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25 ショウタ4 アトラクショントラブル

ショウタ アトラクショントラブル


ミスリルゴーレムの目と感覚を通し、辺りの様子が鮮明に分る。

彼女たちの肉片が飛び散り、苦戦している3人が見える。


あれ、おかしいな。

もっとさっくりと倒して終わるものだと思ってましたが・・・。

意外にも、苦戦してらっしゃいますね。


しかし、試練において定命の命が輝いている。

自分の試練を彼女たちは魂を燃やして、挑んでいるのだ。

永遠の存在の神々たちが永遠の時を持て余し、暇つぶしに試練を受けさせようと言う思惑がよくわかる。


最高の娯楽コンテンツかよ。 


定命の者の輝き。

享楽に耽るため試練を与えたがる中毒者が、神々で多かったのが納得いった。


これは良いものだ。彼女らが試練をクリアーしたら、過分な褒美を取らせたい。

金銭では、とても補填できない素晴らしいショーだ。


そして共有感覚では、肉やミスリル片がえぐり取られ飛び散っている。


うーむ、ゴーレムキック食らったら、それは大変な事になりますが。

いや、大変な事になってるな。


「半分ミンチ肉に二人ともなってるにゃ・・、しばらく、ひき肉系は食べたくないにゃー」


いや、猫さん。その発想がミンチ肉の元を連想させてしまうでしょう?

元の形を、思い出し。糧になる命に感謝しなきゃ。

元の命の形を思い出さないなんて、無責任でしょう。

我々は、殺さないと生きていけないのですよ。


腕がちぎれ飛んだ下着当然のお友達の代わりに、アヤメさんがゴーレムの前に立つ。

回復が間に合ったようだ。


ベージュの学生服は、血に染まっている。淡い紫の髪も血に濡れ赤黒く変わっている。

紫剣2本を交差させ、脱力の状態だ。目は虚ろにゴーレム全体を見ているが、闘志の陽炎がアヤメさんか揺らいでいるのが分る。 


脇腹を吹き飛ばされ、骨が砕くほどに叩きつけられ、数分後確実に来る死の状態を感じたはずなのに、闘志が全く衰えてない。

ここの相対が、命運の分岐点と気づいているのかの様だ。


やるなぁ。土壇場で100%の力を出せるのか。

なんという、運命値の高さか。

自分の胸の鼓動が早くなる。


「技を借ります」 アヤメさんが何かをつぶやいた。


そして、アヤメさんが、ゴーレムの動いたところを攻撃している。


ハハハッ、無機質の呼吸を読んでいるのか。

これは、凄い。侍ジョブの極致、スキル:雲水 だ。

アヤメさんのジョブツリーが、忍者系なのにな。

やるじゃないか。

うーむ、装甲を切り離したゴーレムの作りでは、勝てないかな。


ポムさんの援護もあり、アヤメさんが、ゴーレムの首を切り落とし止めを刺す。


見事だ。もっと強いゴーレムでもよかったな。


「見事にゃー。なぜ神々が試練を課すのか、わかった気がするにゃ」


ですよね。

さぁ!猫さん、『アヤメ様ご一行大歓迎』 の横断幕を作り、盛大に歓迎しましょう!

彼女たちは、持て成される資格がある!

ポムさん昇給です! さらなる自由と力を与えましょう!


ですが、シューティングゲームの常識ですよ。

打ち返しがあります。倒したら弾幕を打ち返してくるのは、当たり前ですよね。 

スファミ世代の紙飛行機バイパーハードモード。紅白白黒幻想ルナティックでは、当たり前。

それでは、ゴーレム撃破のお土産です。流星を打ち返しで差し上げます。


辺りに流星の爆撃が降り注ぐのを、ゴーレムの残骸から感覚を共有する。


さて、アヤメさんのお友達ぐらい逝ったでしょうかね?

旅館でちゃんと蘇生しますから。対価の方をよろしくお願い致します。


ゴーレムの残骸から様子を感じ、辺りを見る。


おお、アヤメさんのお友達も何とか無事ですか。やりますね、復帰が難しい状況でしたが。


・・・・?!?! ポムさん!? 何か焼け焦げて焦げて倒れてませんか?! 


団長ってますね。止まらない系団長ってますね。

なんとか~の花~ のあれじゃないですか。

名作ですよね。


「ご主人!? トラブルにゃ!? ポムさんが戦闘不能状態にゃ!?」


猫さんの、驚愕の叫びが自分を現実に引き戻す。


「ああああああ!? ままま、まぁ、旅館まで来れば、いかようにもできますし!? 彼女の壊れた装備も補填できますししししぃ!? ああああああ?! ポムさん身代わりに受けたんですね?! 世界葉を、使ってお友達を助けたんですか! ここで、あって間もない二人の代わりに、受けたのですね。ポムさんなら耐えられると。おぉ、素晴らしいのですが!? いや!? あああ!?」


おちつつっつけ、落ちつつ組んだ。

トラブルなんて良くあることだ。自分を見失うな。損失を最低限にするんだ!! 責任は、無いはずだ! あああああ!? 嘘だ、ポムさん弊社の従業員じゃねーか!! ああああああ!!! 全力で、保証しないと!!


「取り合えず、ここまでモンスターの出現は、一切しないので、ここに来てもらいましょうか。 後は、示談で保証をしなければなりません」


ゴーレムの共有感覚が動く。3人とも、ダンジョン外に出た様だ。


「あ、ポムさん連れて二人とも帰ったにゃ。続行不可能と見たんじゃないかにゃ」


ピカアアアアアアアアアアアデリィィイイイ!!!!


度重なるアクシデント発生じゃねーか!!

次の試練無いから、後は歩いて来て下さいよ!!


「あー、アトラクションに大変満足して頂いて一度お帰り頂いたか・・・、最悪のケースですとこの試練がクソだったのと、ポムさんが身を挺した行動に怒り、来ないという事ですか!? 超歓待のプランを考えていたんですが!? はい、弊社創設後の間違いなく最大のトラブルです。信用問題ですね。このアトラクションは、やりすぎましたか・・。えーと、ポムさん回収と、試練の後のトラブルのお詫びですか。猫さん。あの、先に地上に出てもらっていいですか」


「そうにゃあ、でもどうするにゃ。ポムさんを引き取ればいいのかにゃ?! どちらにせよ、すぐに、3人共、ダンジョン来るとおもうにゃー!?? でも、ポムさん動けるのかにゃ!?  勤め先が一日目で大惨事の労働にゃ!? 大惨事にゃ!? 退職の意向伝えられた場合、吾輩では対処できないにゃ!? 契約があるにゃ!! ご主人!?」


慌てては、いけません。自分の様に落ち着くのです。


「なるほど、落ち着いて下さい。大丈夫です。ポムさんは、やめません。自分が、創造した生命ですから。彼女の物は、自分の物。そうですよね。自分は、創造者ですから」


猫さんが、全身の毛を逆立てる。

全ての杖、魔導書、魔属性石を、周囲に展開する。それらは、ちらつく光を纏い、攻撃態勢だ。


「労働基準法(使役者が労働に対する裁量)と言うもの。ここでも、ご主人の世界でも、吾輩の世界でもあったはずにゃ。悪は、裁かれる。そのはずにゃ?」


おお、そのとおりだ。

全身全霊をかけての否定。猫さん、好きだなぁ。

それと、自分に対する攻撃は全て意味ないぞ。そしてもう絶対に猫さん、逃がさんからな。


「失礼しました。謝らねばなりません。増長しておりました」


さて、どうするか。


「猫さん、私が持つ、最高の霊薬を3つ渡して置きます。先に、地上に出て様子を見てください。アヤメ様達が、旅館のサービスに失望されてないか。そして、ポムさんの様態が、良くなかったら使ってください。1つ目が、この次元の膨張を元に戻す・・、失礼。時間を戻す効果の霊薬。そしてこれは、その者の階位を上げる蒼い石、これはポムさんの魂となった石ですね、二つ目の石です。最後のは、怪獣ゲマゲルギョーの肝です。その場で破壊神が誕生しますので、使用者やポムさんが破壊神となり意のままに力をふるまえる霊薬ですね」


「ご主人、勘弁してくれにゃ。ラストエリクサー3本でいいにゃ。事足らせてみせるにゃ。不必要な消耗は、ご主人の望むところじゃないにゃ?」


「おぉ、商売上手ですね。 それでは、お願いします。 私は、すみません。当社開店から、一度も休んだ事がなかった事が自慢ですが、今日は臨時休業します。 でももし、お客様が来た場合、開店してなかったら、失望されてしまいます。 大浴場だけ、はいれるようにして、謝罪のラストエリクサー、一人1本だけお取り下さいのメッセージや、アメニティだけ利用できるようにしてから行きます」


「その確率にゃ・・・、いや、ご主人素晴らしい、気配りにゃ。 そしたら、先にポムさんとアヤメさんの対応を一任して頂けるのかにゃ?」


「そう、致します。よろしくお願い致します。そしましたら、少し後から伺います」


霊薬エリクサーを予備含め5本渡し、猫さんをアパートの送還陣へ、シュポン! と空圧転送にて送る。


さてと、臨時休業の手配をしないとな。


休業へのお詫び、大浴場は、自由に使える事。

エリクサーを一人一本、ドリンク替わりにお飲みください。

狼藉を働いた場合は、アンサラー(光属性の存在切断剣)を持ったゴーレム軍団が出ます。



よし、これでいいかな。

防犯対策で黙示録のアーカイブに、動画を取っておきましょうか。


ではでは・・・、準備は、終わりました。

ポムさんとアヤメさん達にトラブルの謝罪とアンケートと参りましょうか。


ダンジョンの入り口に手を繋いでくれる誰かが、居てくれればいいのだが。


地上に向かう支度を終え、思案していると

カンカンカンカン・・・・・ 恒星を形成する高熱で溶かされガラス状になっているはずの、上の階から歩く音が聞こえる。

モンスターは、この辺り一帯出現しないはずだが・・。おかしいな。


いや、90F辺りから、なだれ込んできたか。


許さねーぞ。

邪魔をするなら、モンスター狩りのゴーレムを90F以降に在中させるぞ?!?

あぁ!!? お前たちには、100Fの異界の門近くに出現する、習性があるんだろーが!?

その役目を果たせや!!


・・・・まぁ、その習性から解放して差し上げましょう。

自由になると良い。現世・・、ダンジョンは異界か。異界の責務から楽にしてやる。

お前たちは、今日からもう働かなくていいんだ。うれしいだろ? うれしいよな? そうだな?


そしたら、良いな。 90F以降、消え失せろ。今日からここは89Fまでがダンジョンだ。


怒気を纏い、モンスターへ向かおうとする。

しかし、突如、来客を知らせる、電子音。そして、透き通った声が聞こえる。


「素晴らしい庭園ですね。この様式、私の次元の東の方の文献で読んだことがあります。建物も風情があります。 貴方様、隠遁の賢者様でおられますか?」


「姫様、このモンスターも出ないガラスで舗装された道。ここが、ダンジョンの試練ボスと言う可能性があります。うかつに近づかない様に・・・・」


!?!?!?!!? 客か!??!


こんな忙しい時に。少し来客をずらしてくれれば・・、と行かないのが商売のつらい所だ。


一人が、上級の魔法絹のローブを纏い、普通の樹齢の精霊の杖と普通のミスリルアクセサリーを装備している。魔導士タイプだ。

もう一人の方が、ミスリルの軽鎧を装備した、軽剣士か。剣もミスリル。

ダリア次元で言う所の中の上の冒険者と言う所か。なかなかのお客様候補だ。

二人とも、耳が長い。そして光と大地のオーラを薄っすらと纏っている。エルフかな。

いや、ハイ・エルフだ。半神半人か。


どうする??

今日休業にして、帰ってもらうか・・・?いやー、出来ないよな。

はいってもらわねば・・。 猫さん、ポムさん、常連のアヤメさんどうしましょうか。


つづく

どうか


あなた次第。そう、あなた次第なのです。

下にボタンがありますよね? そうです。そのボタンです。


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