表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/95

54 ショウタ再び地上へ

ショウタ再び地上へ


お客様を招き入れた後

朝一で神々と商談となった。


正面にラウンジのソファーで神々が座り、自分の隣で啓示神が腕にしがみついている。


「と言う事ですか。啓示神がここに拉致されたのを良い事に、ここに住もうとしたと」


「いや、ショウタ殿が原因だろ。啓示神が悪く無くないか?」


「俺っちもここに住めるなら住みたいわけだが」


『ショウタどうして、私を捨てようとするの? 事が済んだら捨てるの?』


どんな窮地も自分の力で何とかしてきたが、さすがにこう思った。


神様、お願い。助けて欲しいと。


―― 



「あー、明日自分が、地上に出ます。全てを元通りにして、なんなら住みやすい世界ぐらいにします。これで、良いですか?」


『ショウタ、ダメです』


我慢だ我慢。帰ってもらうまで我慢だ。

挑発に乗るなよ、絶対に乗るな。ここで暴力はいけない。

完全な悪人に仕立て上げられてしまう。

心で分っているが、体が動きそうだ。


「それで手を打とうか。しかし、ショウタ殿の力なんとかならんか。これでは、ここで暮らすにも力が強すぎる」


「どうですかね。ここの星の防御システムや、権能が弱すぎると思うんですが。掴んで引っ張るぐらいで、権能を失った訳じゃないですか」


「これ、神を舐めてますわね。位相世界でやりあう必要がありますね。位相世界だと、一番すごいんです。着やせするタイプなんですよ」


「いや、俺っちの方が強いだろ。自分磨きでとっても筋肉質なわけ。肉体美も備えないとヒモって、成り立たないわけよ。毎日が何もない破壊神やってるわけだし?」


『ショウタ! アヤメちゃんとまだ握手しかしてないの! 次いつ呼んでくれるの? でも、ショウタの連絡先分かったらすぐ、メール送るから!』


ダメだ。

転生前の記憶が語り掛けている。こういう時は、大人しくしていろと。

そして、転生後の経験が言っている。


恐怖と力で押さえろと。


よし、望みぐらいは聞いてやるぞ。


「分りました、分りました。 責任を取りましょうか。 何を望みますか?」


全能の力のスイッチを入れる。自分の後ろに光の後光が備わる。

自分の観測結果が、全てに優先される。次元単位での書き換えの力だ。


自分に力が戻る。

全ての事が、取るに足らない。と、錯覚を覚える。

目の前の神々も実に矮小だ。全てが塵芥に等しい。


そして左手に自分にしがみついてる、啓示神の感触がなぜか少し暖かく感じる。


「ほら貴方達、早く謝りなさいよ。 ショウタの力が分らない訳じゃないわよね?」


啓示神。お前は、力関係が逆転したら喋るのか。褒められた行動じゃないぞ。


「あ~、何も望まん。地上を元に戻すのを願おうか。しかしこれが、転生者の力なのか。 制裁神、転生を横流しした魂とか大丈夫か? 復讐に戻ってこないだろうな」


「「何も望みません! なすが儘にどうぞ!」」


よし、話はついた。

明日、地上をもとに戻そうか。


「物分かりがいいわね~、管理者様達? あれ? 私も管理者だわ?? そして、さすがショウタ、私の男ね~!」


思わず、イラッとして啓示神に平手打ちをしてしまった。

パン! と言う音とともに啓示神の手が、打たれた頬を撫で呆然としている。


この場で力を振っていいはずだ。

神々全員が手段として暴力を盾にしてきたじゃないか。当然の対応だ。

なぜ、自分の心が痛むのだ。


クソが、心の痛みを思い出した。


――


話はまとまり、また明日と言う事となった。


そして罪悪感からか、就寝前に啓示神に謝った。


『ううん、私が悪いし全然いいの。気にしてない』


痛みと記憶が心を焼いてくる。


こんな事で人間の心を思い出すと言う、形を望んでいなかったが。

自分、とっても人間しているなと感じた。


――


夜が明けました。


朝食会場の支度をして、チェックアウト時に地上へ一緒に向かうとしましょうか。


まず清掃入ります。 旅館周辺まで 「浄化」 魔法をかけましょう。


めんどくさい生活風景表現もこれ一つで解決。

魔法! 魔法です。どれもこれも魔法で解決です。特別に難しい表現が要らない所がいいですよね。

今の時代は、飛ばしたり早送りしたり、切り取りやまとめしか見ませんから。余計な事を書くより、これでいいんです。

多数の次元で異世界があふれる最強な理由の一つですね。学びを得ました。


厨房で猫さんと朝食の計画を立てる。


朝食には、米とパン、焼き魚と肉と野菜の炒め物が中心。

卵料理を和洋で数種類、と自家製ウィンナー。

かなり食べる肉体系のお客様達なので、から揚げと肉団子。生野菜のサラダ。


カレーはどうしましょう。 本格的なカレーは、スパイスが他の料理に影響してしまうんですよね。

カレーとの相性が悪い料理が出て来て、他の売れ行きが悪くなるんですよね。


ネコさん、どう思います?


「カレーに決まりにゃ。ご主人の料理でバランスは度外視にゃ。なぜなら、どれもおいしいからにゃ。 ご主人どれも手を抜いて無いにゃ、分るにゃ。気持ち入ってるにゃ」


さすが猫さん。ほめて伸ばすタイプですね。

これでいきましょうか。


朝は、レストランの会場です。

各自、まばらに浴衣姿でやってきました。


大盛のカレーにから揚げを山盛り、肉団子を福神漬けの様にゴロゴロと乗っけています。そして、自家製ウィンナーをご飯に何本もさしてます。そのウィンナーの姿、誕生日の蝋燭の様ですね。ハッピーバースデー伊織さん。


おーっと、肉団子の大皿ごと全て持って行き、そこにカレーをかけだしました。この発想はなかった。どうして、体育系の学校の近くで食べ放題の店が潰れていくのか。これが理由だ、魔族のアリエノールさん。


もう肉の補充をしなければ。

生野菜を主張している正面の場所に置いてますが。お見えになりませんか。


そして舞さん、その小柄な体のどこに入るんですか。目を離していたら大皿から揚げが無くなりました。大盛のから揚げの上からカレーは、なんでしょう。肉と米を間違えてませんか。カレーは、ソース替わりではないんですが そして、温泉卵を6つですか。卵液で血管詰まりませんかね? 若いっていいですね。


この星の流儀とかですかね。

カレーは、米とナンで食べないんですね? 穀物は野菜だった?

啓示神、帰る前に教えてくれ。


お互いに 「アーン」 としている、マユミさん、剣神様は放置しておきましょう。

無害にも程があります。


神々ご一行は、先ほど関係で少し遅れていますかね。


あっ、アヤメさんが来ました。


そして、カレーの前で顎に手をあてながら、思案をしています。


ほら、猫さん。分かりますか?

カレーは無敵ってわけじゃなくて、カレーを出すリスクが存在するんですよ。

「カレーあるならカレーにするか」 ってなってしまうんですよ。


でも、さすがアイドルですね。

カレーの誘惑を振り切り、生野菜の前に行き山盛りにして一度席に置きました。

そして、またカレーの前で思案してます。


今日の焼き魚は、鯛に似た超肉食の異界の魚と銀河鮭です。

品質と焼き加減に自信があるんですが、取ってみませんか。


あー、願いも空しく、カレーに行った。

かき氷の様にお米を山に乗せて、シロップの様にカレーをかけ出した~。


試合終了です。

カレーの勝ちです。


喜んでくれたなら、良しとしましょう。


そして後の3柱には、魚が好評でした。

ありがとう神様。


あれ? 啓示神、来てませんが。

啓示神の担当で自分が対応しろと言う事ですか。一応、お客ですからね。

でも、猫さんに対応任せます。


――


さて、チェックアウトの時間です。


ご一行様が、ロビーに集合しワチャワチャと集まっている。


お客様のお送りの方お願いします。


自分、猫さん、ポムさんで礼をする。


「「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」」


と、そのまま自分が、ご一行の中に混ざる。


「さて、皆様いきましょうか。入り口まで飛びます。それでは手を繋いでください。送りますね」


啓示神は、制裁神と破壊神にがっちりと両サイドから掴まれている。


離さないで下さいね。お願いします。

情が移りかけています。長居は危険です。


とっとと、星を修復して帰ってきましょう。


「猫さん、ポムさん後は、頼みました。アヤメ様、伊織様をお願いします」


全員でシュポンとダンジョン入り口に戻り、小雨様と舞さんに手を握ってもらい地上に出る。


――


地上に出ると、外が赤く染まっている。


あ~、世界が終わりかけてますね。


「あの、さすがにこの世界もろすぎませんか?」


「「いや、位相世界の星海を超えて普通行き来できないから。位相世界は、理の権能を逃がさない構造になってるわけ。強固なのよ。たとえ地上が滅んでも、位相世界でどうでも出来るわけ」」


そうですか。感動的で無意味なイメージですね。


地上に戻り、制裁神様、破壊神様の気配が分ります。

なるほど、これは自信を持っていたのが分ります。

これは、強いですね。初期の猫さんぐらいでしょうか。しかし、管理者にしては少し物足りない気もします。


霊薬をお渡しして、位相世界の神様達に帰ってもらいましょう。


それでは、位相世界用の霊薬をどうぞ。

それと、旅館の記念品に御座います。

制裁神様には、着物の帯留めです。どうぞ。調和を得ることが出来ます。

譲れない戦いがあったら鳴らしてみてください。運命が貴方を味方するでしょう。


破壊神様には、こちらを。

温泉饅頭です。 お土産を渡したい人がいるのでは?


そして、啓示神。この度はお世話になりました。

・・・、またの機会をお待ちしてます。

ステータスカード(名刺)です。自分への通信手段で、一度だけ連絡できますから。

そして、一度だけ味方しますから。


と、啓示神に渡したら、名刺を握り瞬時に使用された。


『またね』


とだけ残して、3柱はシュワワーンと消えていった。


なんか、啓示神っていいよな。

今の行動も狙ったものじゃなくて、一世一代の勇気を振り絞った行動だろ? 手が震えていだぞ?

あぁ、こいつは、次はやばいな。


さて、マユミ様、剣神様ブレスレットをお渡しします。

新婚旅行でも侵攻旅行でも、ご利用ください。


「ありがとうございます。小雨様も、大変お世話になりました。 マユミは次の人生を剣神様と歩もうと思います! それでは!」


「「ありがとうございました!」」


剣神様が、マユミさんをお姫様抱っこしながら、走り去っていく。

最強ですね。


さて、じゃあ 小雨様、アリエノールさん、舞さん

元に戻しますよ。いいですか?


魔族の羽をバサッとさせて、魔族スーツに包まれたアリエノールさんが、紫の目でのぞき込んでくる。


「おや、何かありますか?」


「ショウタ様と呼ばしてもらっていいですか。世界を元に戻す前に、少しいいですか。 小雨様と、舞主任の話で少し時間が欲しい」


はいはい、どうぞ。


アリエノールさんが、振り返りお二方と話始める。

魔族の羽を出現させ、魔力を練っているのが分る。

攻撃態勢だ。


「舞主任、アイテムボックスの中身を見させて欲しいのですが。 貴方に確信が持てないのです。 だが、その前に伝えたい。貴方のこの功績計り知れないものです。その獲物の銃の武器が強すぎる、おそらく私より強いでしょう。銃に比べると光弾の魔法なんて児戯に等しいですね。そうです、複製体。貴方を見破るのは、まず不可能だ。物凄い高度な複製の怪物だ」


「アリエノール、やめろ」


「小雨様、やめていいのですか? 世界が戻れば、この舞主任と本物の舞主任は、どうなるのでしょうか。舞主任、おそらくですね。小雨様は本物でも偽物の化け物でも、どちらでもいいと思ってますよ? でも本物なら、見せて頂けますか? アイテムボックスの中身を。それとも感づいた目撃者を消しますか? それは、無理でしょう。ああ、哀れな複製の怪物よ、とぼけるより、真摯が一番の場面だぞ」


「アリエノールさん、何を言ってるんですかー? 私は私ですよー。 小雨様! 私ですー! 本物ですよー! 信じてください! だって、私は・・・」


「やめてくれ」


自分が作った鏡石の銃ですからね。優秀だと思います。

でも、よく見破りましたね。自分の鏡石の技術もまだまだと言う事ですか。


神様が、なぜ転生者に力を与えるか分かります。

その力が起こす相反の事象。物語が最高の愉悦になるからですね。

まさに、永遠を過ごす最高のスペクタル。


自分は、旅館に来た方に力を渡しますが。


自分が作った鏡石が本体の複製体の存在で、ドッペルゲンガーと言われるものです。

記憶も形も完全にコピーできているはずです。高品質がモットーですから。

複製としての 『本人に成り代わりたい』 と言う、生存本能もあるでしょう。


さて、複製体。情や愛をこの期間で理解できてますか?

出来てなかったら、消されるでしょうね。


地上の管理筆頭の小雨様は、どう言う決断を下すでしょうかね。




最近、なぜ、小説を読むのか。と考えていた時。

小説でしか出来ない心の打ち抜き方があるからと思うんですね

何をもって心を打ち抜くか




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ