52 アヤメようやくお店へ
ウィークエンド
アヤメ
小雨様ご一行が旅館に着きました。
なんかですね~、小雨様の上に立つ人の苦労と言いますか、何か分かりました~!
いや~、組織の上に立ちたくないですねぇ~。今の走り続けるお仕事の方のが合っている気がします~!
マユミさん。寿退社おめてとうございます~。
さて、次の統括部長は、どなたがやるのでしょうか~。
交渉は終わりました。
入り口でジーッとこっちを見てる太陽神の像を素通りし、旅館の中へ入りましょうか!
ネコさんを抱っこしながら、旅館に入る啓示神様。
両脇を着物の神様と、金髪ロン毛の破壊神様で固められてます。
2柱にジーッとのぞき込むように顔を見つめられてます。これは、精神にきますね。
でも啓示神様からは 「私ね、買われたの。被害者なの」 と、つよつよのセリフが出てきました!
これは、手が出せないでしょう~!
そして、こちらのポムちゃんを未遂の伊織は 「アヤメも舞も、ポムも愛してるんだ。 なぜ、愛を一つにしぼらなけえぇええええええええええ」 さすが舞ちゃん、1発は誤射だから大丈夫ですね。
ナイスショット! 良いエイムしてますね~。
ショウタさん。すいません、けが人です。 伊織の足を誤射しました。
ーー
再度、旅館の中に入る。
いつもどおりに入り口から見える風景は、緑に光る観葉植物と奥にガラスの床のラウンジが見える。
ショウタさんが、礼で出迎える。
「いらっしゃいませ! お客様方! ご来店ありがとうございます!」
シュワワーンと光と共に、ネコさん、ポムちゃんがショウタさんの隣に再召喚される。
「「いらっしゃいませ」」
スッと、足を引いたネコさん、ポムさんが礼をする。
手をお腹に当て、ホテルマンの様だ。
「代表の小雨様~。すいません、こちらへ。 ほかのお客様方ラウンジでお待ちくださいませ」
ポムちゃん、ネコさんがご一行をラウンジに案内する。
私達、どうしましょう。チェックイン終わってるんですよね。
もう部屋に戻ってもいいんですが、もう少し様子を見ますか。
取りあえず、伊織は部屋に放り込みます。お願いします。
「え? 待て待て? まだなにもしていないじゃないか?」
突如、伊織が黒い空間に飲まれる。伊織は部屋に送られた。
よし。次いきましょう
「舞ちゃんは、部屋どうなりますかね~」
ラウンジのソファーに座り舞ちゃんに話しかける
「私は、小雨様とですかねー。マユミ統括が寿退社ですからー」
ああ、そうでしたね~
ちらっと、横目でマユミさん、剣神様の二人を見る。
と、見るのをやめる。
イチャラブは、放置しましょう。マユミさんが幸せになるのを心から望んでましたが、これを見せられるとなぜ、イライラするのでしょうか。
人の気持ちは難しいですね~?
「啓示神の部屋と一緒でお願いしますね。破壊神も一緒でお願いします~」
と、小雨様と受付カウンターで着物の神様が交渉している。
もう逃がさないと言う、強い意志を感じます。
「ショウタ殿、費用は一億でいいだろうか。 制裁神も黙るようなサービスで頼む。 我々は、1泊でいいな。権能をとっとと返して欲しいのだ。これで手を打たないか、ショウタ殿。 啓示神も1泊で引き取るから」
「参りました、小雨様。仰せの通りに致しましょう。 本日は、日頃のお疲れを癒して頂ければと思います」
ショウタさんが、白旗です。
小雨様の力、半端ないですねぇ~。つよつよです。
そして、啓示神様の周りに、画面のホログラムがフォワンフォワンと浮かんでいます。
何かを検索しているようです。
【ここから助かる方法 教えて啓示神】
啓示神様が、自分で自分を検索してます。 自己矛盾を起こしてませんか?
もしも検索できたらどうするんですか?
まぁ~、頭がおかしくなる前に、一度部屋に戻りましょうか~。
と、思っていた所。
「お疲れのお客様に、お飲み物をご用意いたしましたにゃ~。 ほろ苦い思い出コーヒー、懐かしき思い出のお茶、はるか遠くの過去ウィスキーにゃ。選んでくれにゃ」
と、ネコさんが、ラウンジに思い出の劇薬を持ってきやがりましたぁ~。
逃げましょう。即、逃げましょう。
「あああああああ!」 の過去の思い出が脳を焼いてくる映像が想像できます。
これだけの人数。凄いうるさいと思います。
即、部屋に戻ります~。
ーー
思っただけで、部屋に戻れるって凄いですよね~
畳のお部屋です。 畳の部屋ってだけで、修学旅行を思い出しますね~。
部屋を見回すと、先に飛ばされていた伊織が居ない。
机を見るとお茶を飲んだ後があり、謎の奥椅子ルームに伊織のインナー服が脱がれて置いている。
書き置きに、「空いてるうちに、浴場を楽しんでくる」 と、付箋に書いてある。
了解しました、伊織。
初66F、秘密の宿屋を堪能してみてください。
前回、部屋のお風呂だったので私も行きますから。
でも、相当疲れました。お茶を飲んで少し休みたいです。
グダグダしてから、お風呂いきましょうか。
装備を全て収納し、布団へダイブです。数十分おやすみなさい~。
ーー
少しの仮眠で、目が覚めました~。
さて、大浴場へ行きましょうか~!
浴衣をシュルシュルと着て、タオルを持って。
繋がれ大浴場に! と思いながら、ギギッと鉄の扉を開けると大浴場の、のれん前にでました~!
のれんに女湯と書いてありますね。
自動転移システムの優秀さ、やはり怖さを感じます。
のれんに入ると、タオルで長い髪を拭いている小雨様が浴衣の湯上り姿でいらっしゃいました。
金髪ウェーブの浴衣姿、素敵すぎませんか~。
「アヤメか、今から入るのか? あー、中にだな、伊織が湯船にずーっと入ってるんだ。 なんだろう。 伊織にその気があるのは分るんだが、我が入っているとガン見してくるんだが。いや、タオルで隠してるんだかな。 なんだろう、体洗ってる時も、常に視線を感じると言うか。 湯船に入って、伊織と会話をするんだが、常に舐めるように見られてるのを感じる。 神である我が恐怖を感じるんだなこれが」
あー、はいはい。なるほど~。
承知しました。小雨様、湯冷めする前にお戻りください~。
「あぁ、湯は最高だったな。後、霊薬一人1本ついてくるぞ。そしたら、後で食事の宴会場でな~」
小雨様が、フェイスタオルを振り回しながら部屋に戻って行く。
私は、のれんをくぐり、そしてアイテムボックスから紫剣を取り出してコトリと着替えの籠に置く。
浴衣を脱ぎ捨て、「一人一本どうぞ」 と書いてある冷蔵ケースから、霊薬を取り出す。
そして、フェイスタオルで右手で持った紫剣を隠し、霊薬を左手で持つ。
あ、その前にフロントコールしなきゃ。
私は脱衣場の備え付けの受話器を取る。
プルルルルル、ガチャリ。すぐにショウタさんが出る。
「あ、ショウタさんですか~? すみません~! お湯を汚してしまうかもなんですが、大丈夫ですか~? もちろん、料金は払います~。 はい、浄化の魔法があるから大丈夫ですか? 魔法って凄いですね~? めんどくさい生活風景の表現も魔法で解決? ファンタジーチョロイ? 良く分かりませんので、切りますね~」
お断りを入れましたし、お風呂入りますか~。
カラカラカラカラと浴場のドアを開けると、目の前の大きなお風呂に伊織が鎮座している。
私はタオルで前と紫剣を隠し、紫剣と霊薬をぎゅっと握りしめる。
伊織がポニーテールをおろしていて、濡れたロングの黒髪が垂れ下がり、お湯に浮いている。
私が入ってきたのに気づいたのか、赤い舌でペロリと唇を舐めていた。
ほんとにこの根性を尊敬しますよ、伊織。
よーくこんな自分の欲を埋める事を考えつきますよね~?
「あれ~伊織。まだ入ってたんですか~。のぼせないんですか~?」
「体は、頑丈でな。 一日中ここに居るつもりだ」
はいはい。そうですか~。処しますね。
流れで、左手で持っていた霊薬をコトリと荷物置きに置く。
そしたら体を洗いますか、伊織手伝ってもらっていいですか。
私は、左手で髪を耳にかきあげる仕草をする。
その言葉に反応したのか、バシャリ! と、湯を切り伊織が上がってきた。
私は、突撃してくるスッポンポンの伊織の手首を掴み、引き寄せる。
伊織が、あああああ~! と幸せのビブラートを掛けただろうか。
私の右手に持っていたフェイスタオルが落ち。刃物の紫剣があらわになる。
笑ってると思いますが、私は今どんな表情をしてるのでしょうか。
ーー
のぼせた伊織を部屋で休ませ。私は、装備の手入れをしている。
和やかに時が過ぎ、そろそろ夕飯の時間だ。
扉を開ければ旅館の夕食会場に着くだろう。
そろそろ起こすとしますか!
伊織起きてください~。ご飯ですよ~。伊織~ご飯~。
布団に包まっている伊織を揺さぶる。
「あぁ、おはよう。さっきまで刃物がズズッと肺に入ってくる感覚があったんだが。まぁ、でも大収穫だ。神様達って綺麗だな」
本当に、メンタルが最高の相棒ですね。
さて、ショウタシェフによる夕食です~。
行きましょう、伊織~。テンション上がりますよ~。
ギギッと扉を開くと、和室の宴会場に着く。
氷の鳥の氷像が目につき、その周りにはお刺身、揚げ物、お肉のグリル、寿司、そば、が並んでいる。
バイキング形式でしたか~。
席に座り、お皿を持ち カキフライ、アジフライ、から揚げを取る。
刹那、ショウタさんがいきなり隣に沸き 「タルタルソースをたっぷり上からかけてください。そしてすぐ、かじると。じゅわっ、サクッとタルタルのやわらかい酸味が絶品へと引き立てますよ」
謎の注釈に驚き、横を見るが既にいなくなっている。
辺りを見回すと、他の方の所にポコポコと瞬時にポップして注釈を入れている。
そして席に着き、まず食べる。
「おいしいいいい~」
伊織も、似たような構成で取っている。
「いや、アヤメこれ?? アジじゃないよな? カキフライでもない。なんだこれは。うますぎる。これは期待できるな。ここに出てる食事、全部食べてみないか」
「承知~!」
それぞれが、食べたいものを取りに立ち上がった。
お肉のグリルを取る。
「大陸だと、長時間の低温調理のロースト燻製肉の事をバーベキューとする事もあるんですよ。肉の表面だけを乾燥させて、体積を減らすことにより肉の味をギュッと閉じ込めるんです。 肉の味が濃いですよ。お好みですが、玉ねぎのソースが合います」
この注釈だけでお腹が減ります~。ショウタシェフ、注釈が好きなんですね~。
お刺身も取ります。
「星海ガマガルギョーのお刺身ですか。目から破壊光線を出してくるんですよね。大地を抉り、沿岸を簡単に飲み込んできます。 これを倒すのに国一つ挙げての大事業になります。 あ、マグッーロを取ってしまいましたか。 光速を超えた速度で泳ぎ続け、次元間を・・・」
スルーしましょう。席に戻りましょうか~。
どの料理にもご満悦の中、2週目のチョイスをどうしようかと考えていた時、着物の神様も会場に来ていて氷像の前でばったり会った。
「アヤメさん、ご挨拶が遅れましたね。 先ほどは、失礼いたしました。 メンテナンス神と申します」
この方が、メンテナンス神様ですか。
ステータスカードの制裁の時と、ぜんぜん言葉遣いが違いますね。
仕事のオン、オフを分けるタイプの方でしょうか~。
「こちらの方こそ、ご挨拶ありがとうございます~! アヤメです~、いつも人々がお世話になっております??」
星の権能を司る高位神様にどうご挨拶すべきでしょうか!?
メンテナンス神様は、黒ロングで浴衣の着こなしにも凄い気品がある。
手をお腹の上で交差させ、しゃなりと優雅な立ち振る舞いだ。
「アヤメさんからのこの流れ。この結果を見るに、見事な仲裁でしたわね~。暴力だけでは、解決しない事が沢山あると言う事ですね。いえ? 暴力で解決でしてましたね。 しかしこの事態、旅館の転生者の方の力が強すぎのた故に起こした事態。この先どうしましょうかね」
一瞬、メンテナンス神様は天を仰ぐ。
「ま、小雨さんに任せましょうか。地上の事ですし。それと、この旅館凄いですね! ほんとうに、大浴場のお湯が良かった。位相世界より良い湯とか信じられません。何より、『真っ赤』 なワインの湯。力が漲るのを感じました」
ああああ~?! 浄化の魔法が間に合ってませんでしたか?!
それ、超優秀な戦士の血、伊織の成分ですねぇええ!? すみませぇえええん!
ショウタさん、旅館のお仕事、回ってますか~!?
そんな話をしていると、ショウタさんが正面のステージに上がってきた。
「さて、ラーメンです。本日は、伊織様からの差し入れとなります、ご賞味下さい。この星の流行を詰め込み、心を込めて作らせて頂きました。あ、食べ終わるまで逃げれません。それがこの星のルール。ラーメンのルールです。もし法則を変えたければ、自分が相手を致します」
その言葉と同時に周囲の和室会場の襖に、バチバチを音を立てた強力な結界が張られる。
突如現れた目の前の食物には、天までそびえる、もやし。
そして大量のニンニク背油のむせ返るようなにおい。
オークのモンスターを連想させる様な肉塊が、これでもか! と乗っている。
そう、ラーメンだ。
私は、感覚的に思う。
この巨塔は、神への挑戦だ。
メンテナンス神様が、何か危機を感じたのかダッシュでこの場から逃走しようと襖を開けようとするが、強力な結界によって阻まれる。
「あああああああああああ!? これを食えと言う事です!? この最高に満たされた食後に!? 狂っている!! 正気じゃないわ!」
襖をガタガタとさせ逃げようとするメンテナンス神様を横目に、伊織がこっちに来た。
「アヤメ、めちゃくちゃおいしそうだ。 まさに至高に一杯だ」
伊織?!
でも、たしかに~? 食後には、ちょっとキツイですよね~。
辺りを見回す、破壊神様、剣神様、マユミさん、舞ちゃん、アリエノールさん。
皆、満足したように、ハフハフとすすりながら食べ進めている。
あれ? 小雨様の姿が見えません。これは、早めに逃げましたね。
「「「締めのラーメン、すごいおいしい~」」」
好評の他の方々をよそに、天までそびえる、ラーメンを見ているメンテナンス神様がへたり込み、うっ、オェッと嗚咽をもらしている。
メンテナンス神様、いけませんよぉ~。
私は、食べましたよ~!!
初めてここにきて、ほんとに良くわからなかった時も、食べて運命を掴みました。
投稿小説を読むのも、スマホの消費ギガが少ないのが理由。と言いたい所ですが
意外にもパソコンが多いのが驚きです。いや、驚きでもないですか。




