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7話 「この国に馴染むために」

家を出てから3分後。

私はタカヨシの左腕にしがみついて歩いていた。

山からタカヨシと一緒に乗ってきたものがたくさん走っているからだ。

凄く大きな音で、凄い速さで走って行く。

タカヨシをチラリと見ると、顔を赤くしてどこかを向いていた。

…嫌われてないだろうか…。

「タ、タカヨシ?」

タカヨシの腕にしがみついたまま付いて行く。

しばらくそのまま歩いて、彼が足を止めて私と一緒に入っていく。

入り口が開いたままの店のようだ。

入ってすぐのところにはテーブルや椅子などが並んでいた。

もしかして家具を買いに来たのだろうか?

家具は揃っていたと思うのだが…。

彼は家具を無視して奥の方に入っていく。

まだタカヨシの腕に掴まってはいるが、しがみついてはいない。

「ケレヴリル、服。」

彼が指さした先にはたくさんの服があった。

「フク!」

言葉や単語が違っても彼が教えてくれるから私はわかる。

彼は目の前で色々な服を選んでいる。

その選んだものを私に合わせては選びなおしたり、横に置いたりしていた。

ある程度選んだりした後、場所を少し移動して他の服を選んでいた。

ふと、遠くに飾ってあるモノに目がいった。

私はそこに歩いて行った。

キラキラした宝石を使った首から下げるアクセサリーのようだ。

「《…こ、これは…。》」

私の里では婚姻の時に首から下げるアクセサリーを男性から女性に渡す決まりとなっている。

だが、こんなに綺麗なものは見た事が無い。

私がそれに目を奪われていると、タカヨシが後ろから来た。

「ケレヴリル?」

私が慌てて彼の方を向くと、タカヨシの手には大量の服があった。

彼が近くのテーブルへと向かう。

奥から女性が出てきて、服に何かをしていた。

そのたびにピッ!という音がしていた。

「それと、あそこのJ-20ください。」

「ありがとうございます!」

二人で何やら話して、タカヨシが紙袋を受け取る。

服はガサガサという袋に入れてもらっていた。

タカヨシが何か紙を数枚相手に渡すと、コインを貰っていた。

多分、あの渡していた紙とコインがお金だろう。

紙袋をバックに入れて、両手にガサガサという袋を持って店を出る。

私も一緒に出ると、タカヨシは笑顔だった。

タカヨシが喜んでくれたなら私も嬉しい。

帰りは少し控えめにくっついて帰った。

タカヨシのバックを一つ持とうとしたが、渡してくれなかったのでタカヨシの腕にくっついていた。


数分歩いて帰ってきたあと、タカヨシはガサガサと音を立てるバックから大量の服を取り出した。

入り口に私の靴も置いていた。

まさか私の為に服や靴を買ってくれるなんて。

タカヨシが私に上下一体になっている服を渡してくれた。

それに着替えようとしたが、タカヨシが大声を出して水浴びをする一つ前の部屋に押し込まれてしまった。

「《…また何かいけない事をしたのだろうか…。》」

そう言いながら着替える。

凄くヒラヒラしていて着慣れなかったが、タカヨシが喜んでくれるなら嬉しい。

ドアを開けてタカヨシに来た服を見せる。

凄く良い笑顔で笑ってくれた。

その笑顔を見て私も嬉しかった。

タカヨシから手招きされて近寄ると、両手を広げられた。

「…タカヨシ?」

よくわからないがされるがままになっていると、後ろに回った彼から胸に紐を巻かれる。

そのあと、胸の下に紐を巻かれた。

腹にも巻かれ、尻にも巻かれた。

何かを測っているようだ。

その後でタカヨシが一枚の紙を見せてくれた。

そこには女性の胸元と腰回りに一枚ずつ何かを着ている綺麗な絵だった。

…なるほど、わかったぞ?

私がこれを着ていないからタカヨシは大声を出して押し込むんだな?

これを着るのがこの国の礼儀というやつなんだな?

見る限りかなり体にピッタリなサイズを着ているようだ。

まさか、この国の礼儀のために私のサイズを測ってくれていたのか!

何ということだ。

また彼のお世話になってしまった。

「《感謝してもしきれないな。》」

そのあともタカヨシから別の本で数を教えてもらった。

これは0から9までの数を覚えれば簡単だな。

読み方はちょっと難しいが、直に慣れるだろう。

+-×÷の形が間に入るだけで数字がかなり変わるという事にはビックリだ。

タカヨシの教え方が上手じゃなければ3日はかかっただろうな。

真剣にやったから何とか簡単なものは出来るようになった。


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