28 アヤメ長野へ
国家の一大事、ダンジョン溢れ。
人気の無いダンジョンでは、溢れがよく起こる。
定期的に探索者達が、浅い階のモンスター駆除をしているのにも関わらず。
なぜイレギュラーは、起こるのでしょうか。
私たちは、ヘリに乗り込み。そして疑問を口にする。
「その悩み、ヤッホーインテリジェンス袋にでも、聞いてみればいいんじゃないか? 答えてくれると思うぞ」
「ハハハ! 伊織、それ笑えるな。どうして、ダンジョンイレギュラーは、起こるんでしょうか。とな。でも、回答を大喜劇にするには、難しいな・・。 質問を変えて、『どうして人類を抹殺しないのでしょうか。私、イレギュラー女子高校生です』で、投稿してみないか」
・・・頼りになる、悪ノリの戦友たち。
確実に戦闘に行く前のテンションです。
テンションが上がりまくってます。
これから戦闘への期待、高揚感に当てられ、ワクワクが先立つのです。
ーー
あれから、魔道ヘリコプターが迎えに来て、あれよあれよと言う間に、高速ヘリに乗り込んだ私達。
私は戦闘衣装に着替え、バババババと空を飛ぶ騒音をバックサウンドにしながら
紫剣ちゃんを二本取り出し、綺麗に磨きつつダンジョン溢れに思いを馳せます。
目の前に座る、近代軍事装備のマユミさん。
完璧なる女上司の化身は、何を着ても綺麗ですねぇ。ほんとに強いんです。マユミさん。現役のダンジョンを引いたとは思えないです。 ダンジョン以外で常に戦っている人の強さを感じます~。
理想の女性ですよねぇ~。 ですよね?
さぁ、イレギュラー達! まってて下さい、レギュラーな私たちが行きますからねぇ!
「マユミさん、きっとダンジョンからへ私達への挑戦状ですよぉ! なぜ、私たちが存在しているのか! ダンジョンイレギュラーを処すためですよねぇ! イレギュラーモンスターなんて、ぶった切っちゃいましょう~!」
「そうではないにゃ。ダンジョンのエラー、異世界通路の故障、ダンジョンモンスターの情報能力、魔石に頼っている、人間たちのツケにゃ~」
「猫様、空気を読みませんか・・・。ここは、沈黙のセリフが相応しい様に感じます」
おぉ、ポムちゃん優秀ですねぇ。私たちは、気分は狩人ですからぁ。
揺れるヘリの中。マユミさんが、笑いながら装備を手入れし話しかける。
「ハハハ! そうだ。伊織のフルプレートのミスリルの装備とアヤメの装備の話だが。明日中には出来るみたいだぞ。 まず、コレを見てくれ。 純ミスリルの刀剣だ。この人を狂わせる輝きを」
機動隊の様な装備に身を包んでいるマユミさんが、装備している長刀を抜く。
蒼い輝きがヘリコプターの中を照らす。 冷たく見える刀身が、蒼く輝いている。
「マユミさん、あの純ミスリルで刀剣作ったんですねぇ~! 凄い綺麗です! 明日にもあの探索者の延髄の的のミスリル装備が手に入るとは~! しかも純ミスリルですよ! 純ミスリルの装備が揃うなんて、信じられないですよねぇ~!」
「明日この輝きが手に入ると言うのか! フルプレートも素材持ち込みで作ったから良かったな。実際作ると何十億するのだろうか気になるな~! マユミさんその刀の切れ味試したくて、仕方ないと思いますよ! そうでしょう?!」
そして、私たちは、盛大に笑い合う。
日常から切り離された、プライベートの空間。普段出来ない話を語ることに興奮を抑えられない。
ここは、本音で語れる空間なのだ。
私達の本音は、モンスターを切りたくて仕方ないのだ。
「ポムさん、ここは蛮族の宿営地にゃ。ご主人の記憶にあるかにゃ。文明レベルが低いと湧いてくるやつにゃ。 帰りの会話は、モンスター打ち取りの首や耳の打ち取り数で、夜まで語りそうにゃ」
「猫様、ご主人様の古い記憶にあります。ガールズトーク中には、気配を消せとあります。耐えた方がよさそうですよ」
私たちはガールズトークをしながら、現場に向かう。
マユミさんが打ち合わせる中、ポムちゃんの隣に座ろうとする伊織を押しとどめつつ。
集合現場に到着した。
ヘリから巻きあがる土煙に、大地の匂いを感じる。
遠くから火の手が見える。ダンジョン溢れの被害が既に出ているみたいだ。
マユミさんが、合流に備え通信機器で通話をしている。
「長野ダンジョンの管理現場が、一先ず押しとどめているのか。ここの場所で一度戦力の統合か。承知した。」
マユミさんが、きょろきょろと辺りを見回す。
「ここで、先に出ていた剣神様のダンジョン管理の人達と合流するは手筈だが・・・」
平地の集合場所にまばらに物資と人が集まっている。
その中で、剣神様と服装が似ている部隊の人達が私たちを見つけて走ってきた。
「マユミ先輩、久しぶりです~」
「マユミ先輩、ご無沙汰しております」
「久しぶりだな。お前たちか、もう私は先輩でも何でもない。他社の協力者だ。下手にかしこまる必要はないぞ」
剣神様所属の格好をしている男女の2人が、話しかける。マユミさんの顔見知りの様だ。
「そうは、言ってもですね~。学生時代のパーフェクトな先輩の記憶があるわけですよね~」
「先輩には、世話になりましたから。あ、あと後ろの 『あやぽんず』 と、あれは、ほんとにネコさんですね。異世界宇宙ネコって実在したんですか~。 先輩のいつもの笑えないリアルな冗談かと思いました」
「ハハハ! タカシも言うようになったな。 紹介は後だ。」
「もぉ~後で、紹介してくださいよ~。あ、後いつ、こっちの剣神様の方に、転職して来てくれるんですか~」
「はは・・ハ! 馬鹿者! 今更、おめおめと、剣神様の所に戻れる分けがないだろうがぁあ! お前たちも、立場がある身なんだから、もう少し考えて物を言うんだな! で、現状を報告せよ! 権限が一番の埼玉ダンジョンのトップの私が言っているんだ!」
「相変わらず、固いですね。先輩。剣神様は、未だにマユミ先輩を巫女で考えてますよ。あぁ、現状ですね。 あ~、すいません。最悪です。侵略的知的生物が指揮して、低層モンスター達を、使役しております」
「3つに分かれて、撃破が望ましいですね。 今日は、ほとんどの神様が出払っております。最悪な時の襲来ですね。 マユミ先輩・・・、じゃなくてマユミ統括を1部隊、2部隊目が 『あやぽんず』 とお仲間ですか。あの試練動画を見る限り。ネコさんの実力、分かりませんが、3人で十分じゃないですかね。これが2部隊目。 後は、順次増援の冒険者部隊で3部隊目で、いきましょうか。」
「前線で、ここの担当が踏みとどまっていますが、相当な被害を受けてます。 マユミ統括行きましょう。再び、貴方と剣を合わせられること。皆が待っております。 埼玉ダンジョン管理は、先輩以外、遅れております。3部隊目に配属が好ましいでしょう。」
「あぁ。私は、埼玉ダンジョン支部じゃなくてか。まぁ・・、しかたないな。・・・あぁ、そしたら、久しぶりにお前たちの技を見るとしようか!!」
「「承知!!」」
話は、決まったようだ。
3部隊で撃破。そして、私たちを高く買ってくれるのは、うれしい所があります。
でも、なんか少し、気にかかりますがぁ。
マユミさん、引き抜かれませんよねぇ。大丈夫です~??
「という事だ、通信機を渡して置く、つまりアヤメ達は、このポイントに突撃だな。 アヤメの紫剣思う存分、世間に知らしめてやると良いだろう。ハハハ! 他、探索者達の、反応が楽しみだな!」
と、マユミさん達は、それぞれのポイントに向かった。
私たちは、もう一つのポイントに向かう。
マユミさん達が、見えなくなるまでマユミさんの元門弟たちが大歓迎する声が聞こえていた。
そして4人で、ポイントに向かう。
ポイントの場所に近づくにつれ、炎が空を焦がしている。
ここまで、焦げた匂いが漂ってくる。
「大きい気配を感じます~。二つほど、かなり大きいですねぇ。ネコさん程では無いにしろ。かなり大きいです。 後方は、雑魚モンスターです。」
「ふむ、敵に探知されたにゃー、来るにゃ。 皆、吾輩の後ろに」
突如、空からエネルギー光弾の嵐が降り注ぐ。辺りに破壊がまき散らされる。
ネコさんの青いエネルギー場が広く展開され、攻撃を防いだ。
「純正ミスリルゴーレムの世界樹を貫く流星に比べたら、大したこと無い威力にゃ」
空から、大きな声が響く。
「ちっ、今の防ぐかよ。見たところ、ネコ妖精族か。やっかいだな。 おい、アリエノール。他の魔人も呼べ。 数で囲まないと、少し厳しそうだ」
「了解いたしました。 只今、呼んでおります。一番大きい気配を辿ってきたら、ネコ妖精でしたか。 やっかいですね。 後はドライアドですか、かなり階位が高い。そして自立型とは、珍しいですね。後は、雑魚でしょうか」
空に佇む、二つの影。羽が蝙蝠の様に羽ばたき浮いている。蝙蝠人型のモンスターだと思われる。
もう、日が落ちる時間だ。 周辺には火の手が上がり、辺りを照らしている。
いや~、言葉を話している気がしますねぇ~! 私達を馬鹿にしましたかぁ~?
侵略的知的生命と言っていましたか~!
エイリアンじゃないですかぁ。 エイリアン! いや、エイリアンだ! 人型のエイリアンに違いないです~!
エイリアンと野外戦ですぅ! 飛翔の巻物を持ちましたし。 この紫剣の威力を試しましょう。
「エイリアンです。伊織。 伊織わかりますよね。私、エイリアンを倒して地球を救うストーリー大好きなんですよねぇ~! きっと戦いの文明の捕食者ですよぉ~!」
「ここまで、敵対行動して来るならエイリアンか。 周りの施設も轟々と燃えているしな。もう、言葉は、いらないだろう。 どうする映画みたいに、敵の頚椎引きずりだして、飾るか? 江戸時代では、よくあったみたいだぞ。金色にデコレーションして飾る趣味。いや、さすがに、悪趣味じゃないか?」
「あ、アヤメさん。その映画、ご主人様の古い記憶にあります。面白いですよねぇ。 やっぱり、敵の頚椎を引きずり出して、飾りませんか?」
「戦いの前の高揚感に当てられているのかにゃ。蛮族にゃ。 魔族VS蛮族にゃ。 あ~、侵略的外来種。あ、つまり魔族は、エイリアンだったにゃ・・・? 」
ネコさんそうです。言葉より敵対行動で示して来るやつらに、話合いはできませんよぉ。
私は、足を引き腰を貯め、剣風斬を6連撃で放つ。
空間の断裂が、空を飛んでいる2体目掛け飛んでいく。
新着を見て頂いている。
貴方様、ありがとうございます。




