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42 小雨様接待 序章終了

序章終了致しました。


色とりどりの光で地面からライトアップされた秘密の宿屋


あああああああ~ああ!


と、オペラで言うビブラートを掛けてくるショウタ殿。中々な美声の持ち主である。

ピンク色の光に照らされながら、頭を激しく上下に動かしヘットバンクをしている。


もう外に居ないで、とっとと中に入ろうよ。

外でたむろしてないでさ、こういう時は中でやろうよ。

我は、飲み会の時は中で待ちたい派なのだ。


そして、アヤメが66F旅館と言っていたが隠語か何かだったろうか?

これ旅館じゃなくない?モーテルだよね。今モーテルとか言わないのか。

ラブホテル? 違うな。 あぁ、ナイトクラブか。


そして、ネオンの光が目にキツい。


「ああああああ~ああ!」 


ショウタ殿うるさいぞ。

お主の店だよな? 文字数稼いで無いでとっとと入るぞ。


我々はショウタ殿をたしなめながら、ネオンの光が入り口を激しく照らしている自動ドアからウィィンと入る。


入った所、目の前に、ポム、ネコ殿がいた。

上半身裸の蒼いロングの髪がブラジャーの代わりをしているだろうか。

下は、半ズボンのジーンズのポムが出迎える。カウボーイハットがとってもおしゃれである。

大陸ガールのイメージだろう。


ポムの露出が高すぎないか? 上半身ほぼ、服着てないじゃないか。


そしてネコ殿がタキシードで出迎える。


「「いらっしゃいませー」」


入り口の上のミラボールが狂ったように回転し、辺りをチカチカと照らしている。

下の玄関マットがすごいふかふかだ。


我の感覚だと少し前の話だが、昔はよく接待でこういう所に案内された。

もちろん、時代と共に無くなっていったが。

まあ、品格の話だ。 今は、高級クラブでの接待と変化しているが。


「わあああああ! ナイトパーティ! こんなのドラマでしか見た事ないですよー! ポ、ポムさんが接待ですかー? その半裸の格好で? 天国? いや、アイドル候補を買っていいんですか? お、金! お金が足りない! やはり世の中、肩書とお金! 私は、間違っていなかったー!」


そうか、そうか。間違っているぞ。


「しかし、まぁ、素敵な店だな。なんだか懐かしく感じるよ。会社が大きくなるにつれ、どうしても品格を問われてしまうので、久しくこんな感じの店に行っていないな。今日はそしたらお世話になるよ」


ショウタ殿の慟哭が、ピタッと止まる。


「あ、意外と高評価ですね? 発作が収まりました。 そうですね、今日は楽しんで下さい。 先に取引アイテムの準備をするので、ちょっと失礼しますね。 猫さん、ポムさんこちらへ」


ショウタ殿が手招きをし、ネコ殿、ポムを奥の暗がりへ連れて行く。


我は、聞き耳モードだ。


「え、接待でこれは、ちょっと古すぎませんか!  このご時世でナイトパーティは、厳しくないですかね。 こういう店って、参加した男性が悪いようになってしまうんですよ、昔は男女の労働の比率が違いましたから、繁華街はこういう感じだったんですが。 わかりますか。こういう場合・・・? あれ? 小雨様も舞さんも女性だから別にいいのか・・? 世間体は悪くないですね。あれ?」


「私のご主人様の古い記憶を探りました。いつも組織の接待これでしたよね・・? ご主人様が喜んでいたコスプレのジーパン大陸ガールをイメージしたんですが」


「ぐああああああああああああ、神様助けて! 昔、人間だった思い出が、脳を攻撃してくる!」


「この星の文献でも、接待の注釈を詳しく見るとこう文面で出力されていたにゃ。大丈夫にゃ。文明レベルにあっているはずにゃ」


「!? あー、そうですよね。自分の星と違う所ありますもんね。 え、ほんとに大丈夫ですかね。これでいきますよ? 何か、お二方に好印象ですし。 そしたら、料理とお酒、猫さん。 自分小雨様着きます。 あぁ、小雨様凄い好感が持てるんですよ。なんか付きたくなりますね。 ポムさん、舞さんのお相手お願いします。いけますよね」


「「承知~」」


話は、まとまっただろうか。

ショウタ殿が、スーッと近寄ってくる。


「ささ、仕事を終わらせましょう。まずはアイテムをご収納下さい」


我は収納を開く。この量の収納を舞では厳しいだろう。


ポーション、超加速の魔導書、そして霊薬・・? が、バンバンと入ってくる。


無理やり霊薬を渡されそうになったので、ショウタ殿に戻す。

いや、いらんいらん。 対価無き、やばい物はいらん。 蓬莱の薬の話を知らんのか。


超加速の魔導書で十分だ。韋駄天の上級加護だ。たまにダンジョンでレアの魔導書が出る。

腐れ縁の古い仲だ、後で報告だけしてやるか。


「・・・、受け渡し完了と。 試す真似をして申し訳ございません。ほんとに素敵な方だ。 何か困ったときがあったら、三回髪留めをこすってみてください」


「すでに怖いが、承知した。 これで取引は、終わりだな。 さて、御社を視察させてもらおうか」


ショウタ殿が、手をパンパンと叩く


「ミュージックゥウウ、スータートォオオオ!」


ズンズンズンズンと音楽がかかり、サイバーネオンのライトが降り注ぐ。


ショウタ殿もノリノリじゃないか。 どうなっている。


そして、半裸ポムが片膝を付き手を添え、舞をいざなう。


「舞様、ご主人様が大変、お世話になっております。 差し支えなけばこの手をお取りくださいませ。今日は、よろしくお願い致します。そして、本日の貴方様は、牛ガールを困らせる猛牛にございます・・・」


舞は、ぎゅっとポムの手を握り奥の暗がりへ一緒に消えていった。


何?そのプレイ? ここ健全な店だよな? 世間体とかマジに大丈夫か?


我は、奥の高級ソファーに案内され座ろうとする。


「失礼・・・・、ソファーを変えますね。」


ゴゴゴゴゴと黄金の玉座が、下から生えてきた。

金ぴかの外装。舞い踊る天使たちの装飾。純金じゃないか? この光。

うーん、成金趣味である。 ショウタ殿のセンス少し古くないか。


「どうぞどうぞ。お座りください」


折角だから、座ってみようか。 金の玉座とか座ったこと無いな。

でもさすがに悪趣味と我は思う。


椅子からの黄金の輝きが、我を下から黄金色に照らす。

意外と、悪くない。世界が我の物になったような感覚を受ける。

成金趣味の神は、沢山いるが。この黄金椅子に座れる神経、相当やばいな。


「お飲み物は、何になさいます?」


「ここが地下66Fと言う事を忘れそうだ。 何か珍しい飲み物を出して・・・、いや、ほどほどに珍しいものを飲んでみたい。 お勧めは、あるか? ほどほどでいいからな。ほどほどで」


「承知しました」


すぐに、ネコ殿が真横に転移してくる。


「若返りの泉の水を時の束縛を得て蒸留したウィスキーにゃ。これすごいにゃ。飛ぶにゃ」


良くわからんものを、スッと出される。


うんうん。珍しすぎないか。

まぁ、飲んでみようか。折角出されたものを飲まないと言うのも、なんだか悪い気もするしな。


ボール状の氷が入ったグラスをクィッと傾け、飲む。


あ、凄いうまい。アルコールを感じさせない危険な酒だ。


そして、ここに居ないはずの韋駄天が、遠くから呼んでいる。

遠い遠い昔の、寂れ崩れた小さな祠に住んでいた時の風景に、我の意識は飛んだ。


韋駄天の祭りの時のあの時のか・・? もう、思い出せないほど、昔の祭りの風景。


「小雨・・、小雨! 一緒にいくでありんすよ! 小雨の風呂敷が無くて、祭りの荷物をどう運べと言うんでありんすか。小雨が、付喪神だからなどと、恥じる必要なんてありゃしません! 必要だから、意識が目覚めたでありましょ? なら、祭りに行く事でありんす! 誰もが荷物を多く運びたい、運搬の便こそ幸せの要、絶対需要がありんす! 飛脚配達の神、わっちが言うのだから間違いありゃしません! さぁ、踏み出すのでありんす! 小雨! 己の使命があるはずどっせー! さぁ! 一緒に儲けましょう! さぁ、このわっちの手を取って・・・・」


エセ都風の言葉が耳に触るが、我は韋駄天の手を掴む。そこで、昔の風景は終わった。


あぁ、クソ。

あの時、韋駄天の手を取った運命を決める瞬間に飛ぶのか。

・・・・・。 運命の分岐に飛ぶ酒か。凄いな。懐かしすぎて涙が出てくる。


「あ、お口に合いましたか?」


「ああ、ありがとう。 ショウタ殿すまない。今日は、これ以上もう飲めないな。胸が一杯だ。素敵なもてなしをありがとう」


ショウタ殿とネコ殿は、照れる仕草を見せる。


我ながら、最高の賛辞だったと思う。


「長居はやめよう。ここは、66Fだろ? なんだか、実力で来ようとしているアヤメ達に申し訳ないと思う。 今度は、我が、歓迎したい。地上で他の神にあった事はあるか? 次回、良かったら面通しをしてみないか。地上で仕事をやってくことも視野に入れているのだろう。紹介するよ」


「!! いや~ あのですね、いや~、あのですね~。いや~。ええ、よろしくお願い致します」


ショウタ殿、テレテレしていると低くみられるぞ。


「ご主人とこんな相性がいい神様がいるとはにゃ~。ほめ殺しと心の先取りすごいにゃ~。調子が良すぎて不安になってくるにゃ~」


そして、暗がりから聞こえてくる、牛の鳴きまねをしている舞を強制的に連れ帰りとするか。

ほんとに66Fで商売をする集団がいるとは、驚きだった。我の目的は達成した。


「そしたら、短くて申し訳ないが、今後とも宜しく頼む。お主のもてなし、心に響いた。ありがとう。そして、今日は帰るとしよう。あそこの舞を連れて」


「ええええええええええー?! 帰るんですかー?! まだ牛さんゲームの途中ですよー! あああああああああああああ!! 牛さんゲーム! モォオオオオオオ! 」


さて、あの会社の経費で遊び惚けるモンスターを我と一緒に入り口に送って欲しい。


「あああああああああ! ポムさん! 私のポムさん! また来ますねー! ああああ! 仕事して、出世して、お金と肩書が欲しい! ああ! あああああああ」


うるさい。


「そうですか、小雨様。また明日来てください。毎日でもいいですからね。お待ちしております。来ないと迎えにいきますので。取引先ですからね、週一間隔でお伺いしますよ」


週一は、多いだろ。月一でも多いって。

そこの調整は、マユミと舞に任すか。


「また、連絡する。そしたら、宜しく頼む。」


この転生者となんだか上手くやっていけそうだ。気のせいだろうか。

暴れてくれなければ、それでいい。お互い上手くやっていこう。


帰ろう。

凄いおいしい酒だった。そして韋駄天と剣神に自慢してやろう。

ダンジョンの中を体験したと。


そして我々は、シュポンと帰宅した。


序章終了





くぅ~これにて・・・


って、分る方は、分るかもしれませんが

あれの言葉の力、凄いですよね。

おそらく生涯、墓の中まで脳に記憶されてますよ。


くぅ~疲れました、これにて人生完結です。


さぁ、盛り上がってまいりました。狂気レベルを上げて参りましょう。

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