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魔大樹ライフ!  作者: てるてる
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5話 やっちまったよ、俺


 はぁ~、なんていい心地なのだろうか。


 まるで全身お湯に使っているかのような暖かさ。そして包み込まれるかのような抱擁感!


 あ~最高だ~。もうなにもしたくない。


 ……ん~、でもなんか忘れてるような感じがするんだよね~。


 でもいいや。そんなことより今はこの最高の時間を堪能しようではないか。

 なんか眠くなってきたし、一眠りするのもいいかもしれない。

 忘れてそうなことは、起きたら思いだそう。


 ……あぁ~、本当にいい気持ちだ……。






 次に目覚めた時、俺は今までにない快適な寝起きを迎えていた。

 本当に最高だった。今は落ち着いてるし……、


 …………。


 ………。



 あれ? おっかしいな~? 俺の見間違いだろうか?


 一度目を閉じて…、いや目はないから視界をシャットアウトする。

 そしてもう一度目の前の光景を見て、唖然とした。


 いや、なんか視界高くなってね?


 落ち着いて、目が覚めて、爽やかな気分で見たのは、前よりも何倍も高い位置からの視界だった。


 え? 俺いつの間に成長したんだよ?


 と、そこでふと思い出した。


 それはつい先程まで、…寝る直前ですら忘れていたとても大事なこと…、


 あ、そういえばあのエネルギーの塊のところまで到達したんだっけ?


 思い出した当初は気楽な感じだったのだが、段々と時間が経つにつれて焦りが見え始める。…というよりめっちゃ焦ってる! ヤバい、ヤバいぞ!


 ぼんやりとした記憶に残っているのは、岩盤を抜けた瞬間、そこからエネルギーが流れ込んできて謎の万能感に見舞われたところまで。


 万能感の正体は、おそらく一気にエネルギーが俺の許容量一杯まで入ってきたことによる高揚感だろう。

 前にも土砂降りの時に経験している。


 そして、起きたら一気に成長していた件に関してはエネルギーの過剰吸収によって一気に成長したか、エネルギーが溢れた状態だったから成長したか、そのどっちかだろう。


 今回は大丈夫だったが、エネルギーの過剰吸収とかで破裂するとかはありそうだった。

 そうはならずに成長しただけに留まったのは幸いだった。…下手すると死んでたかもだし。


 いや、自覚してないだけでもしかしたらどこか異常があるかもしれないから確認したほうがいいのかもしれない。


 だが、それは後回しだ。


 今はそれよりも優先すべきことがある!


 本来の予定なら、変な結界があることを考慮して周りのエネルギーを少し貰うぐらいのつもりだったのに、思いの外沢山吸収してしまった。


 完全に予想外だ。


 慌てて地面の下を確認すると、案の定、エネルギーの塊が四分の一程度減っていた。

 これが多いのか少ないのか…、いや多いか。元がデカイからその四分の一といったら相当な量だろう。


 それで肝心の封印だが、これはなんとか大丈夫そうだった。

 というか、今まで封印の周りのを高密度のエネルギーが覆ってたから存在事態あいまいだったけど、今は四分の一も減ったおかげでその存在を確認することが出来た。


 やっぱり何か封印されてるだ…。


 ……四分の一も減らしちゃったけど大丈夫だよね? 急に復活とかしないよね?


 見た目大丈夫そうだが、安心はしない。


 用心に越したことはないだろう。



 よし、予想外の事態が起こってしまったが大きな問題は起きてないようで安心した!


 うん! 切り替えてこう! 切り替え大事!



 俺は、やってしまったことを忘れるべく次のことを考え始めた。


 といっても、やることは決まっているのだ。


 そう、自身の確認である。


 パッと見た感じ、中のエネルギーも許容量一杯まで入っていること以外は問題は見受けられない。


 どこか異変があるわけでもないし、ただ成長しただけみたいだ。


 それにしても大きくなって改めて感じるが、俺の幹も葉も真っ黒だな。光沢によって淡い紫色に見える感じが俺の心を刺激する。やべぇ、かっけぇ。


 それに枝もすっかり伸びて……、


 ……伸びて…。


 あれ? なんか枝動いてね? 俺って枝動かせたっけ?


 思い出してみるがそんな記憶どこにもない。

 俺が動かせたのは根っこだけの筈だ。


 もしかして成長したからかな? それともエネルギーに溢れてるから?


 ん~、心当たりがありすぎてどれが原因かわからない。


 まあ、悪いことではないんだし、良いように受け取ろう。



 そのあと、他にも異変を探してみたが特に見つからなかった。


 強いて言えば、根っこの操作が上手くなったとの枝も動かすことが出来るようになったことだろうか?


 どれも俺にとってはプラスでしかない。


 あとは俺の大きさだろうか?


 幹も太くなって直径四メートルはありそうだ。


 高さも…、比較対象がないのでなんとも言えないが、……二十メートルくらいだろうか? 大成長だな?


 まあ、かなり大きくなった。



 で、一番の懸念材料である地下の封印だが、これはなんとも言えない。

 まあ、何もしなければ大丈夫だろう。


 そういってるそばから、俺は地下から集まっているエネルギーを吸収していた。


 いや、違うのよ? 別に封印を刺激したいとかそういうのじゃないし、フリじゃないから。


 だって体が大きくなったから生命維持にそれなりのエネルギーが必要になって空気中のだけじゃ賄いきれないんだもん。


 だから仕方のないことなんだ。俺が地下からエネルギー接種をするのは。


 はい! この話は終わり!


 それよりもこれからどうするか考えよう。


 ぶっちゃけ、地下のエネルギーは周囲から吸い寄せているので枯れる心配はない。

 つまり、俺もそこから生存維持に必要な量だけを吸い続ければ半永久的に生きられる筈だ! (俺の寿命ならぬ樹命がどれくらいかは分からないが…、)


 だが、だからってなにもしないのもつまらない。


 今まで生きるために頑張ってきたのは確かだが、その目標がなくなったからといってなにもしないのはなんか違うと思う。


 というわけで新たな目標設定をしよう!


 うん! これとりあえずの第一目標で。


 あとは…、自分の周りをどうにかしたいな~。


 こんな広い場所に俺だけってなんか寂しい。


 周りの景色も暗い感じだし、何とかしたいと思う!


 …まあ、これに関してはどうすればいいのか分からないし今は無理だな。


 やっぱりもう少し無難な目標定めて、それ目指して頑張るのが妥当だろう。


 うん、じゃあ暫く目標を何にするか考えよう。


 そろそろ雨降りそうな感じだし、その間に考えればいいや。


 この雨も今までは嬉しいエネルギー補給元だったけど、今となっては地下のエネルギーあるから価値が下がっちゃったな~。

 いや、水分の補給が出来るからそうでもないかな?


 まあとにかく、雨が降ることはいいことだ。


 しっかし、なんかいつもより雨雲多くないか? これはいつも以上に荒れるのでは?


 まあ、どんな雨風がきても俺はもう大丈夫! もう、五十センチや一メートルぐらいだった柔な俺はもういない!


 なんせ、二十メートルクラスだからな! なんだって大丈夫だろ!




 ーーその時の俺は、やはり大きく成長したことと、エネルギーが容量一杯だったことでハイになっていたのだろう。


 どこか楽観視していた俺だが、その数分後には後悔することになった。


 だが、現時点での俺はそんなことを知るよしもなく……、




 ーーただただ、ハイテンションだった。






 





 ーー主人公成長日記


 主人公=種族不明 大きめの木 広葉樹 相変わらず黒い。


 サイズ=二十メートル 太さ=直径四メートル 


 大量のエネルギーを吸収。急成長した。

 枝を動かせるようになり、エネルギー補給も地下から吸い上げることが出きるようになった。


 現在、ちょっと太め。(おそらく痩せることはない)


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