12 続アヤメ地上へ
ダンジョン管理課が、家へ突撃してきた。
マユミさんと思われる人は、メットの装備品で顔を覆っている。
素材の錬金で、機動性を重視した日本ダンジョン対策課の装備だ。
マユミさんは、何かの札を私の前で使う。 スキル封印系の札だろうか。
「伊織いいぞー、こっちこーい。どうだ?」
ダンジョン対策課の装備をした伊織が部屋に入ってくる。
「アヤメだ。間違い無くアヤメだ。・・・今すぐ、抱きしめて、アヤメの無事を確かめたいが!!!! もし、アヤメが、最悪のケースである生ける屍だったら、私の! 心が持たない! ぐっと我慢してここから見させてもらうっ・・!」
しばし、沈黙が流れる。
ここで、私は、私ですよぉ!! と言った所でどうなるか、知っている。
マユミさんが、「ハハハ!乗っ取られたやつは、みんなそういうんだ!!ハハハ!さあ行こうか!」
ってなります。最強論法すぎるでしょう。権力ってすごいですぅ。
伊織が沈黙を破る。
「うん、アヤメだ・・。アヤメなのは、間違いないが、いつもと、纏っているスキルの雰囲気が違う・・・。剣も違っている。詳しく調べないといけないと思う。やっぱり、あの後何かあったのだ。そう、何も無い方がおかしい・・。ううううううっ、アヤメ・・・・! お前の無事を今すぐ確かめたい!!」
うーん、伊織、エロイですねぇ?
私もギュッと抱きつき、親友として無事を確かめいですよぉ。伊織。
「気持ちは、分かるがだめだ。 うーん、アヤメ、言葉は分かるんだな? このままついてきてくれるな。手荒な真似はしたくない。いいな? 装備を渡し、ついてきてくれ」
貰った剣を渡し、ただ二人についていく。
そのまま、黒塗りの装甲車に乗せられる。
小雨様の拝殿も兼ねた、埼玉支部ダンジョン対策課特殊任務部に連れ去られた。
よくダンジョン手続き、武錬、小雨様の行事などで私は来ている。馴染みのある所だ。
中に入り、着替えさせられる。入院した時の白い簡単なデザインの服だ。
対策課、結界部屋に連れていかれた。
霊モンスターに取り憑かれた人とか、呪われた人を隔離する場所だ。
対面がクリア板に仕切られている。私が座りマユミさんが対面に座る。
「あー、聞こえているな。配信動画、私も見ていたぞ。動画の最後、なんとも言えない無力感が私の中を駆け巡った。その中で、アヤメの魂の輝きって言うのかな・・。最後まで生きようとする魂の光? 口ではうまく言えないな・・。そう、感動した。感動した・・? いや、心震えた。・・違うな・・。つまり、ハハハ! アヤメ、お前いい女だったんだなぁ!!」
「いい女ですよぉ。 私は、永遠の乙女でいい女ですからぁ。そして、マユミさん、なんか久しぶりな気がします~」
「おおう?! しゃべった!!! ハハハ! 騙されんぞぉ?!」
榎原 マユミ
小雨カンパニーのダンジョン探索課、営業課の統括のトップ。
冒険者講習もよくやるので良く会う。この埼玉エリアで、一線を張っている冒険者は、知らない人はいないだろう。大体、上の方の冒険者になると何かとお世話になる人だ。
背が高く体格に恵まれ、オレンジ色の長めショートでキレイに纏まっているへアースタイルだ。
ダンジョン対策課と言うことで、加護を2個3個神様から貰っているのが特徴だ。
各ダンジョンの調整役と言うことで、他の神々の調整役を行っている。ダンジョン管理法による、法を超越したダンジョン対策が許されている。
後、武錬講習後、一緒に焼き肉によく行く。
行くと、ハラミの呪文を連打するんですよねぇ。
「アヤメ、ほんとにアヤメか? うーん、取りつかれたり、呪われたり、生ける屍の様子もないなあ・・。今、LVの高い鑑定士呼んでるから。取り合えず。ステータスカードを見せてくれるか?」
あー、私のステータスカード、ダイレクトメールになっちゃったんですよねぇ。
この、ステータス見せたら即モンスター認定されて、戦闘になりそうですよね。
完全に乗っ取られてますもんねぇ。
:ステータスオープン(心の中)
あやめちゃん、配信まだ?
まだなのー?
ステータスカードで生存は確認できてます。そして、地上いることが確認出来てますが、配信で安否の報告が無いので不安です。
このステータスを見たら、配信してくれるとうれしいなー。:
あー、バグってますね。ただのファンメールですね。
それと私の、ステータス無くなりましたねぇ。
「あー、ちょっと閲覧無理ですねぇ~! うーん、小雨様に謁見できませんかねぇ?」
「いや、その小雨様と私が確認したんだわ。アヤメ、お前、動画配信の時、40Fから何階飛んだんだ?そして、地上に何を連れてきたんだ? アヤメは、自分の意思で行動してるのか?それとも洗脳か、呪われてるのか?」
正常です! 多分・・・。
「アヤメが本物なら、ダンジョン前にモンスター氾濫を監視する高度の看破がかかったカメラがある事は、知っているよな? あのカメラお前が出てきた瞬間の映像が映っている。いきなり、この男が、冒険者達の認知能力を奪い、その光に耐えたものをカエルに変化させたよな。状態変化を一瞬でだ。ありえん。明らかに、人類に対する敵対行動だな。ハハハ!」
ですよねぇ!ディストピアが、一瞬で完成ですから!
「そして10分ぐらいで全員、戻った。カエルになった者の意識は混濁してたがな。ハハハ!」
あぁ・・・。
「いや、笑えんな!!! この隣の男は、なんだ!? どこへ行っていたんだ。なぜ手を繋いでた!?なぜ手を繋いでた?! アイドルのこう言う軽率な行動は、良くないぞ! カメラが何処にあるか分からない世界だぞ! 」
なんか二回、言いましたねぇ。
なんと説明しましょうか。
「・・・何から話しましょうか。あの後、詰みの状況で、下の階に足を進めたら。66Fに旅館があったんですよ。旅館が。オーナーの方が、異世界転生者でして、最近この星に帰ってきたみたいですね。異世界転生者と自称してますが。私は、信じます。あの映像見たでしょう。あの人おそらく、不可能な事ないですよぉ」
「ハハハ! 何言ってんだ、アヤメ?? やっぱもうお前は、ダメなのか・・・?」
ですよねぇ。その反応、そうなります。
「まぁ、転生者が、使い魔? のネコさんと一緒に旅館をやってるんです、旅館に人が来ないみたいですね。ま~、当然ですがぁ。そもそも私が、埼玉初の30Fですよ?なぜあそこに人が?? 疑問など端折りますけど、そうして地上に送ってもらったんです。そしたら、あの光景ですねぇ」
私、説明できていますかぁ?
「後、一緒に、本屋いきました。ああ、うーん、後は、小雨様に話したいんですが。ダメですかねぇ・・、 後、あの人なら、ダンジョン内に帰ったはずですが・・・」
「今の話で小雨様と話して許される、所あったか?? あぁ、あの男の帰りの映像は確認した。守衛に光を見せて手をつないでダンジョンに帰ったぞ。まったく、節操がない男だな。 後、何だ? アヤメ、本屋デートか? やはり、洗脳されているのか?」
「あー!もー! 私にLV3辺りの鑑定掛けてくださいよ。そしたら、本人確認出来るでしょう! その後、小雨様に謁見させて頂いたらステータスカード見せますからぁ~!!」
トントン、ドアが叩かれる。
黒赤髪の赤い眼鏡が特徴の鑑定士が入ってきた。
ここの高LV鑑定士スキルを持っている。エリート鑑定士の舞ちゃんだ。
「あー、アヤメさん人類に敵対したって本当ですかー!?」
はいはい。人類の敵、人類の敵です。
彼女には、ダンジョン品の鑑定で、いつもお世話になっている。
「やっぱり、いつかダンジョンから人類をひれ伏す事が出来るような力を手に入れ、乙女計画をやると思ってましたよ~!!なーんて! いやー、アヤメさんが生きてるよぉおお!」
私の動画のファンの一人だ。それと。いつも鑑定前に、凄い喋る。凄い喋るんだ。
「あの動画みてましたよぉおおお!? やらせ・・じゃないですよね。やらせだったら、そもそも、憑依や呪い、洗脳の疑い掛けられて、こんな所で拘束されてませんもんね! 後、絶望配信の後、何があったんですか?! そうそう、アヤメさんが、配信切ったとき。嗚咽がとまりませんでしたもん!!」
バァアアアアアアン!!ドコォォォォン!
マユミさんが、激しく机を叩く音が室内に広がる。
「ハハハ! あくしろよ。鑑定だ。」
ビクッと舞ちゃんが、跳ねる。
ダンジョン対策課は、実力主義のアットホームな職場ですからぁ!!
「えー、それでは、手を出して下さい。鑑定を掛けます!」
「?? 舞、触らないとだめだったか?」
「ダメですね!精度があがりません。」
そうだったかなぁ。
「そうか、私もじゃあ、触るわ。 武錬の時の体の接触がアヤメを覚えている。」
いきなり、握手会が開催されました。手をギュッと握ってあげましょう。手慣れてますから。
「すりすり、えへへへへ。推しの手!!えへへへへ」
「おお、本物っぽいな。武錬の時も、こんな感触だったか」
こんなセクハラでは、動じませんよぉ~。応援ありがとう!と、ギュッと握り返します。
私は、あやぽんず。日本ドップクラスの冒険者であり、人気配信者なのですから。
「鑑定!」
ぼんやりと光が私を包む。
「どうだ? 本物かどうか、もう少し詳しくアヤメの体の調査必要だろう??」
「いえ。そうでは、ありません。でも・・・あっ、ダメですねこれ。」
!?!?!? そうか・・・だめなのかぁ・・・。
「うーーーん、アヤメさん本人は、間違いないですね。これ、小雨様案件だと思います。今、ちょっとヘタに、口に出せません!」
「舞ちゃんんんんん!!」
思わず声が出る。素晴らしい回答、超有能ですねぇ~!!
「・・・分かった、小雨様に報告しようか。 武器とか所持品に問題なかったか? 呪われたり、精神異常系のアイテムは、大丈夫だったか?」
「アイテムの鑑定は、これからなんでー、アヤメさんには、鑑定課でもう一泊・・・」
「ハハハ!よし、アヤメなのは、分かった。 それと、アヤメは、この留置場の宿泊施設で私の監視付きでもう一泊だよ。そして、舞は、朝まで残業でアヤメの所持品のアイテム鑑定だ。朝一小雨様へのお伺いを建てよう。」
「ああ、もちろん残業は、断ってもいいぞ。最近コンプライアンスでうるさいからな。もちろん自主的な残業だよな? そうだな? イエスか、はい。喜んでやります。の内から口当たりがいいのを選んでいいぞ。私も今日、帰れないからな! ハハハ!」
「ぴぃ」
不思議な事に理不尽だと思わないんですよぉ。
私も休み無いですからねぇ。鍛錬、動画配信、ダンジョン攻略。休日では、インタビューや仕事依頼の確認。
後、乙女力の強化ですかぁ。目標に向け進まないといけませんからぁ。
ここにいるとなんか、仕事に対する価値観が似ていて、元気づけられ安心します。
これは、訓練ではない。
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繰り返す。これは、訓練ではない。
きっと、作者達に取ってカタパルト発射装置みたいなものです。
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