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 超新星爆発のせいで天文部が休部状態にあることを、僕はクラスメイトの会話から知った。夜がなくなり、月と「死んだ星」以外は全く見えないのだから無理もない。

 天文部の生徒は最初こそ他の生徒より興奮していたが、夜のない世界が当たり前になってくると、つまらなそうに授業を受けていた。青春時代に熱中しているものを奪われる。それほど辛いことはないだろう。

 彼の周りにはよく他の天文部員がきて、励ましあいながら星座の神話について語り合っていた。その甲斐あって、今は元気を取り戻したように思える。


(部活か……)


 僕は彼らの姿を遠くで見ながら、そんなことを考えていた。

 僕とコハクとレイ。「はみ出し席」の3人は全員、部活に入っていない。僕は入りたいと思える部活がなかったからで、コハクは冬眠病のために入部を控えたのだろう。レイはそもそも団体行動に興味が無さそうだ。

 いわゆる「ぼっち」には部活はきつい。そう思っていると、ミナミの姿が視界に入った。彼女も帰宅部っぽいのに、意外にも部活に所属している。


「前に他のクラスの女の子と話しているの見たし。たぶん部活の子だと思うけど」


 以前、コハクがこんなことを言っていた。たしかミナミは文芸部だったか。

 そう言えば、まだミソラさんとの約束がまだ果たせていないことを僕は思い出した。ミナミと友達になれたら、『喫茶 まどろみ』のドリンク一杯サービスするというやつだ。

 でもコハクの言う通り部活に友達がいるのなら、無理に仲良くする必要はないと思った。下手にミナミと話して、コハクに誤解されたくはない。

 そうして僕が鯨川ミナミのことをぼんやりと忘れかけていたころ、事件は起こった。


☆☆☆


「雨野さん、ちょっといいかな?」


 給食時間、学級委員の男子生徒が珍しく「はみ出し席」にきて、コハクを呼んだ。どうやら放課後に文化祭の打ち合わせをしたいらしい。長く休んでいてすっかり忘れていたが、コハクも一応、学級委員を務めている。


「文化祭のこと?」


 戻ってきたコハクに僕はそう尋ねた。


「うん! 出し物についての説明会を、先生たちが放課後に開くみたいなの。私、学級委員だから出席しなきゃいけなくて」

「そっか。大変だね」

「だからごめん! 今日は先に帰ってて」


 コハクは僕とレイに頭をさげると、顔の前で手のひらをくっつけた。すぐにレイが、


「わかった」


と即答する。

 しかし僕は彼のように、素直に「うん」とは言えなかった。夕方までにコハクの手を握って「命」を吹き込まなければ、彼女が帰り道で冬眠発作を起こす危険性がある。


「僕は残るよ」

「えっ、いいよ。さすがに悪いし」

「教室に残って宿題やっているから、大丈夫」

「ごめんね。ありがとう、ヒカリくん」


 コハクはそう言って、安心したように微笑んだ。するとレイが、


「それなら俺も残る」


と珍しく発言を撤回する。


「ほんとに?!」


 レイらしくない発言に、コハクは嬉しそうだ。


「ああ。たしかに彼の言う通り、宿題なら教室でもできるからな」

「二人ともありがとう。私は本当にいい友達を持ったよ」


 コハクは大げさに泣く真似をみせて、僕らの手を握った。


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