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天使達のおはなし

海の天使

作者: あか

「…なぁ神様、あいつ、三分後に海に落ちるぞ」まだ光の届く海の中、綺麗な魚たちに囲まれている青年の天使が言いました。「ああ、そうかもしれないね。」幼い見目をしている神様が答えました。「…助けなくていいのか。神様だろ。」「ああ、良いんだよ。あの子の運命を変えてしまうと、少なくともあっちの世界に影響がでる。それに、誤って陸にでてしまえば、君は泡になって海にかえってしまうからね。」神様と、天使の声が海に響き渡り、また一つ波を作りました。「…トンドル、優しいのは君の良いところなのだが、決して助けようとか、思ってはいけないよ。」「…分かってる。そんなことしねぇよ。それより神様は忙しいんだろ。速く仕事にいった方がよくねぇか。」トンドルと呼ばれた青年は、そっぽを向いて、そう言いました。「そうだね。心配してくれてありがとう。また来るよ。」神様はそう言って姿を消しました。(あと二分…助けられるな)トンドルは神様の忠告を無視して少年を助るつもりです。トンドルは更に浅いところまでのぼり、少年が落ちるのを構えて待っていました。(5…4…3…2…1…)ボチャン。小さい男の子がやはり落ちてきました。トンドルはそれを素早くキャッチし、更にのぼりました。ですが…(どうしたらいい!?こいつを助けるには陸に出ないと!でもそうしたら…!いや、命がかかってるんだ!迷うな!)トンドルは少年を抱え“陸にでました”そこには少年の家族と思える人がいて、自分に感謝してくれました。ありがとう、ありがとう、と。トンドルは、自分が泡になることで少年やその家族を怖がらせないよう、「いいえ、当然のことですよ。今度は落ちないよう、気をつけてくださいね」そう言ってまた海に潜りました。そして手を見てみると、指の先からゆっくり泡になってきていました。(!…やっぱりか。でも、あの子を助けられて良かった。)天使は決心して静かに目を閉じました。「トンドル、まだ生きたく無いのかい」(生きていたいに決まってるだろ。…そしていつか陽天使様の作る美しい鳥を見てみたい。)「…そうか。なら生かしてやろう。」そんな声が聞こえた瞬間、あたりが陽の光に暖かく包まれ、天使の泡をぷくぷくと元に戻しました。(……は?)「トンドル、お前の望みに気づかなくてすまなかった。これからお前は海と、森の天使だ。」(………は?この声は…神様?そして何といった、海と…森の天使にするって?)「ああ、その通りだ。陸にでても泡にならないまじないをかけたから、心配するな」そう言った神様の声が、優しく、とてつもなく優しくて、トンドルの心に響き渡りました。


「これが、陽天使様が作った鳥か。これは…美しいな。」トンドルは海と森の天使になって一年後、やっとリュミエールの鳥を見ることができたそうです。

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