入る、アイテムボックスの袋を貸し出しますので、マゴット領の冒険者ギルドを宜しくお願い致します~」


と、言われアイテム袋を渡される。

便利な世界だと思う。アイテムボックスから魔力の制限があるダンジョンアイテムを袋に入れれば、大容量でアイテムボックスの加護を使えると思った。


受付嬢さんにダンジョンの場所を教えてもらい、外に出る。

足に力を込めて景色を置き去りにし、ダンジョンの場所まで走る。

シュタタタタと、3分ほどでダンジョンと思われる場所に着いた。

壮大な洞窟の様な大きな穴が開いており、洞窟の前には人で溢れていた。


辺りには、店が構えられ、重装備の警備の方々がダンジョン前に控えている。

作りが地球とそっくりだ。 ダンジョン前に必要な物、店が置いてあり、警備も厳重だ。

どこの星も、同じようなダンジョン管理になるのだろうか。


店の前を歩きダンジョン大穴前の物々しい警備の所へ行く。

ギルドマスターから 「全てオッケー!」 と軽く言われているがどうだろうか。

私は進み、警備の人の前に行くと、バリケードに囲われているゲート前に私の手配書が警備確認用にズラッと貼ってある。


うーん、何か、その、やりすぎてませんか? マゴット様の何か、強い意思を感じます。

この違和感なんでしょう? 感じます、違和感を。


警備の方が私に気づく。


「あ! どうぞ」


あ! って何ですか? あ! って何ですか?


そのまま、警備を素通りでダンジョンの大穴に入っていく。



――



ダンジョンに入ると空気が異界に変ったのを肺で感じる。


もう、全てのこの世界の事を忘れて異世界ダンジョンを楽しみましょう~。


紫剣を装備して、ミスリル装備に着替えましょう。

どんな冒険が待っているのでしょ・・・・?


と、思いをはせていたら、叫び声が聞こえる。


「「「「アースドラゴンがなぜこんなところに!」」」」


超! デジャヴ~!


伊織が素敵な人情味あふれる異世界性生活で、私の方はモンスターのトラブルばっかりですね?

どうしてですか? 神様、運命値ってなんですか?


そして、ここ入り口ですが? ダンジョンの入り口ですがぁああ?

このドラゴン、転移でポップするとか、そういう習性とかじゃないんですか?

いきなり、ドラゴンが出て来るものでしょうか?


あ! それと、冒険者の皆様、ダンジョン溢れの報告ありがとうございます。

A資格をお持ちでない方は、後ろにおさがり下さいね~。

って、ここ異世界でしたね。 やっちゃいましょうか。


大声の方に少し走ると、昨日見た大きいトカゲが尻尾を振い冒険者を吹き飛ばしている。


私の謎のこみ上げる怒りのテンションに、紫剣がほんのりと光るっている。

紫剣ちゃんも切りたいと答えてくれてますか。


そのままスタッと、大トカゲの前に立つと、トカゲは大きな腕で潰そうとしてくるが、私は両腕を左右上下に紫剣に魔力を込めて振る。


トカゲは十文字に切り裂かれ、ボトッと切り身が崩れ落ちた所、ドロップアイテムに変った。


どうですか~? 冒険者の皆様からの賞賛は、頂けそうですかぁ~?


沈黙が支配する。

遠巻きにどよめきが聞こえるが、誰もが私に声をかけようとしなかった。


この感情は、恐怖ですか。

あれ? 私も学習しませんねぇ~? 昨日も、怖がらせてしまいましたよね。

怖がらせないで倒す方法ってあるんですか~?

今度、異世界大先輩の猫さんとショウタさんに聞いてみましょうか。


若干さみしさを覚えつつ、ドロップの魔石を拾い奥に進んでいく。


低層のモンスター達は、私を見ると逃げていく。

気配察知で把握しながら進んでいるが、逃げるモンスターを追いかけ止めを刺す気もしない。

このモンスターの強さの調子なら、30Fまで気配を消して進んでも大丈夫だろう。


気配察知や、隠密スキルを駆使しながらひっそりと進んでいく。


もう30Fまで来ただろうか、低層ではお祭りの様にいた冒険者も、この階層にくると気配もほとんどなくなっていた。

そして、モンスターにアンデット、ゴーストやゾンビ、スケルトンが混じってくる。

地球のダンジョンでは、こいつらが出て来るダンジョンは人気が無い。


なんか、怖いですから。 人間って不思議ですよね? ゴリライオンよりこんなお化けが怖いんです。

突っ込まれそうな気がしますが。人としての禁忌に触れている感じがするんですよ~。


スパスパと、ゴーストやミイラを紫剣の錆にしながら進んでいくと、前方に冒険者の気配があった。


その先の大広間に着くと、7本の首を持つ大型のヒドラと冒険者達が戦闘をしている。

地球では、戦闘の割り込みはご法度だ。


様子を見てみましょうか。


4名のパーティですか。でも、劣勢ですね~。

ヒドラの3本の首が吐く業火から、魔導士っぽい方が力場を展開して守ってますね。残りの首が即追撃ですか。 モンスターの頭がいいですね。

これはダメージ覚悟で、前衛が攻撃を加えに行かないと状況打開できませんよ~。


助けは、必要か聞きますか。

まだ何とかなる範疇でしょうし。

モンスターの横取りは、出来ないように私の体に染みついています。


「ルナ! 足手まといのお前とは、ここでお別れだ!」


前衛の戦士の方が、魔導士の方をヒドラの前にいきなり蹴り飛ばしました。


は? なんてこんな絵を見せるんですか? パーティですよね?


トラップや、上級ゴースト系の精神支配のスキルの行使を様子を即座に感知してみるが、そのスキルの残滓は全く無い。


残りの3名が移動スキルを発動し、一目散に逃げてくる。


これ、見捨てて逃げる時間を稼ぎましたか。

最悪ですね。


ダンジョンに法の光は、届きません。 そうですね、分かります。

こういう事もあるでしょう。 誰かが犠牲にならなければ逃げれない時もあるでしょう。

そして貴方達にも光は、届きません。 分かりますか?


紫剣に力を籠め、3発ほど剣戟を飛ばしてヒドラの首を3、4本飛ばす。


そして、逃げる、戦士風の男の後ろから刺します。

斥候風の男が、私にハッと気づきますか後ろから刺します。

女剣士の方も刺します。


そのまま、私の全身に力をまわし、3名をヒドラ近くに放り投げます。

放物線を描いて、のたうち回っているヒドラの辺りに、ドササッと落ちます。


強さの気配をみると、私とのレベル差が物凄いですから、私に抵抗は出来ないでしょう?


「きゃああああああ!!」


と、ルナと呼ばれていた魔導士さん。一体、何の悲鳴でしょうか。

かつての仲間が上から降ってきた事ですか?

首を飛ばされ、のたうち回っているヒドラの姿でしょうか。


そのままルナさんの前に入り、ヒドラと対峙する。


さてヒーローの様に、やってみますか~? こっちに来てから、上手くいかないんですよね~。

やっぱり、配信してないと調子でないのですかね~?


「倒してしまっていいですか~? かつての仲間は、まだ生かしておいてますよ~! 先ほどの絵、見てました。私の琴線に触りましたね~」


「きゃあああああああああああああ~!!」


肯定の黄色い歓喜の悲鳴って事でいいでしょうか。 理解が、追いつきませんよね。

まずは、目の前のヒドラを三枚おろしにしてしまいましょう。


スキルと魔力を循環させ、紫剣から放出する。

地面を滑り抉り取るほど、強力な二本の衝撃波がヒドラを通過する。

同時に、宙に飛び出し、残った首に紫剣を振り回し打ち取る。


ヒドラの首が宙を舞い、胴体が3つに切り別れ、ドロップアイテムに変った。


後ろを振り返り黒い魔導ハットを被っている、ルナと呼ばれるピンクの髪の女性に話しかける。


「さて、断罪の時間です~。 これを握ってください。黒鉄剣です。 あなたには、この方たちを処す権利がありますよ~。 あぁ! 皆さん、生きてますよぉ~! ポーションで治るような肺へのダメージです。 どうしますか?」


昔の黒鉄の剣を取り出し、ルナさんにギュッと握らす。


辺りは 「ガフッ、ゴフッ」 と、それぞれ血だまりを形成してポーションをアイテム袋から取り出している。


「早くしないと、回復して逃げますよ~。それとも、許すんですか? 許せるんですか~?」


黒鉄剣を握りしめたルナさんは、目をつぶりそして見開いた。


ルナさん。素人では、無いですもんね~。雰囲気で分かります。

冒険者をやっている者の雰囲気ですもん。この三名の方も、気配が熟練者ですね~。

自分で、決断できる方ですよね。

私が、現場に居合わせただけでお節介を焼いただけですから。


「あの、ありがとうございます。 まず、助けてくれた事と、私の尊厳を守ってくださろうとした事に」


ウイッチの姿をしているルナさんが、片膝を付き礼をしてくる。


「この剣は、お返しいたします。 悲しい事ですが、生死が瞬時の決断で決まる事があるダンジョンに入っていれば、ありえることなのでしょう。 私は、運が無かった。と、言うのも良くないですね。 ここで、3人を刺す勇気がありません! このまま帰ってもらって、これからは他人のふりでいきます!」


「承知致しました~! そして、私の焼いたお節介に謝罪致します~! プライドを傷つけてしまいました事、お詫びいたします。それでは、失礼しま・・・」


と、まずは、この世界。

足を掴んでくる習性があるのを学んでいます。


座った状態から飛び込み、私の足を狙ってくるウィッチ姿のルナさん。

私は、ジャンプし回避する。

ズザザザと、スライドダウン状態となる。


あれ~、避けたらいけないですね。

痛そうです~。


もう一度、私の足を狙って、飛び込んでくるピンク髪のウィッチ。

仕方が無いので、足を掴まれます。

そして、足に縋りつきながら口上を述べてきます。


「お待ちください! どこへ行こうと言うんですか! ここで一人は、ちょっと厳しいってのもありますし、帰還の結晶も持ってないんです! 同行させて頂けませんか! ここまでされまして、置いてくのはちょっとどうかと! さっきと、同じぐらいひどくないです?!」


うーん、そうですね。気持ちは分かります。

一緒に行きましょうか。 私も、帰還アイテム持ってません。

この星のダンジョンで、聞きたい事もありますし。一緒にいきましょう。


「分かりました。一緒に行きましょうか! アヤメと申します。よろしくお願いしますね~!」


「アヤメ様・・・、素敵なお名前ですね! レイモンズ=フォウ=ルナと申します! レイモンズ王家の血筋の男爵令嬢やってます!」


ご令嬢、多いですね~。二人目ですか。

少ししたらこの星から帰りますし、ここのマゴット様の関係とか聞かない事にしましょう



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