46 アヤメ配信不具合
行間、テンポ 規則性。
61Fで地響きを感じさせる重量の超ゴリライオンと遭遇です~!
前は手も足もでませんでした!
ですが、今はLVが上がりまくりまして、スキルが何か激しく強くなってます!
強さの確認のためのステータス画面は、開きたくないので開きませんがぁあ!
ーーーー
来ましたよぉ~! 超ゴリライオン!
私の心のわだかまり。モヤモヤと決別の時。
「視聴者の皆様、見えてますかぁ~? 60Fボスと同じ強さの気配。超ゴリライオンさんです~」
閲覧中の皆様に、語りかけています。
超ゴリライオンが、ズズン、ズズンと地響きを響かせやってくる。
大木より太い左右3本の腕、ライオン、ゴリラ、鶏の3つの頭の邪悪な風貌。
筋肉二足歩行をし見上げるような全長。胴、足、とにかく筋肉がモリモリだ。
にじみ出る強者オーラ。凄い圧力だ。
ゴリライオンの3つの顔がニヤッと笑っただろうか。
【これ、あかんやつやろ】
【あっ】
【リアル怪物ハンターは、やり直しないんですが。そのへん大丈夫ですか】
【あんなん殴られたら、グシャッといくやろ】
【伊織さん、あのモンスターの攻撃受けるんですか? 恐怖の遺伝子お持ちでない?】
【いや、60Fの帰還陣で帰らないんですか】
コメントも荒ぶっています。
私も最初コレ見たとき、狂ってると思いましたもんねぇ~。
でも、今は行けそうです。
ゴリライオンの気配が弱い! と思うのですが・・・、この奥の住人の方がおかしいんですよね。
よく考えるとポムさんもゴリライオンより、強いですからね。
「伊織、良いですかぁ~? アイテム全部使いますよ。最悪、帰還陣で戻れますからねぇ~」
「承知した。 これ、ミスリル装備無いと無理だったな。こんなの黒鉄で受けたら、ゴクシャアアアとなるだろう。まずは、属性石でけん制からいくぞ」
「承知!」
「加速」 「鉄壁」 私たちは、瞬時にアイテムを取り出し一節を唱える。
ドゴンドゴンゴンと重量を感じさせ走ってくる、ゴリライオン。
再び一節が唱えられる 「業火」 と。 辺り一面に、火炎の嵐が舞い、ゴリライオンを包む。
炎を振り払い、ゴリライオンの激太な腕から拳が繰り出される。
伊織は軽く後方に下がり、私は横に回るため前に出る。
何時ものパターンだ。 次の一拍で伊織が前に出るだろう。
ゴリライオンの拳が大地を砕く。 大地の石礫が銃弾の様に襲い掛かる。
装備の性能で簡単に弾くが、ゴリライオンの計6本の腕の連撃が始まる。
これミスリル装備じゃなかったら、ダメでしたね。
伊織目掛けて ドドドドドド と、筋肉の無呼吸ラッシュ。
大地が砕け、伊織の体がラッシュの度に地面に沈んでいく。
まるで杭打ちの様子を見ているかの様だ。
1分持ちませんね。即、決めないと。
「氷河」 「剛力」 氷結がゴリライオンを襲い、目くらましとなる。
そのまま、ゴリライオンの腕に近接し、3連撃で同じ個所を切り、腕一本切り飛ばす。
この体から、骨格を超えた動きはしませんね。 よかった。
ゴリライオンは、切り飛ばされた反対の腕3本でラッシュを仕掛けようとするが、反撃する時は下半身の足ががら空きだ。
膝切り飛ばしますよ~。
一瞬だけ踏み込み前に出る、太い膝に連撃を加えそのまま足の間を抜ける。 そして後ろに出た。
そうすると、バランス崩しますよね~? 「伊織! 頭が降りてきますよ! 勝機です~! 雷を!」
「雷よ」 グラリとバランスを崩した、ゴリライオンに荷電の嵐が襲う。
雷は、一瞬敵をひるませる。 脳からの指示を止めれるのだ。
ズズンとゴリライオンが片膝をつく。
ハイ~!ちょうど降りてきた、切りやすい首です。
2個もらいますねぇ~!!
地面を蹴り、首に飛びあがり上下に6連撃をかぶせ、鶏とゴリラ部分の首をごろりと切り落とす。
噴水の様に血が吹き出でて、辺りに池を作る。
だが、これで決まってない可能性がある。ゴーレムで痛いほど学んだ。
一度、反撃を恐れひとまず引き飛ぶ。
ザクッ、ザクッ 伊織が盾を収納し両手槍で攻撃できる手を刺している。血しぶきが舞う。
伊織は、直撃してもフルアーマーなら耐えれそうですもんね。
一度頼みますよ。
ゴリライオンは立ち上がろうとし、残っている手を降りまわす。
まだ、終わりませんよ。
「火よ」 属性石を取り出し、遠距離で攻撃する。
ミスリル装備の伊織なら、巻き込まれても大丈夫です。
影響はありません~。何よりいつもの事です~!
「ゴアアアアアアアアアアアアアアアア」
火炎で包まれライオンとなったモンスターが叫ぶ。断末魔だろうか。
まだまだ、安心しませんよ。
最後の首があるじゃないですかぁ~。その首、落とすまで安心しませんから。
火が消えると同時に宙に飛び出し、正気を失った最後のライオン首を切り落とす。
ズズン! ゴリライオンが倒れる。
頭3つ無くなったモンスターを光が包むとともに、ドロップアイテムが地面に転がる。
「「よし!」」
【すんごごごごおごごごおおおおおおお】
【あああああああああああ】
【祝 映画化決定!!!】
【ああああああああああああいいいいいいいい】
【ミンチ・・・どこ? ここ・・・?】
【伊織さん。杭みたいに叩かれてましたが、無事なんですか】
やりました~! 皆様やりましたよ~!
伊織がスポドリを飲むが如く、ごくごくとポーションを飲んでいる。
「伊織~、やりましたね~」
「ああ、やったな。 でもこれ連戦きついな。消費が激しい」
そうですねぇ~。しかし、どうしましょう。 もうアイテム無いので、先進めません。
「今回ここまでですね~、帰りましょうか」
「ポム・・・。 そうだな。無理は出来ない。あれの連戦をアイテム無しとか、ありえん。帰ろう」
本日、解散ですぅ~。おつかれっさまでっしたぁああ~!
さて、戻りましょう。
でも、ビンビンと私もスキルが反応してます。 ネコさんの気持ちが少しわかってきました。
ビンビンと何かが起こる予知を発しています。
でも、先にいけないですから! 無理ですって! 本日終了ですぅ~! ああああああ! 脳になんか危険信号が来てます!
なんか私、LV上がってスキルついてますね! でも無理ですって! 帰ります!
そうですよね? これで終わりませんよね?
だってほら。シュワワーンと前方が光ってます。
また、このパターンですかぁ~?
もうプランの押し売りは、断りますからねぇ~?
シュポンと今回は、お二方。 ネコさんとポムさんですか。
もう驚きませんよぉ~!
・・・・!? って、驚きます!
少し先に、俯いたままのポムさんとネコさんが現れる。
ポムちゃんが、エルフ装備になってる。どういう事ですか?
俯いたポムちゃんが、両手で手を突き出してくる。
出現と同時に魔法攻撃の反応があった。
「ああああ!! アヤメ様、伊織様! ご主人様の信頼を取り返すために、ここで死んでください!! 私は、ご主人様に愛されたい!! 渇望する福音が目の前にあったのです!」
ポムさんの樹木の蔦が、地面からメキメキと生えてくる。
足から締め付け這い上がる、束縛の魔法だ。
なるほど?
ポムちゃん、その攻撃は想定済みですよ。パーティの時に見てたじゃないですかぁ~。
私は、ポンと宙に飛ぶ。
そして、伊織は回避が間に合わない。
ミスリル装備だから、拘束されても数秒で解除できるだろう。
うーん、ポムちゃん、猫さん敵になるんですか?
戦闘のプランとして、まず速攻でポムちゃんの首飛ばして倒して、猫さんとの戦闘は、避けて全力で帰還魔方陣に退避ですね。
追ってくるであろう、あのラスボスは、どうしょうもなりません。
全力で逃げて私と一緒に世界が滅ぶなら、寂しくないですしね~。私、大往生でしょう。
私は紫剣を引き抜き、2本とも握りしめる。
「待て待て待て待て! アヤメ!ポム! 一発なら誤射かもしれない! ポム冗談じゃすまないぞ! さっき見ただろ!私が刺される所を。 アヤメはやる! 『ポムちゃんどうして!? あんな、に仲良かったのに!』 とか躊躇は、無いぞ! まず期待できない! やるときはやる! そこが最高にいいんだが。 ちょっとこっち来いって! いつものあれじゃない、真剣なんだ。ほんと真剣なんだ」
伊織が、樹木の束縛を解き、仲介の言葉を投げてきた。
そのまま項垂れているポムさんの所へ歩いていく。
フルフェイスの兜を脱ぎ、伊織のポニテ―ルがフサッと出てきた。
そのままポムちゃんの手を握り、洞窟の端へ連れていく。
あれ、やらないんですか~。 うーん、あれは誤射かもしれません・・・か。
ネコさんが項垂れながら、話しかけてくる。
「この星の労働って、楽じゃないにゃ~。 中間管理職がこんなに大変だとはにゃ~」
うーん。どういうことですか? 攻撃されて黙って居られませんよぉ~。
「ネコさん、どうなってますかぁ~? 私、敵対者はモンスターとして処理するんです。 ここダンジョンですからねぇ~。 法の光が届かない場所ですからぁ~」
フワフワしていた猫さんは、地面に降りる。
何か二足歩行をしていますね。
「何か疲れてきたにゃ~。でも契約があるからやめられないにゃ~。 吾輩の次元が人質にとられているから、やめられないにゃ~。 絶対に破壊されるにゃ~。 アヤメ殿どうしたらいいと思うにゃ?」
猫さんは、二足歩行で、てくてくとこちらに歩いてくる。 シュールだ。
「ポムさんは、愛情不足にゃ。 創造主からの愛情不足の情緒不安定にゃ。 世の中には、愛が必要、アヤメ殿は、そう思わないかにゃ? そして、許して欲しいにゃ。 そうじゃないと、吾輩が相手することになるにゃ。 少しお話しようにゃ」
私は、猫さんをじっと見つめる。そして、猫さんもじっと見つめる。
「分かりました」
「助かるにゃ」
そして、少し奥の暗がりがうるさい。
「首が飛ぶってポム。『コロリと転がり、生気の無い目が、ただ私を見つめていた。』 って、バッドエンドになるから。 ポムが、魔法見せた時点でだめだ。アヤメは、ああ見えて色々考えてるんだって。戦闘の天才なんだから。 ありえないタイミングで拘束を避けられただろ? ヤるなら今じゃないって。な?わかるだろ? ポムの方が強いのは、分る。 でも、強さってなんだ? 色々あるだろ?そうだろ?」
伊織が、洞窟の壁に手を付き、ポムちゃんと見つめあい熱弁している。
ポムちゃんは、自身の後ろに手を回し胸を突き出す様に、余裕をもって伊織を観察している。
伊織、一度見た技を食らうのは、愚かですよぉ~。
そして、いずれ、戦うこの日が来ると思ってましたよ。かつての友プラ~ですねぇ!
「あ、伊織さん。色々な強さですか。すごく良い事を言いますね。でも、ぜんぜんダメですね。よわよわです」
ポムちゃんが一瞬のうちに、壁に手をついた伊織の手を後ろに回した手で跳ね上げ、伊織の脇に腕を差し込み、グルッと体位を入れ替える。
一呼吸で伊織の体位を入れ替え、逆に壁ドンを返した。
伊織が驚き、両手を壁に掌を当てて、後は無いのに壁に寄り添い後ずさっている。
「さっきまでの威勢どうしましたか、伊織さん。 愛もある、やさしさもある。 なのになぜ私に響かないのでしょう。 伊織さん、やっぱり必要なのは、強さじゃないんですか?」
そのまま、ポムちゃんの膝が伊織の股に入り込み、アーマーを着込んでる伊織の体を膝で少し浮かす。
あ~、これ、逃げられないですね。伊織の体位が死んでます。 逆わからせじゃないですか~。
伊織、意外と苛烈に責められると、純情ですもんね。 おっととと、攻められるです~。
「な?! ポム?!」
ポムちゃんが、フルフェイスを脱いだ伊織の首筋をいきなり噛む。
「ああああああああああああああああ?! あああああああああああ!?」
ここまでですね。伊織の負けですよぉ~!!!! 全身の痙攣やめてください~。
「「そこまでです」 にゃ」
白目を向いた伊織から、ポムちゃんの膝が離れ、伊織がゴシャアアアと沈み込む。
これはもう、伊織ダメですね。 帰ってこれますかねぇ~?!
そのまま、ポムちゃんが、静かに首を回し、暗い緑の目で私を見る。
「アヤメさん、なら愛してくれそうです。アヤメさん、私を身受けてくださいよ。ダメですか? 何でもしますよ」
「凄いおかしい、ポムちゃん。 ごめんね? 笑っていい? 愛が足りてない? アハハハッ」
怒り! 激しい怒りが、ポムちゃんから吹き出る。
緑の目は、紫色に染まり、地面は、ミキミキミキと異音を上げる。
お~? やる気ですかぁ~?
まぁ、でも私、やさしいですから~。 ポムちゃんこっちですよ。
「ポムちゃんいいから、こっち来て~」
黒の配信ヘアバンドを外し、動画コメントを、映し出す。
後ろにまとめていた、髪が前に乱れる。
「これみてください~!」
動画のコメントを映し出す。 当たり前のように、愛を伝えるコメントで溢れている。
【愛してます!】
【愛してますぅうううううう!】
【愛してます! 愛してます!】
【愛してます!!!】
【愛してます!!!!】
【愛しています】
【らぶゆー!らぶゆー!】
【愛してます!】
【愛してますよぉおおおお!!】
【ああああああああああ、この体ミンチになったっていい! 伝えないと! 愛してぎぇ】
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「あぐっ、ぐひっ」
ポムちゃんが、視聴者の画面大に映っているだろうか。
手を口で押え、涙を流している。 額の蒼い宝石がきらりと輝いている。
色々な愛がありますからね。承認欲求もその一つでしょうかぁ~。
このご時世、毎晩愛を与え、毎晩愛を受け取ってませんか? そう、配信動画から。
愛の重さってものが、分かりませんが。 愛は、増えてもいいやつだと思います。
愛は、増えても減らない物です~。
・・・反転はしますがぁ。
「見事にゃ! アヤメ殿! 見事にゃああああああ! 宿命に打ち勝ち、己が運命を掴む選択にゃ! 絶望に打ち勝つための未来の見事な提示にゃ! 命短し定命の者、その短き命の火花! 現実に打ちひしがれた吾輩は、激しく力を得たにゃ!」
なぜか、猫さんがいつもより、高く浮き上がり、青の波動をとめどなく放射している。
「でも、ご主人このエントロピーに打ち勝つのを何回やったんにゃ。全然届く気しないにゃ~」
蒼く輝きを得た、ネコさんがいつものフワフワ状態に戻った。
そして、ポムさんの気配が変る。
憑き物が落ちたかのようですね~ 気づき得ましたかぁ~。
与えないと、与えられない。逆もしかりですよぉ~!
ほんとに大変な事ですが。全力じゃないと伝わりませんよぉ~!
「アヤメ様、やっぱり身受けてくださいよ。 配信教えてください。何でもしますよ。 たとえ、ひと時でも、多くの愛を与え、受けたいと思います」
どうですかね~!? ポムちゃん相手だと、負けそうです! 少し露出してピアノ弾くだけで負けそうですよ! もの凄いライバルの誕生ですぅ~!
「アヤメ殿、吾輩も身請けてくれないかにゃ? この星の女王にして見せるにゃ。 この世界いらんかにゃ?」
間に合ってます~
「「大切なお客様、アヤメ様。いきましょうか。 ご主人様がお待ちしております」」
そうですね、まだ痙攣している伊織を拾って、いきましょうか。行きましょう~。
このまま、66Fへ向かう所
突如、配信の通信機器が全て遮断された。
評価の程、宜しくお願い致します~