閑話 「シーナと海龍とバーベキュー」
冒険者ギルドで申請を終えた幻夢一行は、せっかく来たので明後日の戦艦の出航までの時間を使って港町フィジーを見て廻る事にする。
中央大陸の西にある港街フィジーはブリタニア伯爵家が代々治めている西の大陸との交易航路の最大の拠点だ。
今はゴルド王国と戦争中で海上封鎖をしてるので交易船も来ず閑散としてるが通常は多くの商人や観光客で賑わう美しい町だ。
現在は海軍の司令部が置かれていて町を歩く人間も軍人や冒険者がほとんどだ。
余談になるが将来的にフィジーのブリタニア伯爵家とシーナとガイエスブルクは親戚筋になるのだが、それはまだまだ未来の話しだ。
一通り町の観光をしてそれから町の食堂へ向かう幻夢・・・え?君達が食堂?!
これからは普通の人間と同じく、きちんと3食を食べないと龍種だと気づかれてしまうからだ。
この事はノイミュンスターから注意する様にキツく言われている。
実際に道中、エレンとガイエスブルクは立ち寄った町や村ではちゃんと食堂で食べている、シーナは結構失念して街の見学などしていて遊んでいたが・・・
食堂に入り何を注文するか考える3人・・・つーか3人共、凄い真剣な表情になってメニューを見てて笑う。
「うーん・・・何食べる?」とガイエスブルク
「港町だから海鮮料理?」とエレン
「・・・納豆?」とシーナ
「なんで納豆?!」とエレンは驚くと「好きだから」とシーナ、「渋い趣味してんなあ」とガイエスブルク、そう言う意味じゃ無くて「何で単品で納豆なんだ?」って話しのだが・・・別に良いのだが。
いきなり納豆単品を注文するシーナに店員さんも微妙な顔だ。
それからシーナはわらびの煮付けとフキの煮付けを頼む、以上主食無し。
エレンは刺身と熱燗とシチュー・・・刺身とシチューの組み合わせがおかしい。
ガイエスブルクはパンケーキとビール・・・んー?ギリギリ有り?か?つーか未成年が酒頼むな。
ちなみにガイエスブルクとエレンは、まあまあ酒が強いがシーナはイマイチ強くは無い。
シーナは酔っ払うと笑いながら意味も無くゴロゴロ転がり始めて最終的に寝る。
なんだ?この組み合わせは?と、注文を復唱している店員さんも更に微妙な表情だ。
それよりシチューやパンケーキが有る店で納豆単品や蕗の煮付けが有る事に驚いたが・・・
エレンも同じ事を思ったのか店員さんに聞けば、この食堂は「昔、とあるグリフォン」が経営していたらしく自分の好みの料理を片っ端からメニューにぶち込んだ名残で納豆が有るとの事。
食堂経営をする、そんな訳が分からんグリフォンなんぞ、もうアイツしか居ねぇじゃん?
ちなみに「イカの塩辛」まである始末だ。
こんな感じに普段からの食事する習慣は必要だったのだ。
微妙な食事が終わると3人は武器屋へ向かう、なぜ?それは冒険者のお約束だからだ、テンプレをこなすのも大事なのだ。
「・・・へいらっしゃい」
いかにも厳つい武器屋の親父風な店員がカウンターに座っている。
全く話しに関係無いがノイミュンスターことトムソン鍛冶屋の店長トムソンは、身体は大きいが赤い短髪で優しい感じのイケメンのおじ様と言った風貌で鍛冶屋より演劇団に居そうな雰囲気だったりする。
店長のトムソン目当てで来店する若い女性も少なく無いらしい。
若い女性が武器屋で何を買うねん?と思ったらトムソン鍛冶屋の主力製品は調理器具らしい。
そう言えば「鍛冶屋」とは言っていたが「武器屋」なんて誰も一言も言ってなかったね。
シーナ達は店内の武器防具を見て回るが優れた金属加工技術を持つ地龍の目だと買っても良いモノは無かった。
何せ鉄剣くらいなら自分でパパッと作れるからね。
そもそも武器は幻夢にとっては飾りの様なモノだ。
シーナは主武装で戦斧を使うがエレンとガイエスブルクは魔法と肉弾戦が得意な地龍らしい戦い方をする。
今も一応は冒険者が付ける一般的な装備を装着しているが、いざと言う時は龍化するエレンとガイエスブルクは余り防具にはこだわりを持っていない。
シーナは現在、義手にプレートアームを装備しているので鉄の胸当てのみの軽装備だ。
ただの冷やかしになるのは申し訳ないので肩掛けの鞄をお揃いで買う。
また微妙な表情の店長の親父。
次は道具屋でポーションだ。これもテンプレ、お約束だからだ。
しかし大概の事は魔法で解決出来る地龍はポーションを使う機会はほぼ無い・・・と言うか使った事が無い。
案の定、何も分からず仕方ないので何故か胃薬をたくさん買う、またまた微妙な表情の店員。
アレこれ、胃薬に何かのフラグが立った?気のせいかな?
それより観光が分からないなら無理すんな宿屋で寝てろよお前ら。
「私達の観光・・・どうだったと思います?」難しい表情のシーナが訊ねる。
「それぞれの店の店員の顔が全てを物語っていたと思う」苦笑いのガイエスブルク
「もう宿屋に帰ろうか?」自分が変なのは余り気にしてないエレン。
「そうですね」シーナも考えるのをやめた様子だ。
何かに惨敗した幻夢だった。
冒険者と言うより人間として何かに惨敗した幻夢のフィジー到着初日だった。
次の日の朝、西の大陸への出航は明日になる。
シーナは朝食に納豆と切り干し大根を頼む、・・・もういいから店員さんのお任せにしろよ。
朝食を食べてる最中にシーナがユグドラシルに尋ねる。
「ユグドラシルは海でやりたい事ありますか?」
《え?海でですか?・・・初めて海を見れて満足してますねぇ》
魂の状態では海を見た事が有ったが肉眼で海を見れて大満足のユグドラシル。
「いえ、そうではなくて、例えば海で泳ぎたいとかです」
《そうですねぇ・・・あ!そうです!「バーベキュー」と言うモノをして見たいです。
何やらとても楽しい遊びだと聞き及んでます》
ユグドラシルから案外まともな希望が出されたのだが・・・
「バーベキュー・・・確か食料を焼くのよね?」
「何で食料を焼くんだ?焼き討ちでもするのか?」
「・・・・・・・・それって楽しい遊びですか?」
案の定、まともにバーベキューの事を知っている奴は居なかった・・・
でも他ならぬユグドラシルの頼み、叶えてやりましょう!となりバーベキューの情報収集の為に浜辺を歩き始める幻夢の3人。
3人が浜辺へ向かって歩いていると。
《あっ!漁師の御老人の方が歩いてますね、バーベキューの事をお聞きしては?》
初バーベキューにワクテカしているユグドラシルは珍しく積極的に他人と絡んで行こうしている。
「本当ですね!あのすみませーん」
「ん?どしたー?」
「あの、できればバーベキューなる物がどの様なモノなのかを御教授願う事できませんでしょうか?」
「ん?鉄網使って肉やら海鮮を焼くだけだで?」
「え?それだけですか?」
「それだけだで?」
「そうですか、お手数をおかけしまして申し訳ありませんでした。
《これはこれは、ご丁寧にありがとうございました》
老人には聞こえないがシーナと一緒にお礼をするユグドラシル。
「いんや良いだでよ、ああ、なんらこれやるで、小さくて売り物になんねくなぁ、儂は食いあきたで食ってくんろ」
老人が持っていた木箱をシーナへと差し出す。
《まあ?貝が沢山ですね?何から何までありがとうございました。》
「よろしいのですか?ありがとうございました!」
「良いんだでな、ばーべきゅーするなら火の後始末さはちゃんとやるんだでよ?
木箱はアソコに置いといてくれれば良いかんな」
「任せて下さい!最後は火元を「真空にして」消化します!」
「しんくう・・・ってなんだべ??」
漁師の老人と別れて貰った貝の入った木箱を囲んで作戦会議を始める幻夢達。
《さて、この貝を鉄網で焼くとの事ですがその鉄網が無いですね?》
「シーナ作ってくれ、魔力操作の修行にもなるからな」
「はい、良いですよー」
シーナが砂浜で砂鉄を集めていく。
ここは砂鉄が豊富に含まれているのでかなりの量を確保出来た。
「シーナ、上手くなったねぇ」パチパチパチパチ
幼い頃(今も幼いが)に砂鉄集めが上手く行かず、顔を赤くしていたシーナを懐かしむエレン。
「えへへへへ」
「でもそれってユグドラシルがやってんだろ?」
「そうですよ私達は2人で1人、一心同体ですからね」
元、女神ハルモニア分身体のシーナも魔力操作はかなり上手いが、修行を続けているユグドラシルの魔力操作は群を抜いて上手くなっている。
ユグドラシルは更に繊細な魔力操作で砂鉄を鉄網に錬成して行く。
程なく5m×5mほどの立派な鉄網が完成させた・・・・・・デカすぎね?
《こんな感じですかねぇ?》「そうですねぇ、良いと思います」
作った鉄網を砂浜に置いて貰った貝を並べて行く3人。
「よーし、こんなモンかな?エレンお姉さん頼む」
「OK、龍炎!」ゴオオオオオオオオオ!!
エレンの龍炎で貝がこんがり焼けたので早速食べて見る事にする。
モグモグモグ、モグモグモグ、モグモグ
「んー?上手いんだけど・・・どうも「コレじゃ無い」感するんだが」」
「分かりましたよ、コレ調味料が足りないんですよ。
ユグドラシルはどうですか?」
《焼いた貝の味がして、とても美味しいですね》
今まで「木」だったユグドラシルは食べられるモノは何でも美味しいと感じるのでアテにならない。
「なら塩かけて見る?」サッサッサッと貝に塩を掛けるエレン。
「・・・・・・・・俺らなんか間違えてる気がするんだよな」
「・・・・・・・・そもそもこれ鉄網が必要かしら?」
「・・・・・・・・貝を岩の上に置けばいいんですもんね」
《・・・・・・・・んー?多分下から火で炙るのでは?》
「「「多分それだ!!!」」」
そして幻夢3人の大型バーベキュー装置の建築が始まる、・・・いや何で建築?
ドオオンンドオオンンドオオンンドオオンンガシャ!
長閑な漁村に建築音が鳴り響く。
シーナが砂鉄で直径30cm長さ5mの鉄の円柱を作り、四隅に作った円柱を3mほど砂浜に突き刺して、その上に鉄網を置きました。
おっしゃあ!これで下から火で炙れますね♪・・・いやふざけんな!
「こんな感じですか?」
「確かに下から炙れる様になったけど貝を取りに行けないわ、鉄網の位置が高すぎるわよ?」
「「んー?じゃあ」」高さが出たのでガイエスブルクは龍化している。
何の脈絡も無く突然現れた龍の姿を偶然目撃してしまった厳ついオッサンの漁師達がキャーキャーと逃げている。
ガイエスブルクが砂を使い鉄網の周囲に壁を作り鉄網の高さに合わせて犬走りを作成して階段も作り後はコンクリート並みにカチンコチンに固めて終了です。
これで貝を取りに行けますね。
「こうなると雨避けの屋根も欲しいわね」
今度はエレンが砂で柱と梁と屋根を作りまたカチンコチンに固めました。
これで雨の日も安心です・・・この先10日ほどは晴れの予報ですけどね!
「じゃあ!バーベキュー開始ですよ」
火力操作が1番上手いエレンさんが焼き手でシーナとガイエスブルク君が貝の並べ役です。
おや?手が届かないから貝が全て端に寄って真ん中は盛大に空いてますね。
何となく分かってたのですが鉄網が大き過ぎた様です。
「エレンさん!準備OK!炙っても良いですよー」
「OK、退いててね」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオバチバチバチ!!
エレンさんが下から貝を1000℃程度の龍炎で炙りバーベキューが完成です。
ちなみに龍炎は最大出力を出すと太陽の黒点と同じくらいの3000℃の出力が出せるので魔力操作を間違えると鉄網が溶けて火柱が立ち周辺300m圏内の村が燃える・・・
そんな危ないモンで貝を焼くんじゃねえ!!
《バーベキューとはもの凄く手間が掛かるのですね。
作った建造物は普通に家になっています。
建設が得意な地龍だから2時間ほどで終わりましたが、普通なら1か月は掛かりそうですね》
自分で言い出した事で大事になってしまい恐縮そうなユグドラシル。
いよいよ実食!
モグモグモグ、モグモグモグ、モグモグモグ
さて!皆さんお味はどうですか?
「「うん!さっきと変わらんね」」
自分で作った犬走りを使わず龍のままで貝を喰らうガイエスブルク。
「貝を焼いただけだものね」
「やっぱり調味料が足りないと思います」
《なるほどバーベキューとは苦労して行う達成感を味わう物なのですね》
こんな感じで充分に達成感を得た所でバーベキューは終了です。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・バーベキューって何が良いのかしら?」
バーベキューの良さが全然分からんエレン、そりゃまぁ、何もかも、一から十まで全てを間違えてるからね。
「「コレって普通に仕事だよな」」
「それよりコレどうしますか?」
シーナが指差した先にはバーベキュー装置?の建物が残っている。
無駄に頑丈な作りなので解体が大変そうだ。
「置いとけば誰か使うんじゃないかしら?」
「「そうだなバーベキューやる度にこれ作るの大変だモンな」」
バーベキュー装置?は地元の人達に寄付する事になりました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
龍が立ち去って恐る恐るバーベキュー装置?に近寄って来る漁師達。
ワイワイワイワイワイ、ガヤガヤガヤガヤと騒ぎ始める。
「いやーこれなんだべか?龍様は何をしてたんじゃろか?」
「多分家なんだろうが、なして2階の床が鉄網なんじゃろか?」
「これアレじゃろ?2階で魚さ洗えば下に水が落ちるから便利じゃ」
「おおーなるほど、さすがは龍様じゃのう、考えたモンじゃ」
「これ儂らが使って良いんじゃろか?」
「他に使い道無さそうだけなぁ、良いんじゃろ」
「おおー龍様からの贈り物じゃな!なんら有り難く使わせてもらうべ」
哀しいかな地元の漁師さん達はこれがバーベキュー装置だと夢にも思わないのであった・・・って当たり前だろ!
しかしこの謎の建造物は漁師さんの間で使い勝手が良くて好評になり様々なバージョンが国内各地に建設されるのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「次は海水浴と言う遊びをして見ましょう!」
秋口の季節外れだが、海水浴をする事にした幻夢達。
地龍なので真冬の海だろうが関係無く泳げるので何の問題も無し。
意外だが地龍は泳ぐのが得意でエレンは南の大陸から、ガイエスブルクは西の大陸から海を泳いで中央大陸入りをしている。
天龍も泳げる者は普通に泳げるらしいが泳ぐ意義が全く無いので殆ど泳いでいる姿を目撃される事は無い。
ただ海面へ墜落した際の為に定期的に泳ぐ訓練はしているとの事だ。
そんな訳でいよいよシーナとエレンの魅惑の水着姿の御披露目である。
「そう言えば地龍君!私の今日の水着はセクシーだと思いませんか?
可愛いって褒めて下さい!」
「おまっ!俺が全力で見なかった事にしてたのに・・・」
「うん・・・かわいい・・・のかな?」
シーナの水着姿に超絶微妙な表情のエレンとガイエスブルク。
シーナの今日の水着は俗に言う所の「しまうま水着」です。
大正時代になんかハイカラじゃね?と、評判になって日本国内で爆発的に広がった日本独自のガラパゴス水着なのです。
作者の婆様の自宅に「しまうま水着」実物があったのですが、当時は子供の頃だったので歴史的な価値が全然分からず回収しなかったのだ。
現在ネットオークションで10万円ほどの高額取り引きされているのでビックリです。
《昭和の時代には「ドリフターズ」が好んで使用した事でも有名ですね》
ユグドラシル?!なんでそんな事知ってるの?!
「「いや・・・俺には白と黒のシマシマの囚人服にしか・・・」
「なんでですか?!凄く可愛いじゃないですか?!
これを着て恋人と「砂浜を走る」素敵じゃないですかぁ?!
なので地龍君!一緒に「砂浜を走りましょう!」
おや?おやおやおや?シーナよ、その発言に作者は「フラグ」なる物が見えた気がしましたよ?
さあ!速攻でフラグ回収のお時間ですよ!
ドオオオオオン!!ザバァアアアアアアア!!!!!
突如海面にどデカい水飛沫が上がる!
ヌウウウウウウウと、その水飛沫の中からとても大きな海龍さんが現れましたよ。
これ多分、地龍王クライルスハイムよりデカいぞ!!
地龍王クライルスハイムが体長50mくらいなので現れた海龍は楽に70mはありそうだ。
「「海龍?!デカ?!」」
驚いたガイエスブルクの体長は10mほど、まだまだ子供のガイエスブルクの身体な小さいのだ。
「ふわー?大きいですねーお父様より大きいです」
海龍を見上げて「ほへぇ~」と口を開けているシーナ。
「私もこんな大きい海龍は初めて見たよ!」
どうやら通常の海龍よりかなり大きいらしい、ちなみに白銀龍エレンの体長は15mくらいだ。
突如として現れた海龍さんの目的とは?そしてシーナ達の運命は?
ーーーーー海龍さんと追いかけっこ編ーーーーー
突然体長70mほどの、とても大きな海龍が海から現れて海から現れて黙ってシーナ達を見つめている。
じーーーーーー
「え?あの?どうしたんですか?」
何も言わずジーと自分達を見つめる海龍にエレンも少し困惑している。
見つめる目に敵意は全くないので余計に気になる。
じーーーーーー
「「あの?俺らちゃんと通行許可の申請してますよ?」」
ガイエスブルクがフリーパスのブローチを見せるが反応が無い海龍。
じーーーーーー
「ふわー??この海龍さん、凄い美人さんですねー」
シーナ曰く、人間には良く分からないが、地龍から見ても現れた海龍は凄い美人さんらしい。
じーーーーーー
《お~い?アメリアちゃ~ん?どうしたのですか?ユグドラシルですよぉ?何かお話して下さ~い》
ん?!ユグドラシルよ、お主の知り合いなのか?(すっとぼけ)
なんだろうか?この海龍からは「気合い」を感じる・・・殺気では無く「気合い」だ。
すると?・・・・・・・・・・・・・・・ポチャン
今度は別の大きな海龍の女性が海面から頭だけ出しましたよ。
おや?良く見れば貴女は海湊龍クローディアさんではありませんか、こちらでは「はじめまして」になりますね(龍騎士イリスと戦乙女の英雄を参照)
と言うより龍の姿での登場はシリーズを通しても初めてですね。
クローディアは、ゆっくりと一同を見回して話し始める。
「「さーて皆様、準備はよろしいでしょうか?そろそろ始めますよー」」
「「え?何の準備?何を?」」意味が分からず、ますます困惑するガイエスブルク
「位置についてー」
「「えっ?せめて説明を?」ほらほら来るぞエレン、説明してる間は無し。
「「よーい」」
「ほへー?」《アメリアちゃんってばぁ??》
「「ドン!!」」
ザザザザザザザザ!!!ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーーー!!
「「ええーーーー?!」」
「きゃああああああ?!」
「ほへぇーーーー?!?!」《アメリアちゃーーーん?!?!》
海から上陸した海龍さんが走り出してシーナ達に向かって猛烈突進してきました!!!!
あまりのスピードに驚いたシーナ達は慌てて逃げ出す!
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!
おう!海龍さんって足がとてもお早いのですね!作者も知りませんでしたわ。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!
ちょこまかと逃げるシーナ達だが、巨大に似合わず海龍の左右へのフットワークは見事でドンドンと追い詰められて行く!
「ふええええ?!なんですか?これー?!全然逃げきれませーーん!!」
《そりゃアメリアちゃんですものーーー?!陸上でもシーナでは無理ですよーーーー?!》
「知らない!私も知らないわ!って?!ええーーー?!アメリア様ーーー?!」
やっとこさ海龍の正体が分かったエレン。
「「だから!せめて説明を!してくれぇ!」」
体重が重い龍の姿が仇になり、砂浜に足を取られまくるガイエスブルク。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!
めっちゃジグザグとしながら逃げるシーナ達!
余りにも突然過ぎて「地走駆」も使う余裕もない様子だ。
海龍さんは、ただただ追いかけて来ます・・・おや?これってもしや・・・
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!
「ふええええ?!なんか怖いですー」ようやく危機的状況なのを理解するシーナ。
《シーナ!右です!右ーーー!!右に行って下さーーーい!》
「だんだんと追いつかれてるよ!急いでー」
海龍の正体は分かったがとりあえずは逃げるエレン。
「「すっげえおっかない!」」
完全に海龍に捉えられてる最後尾のガイエスブルクは海龍に指で「もっと早く走りなさい」とばかりに指でチョンチョンと突かれているのだ。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!
《あら?あらあら?だからいけませんよシーナ?そちらは入り江になってますよぉ?!
そのまま走って行くと海に落ちてしまいますよー!右でーーーす!!》
「そんな事言われても無理でぇーーーーす!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!
「エレンさん!地龍君!このままだと入り江にドボンだそうですよ!
方向転換!右にスタンボードイージーです!」
「急に言われても方向転換は無理ぃ!」
現時点で速度は100kmを超えている、人の歩幅の限界で足が空回りしている状況なのだ!
「「おっかねー!!」」遂に後ろから頭を撫で撫でされているガイエスブルク。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!
「ふええ?!入り江が見えて来ましたよ!もうダメですよ?!」
物凄いスピードでキラキラしている海面が迫って来ている!
「ああん!いやーん!!」
「「怖ええええ!!!!お母さーん」」
「「はい♪わたくしの勝ちですわ、捕まえましたよ♪」」
抱き!っと海龍に抱きしめられる3人、そして・・・・
ヒューーーーーーーーーーン
海龍に抱っこされながら入り江に落ちて行く・・・
ドッボーーーーーンンン!!!!!!!
20mを超える水柱が入江に上がったのだった・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うふふふふ♪とても楽しかったですわ♪
わたくし久しぶりに張り切って地上を走ってしまいましたわ」
「ちゃんと最初に説明して下さいよー。
分かっていたらもっとちゃんと逃げたのにぃ」
逃げきれなかったのが悔しくて膨れ顔でシーナは青く長い髪に青い瞳のとても美しい女性と話しをしています。
なんと!海龍の正体は海龍王アメリア様だったのだ!
これは驚きましたね!(超すっとぼけ)
「クライルスハイムのお姫様がフィジーに来ていると聞いて、これは是非ともお迎えに行かなければ!と思いまして」
さて今回の追いかけっこの事を解説致しますと。
今日は年一回開催されている海龍さん達のお祭りで、「大海原追いかけっこ大会」と言う世界の海を股にかけて追いかけっこをする・・・とても壮大なお祭りなんだそうな。
会場は世界の海全域、鬼役の海龍さんから、ただひたすら逃げるだけの単純だが異常に盛り上がるとても楽しいお祭りだそうです。
お祭りの最中に港町フィジーに地龍王様のお姫様が来てると知った海龍王アメリアが直々にお祭りへのお誘いに来て下さったとの事です。
これは大変名誉な事ですね。
お祭りは世界各地でそれぞれ行われており、日没終了後に参加者全員で浜辺でバーベキューなどをして楽しむのだそうです。
「ささシーナ、沢山食べて下さいね♪」
「ふわー凄いですねー」
シーナの前には彩り取り、様々な野菜に海鮮、肉類が並び、人化した海龍の男性が鉄網を炭で炙りタレを付けて食材をドンドン焼いてくれています・・・
うっ?!鉄網?食材?焼く?うっ!頭が・・・・・
「さあ!ドンドン食べてくれ!まだまだあるぜ」
「あっはい!ありがとうございます」
エレンは海龍の男性から沢山の焼かれたお野菜や肉を貰ってその横ではガイエスブルクが黙々と海鮮焼きを食べています。
「・・・・・・・・エレンお姉さん」
皿に山盛りの食材を持って近く座ったエレンに話し掛けるガイエスブルク。
「・・・・・・・・・・・なにかな?ガイエスブルク君」
「これがバーベキューじゃないかな?」
「・・・・・・・・・・多分そうだね」
「昼に俺達がやったのって何なんだったんだろうね?」
「最初に大き過ぎる鉄網を作ったシーナが悪いと言う事で・・・・・・」
そうだねシーナが作ったアホほどデカい鉄板・・・あれから話しが変な方向へと走りだしたね。
元凶のシーナは珍しい事にパクパクと焼いた野菜を食べている。
「美味しいですねぇ、でも海龍さん達って、お食事は海の上でするんですねー」
「うふふふ、海の中でお魚を調理しますと全部お刺身になってしまうでしょう?
毎日毎日お刺身だけだと飽きてしまって・・・焼き物や煮物も食べたいですので陸に上がるのですわ」
「へぇ~そうだったんですねぇ、地龍は食事をする文化が疎くて」
地龍が疎いと言うよりはシーナが極端に疎いだけなのだがな。
「長く生きているからこそ楽しみは増やして行かないとダメですわ。
クライルスハイムは昔から横着者なのですわ」
「あっやっぱりそう思います?お父様って面倒がり屋さんなのです」
「うふふふ、ユグドラシル様も楽しんで下さいね」
《はい!楽しんでいますよ。
港町フィジーの海に夕日が落ちて海を赤く染めておりますね、とても美しいです。
アメリアちゃんにも会えたし、今日はとても楽しい1日だったと私は思ってます》
全てが夕日によって茜色に染まる中、海龍のお祭りは続いて行くのだった・・・
完




