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魔大樹ライフ!  作者: てるてる
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プロローグ2


 時間感覚がないのはメリットもあればデメリットもある。

 時間を気にしなくていいが、どれくらい時間が経ったのか分からないということだ。


 淡い光…もとい、魂を観察し続ける日常。


 淡い光が魂だと分かると、それらの動きにストーリー性を感じられて前よりは楽しいことが増えたのは確かだ。

 あの光は今生まれたんだなー、とか、あの光たちは戦ってるんだろうなー、とか。

 もちろん、実際の光景は見えないから確かなことは分からないが、もし視覚を得たらという時の想像が膨らんで今の楽しみの一つでもある。


 だが、そういうのを楽しむのも限界があるわけで、やはり今どれくらいの時間が経過したのかというのが分からないと先の見えない現状に不安を覚える。


 ただ、やはり時間の流れが分からないためそういった不安もいつの間にか無くなって新たな関心が生まれる。



 まあ、ようは正直なところ余り時間についても気にしていないのが正直なところだった。



 さて、そんなこんなで魂の観察を続けている訳だが別にただ感じている訳ではない。

 ちゃんと新たな発見もしているのだ。


 それは、いつものように魂の観察をしていたある時のことだった。


 他の魂よりと強い光を放つ魂を見つけたのだ!

 …まあ、見つけたといっても視覚がないので強い光というよりは感知した光が他のより強いなー、という自分の所感ではあるが。


 とにかく、その他よりも強そうな魂を見つけたのだが…、結論から先に言うと近づくことができなかった。


 いや、近づくことは出来るのだろうが他の魂が近づいた瞬間、その他よりも強そうな魂に吸収されてしまったのだ。

 これには近づこうとしていた自分も急遽停止。

 少し遠目から観察するに留めた。


 

 そして観察して分かったことだが…、


 まず、その魂は動くことがなかったので植物と思われる。

 そして、近づいた魂が吸収された現象だが、これは実際にはその植物に近づいた生物が補食されて魂ごと吸収されたということになる。


 今まで魂が吸収された現場を見たことがないのでこれはこの植物特有の能力ではないかと思われる。


 今の自分は魂だけの状態で入れ物がないので他の魂に感知されなかったと推測できるがこの植物に対しても有効なのかは分からない。

 試してみることも出来るがそれで吸収されてしまったらアウトなのでやらない。安全第一だ。


 幸い、近づかなければ大丈夫そうなので離れて観察し続けた。





 ーーどれくらい観察していただろうか?


 その魂は光の強さだけでなく大きさも大きくなっていった。

 相変わらず近づいた魂を吸収し続けている。


 少し周りも探してみたがこの魂よりも大きくて強い光のやつはなかったので、恐らくはこいつがここいらの食物連鎖の頂点なのだろう。


 他の魂を食べたら食べただけ大きくなるから当たり前といえばそうなのだろうけど。


 だが、やはり上限があるようである程度のところで、ストップした。


 ーーで、問題はそこからである。


 魂の大きさは変わらないのだが、濃さ…、光の強さが段々と弱くなっていったのだ。

 もちろん、その間もその魂は他の魂を補食し続けていたのだが、もとの光の強さに戻ることはなかった。


 段々と光が弱くなっていくその様子はまるで衰弱しているようで恐らく、老いているのだろうと思った。

 ただ、正直なところ成長から衰弱までが早すぎたので半信半疑だった。

 まあ、見えていないので確かなことはわからないが…。


 ともかく、衰弱し始めたその魂ーーおそらく植物は暫くすると自分の魂を分割し始めた。

 これは恐らくは種なのだろう。


 ようは世代交代である。


 そして自分の半分くらいに分割したところで、もう片方は上に上っていった。


 その様子はどこかやりきったような感じだったので、種の方は無事に出来たのだろう。


 あとは、再び周りの魂を吸収するのだろうが…、暫く見ていたがその様子は一切無かった。


 見えていないから分からないが、まだ種の状態だからなのだろうか?そこから成長したらまた他の魂を補食するのだろうか?


 それにしてはなにか違和感を感じる。


 もう少し近くで観察できればなにか分かりそうだが…。


 近づいた瞬間に補食されないだろうか?



 その後、暫くどうしようか迷っていたのだが結論はでなかった。

 ただ、その間も魂の補食はなかったので少しずつだが近づいてみることにした。


 ヤバい、すごいドキドキする…。


 心臓なんてないので錯覚なのだろうが、とにかく緊張する。


 ちょっと…、またちょっとと少しづつ近づいていき……、そして気づく。


 なんか足らなくね?


 いや、本当に感覚的なものなので申し訳ないが、近づいてみた限りそう感じた。

 

 すでに真横ぐらいにいるのだが、補食される感じもないし、むしろその『足らなさ』というのが強く感じる。


 どうやらこの種は未完成らしい。


 暫く様子を見てみたが結論は変わらなかった。


 何が足らないのだろうか?


 気になって再びその周りをうろうろして…、そしてひらめいた!


 

 『この中入れないかな?』と。



 何が足りないのかは分からないが、少なくともこの中に別の魂が入れればそれは補われるのではないだろうか?…と。


 自分が入ろうと思ったのはそんなに難しい考えがあったわけではない。


 そろそろこの状態にも飽きてきたし変化が欲しかったのだ。

 …というか、いい加減外の様子が知りたい!


 この不完全な種のなかに入れれば肉体を得たことになって外の様子が分かるのではないか?


 もちろん、そのまま吸収されてしまうリスクもある。


 だが、ぶっちゃけこの状態が終わるのなら別にそれでもありかな~と思ったのだ。



 そうと決まれば即行動!


 躊躇すればそのままやらない気がしたので、一思いに一気に入った。


 幸い、すぐに吸収される様子はない。


 それどころかすごく馴染む。


 まるで自分の体みたいだ!


 吸収されずに自我が保てて、おまけに体まで手に入れるなんてなんていい判断をしたのだろう自分!


 恐らく、馴染んでから種として完全に一体となるにはもう少し時間がかかるだろう。

 だが、それが済めば外の様子が分かる!


 ……わかる…、


 …分かるよな?


 植物には目も耳もないけど、なんとかなるよな?



 まあそれも後のお楽しみだ!



 さあ、待ってろよ!外の世界!!


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