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魔法世界の解説者・完全版  作者: ウッド
隻腕の龍戦士編
35/36

5話 「地龍対地龍」

マッテオからの警告でゴルド王国軍の再来襲を警戒しているヴィグル帝国軍はパンツィトワ河川一帯に防衛線を再度築いていた。


普通の司令官なら他国の没落した貴族の三男の言う事など聞かないのだがヴィグル帝国軍を率いている将軍は帝国でも名うての名将だ。


この将軍ならどんな些細な危険も見逃さないし、自ら親征軍を率い前線の将軍に軍の行動の全権を与えているヴィグル皇帝の度量も素晴らしい。


安全な王都からゲーム感覚で適当な指示を飛ばしている国王が率いているゴルド王国軍とはえらい違いである。


シーナ達冒険者隊にも「偵察警戒厳」にとのイノセントの命令で再配置されて周囲の警戒をしていた。


シーナとエレンの配置は先程と大体一緒、今度は余裕を持って待ち受ける事が出来るのでエレンは敵からの砲撃を警戒して簡単な塹壕を作った。


人間が同じ物を作るに丸一日は掛かるがエレンなら3分でサクッと完成出来る。

さすがは「土」を司る地龍だ。


シーナは出来た塹壕の壁をそれはもうカッチカチに固めている。

このまま2人を放っておくと、夜明け過ぎにはパンツィトワ河川一帯に立派な塹壕網を作ってしまいそうな勢いだ。


「どうですか?エレンさん、何か感じます?」

壁の補強が終わったシーナは雨避けの屋根を作り草木で偽装している。

ここまで来ると最早、塹壕では無く「防御拠点」を作る勢いである。


ちなみに、この地域の今週の天気予報は「晴れ」再来週まで快晴との事だ。

例え意味が無くても屋根は必須!それがシーナの信条である。


シーナは地龍らしく「度を超えた建築マニア」になっておりこの後、色々な場所に拠点を構築して行く。

なぜそんなに拠点を作るのか?それは地龍だからである、特別な理由は無い。


種族的な事を言うと「土龍」のシーナと違い、「白銀龍」のエレンは「土龍」ほど拠点作りにこだわってはいない。

ガイエスブルクも「土龍」で拠点作りが大好きだ。


土龍シーナの凝りに凝った拠点作りを呆れた目で見ながらエレンは龍眼を使い周囲を索敵していた・・・


「うーん?今の所は何も・・・いやでもこれって?もしかして妨害されているかも?」

エレンの眉間に皺が寄る。


「え?!」

エレンの言葉にシーナに一気に緊急が走る。


机とベッドを作るのを途中で止めてシーナも龍眼を使って周囲の警戒を始める。

つーか家具まで作るつもりだったんかい。


龍種の探索魔法を妨害可能な相手で1番考えられるのが同じ龍種の可能性が高いからだ。


「そうですね・・・何か・・・靄が掛かってますね」

シーナは義手を魔導榴弾砲内蔵のプレートアームに取り替えておく。

そして「隠蔽」を発動させる。


シーナは覚えたての隠蔽スキルを使い自分の龍力を身体の中に隠してしまう。

半龍半人のシーナは龍化する事が出来ないが、簡単な人間用の隠蔽スキルで龍力を人間の身体の中に完璧に隠す事が出来る。


誰が見ても今のシーナは、ちょっと魔力高めの人間の女の子にしか見ないのだ。


なぜこんな能力を開花させたのか?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「あれ??「隠蔽」なんてスキルが有りますよ?」


「それは人間用のスキルだな。龍になっても残ってたんだな?」


シーナは身体も大きくなり、地龍王クライルスハイムの知識の解放も進むにつれてシーナは様々な地龍系のスキルを取得して行った。


それと同様に元々、両親から受け継いだ人間用のスキルに加えて天龍王アメデの加護による天龍系スキルも獲得してスキル内容が雑多になってしまったのでエレンとガイエスブルクと地琰龍ノイミュンスターと一緒にスキル整理を行なっていた時に、知らん間に「隠蔽」のスキルが発生していたのだ。


「おそらくは父親の神虎(ピアツェンツア国王ヤニック)の血から継承したのだろう。

使えれば便利なのじゃが・・・どうじゃシーナよ、使えそうか?」


「多分?・・・「隠蔽」」、特に問題無くスキルを発動するシーナ。


「ふむ?どれ?・・・ぬ?これは??」


試しに地琰龍ノイミュンスターが龍眼で見て見たが、隠蔽状態のシーナの龍力が全く見えず驚いたのだった。


「師匠でも見えないなら、これ・・・絶対に誰もシーナの龍力を見つけられないじゃないか?」


「ふむ・・・これほどとは・・・シーナよ、体内の龍力に異常も変化も無いのだな?」


「えーと?・・・そうですね。今は結構龍力を解放してます」

シーナは片手で軽々と近くに有った1トン以上もある鉄のスクラップを持ち上げる。


「これは凄いな、奇襲に使うには最適だよなー。

やっぱり基本が人間の肉体だったから人間用のスキルとの相性が良かったんだろうな」


つまりシーナが地龍だと知らない初見の敵は、シーナの攻撃を受ける又は、シーナに攻撃を当てるまで身体内で龍力を全開にしているシーナを何の力も無い人間の女の子だと勘違いする訳だ。


か弱い女の子のパンチだと油断していたら直撃寸前に本当は龍を倒す威力の攻撃に変化するのだから、龍種と言えど受けた方は無事では済まないだろう。


「しょ・・・初見殺しのチート能力・・・」

エレンが龍眼を使ってマジマジとシーナの身体を隅々までまで見ていると、「あ・・・でも龍力の匂いはするわね」とシーナの頭をクンクンする。


「え?!私、龍臭いですか?!・・・毎日お風呂に入ってますが」

クンクンと自分の匂いを嗅ぐシーナ。


「龍臭いとか言うな、正確には体臭じゃ無くて嗅覚で感じる龍力の匂いだ」

嗅覚で感じる龍力を具体的な匂いに例えると「鉄が焼け焦げた様な匂い」らしい。


「しかしそれも微かに感じる程度じゃな」クンクンクンクンクンクン


「そうですね、かなり近づかないと分かりませんね」クンクンクンクンクンクン


全員でシーナを取り囲んでクンクンすると、「恥ずかしいので女の子の匂いを嗅がないで下さーい!」と怒ったシーナ。


ちなみに地龍の嗅覚は人間より少し良い程度との事なので、シーナの「隠蔽スキル」は鼻が効く種族、例えば狼系の魔物とかには即看破されてしまう事だろう。


もっとも普通の狼系の魔物は龍力の匂いを感じた時点で猛ダッシュで逃げ出すだろうから問題は無い。


龍種と渡り合える対等の存在である狼系魔物の最上位種のフェンリル族に関しても天界では龍種とは同僚関係にあたるのでフェンリル族と遭遇した所でシーナと戦いになる事はまずあり得ない。


そもそも、仮に龍種のやる事に気に入らない事が有っても面倒な戦いをチャランポランなフェンリル族が挑む事は「絶対」に無いのだ。


もしそんな事をしてしまえば「そんなに俺達のやる事が気に入らないなら先ずはお前らが率先して魔法世界の管理をしろよ!」」と龍種に言われてしまうからだ。


「え?ど・・・どう言う事???」

フェンリル族が龍種に絶対に文句を言わない話しを聞いて、若い地龍のエレンとガイエスブルクにはフェンリル族の本性と考え方が分からない様子。


唯一、フェンリル族の記憶を持つシーナも・・・


「えーと?ハルモニアの記憶の断片によると・・・フェンリル族については・・・


ええ?!「こっこの!チャランポラン犬」???

え?!何でしょうか?この変な記憶は????何と言うか・・・怒りより呆れ??


もうハルモニアだった頃の記憶がかなり曖昧になっているので、その時にフェンリル族に対して私が何故こう思ったのか分かりませんね~。

残念ながら私には、もうこれしかフェンリル族への印象がありませんね~」


肉体を持つ地龍となったシーナは女神ハルモニア分身体の頃の記憶はドンドンと新しい記憶に書き換えられていて、幽子霊体、高位精神体(幻神)だった女神ハルモニア分身体時代の記憶が急速に失われつつある。


分かり易く言うと地龍シーナは女神ハルモニアとは全然違う存在になったと思って下さい。


おそらくシーナのそのフェンリルの記憶は、世界管理の仕事もしないで遊びまくっているフェンリル族を見て女神ハルモニアがめっちゃ呆れた時の記憶だろう。


《あの子達はのんびり屋さんで良い子ですよ?少しダメ犬な所もとても愛嬌があって可愛いらしいのです》


「愛嬌?・・・よ・・・余計に分からなくなったわ」


「アース神族の神獣がチャランポランでのんびり屋さんの上で更にダメ犬???」


アース神族の神獣は、他系統の神獣と比べてもかなり神格が高い神獣と言われている。

間違っても「ダメ犬」などと馬鹿っぽく揶揄される存在では無いはずなのだ。


シーナとユグドラシルの話しを聞き、益々フェンリル族の事が分からなくなったガイエスブルクとエレン。


自分達はフェンリル族を見た事が一度も無いと思っているエレンとガイエスブルクの2人なのだが実の所で今まで住んでいたスカンディッチ伯爵領にもフェンリル族はシレッと居たりするのだ。


そう・・・エレンの仮実家である宿屋の「隣」の衣料服店「フローズブランド」裁縫店の娘として・・・


エレンは隣に住む親友でもある彼女の事を自分と同じ地龍だと思っていたが実はフェンリル族だったりするんだなこれが。

しかも彼女は「フェンリル王フローズ」の側近、古のフェンリルロードなのだ。


「フローレンスちゃん?!何で自分がフェンリルだって事を私に黙ってたのぉ?!」


「だってエレンちゃんに正体がバレると無理矢理、世界関連のお仕事に駆り出されて「時間外労働」させられそうだったんもん!」


後に真実を知ったエレンが何で親友の自分にも今まで正体を隠していたか?を彼女を問い詰めると何とも情け無い返答が返って来たのだ。


「神の御使が世界に関わる仕事をただの「時間外労働」何て切り捨てて嫌がるなんて・・・

そ・・・そんな事言ってるから「ダメ犬」なんて言われるんだよ?

フェンリル族は龍種より由緒正しい神獣様なのに・・・」


フェンリル族がアース神族の冥王神ヘルから直接産まれた神獣なのに対して龍種やヘビモスなどのオリュンポス系の神獣は宇宙創世の混沌の中から自然発生して戦いの末に負けて神に仕えた種族だ。


出自が不確定な龍種と違い神獣としての格で言えばフェンリル族の方が断然上なのだ。


「良いんですぅ~、フェンリルは「ダメ犬」で良いんですぅ~。

無理をしないお仕事が1番なんですぅ~。


エレンちゃんは真面目過ぎ!地龍にも息抜きは必要よ!

こうなったら一緒にBL本について語り合おう!」


「神聖なる神獣様がなんて本を読んでいるんですかぁーーー!!!」


こんな感じに「仕事より自分の趣味に生きるワンちゃん!」それがフェンリル族なのだ!


「まぁ・・・フェンリル族はお主達の脅威には、なり得ないと思ってて良い」

ある程度の事情を知っているノイミュンスターは苦笑いだ。


ノイミュンスターもどれだけフェンリル族がチャランポラン犬なのかを説明するのが既に面倒くさい様子で適当に話しを流してしまった。

気になる人は「龍騎士イリス」を読んで見て下さい!(また熱い宣伝)


話しを嗅覚に戻すと、龍種で1番鼻が効くのは海に住む海龍なのだが、それでも狼系の魔物には全然劣るとの事。


理由としては龍種は魔法生命体として宇宙に誕生した瞬間から強く、超古代の時代から生きる為に別に狩をする必要が無かったので嗅覚が進化しなかったらしいとの事だが何分にも話しが前地龍王ベルリンの時代なのでノイミュンスターでも詳しくは知らんとの事。


それよりノイミュンスターは、嗅覚の話しよりもう一つの人間特有のチートスキル「思考加速」をシーナが持っているのか気になる。

もし持っていれば大収穫だからだ。


「シーナよ?「思考加速」のスキルは持って無いのか?」


「えーと?・・・・・・・・・・・・・・・あっ!有ります!「思考加速」が!

でも・・・あれ?・・・


「このスキルは現在使用不可です。今までのご利用ありがとうございました」だそうです」


「どう言う事??」エレンが首を傾げる。


「いえ・・・使おうとしたら男の人の声でそう言われました??」


「何それ?」

ふふふ・・・このダンディな男性の声こそ何を隠そう我の声なのだ。


「何か声に聞き覚えが・・・・・・・・・・・・・度し難い変態神???」

酷え?!?!


「そうか・・・やはり地龍になったシーナは「思考加速」は使えぬか」


少し残念そうなノイミュンスターだが仕方ない。

霊体として膨大な記憶と知識も持つ龍種が「思考加速」を使うと脳が物理的にオーバーヒートを起こして崩壊するのだ。


この様に人間から地龍に進化した者など今まで誰も居なかったのでシーナの能力は、まだまだ未知数なのだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



そして話しは現在へと戻る。


魔法に探知を妨害されてる可能性が有るのでシーナは「魔力測定器」を取り出す。

この魔力測定器も「とあるグリフォン」が・・・以下略。


「・・・・・・・・エレンさん。龍種の反応です」


「やっぱり・・・」


測定器は龍種特有の魔力の異常数値を叩き出している。

持っている魔力測定器は残念ながら正確な方角と距離は割り出せない携帯式の簡易版なのだが近くに龍種が存在しているのは確定である。


ゴクリ・・・


誰かさんのミスのおかげで1000年間、毎日が消滅の危機の過酷な放浪生活を強いられて根性を極限まで鍛え上げられ多少の事では動じないシーナだったが初めての本格的な戦闘の前に思わず唾を飲み込む。


エレンも龍戦士になる為に散々龍種との戦闘訓練を行っていたが、龍種との本気の殺し合いの戦闘は言うまでも無く初めてである。


「来た!!!」


一瞬シーナの視界の先の森の中に光る物が見えた!

咄嗟にシーナはエレンを庇いプレートアームの腕のシールドを構えた!


ゴオオオン!!!!!

直後にシールドに徹甲弾が直撃して砲弾はシールドに弾かれ地面を穿った!


今のはヤバかった!最大の警戒をしてなければエレンに直撃する所だった!

敵の龍種に随伴兵が同行している。


「くっ!」

シーナは腕を光の方向に向け、ドォン!手甲に仕込んでいる小型の魔導徹甲弾を即時に撃ち返す!


ヒュン!!ドン!ゴオオオン!徹甲弾は光に吸い込まれ直後に爆発した!

今の敵の攻撃はシーナと同じ小型の魔導砲だ。

明らかに先に攻めて来たゴルド王国軍兵士とは装備が違う。


「私が集中的に狙われている?!」エレンは事前に発動済みのマジックシールドに魔力を通すと、

ヒュウウウウウンンン!!魔法陣が高速で回転を始める。


ドン!ドン!ドン!轟音と共に次は3発の光が森の中に走る!

「ええーーい!!」エレンはシールドを2m先に広げて前へ出る!


ゴン!ガン!!ガアアアアンン!!マジックシールドが3発の徹甲弾を受け止める!


手を突き出してマジックシールドを展開させているエレンの脇の下からシーナは腕を突き出して「ロケットパァーーンチ!!」義手の拳が発射されて先程の光の元に向かう!


更に続けて、ゴオオンン!!と本命の口径の大きい榴弾を撃ち込む!


ズドン!ガアアアアンン!!!ゴオオオオオオオオオ!!!


義手の拳と榴弾が敵に直撃した様子で2つの爆発が起こり火災が発生する!

拳は壊れたのか戻って来ない。


「なら!全弾発射!!」

ゴオオオン!!ドオオンン!!ズドオオオオンン!!シーナは残っている2発の徹甲弾と1発の榴弾を続けて撃ち込む!


ガアアアアンン!!ゴオオオン!!!ドン!ドン!ゴウウンン!!!

着弾点に更に火柱と爆発が起る!

この攻撃で随伴兵は沈黙したのか追撃の砲撃は来ない。


魔導砲を全弾撃ち尽くしたシーナは、プレートアームのシールドを外して左手に持ち替えて、右の義手を槌に換装して持ち構える。

接近戦に備えたのだ。


すると!


「「小娘ぇええ!!なんか面白えモン持ってるじゃねえかよ!!

龍種がそんなモン撃ってんじゃねえよ!ちょっと痛かったぜ!!」」


森の中から怒鳴り声と同時に硝煙を引き裂いて体長20mほどの地龍が飛び出して来てエレン目掛けて爪を振り下ろして来た!!

どうやら魔導砲を撃ちまくっていたのは、先程から龍力を発しているエレンだと思った様子だ。


「!!!!!龍力!」エレンは冷静に攻撃を避ける事も無く地龍の方に一歩踏み出して龍力を込めた拳で思い切り顔をぶん殴った!!

地龍の振り下ろしより遥かに早くエレンの右ストレートが地龍にヒットする!!


ガゴオオオオーーーンン!!!

「「ぶへえ?!」」エレンにブン殴られた地龍は真後ろにブッ飛び地面に落下した!


ドザン!!ゴロゴロゴロゴロ!!ザザザザザザザザザ!!


同じ地龍同士だが龍戦士のエレンの方が龍力で圧倒したのだ。


「地走駆!」

今度はシーナが地面を地走駆で滑りながら地面に落下した地龍の追撃に出る!

高速で地龍に接近しながら「龍炎!!!」シーナの身体が火の玉になる!


そしてそのまま地龍に体当たりをかます!


ドオオオオオン!!!ゴオオオオオ!!バチバチバチ!!

「「ぎああああああああ?!?!これはぁああ?!」」

爆発の爆音が周囲に森に響き地龍はシーナもろとも火だるまになる。

シーナは自分の龍炎なのでノーダメージだ!


バチ!バチ!バチ!と超高温の魔力の炎に炙られて弾け飛ぶ地龍の鱗。


「「ぎあああああああ?!?!龍炎だとおおお?!?!

この小娘ぇ?!テメェも地龍なのかぁ?!なぜだ?!なぜテメェからは龍力を感じねええんだぁあああ?!」」


初見殺しの攻撃をモロに受けた地龍。ここでコイツの命運は尽きたのだ。

シーナの龍炎は特殊で相手の龍力も燃料にして燃え続ける、地龍の龍力が燃やされてドンドン奪われて行く。


「「ああああああああ?!やめ!やめろおおお?!?!」」

龍力を強引に奪われるのは血を抜かれると似た苦痛と不快感があり地龍は腕を振り回してシーナを振り解こうとするが自分の背中に貼り付いている小さなシーナを捉えられない。


龍種の弱点は三龍共通して背中なのだ、ここを取られると何も出来ない。

なので龍種は人化する技術を徹底的に鍛える、背中を取られても人化して逃げる事が出来る様に。

しかしこの地龍の様な「はぐれ者」は人化の技術を仲間や師から学ぶ事が出来ない事が多い。


「はああああああ!!!」ゴオオオオオオオオオ!!!!!

更に龍炎の出力を上げるシーナ!龍種相手に手を抜けるほどシーナは強くない。

自分とエレンの身の安全の為にもここで攻め切るつもりなのだ!


地龍はシーナの龍力を全く感じ取れないが実際のシーナの龍力はMAX出力まで上がっている。


MAX状態のシーナの龍力は龍戦士のエレンよりは劣るがガイエスブルクより上だ。

つまり「龍戦士」クラスの龍炎の攻撃をまともに受けていると言う事になる。


龍力が尽きる前にシーナは最後の勝負に出る!!


「はあああああ!!」ドン!ガン!ゴッ!ガガ!!「「が?!グエ?!ぐっ?!」」

シーナは炎をまとったシールドで地龍の背中をメッタクソにボコる!!

このシールドは地琰龍ノイミュンスターの特別製の合金で出来ている。


要するにめっちゃ硬くて頑丈で防御だけでなく攻撃にも転用出来るのだ。

そして龍力を通し易く作られている殺意増し増し仕様だ。


ゴオン!ボコォ!!ドン!ガン!ガン!

「「げへえ?!いや!ぐお!まで!ぬあ?!ごれは?!?!」」

直接攻撃を受けて行く内にようやくシーナの龍力の形がだんだんと見えて来た地龍。


その龍力の意匠は・・・赤龍!!

地龍には紅色で小柄な地琰龍ノイミュンスターの姿が見えた!

自分の背中に赤龍が貼り付いている事に恐怖を感じる地龍。


「「ぎゃああああ?!上位特異種だとぉ?!ぐぼおおおお?!?!」」

ドン!!!メリメリメリ!!

シーナの龍力を込めた破城槌の攻撃が深々と地龍の背中に深々と突き刺さる!

遂に地龍の鱗の装甲が破られて鮮血が噴き上げる!


「「悪かった!!もう止めてくれぇーーーー!!」」

最早なす術なしの地龍は命乞いをするが、都合の良いフェイクだと判断をして攻撃を続行するシーナ。


海龍と天龍の上位特異種の「蒼龍」に対して地龍の上位特異種の「赤龍」、龍種の中でも0.1%しか居ない強力無比の個体だ。


ゴン!!ゴン!ガッ!更に破城槌でボコる!ボコる!!


「「ちよっ?!おま?!まっ?!」」


ドンドンと鱗を剥いで地肌が剥き出しになった所へとシーナはトドメの大技「龍琰槍!!」


ズドオオオオオオオンンン!!!「「ぎゃあああ??!!あああああーーー!!!」

10mの炎の槍が地龍の心臓を穿ち身体を串刺しにした!


さすが生命力が強い地龍は即死する事は無かったが、

「あ・・・・ああ・・・」

ドオオンン・・・土煙と共に地龍は地に伏せて絶命した。


亡骸となった地龍を背中の上のシーナが無表情のまま見つめる。

初の対龍種戦はシーナの圧勝に終わったのだった。


トンッと地龍の背中から飛び降りるシーナ。


「シーナ・・・」そしてエレンが歩きながらシーナに近づく、シーナが地龍と戦っている間にエレンは地龍に同伴していた兵士を蹴散らしていたのだ。


「大丈夫?」とエレンはシーナの肩に手を置くと「うん、私は大丈夫」無表情のままシーナは呟いた。


「コイツは・・・コイツはエレンさんを殺そうとした敵だ!!」

そう言うシーナの目は静かな怒りで真っ赤に光っていた。


地龍と魔導砲兵士による奇襲攻撃を仕掛けたゴルド軍の作戦だったが2人の地龍によって粉砕された。

実はもう一体の地龍がいたのだがシーナの凄まじい龍気に怖気づいて逃走していた。


人間相手だと思って、馬鹿して不完全な準備のまま襲って来た地龍と万全の警戒心で可能な限りの準備をして待ち構えていた地龍。


この差が一方的な戦いに終わった理由だ。

龍種と言えど生命体に違いない、今回の様にツボにハマると簡単に死んでしまうのだ。


冒険者のマスターのイノセントの教えがなかったら死んでいたのは自分達だったと気を再度引き締め直すシーナとエレン。


エレンが死んでいたかも知れない・・・敵の同族を殺すより味方の同族を死なせる方に恐怖を感じたシーナ。


同族を殺した事に対して思う所はあるがそれよりエレンを失う事の方が嫌だとシーナは思った。


奇襲を完全に潰されたゴルド軍は本格的な全面撤退の体制に入った。

ヴィグル軍も再編成中なので無理な追撃はしない、このパンツィトワ河川での戦いはヴィグル軍勝利で終わった。


ゴルド王国軍が警戒線外の15km先まで離れたのを確認した所で冒険者隊にも後退命令が出て、それを聞いたシーナとエレンも完全に後退した。


この時のシーナは、後にとんでもない龍種が襲来して来る事を知らない。

そう・・・奴だ、奴が登場して来るのだ!

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